この小説は特撮テレビドラマ『仮面ライダーリバイス』の二次創作小説です。
苦手な方はブラウザバックを……
何もない毎日。
いつもと同じ景色に、いつもと同じ風景。
普段通りの登校時間。
何気なく視線を目の前の席へ移すと、そこには見覚えのある1人の女子生徒がいた。
「ん?」
彼女はこちらに気がつくと、ニコッと微笑み軽く会釈した。
***
さんさんと照り付ける日差しを耐え抜き、力を振り絞って校門のある坂を上りきる。そこからまた奥の旧校舎の4階まで階段を駆け上がると、ようやく自分の教室である2年A組にたどり着いた。一番後ろの窓側の席という絶好のポジションに着くと、前の席にいる男子生徒が話しかけてきた。
彼はクラスメイトであり、親友でもある
「おっす! 相変わらず汗だくだなー!」
「ああ。おはよ」
真はとても気さくな性格で、誰に対しても分け隔てなく接する。そして面倒見が良い。いわゆるクラスの陽キャ的存在だ。どこか斜に構える癖がある樹とは正反対の人物だが、なぜか馬が合い、こうして今に至る。
「そういえばさ、今日うちのクラスに転校性が来るんだってよ!」
「2年の7月にか? 微妙な時期に来やがるな……」
「しかも女子! かわいい子だといいな~、楽しみだよな!?」
転校生。別に珍しくもなんともない。行政サービスが整っている林檎島には移住者が多く集まる。目の前にいる真も中学に上がる頃に自然とこの島にやってきた。
だが転校生というのは、いつの時代でも注目を集めるものだ。10分後に朝のホームルームが始まったが、教室内はソワソワしており、ベルマーク期間が始まったことやアララトへの移住希望調査などの話を誰も耳にしていなかった。それもそうだろう。なにせ今日は待ちに待った転校生がやってくるのだから。
しかし樹はあまり興味がなかった。いや、正確に言うと興味が湧かなかった。いつものように退屈な日常を憂いながら頬杖をつき窓の外を眺める。
「今日からA組に入る転校生を紹介します。入ってきていいわよ」
先生の言葉と共に、ガラリと教室の扉が開いて熱気が立ち込める。それが嫌に気になった樹が正気に戻ると、教室の扉から入ってきた一人の女子生徒と目が合った。一瞬驚いたような顔をした彼女だったが、すぐに笑顔になり教壇の方へ歩いていく。そして黒板の前で立ち止まりこちらを向くと、ペコリとお辞儀をした。
「今日から皆さんと一緒に勉強させてもらうことになりました。
その瞬間、教室内にいた生徒全員が彼女に注目した。亜麻色のショートボブに、前の高校と思わしき黒い制服。衣替えが終わってカッターシャツしかいないA組ではあまりに目立ちすぎていた。真は「すっげ、ドストライク……」などと口をこぼしている。
「席は……志賀頼君の隣が空いているわ。座って」
彼女が樹の隣に座った瞬間、周りの視線が一気に集まった。無理もないだろう。何故なら、転校生というだけで注目を集めるというのに、それが美少女ときたら尚更だ。
「俺は姫路真! よろし──」
「よろしくね志賀頼君!」
「こ、こちらこそ……よろしく。お願いします」
微笑んでくる彼女の顔を直視できず、樹は思わず顔を背けてしまった。
***
その後4限が終わって昼休みになると、案の定たくさんの生徒がゆかりの周りに集まってきた。彼女はそれを嫌な顔一つせず1人1人丁寧に対応していく。その様子はまるで人気アイドルのようだ。
樹はそんな彼女の様子を教室の外から紙パックのコーヒー牛乳片手に眺めていた。すると樹の視線に気がついたのか彼女がこちらを向いた。目が合ったかと思うと、彼女はこちらに向かって歩いてきた。
「ねぇ、ちょっといい?」
「え?」
「ここじゃなんだし、校舎案内しながら話してくれない?私まだ学校のことよく分からなくて」
「あ、ああ……」
突然の誘いに戸惑いながらも、言われるがまま彼女と廊下を歩く。
「……久しぶり、イツキ君。元気だった?」
不意にゆかりは言った。しかしながら、樹は首を全力で横に振って否定する。
覚えていないわけではない。ただ、思い出したくないだけだ。あの頃のことを。
「そっか。雰囲気が幼馴染に似てたんだ。小学校の頃だったかな……5年生で私東京に転校しちゃったからさ。また改めて自己紹介するよ。私は金本ゆかり。これからよろしくね!」
「ああ、よろしく……」
