短めですが更新です。
『終わりにしよう、志賀頼樹君』
デストルとなった樹に向かってそう言い放ったリジェヌは両腕から生やした爪状の武器を使って彼に襲い掛かる。必死に抵抗する樹だったが徐々に追い詰められていき、ついに崖まで追いつめられてしまった。リジェヌはその腕を振り上げると思い切り樹に向けて振り下ろす。思わず目を瞑る樹だったが、次の瞬間、大きな揺れがデストルを襲った。恐る恐る目を開くと、目の前にはオフィスカジュアル姿の女性が傍らに座っていた。
「母さん……夢、か」
自分の母親である志賀頼美由紀を見て呟く樹。彼がいるのは楽園ではなく病室だった。樹は自分が生きていることを確認すると安堵の表情を浮かべた。そんな彼の表情を見て優しく微笑む頼美由紀だったが、すぐに真剣な表情に戻るとこう告げるのだった。
「何があったか知らないけど、喧嘩なんてもうしないでよ」
「心配かけてごめん……役所の仕事抜けて平気なの?」
「いいのよ。アララトからの移住希望はだいぶ捌けたから。でも……」
そこで言葉を区切ると、彼女は大きく息を吸い込んだ後にこう言った。
「アララトの中に悪魔がいたなんてね。そういった騒ぎがないとか評判で移住が増えたけど、ここも変な事件がちょこちょこあるのに」
「……うん」
その時、二人の耳に電子音が届いた。どうやらそれは樹の携帯電話からだったようだ。画面に表示された着信相手の名前を確認した彼は母に断りを入れて通話ボタンを押した。電話の相手は同じクラスメイトの「金本ゆかり」だった。
「もしもしイツキ君? 今大丈夫?」
「ああ。どうした──」
「純ちゃんと姫路君が変身して戦ってるの!!もう訳わかんないよ!」
突然の叫びにも似た訴えに思わず耳をふさぐ樹だったが、すぐさま冷静な口調で彼女に尋ねた。
「なんで2人が戦ってるんだ?」
「分からない。深刻な顔してたから後を追いかけたら……!」
「まさか、夏川アイツ……俺も行く。少し待ってろ!!」
そう言い残し電話を切った樹は点滴の針を抜くと、痛みに耐えながら急いで外出の準備をする。
「樹待ちなさい! まだ病院にいないと駄目じゃない!」
その様子を見た美由紀は慌てて止めようとするが、彼は一切聞く耳を持たなかった。美由紀が鳴らしたナースコールに駆け付けた看護師たちが止める中、病院を飛び出した樹はそのままトイレに走って白いバイスタンプを自身に押印したのだった。
***
「志賀頼先輩のドライバー、返してもらえませんか?」
そう言って真に詰め寄るのは純。そんな彼女に真は言った。
「あれはもう俺のものだ。返すつもりはない」
「でもアレがないと先輩は戦えないじゃないですか!?」
声を荒げる純だったが真は表情一つ変えずにこう答えた。
「もう戦わなくていいんだよ。正直見ていてヒヤヒヤするんだよ……お前もこのまま戦い続けたらいつか死ぬぞ」
真の言葉を聞いた純は一瞬驚いた表情を浮かべると、俯きがちに呟いた。
「……あなたに先輩の何がわかるの?」
顔を上げた彼女の表情は怒りに満ちていた。しかしそんな純に対して真は静かに答える。
「分かるさ。あいつは部長から貰った力を使っておきながら、楽園を否定している。矛盾しているんだよ」
その言葉を聞いた純はさらに怒りを募らせていった。そして今にも殴りかかりそうな勢いで叫ぶ。
「矛盾しているのは貴方だ……先輩の事心配してる風に装ってたけど、結局は自分勝手に使える力が目当てなんだ」
純の言葉に何も言い返せない真。そんな彼女の様子を見た純は外に出るように真を促すとそのまま歩き出した。
向かった先は人気のない校舎裏だった。純は振り返ると白いバイスタンプを握りしめながら言った。
「私と勝負しろ!先輩の力を悪用しようとしているなら、私が倒す」
