諦め猫熊はかく語りき   作:幽 

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長いので上中下で分けます。
フランキーの話です。原作軸です。


愚かな改造人間に赦されることはないでしょう

 

 

『・・・・・久しぶり、といっていいのか。そんな関係でもないか。』

 

男にしては高く、されど女にしては低いその声をフランキーは、いや、カティ・フラムは知っていた。

どこか、陰りのある、けれど、優しげなそれのことを知っていた。

 

(責はとらねばならんだろうな。何かを作ると言うことはきっと。)

 

夕焼けの中で、そう言った男を覚えていた。

 

 

 

フランキー、いや、当時のカティ・フラムがその男に会ったのは12年前。

彼の師匠に当たる魚人である船大工のトムの元にいたときのことだ。

その日、いつも通り、己の戦艦を作り上げ、そうして漁に出かけていた。嬉しさのあまり、祝砲をあげたが、それは人影の中に向かっていった。が、それはその人影に当たることはなかった。

その祝砲は、数人の中の一人がものの見事に蹴り飛ばした。

 

それを見ていたアイスバーグがフランキーに飛んでくる、散々なお叱りを言っていると、集団の一人が叫んだ。

 

「貴様!!」

 

フランキーはそれに思わずひるんだ。砲弾を蹴りとばした男は、今にもフランキー

に飛びつかんばかりの殺気を向けた。が、それは叶わない。

フランキーに飛びかかるその前に、庇われた男が制止する。

 

「おい、止めろ。」

「ですが、スパンダム様!」

 

振り返った男にスパンダムと呼ばれた男は呆れた風にため息をついた。そうして、勢いよくその顎を掴んだ。

 

「ポーン。」

「スパンダム様!離してください!俺は・・・・」

 

男はばたばたと暴れて、フランキーをにらみ付ける。それにフランキーは厄介なことになったのかと悩んだ。

 

「止めろ。」

 

それは短く言った。その言葉に、ポーンと呼ばれた男は暴れることを止めて、無意識のように目の前の男を見ていた。

 

「止めろと俺は言ったぞ。」

 

その言葉にポーンはぼおっと男を見て、体から力を抜いた。それにスパンダムは呆れたようにため息を吐いて、その手を離した。

スパンダムはその場にいた、船大工であるトムを見た。

 

「船大工の、トムだな?」

「ああ、政府の人間か。裁判の件か?」

「いえ、それとは別件です。お話を伺ってもよろしいですか?」

「まあ、いいぞ。」

 

トムはそのままスパンダムを連れて建物に入っていく。そうして、何故か、彼はちらりとフランキーの方を見た。フランキーは自分に怒っているのかと身を固くしたが、その目に映ったのはそんな眼ではなかった。

それは、どこか、悲しい目をしていた。

 

 

「古代兵器の設計図、持っていられますね?」

 

誰にも聞かれることのないようにと倉庫で向かい合った瞬間、CP5の人間であると名乗った痩身の青年は開口一番にそう言った。

それにトムはけらけらと笑ってやった。そんなものは知らないとそう言えば、その男はひどく淡泊な面持ちでそうかと頷いた。

トムは意外にあっさりとしていると思っていると、それはゆったりとした動作で足を組み替え、そうして人差し指で机を叩いた。

 

「・・・・ふむ。」

 

少しの間、それはじっとトムを見た。何か考え込むような仕草をした後、口を開いた。

 

「俺の仕事はあくまで、ここで終わりだ。設計図の後を辿った結果、ここが最終だからな。お前さんが知らんのなら、これで終わりなわけだ。」

 

唐突なそれにトムは内心で首を傾げる。なぜ、そんなことをわざわざ言うのだろうか。

 

「そうか、なら、ゆっくりしていけ!飯の旨い店でも教えてやろうか?」

「いらん。ここがダメならまた候補を絞って、行脚せにゃならねえんだ。そんな暇もねえよ。」

「そりゃあ残念だな。」

 

