ダンジョン大好きダンジョンマスターが理想のダンジョンを作るまで   作:一一生寝てたい一

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前提として原作を読んでる人向けです。お気を付けください。


俺とダンジョンコア様と

「というわけで、君は死んでしまったんだ」

「は?」

「死んでしまったんだよ。それでこれからの話なんだけど―――」

 

待て、待って。こいつ今なんて言った?

 

これはまだ俺が生きていた時の話。俺はとある大学で学生をやっていた。

いつもと変わらないある日の事。

いつもと変わらない通学路。

あえていつも違うことを挙げるとすれば。

 

「あぶなーい!」

「・・・は?」

 

見知らぬトラックが横合いから突っ込んできて

気づいたらどことも知らぬ空間にいたことだろうか。

 

現実逃避のように末期の記憶をたどっている間に、正面のなんかよくわからない光のような存在も話し終えたらしい。マナの循環だとか、闇神がどうとかよくわからんことをぺらぺら喋っていたがほとんどすべて聞き流してしてしまった。

なんで俺はこんなところにいるんだろうか。本当なら今日はいつも手に塩かけて作っているフライングバード号Mk-3のお披露目会をやっているはずだったんだが。あれだろうか。もしかしてこれは夢なんだろうか。そうきっと現実の俺は今頃暖かなベットの上でぐっすり眠って、というには少し生々しすぎるよなあ・・・。

 

「というわけなんだけど、望むこととか何かある?こっちの頼みを聞いてもらうわけだから、なるべく要望とか聞くけど?」

 

その言葉を聞いた脳みそが、残った僅かな気力を振り絞るようにして動き始める。

 

「なん・・・でも・・・?」

「そう。なんでも」

「ほんとうになんでも?」

「なんでもいいよ」

「ほんのとうになんでも?」

「しつこいね君・・・。そう言ってるじゃないか」

「なら―――」

 

死んでしまう前、俺には一つの夢があった。決して生きている間には叶わないと諦めていたが、異世界となれば話は別だろう。

 

「―――ダンジョンを作らせてください!」

 

「・・・はぁ?」

 

目の前の光が呆れた声を出す。

 

「前の彼といい、なに?ゴーレムみたいなのいじっていた子って君みたいな奴しかいないの?」

 

今度からは対象から外した方がいいかなぁ・・・などと呟く光をよそに、俺は一人妄想を膨らます。

ダンジョン。男の夢。金銀財宝に炎吐くドラゴンとの死闘。戦いの中で育まれる絆。腕自慢の荒くれ集う酒場。稼いだ金を片手に女を買い、刹那のような時を過ごす。――それがダンジョン。一攫千金を夢見る漢共集う地獄にして墓場。

そんなダンジョンを作ることが、俺の生前の夢だった。

 

「僕言ったよね?君はダンジョンを壊す側だって。ダンジョン壊してもらわないと困るから君を呼んだって」

「でもなんでも聞いてくれるんですよね?」

「いや確かにそう言ったけど」

「まさか神ともあろう方が約束を反故にするんです?」

「約束って・・・君ねぇ・・・」

 

「ほんと何でこんな子ばかり引くかなぁ・・・」と目の前の神様(?)が呆れたように呟く。そりゃ向こうからしてみたらダンジョン壊すために呼んだ奴がダンジョン作りたいですなんて言ってんだからろくでもない。計算違いも甚だしい。今頃胸中は後悔か諦念でいっぱいだろう。

だがそんな事知ったことじゃない。こっちからしてみたら生涯の願いをかなえられるまたとないチャンスなのだ。なんとしてでも聞いてもらう。

 

「ダンジョンっていくつかあるんですよね?」

「いくつかっていうか、現時点で三百超えてたかな・・・ちょっと破壊作業が滞ってるんだよねぇ・・・」

「なら一個くらい増えても問題ないのでは?」

「君バカなの?それとも天然なの?」

「いやほら、三百超えてるわけですから、ほら?」

「いやほらじゃなくてね?」

 

くそ、意外と細かいなこの神様(?)。

 

「別に一個くらい増えたって問題ないだろうが・・・!」

「そういう問題じゃないから。あと今の心の声が漏れたよね?」

「さっさとダンジョン作らせろ」

「せめて隠そうよ」

 

ため息を吐く神様(?)。諦めたように声を出す。

 

「もういいか・・・。僕もやることあるし・・・まぁ翻訳機能くらいは渡しとくから後は頑張って・・・」

「マジすか!ありがとうございます!」

「手のひら返しが清々しすぎる」

 

目の前の神様(?)が腕を振るうと、俺の足元に魔法陣らしいものが現れる。同時にぞわぞわとした感覚が全身を襲い始める。

 

「なにこれなにこれ!?魔法!?うわーわくわくしてきた!」

「君罪悪感感じたりは?」

「してないですけど?」

「キレそう」

 

ぞわぞわした感覚は足元から始まり、段々と体を登っていき、最後には頭のてっぺんで消えていった。

 

「はい。今ので準備は完了したよ。後はこのまま君を異世界に飛ばすだけ」

「あざーす!」

「ほんっと自由だね君」

 

最後に「疲れた・・・」という声を聞きながら、俺の視界は暗転した。

 

「・・・召喚成功。さて何が出てきて・・・?」

 

気づけばほんのり白く光る壁と床につつまれた部屋の中に俺はいた。

どことなく先程までいた空間に似ているところからして、ここは間違いなく異世界らしい。

 

「なんでニンゲンが・・・?そういうこともあり得るのか・・・?」

 

ふと声のした方を見ると、紫を基調としたドレスに身を包んだ女性が立っていた。

年は18、19程だろうか。紫のロングヘア―はさらりと後ろに流れ、凛としたたたずまいに人形のように整った顔、そしてまた人形のように感情を感じさせないどこか無機質な表情が合わさり、近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。

 

「・・・まぁいいか。考えるのは後にしてとりあえず殺してしまおう」

 

んん?今なんて言った?

