諦め猫熊はかく語りき   作:幽 

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カクの話しになります。

感想、評価、いただけましたらありがたいです。
時系列等はあまり気にしないでくだされば。


若造麒麟はいい子です

カクという青年は、長官であるスパンダムを気に入っていた。

それは、彼がCP9として育てられていたころからの事実だった。

任務から帰った次の日、報告書の提出がてら彼はスパンダムへ挨拶に向かう。長官室の前には、護衛のための海兵が立っている。それに、軽く手を振って挨拶をすれば、大きな扉が自然に開いた。

 

「邪魔するぞー。」

 

のんびりとした声が、広々とした部屋に響く。スパンダムはそんな広々とした部屋の奥に執務机を置いて、黙々と何やら書類仕事している。

カクがわざわざ音を立てて部屋を進んでも、気づいている様子はない。

諜報部隊であり、暗殺部隊の長官にしてはあまりにも無防備であると言えるだろうが。

 

カクは、下から己に向けられるピリピリとした警戒の視線に気が付く。それに、視線を向けるとスパンダムの執務机の横に置かれた大型犬用のベッドに、黒いネコ科の生き物が横たわっているのが見えた。それは、首をもたげて、扉から誰が入って来たのかを確認していた。

そうして、それは入ってきたのがカクであると知ると、また横たわる。けれど、その視線は変わらずにカクの方をじっと眺めていた。

 

(感心じゃな。)

 

そんなことを思いつつ、カクは執務机に近づいた。スパンダムは、机の前に立とうとも、気づいていないのかじっと書類を眺めている。

カクは、その顔をじっと眺めた。三十はとうに過ぎた上司の顔は、昔付けられた傷のせいではめ込まれた鉄板でよく見えない。ただ、露出された顔を見る限りでは、そこそこに整っている。

 

(・・・・・まあ、あまり気に入ってはおらんが。)

 

そこまでの傷をこの上司に負わせた存在に、苛立ちじみた衝動が胸に沸き起こる。それはお気に入りのおもちゃが勝手に使われて、傷をつけられた子どもの感覚に似ている。

カクは普段の人当たりの良い笑顔を浮かべたまま、そんなことを考える。

そうして、カクが何を考えているのか分かるのか、大きな黒猫の視線が厳しくなる。

それに、やばいやばいと、未だに気づいていないスパンダムに声を掛けた。

 

「長官、少しいいかの?」

「・・・ん、あ?」

 

その言葉でカクの存在に気づいたスパンダムは急いで顔を上げた。驚いたような声と共に、スパンダムは手の近くに置いてあったカップを倒した。零れて机に広がるコーヒーを想像したが、どうも中身は空であったらしくころんとカップは転がるだけだった。

カクは倒れたカップを持ち上げて、改めて机に置いた。

 

「長官、気を付けた方がいいぞ。」

「・・・・ああ、分かってるんだが。どうも、寝不足でな。」

 

気だるそうに息を吐き、目頭をぐりぐりと揉んだ。その哀愁漂う様は、実はエニエスロビーの女スタッフに結構な人気があるのだが、当人は知っているのだろうかとカクはそれを眺めながら考える。

 

「で、あー、書類の確認だな?」

「ああ、そうじゃが。ちゃんと休んでおるんか?」

「そんな暇あるわけないだろ?俺に休んでほしいって思うなら、お前も他のやつに面倒事を起こさないように言ってくれ。とくに、フクロウに。」

「まあた、作戦を喋っておったんか?」

「おかげで殺した人間が十倍になった報告が来てるんだよ。」

 

スパンダムはそう言って、一枚の書類をひらりと振った。それに、目の前の存在の寝不足の理由を察せられた。

本来なら、スパンダムの元にやって来る仕事は少ないはずなのだ。

長官であるこの人がするのはあくまで最終決定であり、他の雑務はもっと位の低いものが処理するのだ。

けれど、スパンダムのもとにあるのは全てCP9が任務の上で起こした不祥事だ。秘密機関であるCP9の処理は長官であるスパンダムにしか出来ず、本来なら書類処理などは少ないはずの役職であるというのにそういった始末書の類はたまる一方なのだ。