その言葉に驚きながらも首を横に振る真。そんな彼女の様子を気にすることなく、純はさらに言葉を続ける。
「そうでしょうね……戦う理由をごまかす貴方に、私が負けるはずがない」
そう言い放つと、純は地面にバイスタンプを押し当てた。するとバイスタンプの力で2人は楽園に転送され、気づけば無人のショッピングモールの中にいた。その光景に驚く真であったが、純に続いてすぐにベルトを装着すると、コックローチバイスタンプを起動させた。それを見た純もすかさずラビットバイスタンプの天面のスイッチを押す。
【コックローチ!】
【ラビット!】
2つの音声が鳴り響き、それぞれベルトの上部にバイスタンプを押印した。
【DEAL!】
純はバイスタンプを高く掲げ、真はバイスタンプを持った右手を上に突き出して、それぞれベルトのモニターに再度押印した。
「「変身!」」
【DECIDE UP!】
【RISE RAGE REQUIEM 仮面ライダー!】
モール内の噴水が吹き上がるのと同時に、純が変身するメンヘルと真が変身するリグルは拳を固めて走り出した。お互いの拳がぶつかり合うと周囲に衝撃波が広がり、周囲の商品や棚が吹き飛ばされていく。その様子を見ていたリグルは一瞬ニヤリと笑うと、拳を受け止めていた腕をそのまま勢いよく振り払った。体制を崩して地面に倒れるメンヘルに対し、追撃をかけようとリグルは拳を振りかざす。しかしその攻撃はすんでのところでかわされた。攻撃をかわしたメンヘルは立ち上がるとリグルとの距離を取るため後ろに下がった。それを追うようにしてリグルもまた一歩ずつ距離を詰めていく。そしてある程度距離が縮まったところで二人は同時に飛び掛かった。
再び激突する両者のパンチ。今度はお互い相手の攻撃を受け流すことはせず、正面から相手にダメージを与えるためだけの攻撃を行う。次第に激しさを増していく攻防。その中で徐々に押され始めるリグルは、一瞬の隙を突いて再び距離を取った。そのままベルトの両サイドに手をかけると、リグルは必殺技を発動させた。
【デモンズフィニッシュ!】
リグルはガラスを伝って素早くよじ登り、飛び降りて右脚から紫炎を纏ったキックをメンヘルに放つ。落下速度による威力に加え、紫色の炎が燃え移ったことで更に威力を増したリグルの必殺技が直撃したメンヘルは、大きなダメージを受けてしまいその場に倒れ込んだ。それでもなお立ち上がろうとするメンヘルを見て、リグルは再び攻撃を仕掛けようとしたその時だった。
「やめて!」
突然の声に動きを止めたリグル。声の方を向くとそこにはゆかりの姿があった。
「どうして二人が戦わないといけないの!?」
その問いかけに答えること無く沈黙を貫くリグル。その隙をついてメンヘルは走り出すと、リグルのホルダーに下げられてあったヒューマンバイスタンプと青色のキングクラブバイスタンプを奪取した。
「おいっ!?何をするんだ!」
奪われたことに気付き声を上げるリグルだったが、それを意に介さずといった様子でメンヘルはデモンストライカーを出現させて走り去っていく。
「くそっ、舐めやがって!」
リグルは右足の腿にコックローチバイスタンプを押印すると、一瞬にしてモールから飛び出してメンヘルの後を追う。
そんな二人を黙って見送るゆかりだったが、しばらくするとその表情は決意に満ちたものに変わった。彼女はすぐに携帯電話を取り出すと、樹の携帯へと電話をかけ始めたのだった。
***
樹は楽園につくと、高速で移動している2人に追いつくためにデモンストライカーを駆り出す。荒い息遣いのまましばらく道なりに足を進めていると、突然目の前に男が飛び出し、樹は思わずブレーキをかけた。突然現れた男に驚いている樹を尻目に、男は懐からある物を取り出して樹に投げ渡した。それはなんとデモンズドライバーだった。驚く樹に向かって男、広野は神妙な面持ちでこう告げた。