気まずい空気を感じるが、それは間に割って入ってきた真によって壊してもらった。押しに強い彼に今回だけは感謝するばかりだ。
こうして樹は少しずつ、平凡で退屈な日常から逸脱してしまったのだ。
***
『続いてのニュースです。先日、林檎島の琵琶山にて発見された白骨遺体ですが、DNA鑑定の結果、行方不明となっていた中学2年生の男子生徒のものと判明しました。警察では引き続き捜査を進めると共に、事件に巻き込まれた可能性があるとして……』
食堂のテレビでは、ちょうどローカルニュースをやっていた。
「怖いね〜全く」
隣にいた真が呟き、樹が頼んだ付け合わせの唐揚げを1つつまみ食いする。
「そうだな」
樹も相槌を打ち、真が頼んだ温泉卵を横取りする。真はしてやられたといわんばかりに、唐揚げを頬張りながら話を続ける。
「でもさ、こういう事故って結構あるじゃん?」
「まあ、確かにそうだけど……」
「もしかしたら俺たちにも起こりうる話かもしれないぜ?」
真が笑いながら言う。冗談なのか本気なのか分からず樹は少し困惑した。
そんな会話を交えながら日替わりラーメンを啜っていると、ゆかりが同じく日替わりラーメンをトレーに乗せてやってきた。
「ねえ、良かったら一緒に食べない?」
ゆかりは少し恥ずかしそうに言った。よく見ると、彼女から1メートル程離れたところには鼻の下を伸ばした男子生徒が数名様子をうかがっているのが見える。
「うん!いいよ!」
二つ返事で了承する真。だがゆかりはまたしても樹の隣に座ったのだった。
嬉しそうに笑う彼女を見て樹は不思議な気持ちになった。今までこんな風に女子と触れ合うことなんてなかったからだろうか。それともただの気恥ずかしさから来るものなのか。分からないが、少しだけ胸が高鳴るのを感じた。必死に平静を保とうとする。そして何事もなかったかのように箸を進める。そんな様子を真はニヤニヤしながら見ていたのだった。
「そういえば、2人とも『
開口一番、ゆかりはそんなことを尋ねてきた。あっけにとられる2人だったが、真が大げさにポンと手を叩く。
「あー、なんかあったな。『楽園に連れていきます』ってやつ?」
「知ってんのか真」
「いや、聞いたことあるなーと思って。C組……いやB組だったか? それとも3年の……」
『楽園倶楽部』。この林檎学園に伝わる幻の部活動。誰も存在を知らない謎の同好会である。
『あなたの楽園を探しませんか?』という部活動勧誘をどこかで見たような記憶はあるが、活動日も活動場所もよく覚えてはいなかった。
「噂だと、今日その説明会があるんだけどよかったら一緒に行かない?」
「いや、俺はさすがに──」
「せっかくだし、行ってみるか!」
真は身を乗りだしてガッツポーズをゆかりに向ける。その手をつかみながらなだめるように樹は反論する。
「ちょっと待てって。どう考えても怪しすぎんだろ? それにお前オカルト系駄目なタイプじゃなかったか?」
「硬いこと言うなよ。どうせ樹も暇だろ? それに、もし本当にそんな場所があるなら行ってみたいしな!」
「……まあ、楽園が何なのかは気にはなるけど」
半ば強引に説得され、結局3人は楽園倶楽部の説明会に向かうことになった。
***
放課後。三人は校舎から少し離れた部室棟へ足を運ぶと、とある一室の前で立ち止まった。どうやらここが楽園倶楽部の部室らしい。
扉をノックすると中から返事が返ってきたので扉を開ける。するとそこには数人の男女がいた。その中には学校指定の白の制服とは違う、黒の制服を着た男性が立っていた。
「ようこそ、楽園倶楽部へ。部長の
彼はそう言ってこちらに微笑みかける。その顔はどこか不気味に思えた。まるで獲物を狙うかのような眼差しに、樹は思わず身震いする。
「それで今日はどんなご用件ですか?」
八神が尋ねると今度はゆかりの方を向く。
「実は私たち、入部希望なんです」
ゆかりがそう言うと八神は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。
「そうですか……ではこちらへどうぞ」
そう言って八神は奥にある席へと3人を案内した。そこは六畳ほどの広さの部屋だった。
「まずはお名前を伺ってもよろしいですか?」
椅子に腰掛けると八神が尋ねた。