 

「・・・・お前の報告書は安心して読めていいな。」

「これが普通のはずなんじゃがなあ。」

 

口ではそう言いはしても、カクの胸には子どものような得意げがあった。誇らしさというには未熟だが、それでも認められるという感覚は消えることなくカクの中に生まれている。

 

「・・・・うん。特に問題も無く進んだな。」

 

スパンダムは目をしょぼしょとさせながら、頷いた。そして、ふらふらと立ち上がる。カクは、よろけそうなスパンダムに手を差し出した。

 

「どうしたんじゃ、長官?」

「ああ。いや、コーヒーをな。」

「入れてきてやるからすわっとれ。」

「ああ、すまん。」

 

スパンダムは、力なく座り込み、眠たげに椅子に背を預けた。その様子でも、未だに眠れていないらしいと察してカクは、少しフクロウに釘を刺すことを頭に留めて置く。

スパンダムの執務室の隅には、簡易のキッチンが設置されている。

殆ど書類仕事で部屋に留まっているスパンダムが厨房にいちいちいかずに済むようにするためだ。

コーヒーの粉やポット、お湯を沸かすための設備と、小さな冷蔵庫が置かれている。

カクは慣れた様子でコーヒーを入れ、それに多めの牛乳を注ぐ。2:8の比率で入れたそれをスパンダムに差し出せば、不服そうな顔でカクを見た。

 

「・・・・いい加減にせんと、体壊すぞ。医者からも小言をもらっとるそうじゃが?」

「・・・・今、任務に出ているブルーノとカリファが何も問題を起こさなきゃ、二日は休みが取れる。つーか、お前、これ殆ど牛乳じゃねえか。」

「まあ、それならいいがの。長官、このままじゃとほんとに胃を壊すぞ。」

 

そこでふと、カクは、ここまで話してもメランが未だにスパンダムと自分の話に割り込んでこないことをおかしく思う。普段ならば、焼きもちを焼いて話に割り込んでくるというのに。

カクがメランの方に視線を向けるのに、スパンダムはちょいちょいと指で自分に顔を近づける様に示した。

それにカクが顔を近づけると、スパンダムは彼に耳打ちをする。

 

「・・・さっきまでルッチのやつがいたんだが。」

「ほお。」

 

ルッチが休みの日に、時々スパンダムの執務室に居座ってるのはカクも知っている。仲間内では、ある種の縄張りの主張のようだと言われている。ジャブラなど、己よりも犬じみているなどと言っているぐらいだ。

 

「休みの二日目に、どっかに飯でも食いに行くかって言ってたんだが。ルッチのやつが護衛がてらついてくるって言い出してな。それについては構わなかったんだが。メランのやつがルッチと大喧嘩。煩かったからいい加減にしろって叱りつけられて拗ねてんだよ。」

「ほう、それでルッチは?」

「あいつなら、メランと仲直りしろって命令したら外に出ていった。」

別に俺の護衛なんて仕事を無理に見つけてせんでもいいだろうに。

気だるそうに吐き出しながら、カクの作ったカフェオレを啜る。

それにカクは軽く、曖昧に返事をする。

ルッチの持つ、スパンダムへの妙な執着など昔から知っている。それに気づいていない目の前の存在にそれを言ったとしても、一笑されて終わりだろう。

 

「・・・・それじゃあ、わしはここでお暇するぞ。」

「ああ、報告書の提出、ご苦労だった。」

 

あまり長居をしていては、自分までルッチに八つ当たりをされる。それでスパンダムに自分まで邪険にされても得などないのだ。

部屋から出て行こうときびすを返そうとしたカクにスパンダムは声を掛けた。

 

