リバイスフォビドゥン 仮面ライダーデストル   作:再生ラッタ

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再生ラッタです。

今回はなんと2号ライダーが登場します! その正体は……


第3話『夜啼く兎は夢を見る』

 純は夏川家の双子の妹として生まれた。姉の清美は優しく美しい女性で、成績優秀スポーツ万能、おまけに料理も上手という非の打ち所がない完璧な人間だった。一方純は容姿こそ姉に似ていたが、何をやっても鳴かず飛ばずで両親からは疎まれていた。それでも彼女は決して腐ることなく努力を続けてきた。いつか両親が自分を見直す日が来ると信じ続けて。だがそれは叶わなかった。

 小学校の卒業式を終え、春休みに入ったある日のこと。林檎神社で野鳥観察をしていた2人が家へと帰っていた時、突然ブレーキの効かなくなった車が突っ込んできたのだ。清美はとっさに純を突き飛ばして助けるが、自身は車に撥ねられて命を落としてしまった。運転手の話によると居眠り運転だったらしい。

 事故が起きたその日を境に、両親は純に対して心無い言葉ばかりを投げかけてきた。

 

「お前が死ねばよかったのに」

 

「どうして清美じゃなくてお前が……」

 

 そんな両親の態度を見て育ったからか、いつしか純の心は荒んでいった。中学に進学しても学校には通わず家で引きこもり続け、他人との関わりを全て断つことにしたのだ。

 唯一の心の支えは、動画配信サイトで偶然見かけた仮面ライダーの存在だった。立場を失いどんなに困難な状況に置かれても、命を懸けて悪魔に立ち向かっていくヒーローの姿にほんのわずかな希望を抱いていた。自分もいつかなりたい。いや、ならねばならないと思ったのである。

 そんなある日のことだった。高校に進学し、幻の部活動である『楽園倶楽部』の存在を知って興味を持った純は、勇気を出して説明会のポスターの貼ってある部室を訪れた。そこで彼女は世界の残酷さと自身の無力、そして信仰すべきヒーローに出会ったのだ。

 

 

***

 

 

 放課後、授業が終わってすぐに教室を出た樹だったが、忘れ物に気付いて慌てて引き返した。するとそこに見覚えのある後ろ姿を見つける。

 

「あれ、夏川さん?」

 

 声をかけたことでようやく気付いたのか、驚いた様子で振り返った彼女の表情はとても嬉し気であった。

 

「あ……こんにちは、先輩」

 

 樹に挨拶を返すと、純はわざとらしく鞄を背負いなおす。この場に居づらい様子なのが見て取れる。そのことに気付いた樹は彼女にこう言った。

 

「もしかして何か用でも?」

 

「いえ……別にそういうわけでは……」

 

 少し俯きがちになって言葉を濁す彼女の様子に違和感を覚えつつも、ふと目をやった窓の外には雨が降り始めていた。それを見た樹は慌てて傘立てに向かうと自分のビニール傘を手に取りつつ言う。

 

「よかったらこれ使ってよ」

 

 しかしそれを聞いた純は少し困ったような顔をした後、遠慮がちに答えた。

 

「そ、そんな……私なんかのために先輩が濡れるなんてそんなこと……」

 

 しかしそんな彼女の言葉には構わず、樹は半ば強引に押し付けるように傘を手渡すと、再び荷物をまとめて足早に去っていった。

 

「じゃあまた返してくれよ」

 

 そして小さくなっていく樹の背中を見送ると、純はまだ乾いている廊下を走って反対側の新校舎のロッカーに戻る。スリッパを薄汚れたスニーカーに履き替えると、渡された傘を開いて雨の中に足を踏み出したのだった。

 

 

***

 

 

 それから数日後。樹は学校を出てしばらく歩くと、駅へと続く道の途中で人通りの少ない路地に出る。そこは普段からあまり人の往来が少ない場所なのだが、今日はいつにも増して静かだった。それもそのはずで、今この場にいるのは樹ただ一人なのである。樹は以前ゆかりから貰ったバイスタンプを左胸に押し当てると、そこから発生した光が全身を包み込んだ。光が消える頃には楽園にある学校の屋上へ転送されており、そこではゆかりと真、健貴、絵里が彼を出迎える。

 

「メンバーもそろったとこで、一狩りいっちゃおー!!」

 

 そう言ってゲーム機片手に腕を振り上げる絵里の姿はとても楽しそうだ。その様子を見た樹たちも何だかんだでつられて笑顔になる。彼らにとってこれから当たり前になる光景なのだ。