「私は2年A組の金本ゆかりです。今日ここに転校してきました」
続けて樹と真が続く。
「同じく志賀頼樹です」
「姫路真です!俺も2年A組です!」
3人が自己紹介を終えると八神は満足そうに頷いた。
「ありがとうございます。今日は説明会に来てくださる方が多くて嬉しいです」
「あの、楽園倶楽部とはどんな活動をしているんですか?」
ゆかりが尋ねると八神はわざとらしく微笑んだ。
「その前に皆さんの自己紹介から済ませましょう。先にお越しになられた方々、申し訳ありませんが今一度自己紹介をお願いします」
そう言って八神は先に集まっていた3人の方を見る。すると他の見学者たちも同じように樹達の方を向いた。
「えっと……私、1年の
まず最初に手を挙げたのは長身の少女だった。黒のストレートに眼鏡をかけており、いかにも優等生といった感じだ。
次に手を挙げたのは長身の女性だった。キリッとした目鼻立ちをしておりとても美人だ。
「はーいっ!ウチは3年の
そう言ってウインクをした彼女は小柄でギャルっぽい見た目をしている。髪を赤に染めていて制服も着崩していた。
絵里に差された指をのけると、胡坐をかいて座っていたガラの悪い男が口を開く。背も高く目つきも悪いその男は不機嫌そうな表情を隠そうともしない。
「……宇佐美健貴だ」
短く名乗ると再び黙り込んでしまった。その様子を見た絵里が再び指をさす。
「ウチの彼氏なんだけどさ~無愛想だけど許してやってね~!」
そう言ってケラケラと笑う絵里を横目に見ながら、健貴はチッと小さく舌打ちをして「彼氏じゃねえよ」と愚痴をこぼす。
「さて、これで全員の紹介が終わりましたね」
一通り紹介が終わると八神が口を開いた。
「それでは本題に入りましょうか……早速ですが皆さんにはこれから、実際に楽園を体験してもらいたいと思います」
その言葉に一同はざわつく。無理もないだろう。急にそんなことを言われても理解が追いつかないのが普通だ。しかし彼らは既に非日常の世界に足を踏み入れているのである。ここはもうすでに彼らの知る世界ではないのかもしれないのだ。
「はい!質問があります!」
勢いよく挙手をしたのは真だった。それに対して八神は笑顔で応える。
「なんですか?」
「その楽園ってどこにあるんですか?」
真の質問に皆の視線が集まる。彼らにとって重要なのはその一点であったからだ。果たして自分たちは本当にそこへ行けるのか。それが知りたかったのだ。
「心配いりません……今から私が案内します」
八神の一言に皆の顔に緊張が走る。いよいよかと身構えていると、ふいに八神が立ち上がった。そして部屋の奥へと歩いていくと真っ白な判子型のアイテムを手に持った。
「バイスタンプ……!」
ゆかりが呟いた瞬間、八神は手にしていたそれの天面のスイッチを押した。
【PARADISE】
電子音声が鳴ると同時に八神は印鑑型のアイテム・バイスタンプを地面に突き立てるように押し込んだ。その瞬間地面から光が放たれ、彼らを包み込んでいく。そして気がつくと辺り一面真っ白で何もない空間にいたのだった。
いや、よく見ると前方に扉のような物が見える。どうやらあそこから中に入るようだ。だが近づくにつれ次第にその姿が露わになるにつれて皆が言葉を失った。そこに見えたものはいつもと変わらない、教室の風景だったのだ。そう、彼らがいるのは夜の教室だった。
***
教室の中に入った瞬間、扉が自動的に閉まったかと思うと、次の瞬間窓が一斉に開き始めた。突然の出来事に誰もが混乱していると教壇に立つ八神が喋り出した。
「皆さん、よくいらっしゃいました……改めまして『楽園』へようこそ」
その言葉を合図に照明がつくと教室内は明るくなった。窓の外は相変わらず暗闇が広がっているため異様さを感じる。
「え? 何これ!?」
驚きのあまり声を上げる絵里だったがそれは他の生徒たちも同じようだった。だがそんな様子も気にせず八神は話を続ける。
「ここは人生という名の地獄で苦しんでいる貴方達を救う場所です」
そう言うと八神は教壇から一台のドライバーと、人の両手のレリーフが刻まれたバイスタンプを皆に見せた。
「なんだそれは?」
健貴が呟くと八神は得意げに答えた。
「楽園は貴方達を救う場所でありますが、その幸せを奪う悪魔が存在します。これはその悪魔と戦うための力……」
「も、もしかして……!」
