ペースが落ちてしまい申し訳ありません。なるべく早く更新していきたいと思っています。
今回はデストル達のバイク、そして新たなライダーが……!
楽園のとある一角にある屋敷でのこと。急に壁が崩れたかと思うと、中から3体の悪魔が吹き飛ばされた。1体は長い耳を持つ猿のような見た目をしており、もう1体はトカゲの様な姿をしている。最後の1体は赤い鎧に身を包んだ騎士の風貌をしていた。
3体とも全身傷だらけで血塗れだったが、特に目を引くのは先頭にいるサル型の悪魔だろう。両腕が切断されており、頭頂部にも大きな傷ができている。
そんな満身創痍な状態でありながらも立ち上がった悪魔たちであったが、突如として飛んできたゾウに似た長い鼻によって打たれてしまう。地面に倒れた彼らは何とか立ち上がろうとするが、それを許すほど甘い相手ではなかったようだ。彼らはゾウの長い鼻を操っている仮面ライダーに向かって必死に懇願するものの、全く聞き入れてもらえないどころか見下されてしまう始末である。
【ユニコーン!】
【CHARGE】
「楽園を汚すものは、排除する」
そう吐き捨てるとユニコーンバイスタンプをモニターに押印し、ドライバーの両サイドを押し込む。すると電子音声が鳴り響き、周りに銀色の光が現れた。光は輪を描くように彼の周りを回ると、その中心部分に収束していく。集まった光が弾けると、そこには美しい白き一角獣が立っていた。
【デモンズフィニッシュ!】
一角獣は咆哮を上げると、空高くジャンプする。その後急降下しながら身体を捻り、ドリルのように回転して敵に突撃した。ユニコーンの角には貫通力があり、強固な防御力を誇る悪魔の身体をいとも簡単に貫くことができるのだ。貫かれた悪魔の身体が爆発し砕け散る中、一角獣もまた消滅していった。
***
翌日、いつも通り学校に来た樹を待っていたのは昨日とは違った日常だった。登校してきた樹を見つけた純が走って駆け寄って来たのである。突然のことに困惑する樹だったが、それ以上に周りの反応の方が大きかった。生徒たちの視線がいつもとは違う純に集まっていることに気付いた樹はその場から逃げようとするが、純に手を掴まれて逃げられなくなってしまう。困惑する樹を他所に純は嬉しそうに笑いながら話し始めた。
「私決めました! これからは先輩の専属ボディーガードになります!」
「……はぁ!?」
困惑する樹をよそに純はさらに話を続ける。
「今までずっと家に引きこもってばかりで、夢も目標もなかったけど……でも今は違うんです! 先輩のおかげで変われました!」
目を輝かせながら語る彼女の様子に困惑しながらも、樹はその真意を問うことにした。だがその時、2人の元にゆかりと真が来たことで中断される。
「あれ~、もしかして告白中だった?」
茶化すように言う真の言葉を慌てて否定する樹と、顔を赤らめる純。その様子を微笑ましそうに見守る真とゆかり。4人は談笑を続けながら教室へと向かっていった。
***
「悪魔の群れが湧いてきた?」
放課後の部室で突然発せられたその言葉を受けて樹たちは驚いた表情を浮かべた。そして声の主である八神の方に注目が集まる。彼は落ち着いた様子で紅茶を口に運ぶと、さらに続けてこう言った。
「ああ。それもかなりの数だ」
それを聞いた途端、樹は険しい表情を浮かべる。彼が最も恐れているのは、ゆかり達に命に関わるほどの危険が迫ることだからだ。そんな彼の様子を見ていた純は微笑みながら声をかけた。
「心配しないで、先輩。私は強いですから!」
自信ありげな純の言葉を聞いて少し心が軽くなった樹は頷くと、表情を引き締めて立ち上がる。
「えー、じゃあ健貴のバイクで峠越え無理ってこと!?」
「あ ゙ぁ!? スクーターでんな事させられっか!!」
「ケチ!」
言い争う健貴と絵里を横目に見て溜息をついた八神はこう続ける。
「そういえば忘れていたな……楽園では何をしても自由ではあるが、ただ1つだけ忠告しておこう。島の出土間峠だけは近づかないでくれ」