 ローカルプレイ用の部屋を作り、値札のない自販機を押して手に入れたジュースとパンを頬張りながらにぎやかに談笑し合う。樹と3年生2人組が手慣れた様子で装備を固めていく中、初心者のゆかりは隣の真に装備を貰って操作方法を教えてもらう。

 

「私はバズーカ? にしようかな。みんなはどうするの?」

 

「ウチはハンマー! 健貴は後方支援ね」

 

「勝手に決めんな。まあ、マルチバッグにしてやるか」

 

「俺は……ゆかりちゃんと同じバズーカで!」

 

「ハンドガン」

 

 それぞれが選んだ武器を手に持ち準備を整えたところで、いよいよゲームスタートがスタートする。選んだクエストの内容は、狭い市街地の中で暴走した怪獣を倒すというもの。敵の強さは通常よりもかなり強く設定されているようだ。慎重に立ち回らなければ一瞬でゲームオーバーになってしまうだろう。

 

「それにしても……」

 

「どうした樹?」

 

「誘ったけど来なかったなって」

 

「夏川純? 別にいいだろ。たいして可愛くもないし、大体こういうのやらなそうじゃん?」

 

 真はゆかりの方に身を寄せながら笑って答える。

 敵は二足歩行型の恐竜のような見た目をしている。大きく開いた口から覗く鋭い牙や、太い手足などを見ると攻撃面もかなり強そうだ。動きも素早く俊敏で、プレイヤーキャラの攻撃を避けることもあるため一筋縄ではいかない相手だと思われた。

 まずはゆかりと真がバズーカによる遠距離攻撃を行い敵の注意をそらす作戦に出た。発射された弾が敵の背中に命中するが大したダメージはないらしく、ターゲットは2人に向くことになる。今度は敵が突進してきたところを待ち構えていた絵里と健貴がそれぞれ左右に展開し攻撃を繰り出すが、敵の防御力が高いせいか思ったほど効いていない様子だ。敵の隙を見て樹はレーザー銃で射撃を行うがやはりこれも効き目が薄いようで、こちらの攻撃手段の乏しさを痛感させられる結果になった。

 

「宇佐美先輩、デコイ打ってくれません? 2人で注意を引き付けて、バズーカの必殺砲で倒しましょう」

 

「オッケー。やってみるわ」

 

 樹の提案を受け、健貴は早速準備に取り掛かる。コマンドを切り替えて信号弾を撃つと敵に着弾し赤い煙が上がった。敵の攻撃を避けつつ距離を取りつつ走り回る彼らのことを執拗に追いかけてくるのだが、その間にゆかりたちの方は準備を進めていた。

 

「R2押しながらAとBの同時押し、OK?」

 

「OK。ありがとう姫路君!」

 

「いえいえ~!」

 

 ゲームの世界でゆかりと仲良くなれた真はすっかり有頂天になっていた。それを見ていた樹は苦笑いを浮かべている。

 その時だった。どこからか飛んできた何かが勢いよくぶつかり、5人はその場に倒れ込んでしまう。何とか起き上がった彼らは辺りを見回すとそこには見たことのない異形の存在がいた。黒い靄のようなものを纏った悪魔が唸り声をあげ威嚇している。突然のことに動揺しつつも、樹はデモンズドライバーを装着して変身の準備に入った。

 

「ここからはシングルプレイってわけか」

 

「気を付けてねイツキ君!」

 

 敵を見据えたまま呟く樹に向かってゆかりが忠告をする。それを聞いた彼は頷くと、バイスタンプを取り出して起動させた。

 

【ヒューマン!】

 

「変身!」

 

 両手で握ったヒューマンバイスタンプをドライバーのモニターに再度押印すると、巨大な骸骨を纏って仮面ライダーに変身した。

 

【DECIDE UP!】

 

【RISE. RAGE. REQUIEM. 仮面ライダー!】

 

 機械的な音声とともに彼はデストルへと姿を変える。

 それと同時に悪魔の腕が振り下ろされ、衝撃によって周囲の地面が大きく凹む。間一髪で避けたデストルだったが体勢を崩してしまい、反撃に出られずにいた。そこへ追い打ちをかけるように放たれた尻尾の一撃により、デストルは大きく吹き飛ばされてしまう。地面に倒れ込んだ彼にとどめを刺そうと悪魔が飛び掛ってくるが、デストルはとっさにホワイトレオバイスタンプを起動してゲノミクスチェンジを行う。