ケラケラと笑ったそれをスパンダムと名乗った男は気だるそうにぼんやりと眺めていた。

そうして、男はまた机を指で叩いた。

 

「ああ、それでだ。無駄足を踏ませた詫びに、少しだけ俺の独り言に付き合え。」

「はあ?」

 

予想外なその言葉にトムは思わずそう返したが、スパンダムは気にすることもなく続けた。

 

「・・・・悪魔の子、という名前で手配書が出た女がいる。」

 

それにトムは思わず表情を歪めた。それは彼にとって、設計図を持っている懸念事項だった。スパンダムはトムの様子などに気にもとめずに淡々と言葉を吐いた。

 

「その子どもは禁忌であるポーネグリフに手を出した。元々、彼女の故郷は学者たちが集っており、彼らは真実を求めてポーネグリフに手を出した。そうして、政府の怒りに触れ、島は滅ぼされることとなった。言っちまえば、真実が知りたかっただけで、兵器はおまけ程度だったって事だ。」

 

「何が言いてえのか、わしにゃあわからんなあ。」

「だろうな、そう装っておけばいい。貴様の舌は金色だ。」

 

スパンダムはそう言った後、さっさと立ち上がり部屋の出入り口に歩いて行く。そうして、扉の前で立ち止まり振り返った。

 

「トム、もしもの話だ。もしも、俺が設計図なんて厄ネタを持っているのなら、さっさと燃やしちまうな。」

「・・・・あんたはそれを探してここに来たんじゃないのか?」

 

その言葉にスパンダムははっ、と嘲笑うように息を吐いた。

 

「あんな物騒なおもちゃ、人には過ぎたものだって事ぐらい馬鹿でもわかるだろうが。」

忠告だ、覚えておけよ。

 

冷たくそう吐き捨てて彼は扉から立ち去っていった。

 

 

(あ。)

 

フランキーは新しく戦艦を作るために廃船捨て場に向かった。そこにはフランキーの作った、バトルフランキー号がいくつか置かれている。

が、珍しくその日は人影があった。フランキーはアイスバーグが説教のために待ち構えていたのかと体を強ばらせた。が、予想に反してそこにいたのはまったく違う人間だった。

それは昨日やってきていた政府の人間だという痩身の男だった。

 

「・・・・おい。」

「ああ、カティ・フラムか。」

 

フランキーは自分の名前を知っていたことに驚きながらじっと目の前のそれを見た。それはフランキーの方にちらりと横目で見た後、バトルフランキー号の方を見た。

 

「これはお前が作ったんだな。」

「そうだよ、それがどうしたんだ?」

「・・・・・良い腕だな。」

 

何気ない言葉であったが、フランキーからすれば意外な感覚でそれを見た。日の光に照らされたシオンの髪は潮風に煽られて揺れていた。

 

「なんだよ、あんた案外わかる奴なんだな。」

 

そんなことを言えば、スパンダムは気だるそうに肩をすくめた。

 

「ただ、これは武器だ。管理はきちんとしなければならんがな。」

 

それにフランキーは、アイスバーグのようなことを言うと彼の方を見た。けれど、スパンダムはひどく静かな瞳をしてその船を眺めていた。

予想していた、怒るような仕草で無いことに驚きながらフランキーはスパンダムを眺めた。

 

「・・・・説教は嫌いか?」

「ちげえよ、俺はこれを人につかわねえのに、周りがうるせえんだ。」

 

その言葉にスパンダムはようやく隣に立ったフランキーの方を見た。深いシオンの瞳は特別な感情もなくぼんやりとした視線をフランキーに向けた。

今まで受けたことの無い静かなそれがフランキーにとっては居心地が悪い。

 

「確かにお前にはその意識は無いだろうが。この船にもまた、意思はない。」

「どういう意味だよ!?」

 

回りくどい言い回しにフランキーが苛立てばそれは気だるそうに息を吐いた。

 

「・・・・ここは入ろうと思えば誰でも立ち入りが出来るだろう?」

「まあ、鍵がついてるわけでもねえし。」

「なら、裏を返しゃあ悪意のあるやつがいればてめえの船でなんでも出来るんじゃねえのか?」

 