「気を付けたまえ。リジェヌが2人を狙っている」
それだけ伝えると、広野はすぐにその場から立ち去ったのだった。
渡されたデモンズドライバーを手に持って呆然としていたが、すぐに気を取り直して2人の後を追いかけることにした。デモンストライカーを走らせること20分、やがて目の前に広がる荒野で戦闘を繰り広げる2人の姿を見つけた。そこに割って入ろうとした時、2人に向かって上空からミサイルが放たれた。咄嗟に横に転がり回避した2人は周囲を見渡すが、周囲には人影らしきものは見えない。困惑しているとさらにミサイルが放たれ、それが自分たちに向けられたものだと気付いた時には既に遅かった。飛んできたミサイルが直撃した2人は変身が解除され、そのまま倒れ込んでしまうのだった。
真と純の元に現れたのは、一角獣のライダー・リジェヌだった。リジェヌは倒れている2人を見ると鼻で笑いながら言うのだった。
「楽園を汚すものは、排除する」
そう言うとリジェヌは、ヘッジホッグバイスタンプを使ってゲノミクスチェンジを行った。背中に無数の針を生やし、二人に向けてそれを放つ。必死に逃げる2人だったが、足に針が突き刺さってそのまま捻らせてしまう。万事休すかと思われたその時、横から割り込んできた樹がデモンストライカーでリジェヌに特攻した。突然の奇襲を受けたリジェヌは後方に吹き飛ばされたが、すぐにゴリゴリと鈍い音を鳴らしながら立ち上がる。そんなリジェヌを前に、樹はデモンズドライバーを取り出した。
「志賀頼樹……!貴様!!」
デモンズドライバーを見たリジェヌはその姿を見るなり怒りの形相を浮かべる。樹もリジェヌに怒りの表情を向けると、デモンズドライバーを装着した。
【デモンズドライバー!】
「お前の好き勝手にはさせない……楽園にいる仲間は、俺が守る!!」
「先輩! これを!!」
純から投げ渡されたヒューマンバイスタンプを受け取った樹は、天面のスイッチを押して起動させる。
【ヒューマン!】
【DEAL!】
ベルトの上部に押印して待機音声が流れ出した瞬間、空から一つの影が降り注いだ。影の正体である巨大な骸骨は地面に着地すると、右腕を伸ばしてリジェヌに襲い掛かる。急な襲撃に対処できなかったリジェヌはそのまま骸骨の拳を受けて吹っ飛ばされ、地面を転がった。樹はバイスタンプを持ち替えて祈るように両手で握りしめると、1度深呼吸をした後に力の限り叫んだ。
「変身!」
バイスタンプを正面のモニターに再度押印すると、骸骨はそのまま彼を右側面から包み込んで再び異形の姿へと変貌させた。
【DECIDE UP!】
【RISE.(昇る) RAGE.(怒り) REQUIEM.(悲しみ) 仮面ライダー!】
***
デストルに変身した樹はすぐさま駆け出し、起き上がったばかりのリジェヌに飛び蹴りを食らわせた。思わぬ不意打ちを受けたリジェヌは大きく後退するも、即座に体勢を立て直して構える。しかしデストルはそんな様子に構うことなく攻撃を続けた。
リジェヌの胸ぐらを掴んでそのまま背負い投げると、腹部に膝打ちを打ち込む。その一撃で大きく怯むリジェヌだったが、負けじと両腕を振り上げて反撃しようとする。しかしそれも虚しく、逆に振り下ろした腕を掴まれてしまいそのまま何度も殴りつけられた。そのままダウンしたリジェヌだったが、デストルを振り払って起き上がると同時にケツァルコアトルスバイスタンプを取り出してゲノミクスチェンジを試みる。