 

【ホワイトレオ!】

 

【DOMINATE UP! ホワイトレオ! ゲノミクス!】

 

 デストルの両腕に爪が装備されたことで悪魔の追撃を弾き返すことに成功したものの、戦況はあまり良いとは言えない状況であった。

 

「くそっ! これなら!」

 

 悪態を吐きながらも樹は両腕の爪を駆使して果敢に立ち向かっていく。素早い身のこなしで敵を翻弄しつつダメージを与えていくと、ついに必殺技を発動させる機会が訪れた。だがデストルがデモンズドライバーの両サイドに手をかけた瞬間、ドライバーから電流が流れて思わず怯んでしまったのである。

 

「何でだよ!?」

 

 デストルは焦りのあまり声を荒げるが、どうやらその疑問に答えてくれる者はいないようだ。仕方なく別の方法で戦おうと試みたが、ここで思わぬ事態が発生する。なんと両腕の爪が突然消滅してしまったのである。

 

「……っ!? んだよ、制限ありかよ!!」

 

 慌てて自身の身体をまさぐるがどこにも異常はない。どうやら本当に爪だけが消えてしまったようだ。困惑する彼をよそに再び悪魔が襲い掛かってきたので、樹は急いで回避行動に移る。だがその最中にまたもベルトからの電撃が流れ込み、またしても動きを止められてしまった。そこに悪魔による強烈なアッパーが炸裂し、デストルの身体は宙を舞って地面に叩きつけられてしまった。

 そこに容赦なく放たれる火球。直撃を受けて大ダメージを受けてしまったデストルは再び地面を転がる羽目になった。なんとか立ち上がろうとするも思うように身体が動かない。絶体絶命の危機に陥ったその時、隠れていたゆかり達の元に八神が現れて助け舟を出した。

 

「お困りのようだね?」

 

「……八神?」

 

 攻撃を避けながらゆかり達の方を向くデストル。悪魔の攻撃の手は止むことを知らず、腕によるガードを必死に砕こうしていた。

 

「新しくドライバーを用意したよ」

 

 そう言って八神はデモンズドライバーとウサギのレリーフが刻まれたバイスタンプを両手に持って見せびらかす。

 

「まさか……使わせてくれるんすか!?」

 

「まあ、そうだね」

 

 ドライバーの力に魅入られた真は目を輝かせて八神に詰め寄る。八神は不敵な笑みを浮かべると、そのままドライバーとバイスタンプを真に渡そうとする。

 しかしそれは横から伸びてきた手によって阻まれた。2人は驚いてその手の主の方を向くと、そこにいたのは汗だくになった純である。彼女は真剣な眼差しで八神のことを見つめており、そしてこう言った。

 

「私が使います!!」

 

 純の言葉にその場の全員が驚いた様子を見せる。純は少し俯きがちになって言葉を続けた。

 

「ずっと思ってたんです。変わりたいって……勉強も頑張ったし、トレーニングも欠かさなかった。一度は手放したけど、今度は……」

 

 そこで言葉を切って純は顔を上げる。そしてデモンズドライバーを装着し、決意に満ちた表情でこう言った。

 

「私を救ってくれたあの人と、一緒に戦いたいんです!!」

 

【デモンズドライバー!】

 

 純は意識を集中させ、ラビットバイスタンプを構えて悪魔を見据える。引きこもりだった時に救ってくれたヒーローと自身を重ねながら、再度決意を固めた。

 

「……我が命を懸けて、あなたと戦います!」

 

【ラビット!】

 

 バイスタンプを起動すると、ベルトの上部に押印して高く掲げた。

【DEAL!】

 

 待機音が鳴り響き、どこからともなく現れたオレンジ色のウサギが純の周りを跳びまわる。悪魔が放つ火球をすべて跳ね返していき、変身プロセスが終わるまで純を守り続ける。

 

「変身!」

 

 高らかに叫ぶと同時にバイスタンプを正面のモニターに再度押印すると、ウサギが巨大化し純の身体を覆いつくした。その姿はまるで、兎をモチーフにした怪物を彷彿とさせるものであった。

 

【DECIDE UP!】

 

【RISE.(昇る) RAGE.(怒り) REQUIEM.(悲しみ) 仮面ライダー!】

 

 

***

 

 

「これが……私の力……!」

 