その言葉に疑問を覚えた一同だったが、詳しく尋ねる前に八神が解散を告げたためそれ以上の追及をすることはできなかった。結局何もわからないまま、ライダーに変身できない部員たちは解散の流れとなった。
***
楽園にやってきた2人のライダー、デストルとメンヘルは準備体操を終えると早速狩りを始めることにした。早速現場に向かおうとするデストルだったが、メンヘルに呼び止められてしまう。
「待ってください! これを使ってみてくれませんか?」
そう言ってメンヘルが手渡したのは、レリーフが刻まれていない朱色のバイスタンプだった。デストルは不思議そうに首を傾げながらも、それを受け取る。それからメンヘルが同じバイスタンプを取り出すと、地面に押印した。炎の図柄が現れ、大型のスポーツバイク・デモンストライカーが現れる。メンヘルはタンク上部のスロットに朱色のストライカーバイスタンプをセットしてエンジンを空ぶかしさせた。
「お前、どっからこんなの……」
「部室で拝借させていただきました。先輩は免許お持ちですか?」
「まあ一応あるけど……でもあのスタンプだけで事足りるんじゃないか?」
「こういうのは雰囲気ですよ。倒し終わったら連絡くださいね!」
そう言い残してメンヘルは走り去ってしまう。唖然とした様子で見送ったデストルだったが、仕方なく自分もバイスタンプを押してデモンストライカーに乗車するのだった。
「これなら出土間峠も越えられる……!」
***
デモンストライカーに乗ったデストルは出土間峠の中腹にまでやってきた。途中でギフジュニアや悪魔数体が立ちはだかったものの、圧倒的なパワーを持つマシーンの前に為す術なく轢かれて倒されていく。デストルは悪魔を撥ね飛ばしながらさらに奥地へ進んでいった。しばらくすると、辺りは異様な空気に包まれていく。木々が立ち並ぶ森の奥に見えたのは朽ち果てた建物や廃屋などだ。どうやらそこは昔村であったようだが現在は見る影もない場所となっていた。
「なんだここは……こんなの現実にはなかったのに」
デストルは思わず呟く。すると上空からミサイルが飛んでくる。被弾してデモンストライカーから投げ出されたデストルが見上げてみると、そこには翼竜の翼を背中から生やした一角獣のライダーが宙に浮いていた。ライダーはグライダーのように滑空して地上に降り立つと、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
「お前は誰だ?」
「私はリジェヌ。楽園を守る、一人の処刑人」
そう言うと同時に右腕の拳を振るうリジェヌ。その動きに合わせて衝撃波が発生し、デストルを襲う。間一髪躱したものの地面に叩きつけられた衝撃で吹き飛ばされてしまう。何とか空中で体勢を立て直すも着地に失敗してしまう。それでもなお立ち上がろうとする彼に向け、リジェヌは掌底を叩き込んだ。今度は防御もできずモロに喰らってしまったデストルは再び吹き飛ばされてしまう。
「くそっ……! カッコつけやがって!」
【CHARGE デモンズフィニッシュ!】
怒りの声とともにデストルは必殺技を放つべくドライバーを操作する。デモンズフィニッシュを発動させて必殺キックを放とうとしたその時、デストルはゾウの鼻のようなものに拘束されてしまう。何とか振りほどこうとするもののびくともしない。そんな状況を見てニヤリと笑ったリジェヌは左腕から生やした鼻を振るってデストルを思い切り叩きつける。再び地面を転がる彼に向けて、リジェヌは言った。
「私は処刑人。楽園を壊そうとするなら消すまで」
その言葉と共に突進してくるリジェヌに対し、デストルは咄嗟にホワイトレオバイスタンプを使ってゲノミクスチェンジを行った。両腕に装備した爪状の武器でゾウの鼻を切り裂いていくが、リジェヌは構わずサメのレリーフが刻まれた、黒色のバイスタンプをホルダーから取り出して天面のスイッチを押した。
【シャーク!】
リジェヌはデモンズドライバーの両サイドを右、左の順番に押し込み、同じくゲノミクスチェンジを行った。
【ADD】
【DOMINATE UP! シャーク! ゲノミクス!】