その言葉にフランキーは思わず声を詰まらせた。それは確かに図星であった。

スパンダムはそれを気にした風もなく、またバトルフランキー号を見上げた。

 

「意思のない道具を生み出したのなら、それが使われる結果は作ったものに由来する。責は問われることを肝に銘じておけ。」

意思があろうと、なかろうとな。

 

そう言った男の静かな表情をよく覚えている。

その横顔は、どこか、ひどく優しいものだった。何かを願うように、何かを悼むような、そんな顔。

ふっとこちらを見た男は、やはり笑っていた。

 

「何はともあれ、良い腕だ。精進するといい。」

「・・・・ああ。」

 

日の中で、揺らめく黄昏のような髪が、細まった瞳が、どこか、ひどく見慣れないもので。

その声も、表情も、とびっきりに優しいのに。

どこか、ひどく、冷たい目をしていたのは何故だったのだろうか。

 

 

その言葉の意味を理解したのは、トムの裁判の時だった。己の船によって引き起こされた襲撃事件の時だった。

自分たちが襲撃犯として皆の前に連れ出されたとき。

得意満面の、CP5の人間たち、そうして、後で慌ててやってきたらしいスパンダム。青白い顔のそれは、強ばった顔で何もかもを滞りなく勧めた。

 

トムが、フランキーを叱ったとき。

己の作ったものに誇りを持てと言ったとき。

スパンダムはゆっくりとトムに近づいた。それにトムの行動に戦いていた住民たちが騒ぎ出す。

トムはぐっと体に力込めた。けれど、それよりも先にスパンダムはトムの胸ぐらを掴んだ。そうして、耳元で何かを囁いた。

それにトムの動きが止まった。スパンダムはそれに顔を歪めて、その手を離した。ざわつく住民たちに向けてスパンダムは叫んだ。

 

「・・・・トムはこれより移送する!」

 

その言葉で彼の部下は動き始める。けれど、一人だけ、いつかにフランキーの祝砲を吹っ飛ばした一人だけが動くことなくスパンダムのことをじっと見ていた。

トムは無言で、そうして、何故か大人しく連れて行かれる。それを、フランキーは追いすがろうとした。けれど、それよりも先にスパンダムが彼の前に立った。

 

「てめえ!スパンダム!」

「・・・・結局、何も変わらんな。」

 

スパンダムはどこか苦々しい顔でフランキーの顔を見た。それが、フランキーにとって全てが仕組まれていたことであったと理解した。

 

「てめえが!てめえが全部仕組んだんだろうが!」

 

叩きつけるようなそれにスパンダムは少しだけ目を伏せた。そうして、静かに言った。

 

「カティ・フラム、覚えているか。ものも、命さえも、始まりは無垢だ。それ故に、それのあり方は作り出したものが、育んだものによって変わる。なら、その結果は、作ったものが背負うのが筋だ。」

 

スパンダムはそう言った後、ちらりと連れていた部下の方を見た。

それはフランキーにとって、己の犯したものの、己の作り出したものが利用された意味を突きつけた。

もっと、もっと、すべきことをしていれば。そうすれば、こんなことにはならなかったのに。

 

「・・・俺は、責を負おう。俺が、あれを作ったのだから。」

 

静かな声でそう言って、スパンダムはフランキーに背を向ける。その、あっさりとした、何の懺悔も、後悔もないそれ。

罪なきものを利用とするそれ。

それに、フランキーは彼に飛びかかった。

咄嗟にとはいえ、殴り飛ばされた彼に部下たちが殺気だってフランキーに飛びかかった。けれど。

 

「止めろ!」

「ですが!」

「下らんことをする暇があるのなら、移送を早急に行え!」

 

血に濡れた顔で、その、白い顔を染めたまま、男はフランキーを見た。

 

「・・・小物は無視しろ。価値はない。」

 

吐き捨てたその顔を、フランキーは一生、忘れることはないだろう。

 