ドライバーを見るなり、隅で様子をうかがっていた純が声を上げた。そして八神の元に駆け寄るとそのドライバーを掴む。
「ほう……」
それを見た八神は小さく笑みを浮かべた。まるで新しいおもちゃを見つけた子供のように。
「これ、ニュースで見ました……本土で戦ってる仮面ライダーの……」
「ええ。デモンズドライバー、それを見よう見まねで作ったレプリカですが」
純の言葉に頷きながら答える八神。それを聞いて純は首を傾げた。
「でもどうしてこれがここに?」
「……あなたがこの力をどう思いますか?」
不意に尋ねられた質問に戸惑いながらも純は答えた。
「そうですね……テレビで見たけど、やっぱり凄いと思います。こんな力があれば私も……」
そこまで言って純は口をつぐんだ。脳裏に浮かんだのは過去の自分。何もできず、ただ見ているだけだった自分への嫌悪感が蘇る。唐突に始まったフラッシュバックに、純は軽い発作を起こしてしまった。
そんな様子を見て八神は優しく微笑むと彼女に語りかけた。
「貴方はこの力が欲しくてたまらないのでしょう?」
「それは……」
その時、教室に一体の怪物が飛び込んできた。灰色の身体に黒い装甲を纏った姿からは人間らしさは一切感じられない。化け物は樹達を見つけるとゆっくりと彼らに近づいていく。
「ちょうどいい……ご覧ください、奴らが楽園を汚す悪魔です! 彼らから楽園を守るには、そのドライバーを使って戦うしかありません」
そう言って八神はバイスタンプを純に差し出す。すると純はそれを震える手で受け取り、決意に満ちた目でこう言い放った。
「私戦います……! もう出来損ないなんて、言われたくないんです!!」
純はデモンズドライバーを装着しようとしたが、襲ってきた悪魔によって阻まれてしまう。壁に叩きつけられてドライバーとバイスタンプを落とす様を見ると、八神は誰にもばれないように軽く舌打ちする。
「クルルル……」
「あ、ああ……ごめん、なさい……」
土壇場で戦う力をなくしてしまい、純は腰をぬかして後ずさりしようとする。誰かに助けを求めようと必死に周囲を見渡す。八神は一歩もその場を動こうとせず、真と健貴はそれぞれゆかりと絵里を庇うように立っていた。
死を覚悟して目を瞑る純。悪魔の一撃を受けそうになった時、突然目の前に立ちふさがった樹が間一髪のところで攻撃を防いだのだった。樹が持っていた机は粉々に砕け散ったが、隙をついて悪魔を蹴り飛ばすと、床に散らばったデモンズドライバーとバイスタンプを回収する。
「志賀頼、先輩……」
「大丈夫か? ケガは?」
「はい……ありがとうございます……!」
「さあ志賀頼君、そのドライバーで悪魔を倒すんだ」
純を尻目に八神がまくしたてるが、樹は怪訝そうな目で彼を見つめる。
「今回だけだ。『楽園』のヒーローになってやる」
そう言いながらも、すでに樹の腰にはデモンズドライバーが装着されていた。
【デモンズドライバー!】
ベルトが腰にしっかりフィットしているのを確認すると、持っていたバイスタンプを起動した。
【ヒューマン!】
樹はヒューマンバイスタンプをデモンズドライバーの上部に押印すると、バイスタンプを持ち替えて祈るように両手で握りしめた。
【DEAL!】
待機音が鳴り響き、周囲を囲むように炎が上がる。それと同時に周囲の景色は変わり、樹たちは学校から近くの神社へと転送された。八神を除き、樹達と悪魔がそれに困惑していると、どこからともなく巨大な骸骨が目の前に現れる。樹がバイスタンプを正面のモニターに再度押印すると、骸骨はそのまま彼を右側面から包み込んで彼を異形の姿へと変貌させた。
「うおおおおっ!!!」
雄叫びを上げながら、骸骨を模した戦士へと変わっていく。その姿はまるで神々しくもあり禍々しいものだった。
【DECIDE UP!】
【RISE.(昇る) RAGE.(怒り) REQUIEM.(悲しみ) 仮面ライダー!】
***
デモンズドライバーのモニターにはドット化された人の手が映し出されている。まるでドライバーの中から今にも飛び出してきそうな悪趣味な表示を樹は、仮面ライダーデストルは知らない。
「……いくぞ!」
気合を入れると、同時に敵に向かって駆け出す。敵の振るった腕を潜り抜け懐に入ると腹部に向けて拳を打ち込む。敵が怯んだ隙にさらに追撃を仕掛けようとするが、敵は両腕を交差させて防御態勢を取る。このままではまた先程の繰り返しになってしまうだろう。