リジェヌの両腕にサメのヒレを模したブレードが生成され、その形状はまるで刃物の様に鋭いものとなる。そして目にも止まらぬ速さで駆け出すと、デストル目掛けて次々と斬撃を浴びせていった。反撃する間もなく、攻撃を受けた箇所には傷がつき出血してしまう。さらに蹴り技を受けてしまい、デストルは大きく吹き飛ばされてしまった。その拍子にホワイトレオバイスタンプが地面に転がり、それをリジェヌが拾い上げる。そしてデモンズドライバーの両サイドを3回押し込むと、必殺技を発動した。
「終わりにしよう、志賀頼樹君」
【シャーク! デモンズレクイエム!】
まるで海の中にいるかのように周囲に泡が発生したかと思うと、それは巨大な鮫へと姿を変えてデストルを襲い始める。しかしリジェヌの上空をデモンストライカーに乗ったメンヘルが飛び立ち、それらに突撃して軌道をそらしたことで攻撃を免れた。メンヘルは変身が解かれた樹を抱えると、白いバイスタンプを使って楽園から脱出したのだった。
***
「……っ! ここは……」
目を覚ました樹が見たのは見慣れない天井だった。周囲を見回してみれば、どうやら自分が病室にいることを知る。ふと自分の身体を見ると包帯で巻かれており、所々血が滲んでいた。傍らには呪詛のように謝罪の言葉をつぶやき続ける純がいる。彼女に声をかけようとしたその時、ドアをノックする音が聞こえてそちらを向くとゆかりの姿が見えた。彼女は部屋に入るなり驚いたような表情を浮かべたものの、すぐに笑顔になった。そんなゆかりに対してどう声をかけたものか考えていた樹だったが、彼女の方から話しかけてきた。
「おはよう、イツキ君。生きてて本当によかった……!」
「え……ああ。ありがとう……それで俺は……」
何故自分が病院にいるのか尋ねようとした樹だったが、突然泣き出した彼女に驚いて口を噤んでしまう。嗚咽を漏らす彼女を見かねて肩に手を置こうとした瞬間、突然ドアが開いて一人の男が入ってきた。その人物を見て驚いた表情を浮かべた後、慌てて涙を拭ったゆかりは彼の名を呼んだ。
「姫路君!?」
「よお……樹、頼みがある」
真はそう言いながら病室のロッカーを開けると、中にあったデモンズドライバーとヒューマンバイスタンプを持ち出して来た。そしてそのまま樹に近づいて来る。思わず身構える樹だったが、真は手に持ったものを差し出しながらこう言った。
「これを俺に使わせてくれ」
「……お前、正気か?」
戸惑いながらも差し出した物を強く握りしめて樹の問いに頷いた真。事を察したゆかりが満身創痍の純を連れて病室から出ると、真はベルトとバイスタンプを持ったまま樹の左横に座り込んだ。
「何があったかは知らないが、お前はこれ以上戦うべきではないと思ってる」
「それはお前が決めることじゃないだろ?」
「まあな……だがこれだけは言っておく。このドライバーはもう使わせない」
そう言い放つと、真は自分の鞄の中から白いバイスタンプを取り出した。それを見た樹は思わず声を上げる。
「おい、やめろ!」
次の瞬間、真は光に包まれて楽園へと転送されていくのだった。
***
楽園にやってきた真は目の前に広がる光景に驚きを隠せなかった。彼がやって来たそこにはいくつもの生物が合わさったような悪魔が蠢いていたからだ。悪魔は人間を見つけると容赦なく襲い掛かってくる。それらを躱しながら真は変身を試みた。
【デモンズドライバー!】
デモンズドライバーが腰に装着されたのを確認すると、真は右手に持っていたヒューマンバイスタンプを起動させた。
【ヒューマン!】
次に彼はバイスタンプをベルトの上部に押印しようとしたが、ベルト側が拒絶反応を起こしてしまう。なんとか押印しようと試みるも徒労に終わり、ついに諦めてしまうのだった。
「くそ……やっぱりダメなのか……!」
落胆する真だったが、それでもヒューマンバイスタンプをホルダーにセットすると、かわりにコックローチバイスタンプを取り出すのだった。そして意を決してボタンを押す。
【コックローチ!】
今度こそとベルトの上部に押印すると、不気味な待機音が流れ出した。その音を聞いた真はさらに覚悟を決めると、右手を上に突き出した。
【DEAL!】