だがデストルはヒューマンバイスタンプを自分の胸に押印すると、全身から赤黒い液体を噴出させてゲノミクスチェンジを阻止した。さらに液体が目にかかったことで視界を奪えたことに気づくと、すかさずリジェヌが持っていたケツァルコアトルスバイスタンプを奪い取ってしまう。
そして奪ったバイスタンプを一旦ホルダーにセットすると、撫でるようにドライバーの両サイドを押し込んだ。
【ADD】
その瞬間、視界が戻ったリジェヌは慌ててバイスタンプを奪い返そうとするが、後ろから忍び寄っていたメンヘルとリグルに取り押さえられる。抵抗するリジェヌに対し、それぞれモニターにバイスタンプを押印してドライバーの両サイドを押すことで二人の必殺技を発動させた。
【【デモンズフィニッシュ!】】
拘束されている状態で二人に挟まれてしまったリジェヌは、2人のキックを同時に受けてしまい、勢いよく吹っ飛ばされてしまう。その間にデストルはゲノミクスチェンジを終えることができた。
【DOMINATE UP!】
【ケツァルコアトルス! ゲノミクス!】
デストルは背中から翼竜の翼を生やすと空高く飛び上がり、急降下と共に翼で敵を切り裂く。その威力によって辺りの地面が大きく抉れた。あまりの破壊力を前に、デストル以外の者は誰も口を開くことができない。それでも尚デストルはリジェヌへの追撃の手を休めなかった。
ゆっくりと立ち上がりかけたリジェヌに向けて、背中の翼を羽ばたかせて暴風を起こす。それによって再び吹き飛ばされてしまうリジェヌ。その様子を見てをデストルはドライバーの両サイドを2回押し込む。
【MORE】
「覚悟決めろよ!」
直後、再びドライバーの両サイドを押し込むと両足を揃えて天高く飛び上がった。
上空で一度旋回した後再び落下し、今度は両翼による攻撃を叩きこむ。その一撃はリジェヌの肉体を大きく切り裂いた。もはや立っていることすらままならない状態のリジェヌを見て、必殺の急降下突撃を試みる。
【ケツァルコアトルス! デモンズレクイエム!】
落下の勢いを利用して繰り出されたデストルのライダーキックが炸裂する。断末魔の叫びを上げる暇もなくリジェヌの身体は爆散し、やがて元の姿に戻るのだった。
着地したと同時に翼が消え去り、デストルは地面に転がっていたシャークバイスタンプとエレファントバイスタンプを回収する。
「さあ、面を拝ませてもらおうか。まあ大体わかってるけどな……八神さんよ!」
その言葉にメンヘルとリグルは固唾を飲むが、爆発によって生まれた黒煙が晴れると、そこからフェーズ1のデッドマンが2体飛び出してきた。赤色のダイオウイカ・デッドマンと、カラフルなライオン・デッドマンはデストルを見つけると真っ直ぐ向かって来る。それに対してデストルは再び身構えるが、反撃したのはなんと健貴と絵里だった。ゴミ袋を投げられてポカンとするデッドマンに対し、2人はデモンズドライバーを装着して変身の準備を行う。
「借りるぜ」
「あっ、ちょっと先輩!」
健貴はシャークバイスタンプを、絵里はエレファントバイスタンプをデストルから拝借すると、自身の腰に装着したデモンズドライバーの上部に押印した。
【シャーク!】
【エレファント!】
【DEAL!】
それぞれの音声が流れた後、彼らの元に黒色のサメとピンク色のゾウが現れ、彼らに新たな力を与える。
「変身」
「変身!」
【DECIDE UP!】
【RISE. RAGE. REQUIEM. 仮面ライダー!】
ケツァルコアトルスバイスタンプ更新!
樹がデストルとして再び変身、純と真と共にリジェヌをあと一歩手前まで追い詰めましたが……
健貴と絵里が変身したライダーは次回活躍します。お楽しみに
執筆の糧になりますので、感想その他よろしくお願いします!
それでは次回もよろしくお願いします!!