しかしそうはならなかった。何故なら両腕の隙間から覗く相手の顔には苦痛の表情が浮かんでいたからだ。どうやら効いているようだ。その一瞬の隙を見逃さず、今度は左脚を軸に回転しながら回し蹴りを叩きこむ。攻撃を受けた悪魔は後方へ吹き飛び地面に倒れ込んだ。
「あれが……仮面ライダー……」
ゆかりが小さく呟く。その様子を見ていた八神は満足そうに頷くと拍手をした。
「素晴らしい。流石は楽園の救世主といったところでしょうか」
その言葉に反応する者は誰もいない。皆目の前の光景に目を奪われていたからだ。ある者は感嘆の声を上げ、ある者は恐怖を覚え息を飲む。彼らは新たなヒーローの誕生に立ち会ったのだ。
「グオオオッ!」
突然咆哮を上げた悪魔が再び襲い掛かってくる。デストルは再び拳を握り締めると応戦するために走り出す。互いの攻撃がぶつかり合い激しい火花が飛び散る中、デストルが徐々に押していく。そしてついに渾身の一撃が炸裂し、悪魔は大きく吹き飛ばされた。
だが、それで終わりではなかった。立ち上がった悪魔の身体が変化を始めたのだ。体表が黒く染まり背中から羽が生えてくる。さらには頭や腕にも突起のようなものが生えた姿はまさに悪魔と呼ぶにふさわしいものであった。
「覚悟はできたか?」
デストルはデモンズドライバーにバイスタンプを押印し、必殺技を放とうとする。
【CHARGE】
電子音声が鳴ると同時にエネルギーがチャージされていき、右腕に集中する。それを見た悪魔も同じようにエネルギーを貯め始めた。両者共に必殺の攻撃を放つつもりだ。そして……
【デモンズフィニッシュ!】
ドライバーの両サイドを押し込み、右腕に漆黒のオーラを纏い敵に向かっていく。対する悪魔も周囲に紫色の稲妻を発生させながら同じく突進していく。両者の技がぶつかるが、競り合うこともなくデストルの一撃が打ち勝った。
爆発と共に消滅する悪魔を尻目にデストルはドライバーを外して変身を解除したのだった。
***
戦いを終えた後、樹達は八神に連れられて再び教室の中に戻った。八神はここで生活するためのルールについて説明し始める。
「楽園にはまだあのような悪魔が潜んでいます」
そう告げられて樹たちの表情は不安げになる。特に、実際に悪魔に殺されかけた純は震えが止まらなかった。そんな彼らを見て八神はこう続ける。
「ですが安心してください。我々には仮面ライダーがいます」
仮面ライダーという単語を聞いて樹の顔がこわばる。先程の戦いでこの場所の異常性を感じたのだろう。樹を他所に八神は話を続ける。
「ここの平和を守るためには、どうしてもあの悪魔が邪魔になる。そこで志賀頼君、楽園を守るために貴方の力を貸してください」
そう言って頭を下げる八神に対して、樹はこう答えた。
「断る。こんな危ない場所にいたくないからな。自分でやれ」
それを聞いたゆかりは彼を止めようとするが、それよりも先に八神が口を開く。
「そうですか……残念です。ですが仕方ありませんね」
そう言うと彼はパラダイスバイスタンプを取り出し、起動させる。
「もし気が変わりましたら、いつでも部室に遊びに来てください。私は貴方達をいつまでもお待ちしております」
バイスタンプが教室の床に押印され、再び空間が歪み始める。そして気がつくと彼らはそれぞれ別の場所へと転送されていたのだった。
困惑する樹の手には、まだデモンズドライバーとヒューマンバイスタンプが握られていた。
ポンッ、とヒューマンバイスタンプが押される形で。
台紙はわかりません(笑)
本作の仮面ライダーは全員、デモンズドライバーで変身します。
変身音声は同じです、
オリジナルバイスタンプはちょくちょく追加していきたいと思っています。
今回は主人公・樹が仮面ライダーデストルとして変身しました。
感想等もらえれば励みになります!!
それでは次回もよろしくお願いします!!
次回 仮面ライダーデストル
「あそこではもう、何も失わなくて済むんだよ?」
「グズな私なんかのために志賀頼先輩は命をかけて戦ってくれましたし」
それぞれが抱える過去
「何なんだよ、あいつ……」
その時、樹は!?
「ここのどこに魅力があるっていうんだ」