フランキーは男を憎んだ、それがこんなことをしたのだと理解できたからだ。けれど、一つだけ不思議なことがあった。

彼は頑なにフランキーたちに罰を与えようとはしなかった。

正直な話をすれば、フランキーは時折、その憎い男を考えると不思議に思うことがある。

あのとき、船の前で話したときの静かで気だるそうなそれと、己たちにした卑劣なことを思い出せば、ふと。

いったい、どちらが男の本当であるのか、フランキーにはわからないままだった。

 

 

 

「っスパンダム!てめえ!」

 

フランキーは怒りのままに拘束さえも振り切って己に向けられた電伝虫に飛びかかろうとした。己の体がズタボロで流れる血さえも気にならない。が、それは受話器を持っていたルッチによってあっさりと組みされてしまう。

フランキーの頭を踏みつけて、ルッチはため息をついた。

 

「長官、これは殺してはダメなので?」

 

その声に、CP9のメンバー以外は何か、ぞわりと寒気がした。その声は今まで冷たい声音と打って変わって、まるで親に甘えるように幼い声音だった。

だというのに、まるで岩でも押しつけられているような威圧感を持ってフランキーをにらみ付ける。

どろどろに腐敗したような、そんな感情がその瞳に宿っている。

 

『・・・・だめだ、止めなさい、ルッチ。それにはまだ生きる理由がある。』

 

が、たしなめるような声にその殺気とも言えるものを押し込めた。口元への字に曲げてすねたような顔をした。

 

「てめえ、俺に何のようだ!?」

 

フランキーはそんなことも気にもせずに受話器をにらみ付けた。それに対して受話器から聞こえてくる声はやはり穏やかなものだった。

 

『・・・フランキー、真実がどうあれ、あの日お前は罪人になった。作り出したものの罪は、作ったものが負うべきだ。俺もお前も業を精算する日がやってきただけだ。良くも悪くもな。』

「呆れて何も言う気が起きねえよ!」

『・・・・そうだな。ルッチ。』

 

その言葉にすねたように不機嫌そうな顔をしていたルッチはぴくりと反応する。

 

「はい、何でしょうか。」

 

上機嫌な声に身内である者はあーあと呆れたような顔をした。

 

『速やかにニコ・ロビン、カティ・フラムの移送を行え。数年に及ぶ任務はそれで終了となる。油断無きように肝に銘じろ。』

「わかりました。ええ、ようやくあなたの元に帰られるんです。速やかに。」

 

まるで砂糖を煮詰めたように甘い声だった。うっとりとした表情はやたらと艶やかであったが、粘着質な何かを、嫌な薄気味悪さがあった。

 

『ああ、帰りを待っている。』

 

淡泊な返事と共に電伝虫がきれると同時に、ルッチはフランキーの頭を踏みつけていた足をどけた。そうして、それを高く上げる。

 

「やめい、ルッチ!」

 

それと同時に転がったフランキーの顔の横、石で出来た床にルッチの足がめり込んで軽く砂埃が舞う。

 

「・・・・そこまで浅慮じゃねえよ。」

「一瞬本気じゃったろうが。」

 

呆れた口調のカクに視線を向けた後、床に転がるそれをみた。

 

「カティ・フラム、いや、フランキー。てめえのことは俺もずっと、個人的に探していた。」

 

あの人の顔の傷を、お前がつけたと知ってからな。

 

その言葉にCP9の面々はゆっくりとフランキーの周りに集まった。そうして、感情も何も感じられない、ガラス玉のような瞳でフランキーを見下ろす。

 

「そうねえ、正直、この瞬間はずっと待っていたわ。」

「そうじゃ、そうじゃ、わしらも混ぜい。」

「ほどほどにしろ。プルトンの設計図も吐かせなくちゃならないんだ。」

 

四人はじっとフランキーを見て、嘲笑うようにフランキーを見下げた。ルッチはフランキーの顎を掴んで、ぎりぎりと締め上げる。

 