「そういや、カク。」

「おお、なんじゃ?」

 

カクが返事をするとスパンダムは報告書を振って見せた。

 

「今回も良い結果だ。精進するといい。」

 

カクは、そんな言葉に軽く会釈を返して部屋を出て行った。

 

 

カクにとって、スパンダムはお気に入りの部類に入る存在だった。

カクはCP9で最年少である。そのためか他の諜報員に軽んじられる傾向があった。もちろん、表立った部分でそんなことはなかったが、それでも超人的な身体能力を持つ彼は、影で囁かれる話は十分に耳に入っていた。

もちろん、当時はそこまで精神が成熟しておらず、幼かったカクにはその言葉を受け流すことも出来ず、かと言って真正面から文句を言うのも子供過ぎるという自覚はあった。

そのため、鬱憤を晴らすことも出来ず、逐一でイライラが溜まっていたことがあった。

そんなある日、カクは廊下を歩いていた。すると、丁度廊下の曲がり角の向こうから声が聞こえて来た。

 

「カクって餓鬼知ってるか?」

「ああ、あの、新人の。」

「あいつ、餓鬼の癖に生意気だよな。いくらCP9っつても、所詮は子どもだろ?」

「まあ、ロブ・ルッチって前例があると霞むよなあ。」

 

それに、カクはもちろん目の前に出るなんてことはしない。それは、あまりにも当てつけのようで、餓鬼臭く感じてしまう。所詮は、自分を妬む程度の存在の陰口だ。気にする必要などない。

けれど、何か、腹の底にたまる不快な何かがある。

その時、その会話に入り込んでくる声があった。

 

「・・・・おい。」

「ちょ、長官!?」

 

驚きにかたまるその声の主たちに、長官と呼ばれた人物は淡々とした声で話しかけた。

 

「仕事中にどんな話をしてるんだ?」

「い、いえ。その。」

「・・・・・年少者が上にいる立場にストレスを感じるのも分かるが。仕事中にそう言った話をするお前らには出世なんて夢のまた夢だぞ。」

「は、はい・・・・・」

 

切り捨てる様に言った後、長官はつかつかと歩いて行く。その方向は、丁度カクがいる側であった。

一瞬、その場を離れるかと思いはしたが、そんなことを言い放つ存在の顔を見たくなり、カクはその場に立ち止まった。

そうして、廊下の角を曲がって来たのは、幼いころから面識のある変な男だった。

スパンダムは、カクの存在に驚いた風も無くその姿を目にすると小さくため息を吐き、その頭を軽く撫でた。

己の頭を撫でられるなど、いつ振りの事か。困惑してカクはその存在を見上げた。

小柄なそれは、昔は付けていなかった鉄板のためひどく荒い印象を受ける。

昔によくよく自分たちの故郷に顔を出していた彼とは古い仲だ。だからといって特別仲が良いわけではない。彼はグアンハオにいた見習たちをよくよく慮っていたようだが、カク個人にはさしたる関心は薄いようだった。だからといって、悲しいだとか、苦しいだとか、思ったことはない。

スパンダムは自ら歩み寄ってくることはなかったが、決して、拒絶をすることもなかったためだ。

静かな瞳をする彼にカクはどうすればいいのか判断が付かなかった。そのために疎遠になってしまっている自分と比べて、ルッチは彼の側をふらふらとうろついて、あまつさえ褒められているのだから違いを感じる。

 

「気にするなよ。」

「・・・・気になんぞしておらん。」

「餓鬼みたいに、拗ねて隠れてる時点で気にしてんだろ。」

 

はあ、とため息を吐きながらそう言われ、カクの頬に羞恥の赤みが走った。それに、スパンダムは呆れたようにため息を吐き、カクの頬を乱雑に摘まんだ。

そうして、鉄板のせいで突っ張った顔で、苦笑交じりに微笑んだ。

「安心しろ、お前さんは優秀だよ。」

それは、どこまでも呆れて、そうして、静かな声だった。けれど、それは優しい声だったのだ。

カクはいつも静かに、どこか醒めた男の出した、その柔らかな声音に固まった。

 