機械音声が流れると真の背後からコックローチの大群が現れる。彼らは次々に悪魔の体に纏わりつくと拘束し始め、やがて完全に身動きが取れなくなったところで、真はバイスタンプをベルトのモニターに再度押印した。
「変身!」
【DECIDE UP!】
次の瞬間、無数の虫が真の体を包み込んで行く。そこに現れたのは、黒く輝く鎧を纏った戦士だ。その姿はまさに異形と呼ぶに相応しいだろう。
【RISE.(昇る) RAGE.(怒り) REQUIEM.(悲しみ) 仮面ライダー!】
***
真が変身した仮面ライダーリグルが拳を突き出すと、その先にいた悪魔が粉々に砕け散った。突然の事態に困惑するリグルだったが、間髪入れず様子を伺っていた周囲の悪魔たちが一斉に飛び掛かってきた。しかしリグルは全く動じることなく、それどころか向かって来た悪魔たちを拳一つで消滅させていく。まるでバッタやイナゴの群れの様に群がってきた悪魔たちは瞬く間に全滅してしまった。
その様子を陰から見ていたゆかりと純は思わず呆然としてしまう。そんな彼女たちに声をかける者がいた。
「こんにちは、お嬢さん方」
振り向くとそこにはラフな格好をした長身の男が立っていた。どこか怪しげな雰囲気を漂わせているその男は笑顔で会釈をするとこちらに近づいてきた。警戒心を強める二人に対して男は言った。
「そんなに警戒しないでくれ。私は広野、楽園の住人さ」
男の言葉に首を傾げる二人だったが、そんな彼をよそに広野と名乗った男はさらに続けて言う。
「住めば都、という言葉があるが私はそうは思っていないよ。現に君たちのいう悪魔が、君の友達によって殺されているじゃないか」
その言葉に驚く二人に広野は笑みを浮かべながら話を続ける。
「悪いことは言わない。元の世界に帰りたまえ、ああなる前にね」
そう言った瞬間、悪魔と対峙していたリグルがバイスタンプを使って必殺技を発動した。
【CHARGE デモンズフィニッシュ!】
その衝撃で空間が激しく揺れ動き始める。その衝撃波は遠く離れたこの場所にも届いてくるほどだ。あまりの激しさに思わず目を閉じるゆかりたちであったが、リグルはそんなことはお構いなしに必殺技を発動するのだった。
「くたばれ悪魔め!!」
リグルの放った回し蹴りが直撃した悪魔たちはそのまま跡形もなく消滅した。ようやく戦いが終わったことを確信したリグルはゆっくりとドライバーを外し、変身を解除した。真は地面に転がった数個のバイスタンプを拾うと、隠れていたゆかりと純の元へやってきた。
「ゆかりちゃん大丈夫? あと夏川も」
「私は大丈夫。姫路君ありがとう」
お礼を言いながら近づいてくるゆかりを見た真は一瞬、ドキッとする。対照的に純は真のことを睨んでいたが、それに気づいたゆかりは二人の間に割って入った。
「そういえばさっき、ここの住人みたいな人にあったんだけど……あれ?」
そう言いながら振り向いたゆかりの視線の先には誰もいなかった。周囲を見渡しても人影すら見当たらない。しばらく周囲を散策してみたもののやはり誰も見当たらず、仕方なく三人は帰路につくことにしたのだった。
***
闇夜の楽園にて、広野はバラック小屋でデモンズドライバーの改造を行っていた。作業台に取り付けられた機器からはバチバチと火花が飛び散っている。さらに周囲には部品の山がいくつも出来上がっていた。その様子を見ていた筋肉質の男が呆れたような表情で彼に声をかけた。
「随分と嬉しそうっすね。何かいいことでもあったんですか?」
その声に気づいた広野は顔を上げて男の姿を見るなり笑顔を浮かべてこう言った。
「ケンタ。今度の子供たちは我々の存在に近づきつつあるのでね、少しばかり力を貸してやろうと思っていてね」
「へぇー。そりゃめでたい」
「だろう」
そう言うと再び手を動かし始めた広野は先ほどよりも上機嫌な様子で作業をしていくのだった。
コックローチバイスタンプ更新!
真が変身するライダー・リグル。
ゴキブリのライダーというイロモノです。
感想等もらえれば執筆の糧になりますので、よろしくお願いします!
それでは次回もよろしくお願いします!!