 顔や腕をペタペタと触りながら、オレンジ色に染まった毛皮の姿の戦士・仮面ライダーメンヘルは呟いた。デモンズドライバーのモニターには、横から見たオレンジ色のウサギのドットが映し出されている。。自らの変化と、新たな力の目覚め。それを噛み締めるように、拳を強く握り締める。

 一方、悪魔に追い詰められているデストルの方も、驚きを隠しきれないといった様子で目の前の存在を見つめていた。

 

「仮面ライダー……だと?」

 

 戸惑いの表情を浮かべる彼に、メンヘルは高く跳躍して悪魔に肉薄する。そのまま顔面に拳を一発叩き込むと、さらに蹴り技も加えて連続で攻撃を叩き込んだ。攻撃を受けた悪魔は思わず後退りしてしまう。その間に彼女はボロボロのデストルに手を貸す。

 

「先輩、行きましょう!」

 

「ああ!」

 

 2人は頷き合うと、左右に分かれて走り出して敵を挟み撃ちにする。右からデストルが接近し、左からはメンヘルが距離を詰めてパンチとキックを繰り出した。息のあったコンビネーション攻撃で相手を追い詰めていくが、敵は口から強力な火炎放射を放ち反撃に出る。デストルはそれをモロに受けてしまい、後方へ吹き飛ばされてしまった。

 一方のメンヘルも炎に巻き込まれてしまい、装甲の一部が焼け焦げてしまう。それでも怯まずに立ち向かうべく走り出すが、敵の放った火の玉が命中してしまう。爆発に巻き込まれた彼女だったが、すぐに立ち上がると渾身の力で悪魔を殴り飛ばした。今度は敵が地面を転がる番だ。

 

「よし……覚悟はできたか?」

 

「はい! お片付けです!」

 

 そう言うと2人同時に走り出し、お互いにバイスタンプをモニターに押印した。

 

【CHARGE】

 

 電子音声とともに2人は走り出して悪魔に飛び掛ると、ドライバーの両サイドを強く押し込んだ。

 

【デモンズフィニッシュ!】

 

 飛び上がったデストルの右足に漆黒のオーラが、メンヘルの右足に白色のオーラが集まっていく。空中にいる状態で身体を捻った2人は、悪魔の頭部めがけてキックを放った。空中で放たれた必殺の一撃を受けた悪魔は爆散し、跡形もなく消滅する。その傍らにはコックローチのレリーフが刻まれたバイスタンプが転がっていた。

 

 

***

 

 

 華麗に着地したメンヘルに対して、デストルは疲れからか着地に失敗して倒れ込んでしまった。

 ドライバーを外して変身を解除した樹のもとに、同じく変身を解いた純がやってくる。彼女は変身前と同じ様に自信なさげな表情を浮かべていたが、そんな彼女を見て樹は笑って言った。

 

「ありがとな、夏川」

 

「……え?」

 

 予想していなかった呼び捨てに戸惑う純だったが、やがて彼女もまた笑顔になるのだった。そんな様子を遠くから見ていたゆかりや健貴たちは安心したような表情を浮かべている。

 

「先輩、私ってどう……見えますか?」

 

「別に。同じライダーで、これからは頼れる仲間だ」

 

「……! はい! あ、ありがとうございます!」

 

 何度も頭を下げる純に樹は苦笑いを浮かべながらも、急速に進む手足の傷の回復にわずかな疑問を抱く。ただそれはゆかり達が駆け寄ってきたことで頭の片隅に追いやられてしまうのだった。

 新たなライダーの誕生と樹の怪我で盛り上がる中、真だけは一歩下がってどこか浮かない表情を見せていた。

 

(……仮面ライダー、ねぇ……)

 

 皆の注目が樹と純に向けられる中、真は転がっていたコックローチバイスタンプを拾って1人現実世界へと戻っていった。




ラビットバイスタンプが更新されました!
そしてまた別のスタンプも……それは追々

新ライダー・メンヘルが誕生して、楽園の仮面ライダーがまた1人増えましたね。
これからの活躍に注目です。

感想等貰えれば今後の執筆の糧になりますので、よろしくお願いします!

それでは次回もよろしくお願いします!!





次回 仮面ライダーデストル

「楽園を汚すものは、排除する」

今度のライダーは、ユニコーン!?

「悪魔の群れが湧いてきた?」

「これからは先輩の専属ボディーガードになります!」

出動、デモンストライカー!!

「終わりにしよう、志賀頼樹君」
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