 

それは、気持ちが悪いだとか、なんだこいつはという思いを抱く前に、幼い子どものようにスパンダムを見てしまった。

カクは、暗殺者であり、そう育てられた。

カクはそれに納得している。そういう人生で、そうやって生き延びた己を不幸だとか、幸福だとかで判断する気は欠片だってない。

ただ、唐突に子どものような心に戻ってしまったことに戸惑ってしまった。

夢を、見ているような心地だった。

困惑するカクの頭から手を離し、スパンダムは廊下を歩きだした。カクはおずおずとその後を追う。

 

「誰が何と言おうと、あいつらよりもお前が優秀であり、優っているんだ。言いたい奴には言わせておけ。どうせ、あんなことを仕事中に話してる奴なんてすぐに死ぬ。」

 

選ばれ、生き抜いた己を誇るといい。

 

カクは、それに言いようのない感覚を胸の奥に忍ばせる。

歩くスパンダムの横顔には、先ほどの温さはすでになく、凍り付いたような厳しさがあった。

カクは、今までの何かが、まるで幻だったような、夢を見ていたような、そんな不思議な気分になった。

 

 

カクは、昔のことを思い出して、ゆるりと微笑みを浮かべた。

カクは、スパンダムを気に入っていた。

身贔屓なわけでもなく、ただ、ひたすらカクの能力を買い、血に濡れたカクのあり方を是とするそれが好ましかった。遠い昔、幼いころに会った時に比べて、少しだけ遠くなったような、近しくなったかのような、そこら辺の距離感は微妙であったけれど。

それでも彼の部下であることが好きだった。

それは、もちろん、恋だとか愛でなんてなく。

カクがスパンダムに望むのは、彼からの評価であった。

彼からの、事実を含めた淡々とした評価はカクにとって何よりの肯定だった。

彼からの見事だという言葉が、たった一度の撫でられた手が気に入っていた。

だから、彼にとって今の生活は満足のいくものだった。

強いて言うなら、彼にとって好ましくないのは。

 

「ぎゃははははははははは!!」

 

廊下を歩いていると、唐突にジャブラの笑い声が響き渡る。

思考の途中に割り込んできたそれに反応し、視線を声のする方に向けると。そこには廊下の脇の窓の縁に座って爆笑しているジャブラがいた。

何を笑っているのかと見ていると、ジャブラはカクに手招きをする。それに、カクはそこまで爆笑する理由も気になり近づいた。

 

「何を笑っとるんじゃ。」

「くっ、ぎゃはははははは!いや、聞けよ!さっきルッチのやつが通ったんだが、あいつなんでか菓子の入った皿を抱えててよ。そんで、当たりを付けて長官がらみかって煽ったら、あいつめちゃくちゃ睨んできてよ!

ほんとに、長官によええよな、あいつ!」

 

目の前のゲラゲラ笑うジャブラに、カクはその理由を思わず口にした。それに、ジャブラは余計に笑いを深くする。

 

「・・・・・ルッチの長官への執着も困ったもんじゃな。」

 

思わずそう呟けば、ジャブラが嗤うのを止めて、呆れた顔をする。

 

「・・・・お前も人のこと言えるのかよ。」

その言葉に、カクは被っていた帽子を深くし、ゆるりと口元に笑みを浮かべた。

「お前も、同じ穴のムジナじゃろうに。」

 

それに、ジャブラは何も言わずに、不機嫌そうな顔をした。まるで、心外だと言わんばかりの顔だった。

 

「・・・・さあな。」

 

ふてくされたかのような顔は、カクの言葉が確定であることを示していた。それにカクはけらけらと笑った。

そう、CP9の諜報員たちは、少なくとも、その上司を気に入っていた。

悔恨に満ちて、愚かで、真摯で、静かで、それでも幼いころの温い思い出の核である、彼のことを。

 