 

「1000DPも無駄にしてしまった。次に期待するか」

 

そう言いながらいつの間にか右手に持っていた、これまた紫をベースとした鮮やかな大剣を軽々と持ち上げ、そのまま俺の上に振り下ろさんとする。

 

「待っ、待ち・・・!」

「・・・喋った。ニンゲンなら当然なのか?」

 

俺の言葉に反応しながらも手に持った大剣を振り下ろすのを止めようとはしない。このままいけば俺はもれなく真っ二つにされるだろう。

どうしてこうなってしまったのか?時代、運の悪さ。理由は多々ある。目の前に差し迫った死の恐怖の中、そんなことが脳をかすめる。

 

「おっ」

「?」

「俺はただダンジョンが作りたかっただけなのにぃいぃぃぃぃー!!!」

 

そう叫び、目の前に迫った死から目を背けるため目を瞑る。

 

(残念!俺の冒険はここで終わってしまった!)

 

胸中でそんな言葉を呟く。もはや二度目の死は決まったようなものだろう。

さらば我が今世。願わくば、来世こそダンジョンを作れますように。・・・そもそもこの世界に輪廻転生ってあるんだろうか?

 

しかし、いつまでたっても振り上げられた大剣が振り下ろされる音はしない。

おそるおそる目を開けると、大剣を振り上げたまま左手を顎にあて、何事か思案している女の姿がそこにはあった。

 

「・・・」

「すんません。せめてなにか一言ください・・・」

 

感情をともさない無機質な紫の両目がこちらを見つめる。そのまま大剣を下ろすと、こちらに向けて声を発した。

 

「今なんと言った?」

「はい?」

「今なんと言った?」

「ダンジョンが作りたかったといいました・・・」

 

俺の言葉を聞き、再び思案に入る女。・・・こうして見るとめちゃくちゃ絵に映えそうな美しさをしている。指とか脚とか細いし。ドレスを着てるからよくわからないが、肩幅からして結構華奢なのではないだろうか。

それから十秒ほどが経ち、女が再び声を発する。

 

「ダンジョンについてどこまで知ってる?」

「・・・ダンジョンとは漢共が己が夢をかけて挑む墓場です」

「それだけか?」

 

女の言葉に首をかしげる。

 

(それだけかって言われてもなぁ・・・)

 

そもそも、この異世界には来たばかりなのだ。ダンジョンも正直なことを言って全然よく知らない。とりあえずこの世界にはダンジョンがあるらしいということだけで、そもそもそれが俺のよく知ってるダンジョンかもわからないのだ。

俺の様子を見た女がまた何事か考え、納得したのか一度うなずく。

 

「・・・ふむ。ニンゲン。お前にはダンジョン作りを手伝ってもらう」

「えっ!?」

「ダンジョン作りを手伝ってもらう。差し当ってはお前に名前を与える」

「いや名前ならもうあります」

「・・・そうなのか」

 

女の声色が若干残念そうなものになる。心なしか肩も若干落ち込んでいるように見える。そんなに名前が付けたかったんだろうか。気を取り直した女が俺に言う。

 

「まず、お前にはこの世界のダンジョンについて学ばせる」

 

――いわく、この世界のダンジョンとはつまり人工的なものである。

――いわく、ダンジョンとはすべてダンジョンコアと呼ばれる者たちによって作られる。

――いわく、ダンジョンとダンジョンコアは一心同体。どちらかが死ねば両方とも死ぬ。

 

「ダンジョンコアは、DPと呼ばれるポイントを使ってダンジョンを作る。ここまでは?」

「わかります」

「続ける」

 

女―――俺が今いるこのダンジョンのダンジョンコアらしい方いわく、長年ためてきたポイントを使い、正しく初めてのダンジョンを作るつもりだったらしい。

初めに1000DPを使い、『ガチャ』を回したところ、俺が出てきた・・・らしい。

ここまでで理解できたこととして、目の前の女性はこのダンジョンにおける支配者的存在であるということ。つまり、この方に取り入れられればそのままダンジョン内部の関係者になれるということだ。

となればやることは一つ。

 

「へへへ・・・お嬢様・・・」

「私の事か?なんだ?」

「なんでもしますんで、どうかこの卑しい俺にもダンジョン作りの方を手伝わせてくだせぇ・・・」

「・・・そこまでして仲間になりたいのか?」

「えぇ、ほんとなんでもしますんで・・・。靴とかお舐めしましょうか?」

「いやそれはいい」

 

断られてしまった。自分としては最高の誠意の示し方のつもりだったのだが。

 

 

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