「ああ、そうだ。カティ・フラム、てめえには報いを受けさせなくちゃならねえんだ。あの人に、大義もなく、理由もなく、代価もなく、俺たちに断りもなしにあの人に、消えない傷をつけたんだ。」

 

楽しみだと、獣たちは笑った。ようやくだ、ようやく、あの人の中にある、不要なそれへの始末がつけられるのだと、ゆらゆらと楽しそうに笑っていた。

 

 

 

 

こいつらの、そうだ、異様な忠誠心と言えるそれはなんなのか。

フランキーはブルーノに担がれて周りを見回した。己の師が作った海列車をそれらが使うことに関して苛立ちがあるが、今はそんなことをいっている場合では無かった。

ブルーノに担がれたまま海列車に向かう。仰々しく世界政府の人間が敬礼で見送る。それが、その男の正しさを示しているようでひたすらに不快だった。

 

「ルッチ!!」

 

その時、海列車から一人の少女が駆け下りてきた。黒いエプロンワンピースに、白いレースのリボンで飾られた髪はふわふわと綿菓子のようだった。何よりも目を引くのは、その澄んだ濃い青の瞳だろう。

大人びた顔立ちをしていたが、小柄な体躯や幼い動作のせいか、本来の年齢をわからなくさせる。

 

「・・・メランか。」

「なんじゃ、お前さんも来とったんか?」

「うん、マスターに迎えに行けって!」

 

メランと呼ばれた少女は臆面なくCP9の面々に近づいた。それに海軍の面々や入ってまだ日の浅いサイファーポールの人間が息をのんだ。フランキーでさえも、その幼い少女が蹴り飛ばされる想像すらした。

 

「ルッチ、抱っこ!」

 

メランの要求に小さな悲鳴すら上がった。けれど、CP9の人間は慣れた様子で成り行きを見守った。

ルッチは特別な感情など見せることも無く、その場に跪き、そうして少女の脇に手を入れて抱き上げた。

 

「やたらとめかし込んでいるな。」

「マスターがねえ、一応は正式な格好で行けって。」

「そうか。」

 

ルッチはそのまま少女を抱き上げたまま海列車に歩き始める。その様は、場や状況さえ気にしなければ遠出していた父親にじゃれつく娘のようだった。

二人はそれほどまでに似ていた。面立ちはそう似ていなかったが、その髪や、そうして纏う空気がよく似ていた。

 

「わーい、みんな久しぶり!」

「・・・メラン、でかくなっとるよな?」

「子どもの成長なんてそんなものだぞ。」

「このぐらいの年齢なら妥当ねえ。」

「久しぶりに会う子どもの成長率がえぐい・・・・」

 

ぼやくように言っているそれは、あまりにも日常的で。フランキーは思わず固まった。先ほどの、狂気的と言える何かが霧散するように、それこそ夢であったかのように思え始めていた。

そんな時だ、少女と目が合った。青い、無邪気な少女の目がどろりと濁ったのを感じた。

 

「・・・・ルッチ、ルッチ。」

「ああ?」

「ねえ、あれってフランキーだよね?だよね?」

「そうだ。」

「ねえ、あいつのことも拷問するんでしょう!ならね、私もするからね!ね、混ぜてよ?約束だよ!?」

 

その、鈴の音のような可憐な声で、それはひどく血なまぐさいことを言ってのけた。

 

「あの人の許可次第だ。」

「じゃあ、許可貰ったらいいんだよね!?」

「メラン、お前一人の獲物じゃねえんだ。」

「はーい!」

 

メランはルッチの首を甘えるようにすり寄った。ごろごろと、喉が鳴るような音さえした。

 

「今日は喧嘩せんの。」

「あら、二人の時は仲がいいわよ?」

「争う理由がこの場にないんだ。当たり前だろ。」

 

そんなふうに話す声が聞こえた。フランキーはそれにぞっとした。まるで、当たり前のように話をしている。世間話のように、日常のように。

けれど、それはどこまでも血なまぐささをまき散らしていた。

 

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