(・・・・この感情もだいぶキモいんじゃろうけどなあ。)

 

愛しているとは違うのだ、恋などとは吐き気がするようなほど遠さ、親愛などと不似合いなものではない。

ならば、その感情とは何なのか。

少なくとも、カクは己の感情に興味は無かった。それが何であるのか、知ったところで、理解したところで、わかったところで、なんの意味も無いのだから。

だから、どうだっていい。気に入っている、その事実を理解しているだけで。

さんさんと、窓辺にいればうららかな日差しが自分たちに注がれる。なるほど、昼寝日和のそれは、年がら年中晴れているここではあまり物珍しさはない。昼寝でもしていたほうがいいような日の中で、カクは窓辺に体を預けた。

この、柔らかな日差しの仲で昼寝でも考えている自分たちの場違いさにカクは少しだけ笑ってしまう。

 

「けっ!俺たちがあの人に何を思ってようが、なにもかわりゃしねえだろうに。」

 

その言葉と共にジャブラはさっさとその場から去って行く。それを見送ってカクはふむと頷いた。

 

(例えば。)

 

例えば、彼の人が死んだとして。自分は泣きもしないだろう。嘆くという感情も、苦しむという悼みも、寂しいという涙も、きっと、こぼすことはないだろう。

自分はただ、ああそうかとそれを受け入れて、次に来る長官を面倒だと思って、そうして、当たり前のように過ごすのだろう。

けれど、もしも、彼の人が誰かに殺されたその時は、相手をきっと、死んだような目に遭わせて、徹底的に苦しめて、なぶって、殺すのだと思う。

 

(・・・下らん、戯れ言じゃな。)

 

醒めた思考でそう考えてカクは体を起こした。

けれど、カクは、ルッチの執着は丁度いいのだと思っている。

彼の手綱を握ることが出来る、それだけでスパンダムがCP9に所属し続ける理由になるのだから。

 

 

(・・・・・こいつら、何してんだろ。)

 

スパンダムは、じっと己の机の隣りで繰り広げられる攻防を眺めていた。

机の隣りでは、メランと、クッキーの入った皿を彼女に差し出すルッチというシュール極まりない風景が行われていた。

 

「くるっぽー。」

 

机の上ではハットリもその光景を眺めている。スパンダムは手慰みにとその頭を掻いてやった。

この鳩、鳩にしては完全に寿命を凌駕していて、本当に鳩なのだろうかとぼんやりとした疑問を感じながら。

メランは、ルッチの持って来たクッキーを涎を垂らしながら睨み付けている。ルッチはいっこうにクッキーに食いつかないメランに呆れた顔をして立ち上がった。

クッキーの盛られた皿を持ったルッチは非常にレアでシュールである。

 

「・・・・俺は休戦の意向を示しました。意地を張っているこいつは置いて護衛は俺が務めます。それに俺がいればこいつがいる必要もないでしょう。」

「あー、ルッチ、あのな・・・・」

 

スパンダムが口を開くと同時に、メランは歯をギリギリと噛みしめて、獣から人型に形を戻して、ルッチに飛びかかる。

 

「ヤな奴!ヤな奴!ヤな奴!ヤな奴!ヤな奴!ヤな奴!ヤな奴!ヤな奴!ヤな奴!ヤな奴!!!!!」

「・・・・クソネコ。」

 

ルッチは自分の顔に飛びついてぎゃんぎゃん叫ぶメランに忌々しそうに吐き捨てた。けれど、乱雑に引き離すこともない時点で、彼もなんだかんだでメランをかわいがっているのだろうか。

目の前で繰り広げられる臨戦態勢の下らない喧嘩に、スパンダムはため息を吐きつつ、カクについて考える。

年若い彼が、一番にいい子である。

そうして、どうやってその喧嘩を止めるかと、仕事の準備と共に考え始めた。

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