ダンジョン大好きダンジョンマスターが理想のダンジョンを作るまで   作:一一生寝てたい一

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俺と初めての村と

「……いったか」

「とりあえずは成功ですわね~」

「ユーマさん、背中ざっくりいってましたけど、大丈夫なんですか?(;’∀’)」

「問題ない。急所は外した」

「血、どばっと出てましたけど~」

「……急所は外した」

「まぁロムニ様がそういうならそうなんでしょう。なら問題は別のところにありますわね~」

「といいますと(;・∀・)」

「ユーマさん、戻ってこないかもしれませんわ~?」

「それは大丈夫だ」

「あら?断言されるんです?」

「ああ、見てたらわかる。あいつは心底ダンジョン作りを楽しんでいた」

「だから戻ってくると?」

「そうだ」

「……きっとお二方の間でしかわからないことがあるんですね!(*^^*)」

「そういうの、素敵だと思いますわ~?」

「そんなのではない」

 

 

 

俺がこっそりと目を開けると、そこにいつも見ていた白い天井はなかった。

周囲を見渡すとそこに白い壁はなく、いつものメンバーもいなかった。

 

(知らない天井……。作戦が上手くいったのか)

 

どうやらどこかの個室のベッドに寝かされていたようだ。改めて自分の状態を確認してみる。上半身に関しては服を脱がされ、包帯のように布で背中から肩を回して大きく巻かれている。下半身に関しては服を変えられているものの。他に変わった様子はない。

辺りを見回すと、近くの台に服と桶入りの水が置いてあった。顔を洗えるようにと言う気づかいだろうか?ありがたく使わせてもらおう。

ベッドから手が届く範囲にあったのでそのまま服に手を伸ばし、ごそごそと着替える。

 

(傷が消えてる)

 

その過程で気づいたのだが、背中の傷がすっかり治っていた。いや正確には跡らしきもっこりした部分はあるのだけど、少なくとも血はもう出ていない。

 

「魔法かな……?」

「おや、もう起きられていましたか」

 

一人呟いていると、ドアを開けて一人の女性が入ってきた。そのまま近場の椅子を持ってきて、俺の入ってるベッドの横に座る。手にはなにやら紙束と羽ペンを持っている。

 

「体調はどうですか?どこか痛むところは?」

「あ、っと」

 

言われて軽く確認してみるが、痛むところもない。ずっと寝ていたからか少し体が硬いが、その程度だ。

 

「大丈夫です。……ええと、あなたは」

「申し遅れました。私、ここティターヤ村の冒険者ギルドで受付をやらせて頂いています、ケケと申します」

「あ、これはご丁寧にどうも……」

 

手元の紙になにか書き込みながら一息にそういうと、そのまま黙り込まれるケケさん。視線は変わらず手元の紙に落としたまま、書き込み続けている。これは俺から話しかける流れだろうか。……とりあえず怪しまれないように動こう。

 

「ええっと、俺はどうしてここにいるんですかね?」

「……そうですね。貴方は昨夜、大怪我を負い、ここに運び込まれてきました。なんでもダンジョンで怪我を負ったところを発見されたそうです」

「それは……発見した人にお礼を言わないと。名前を教えていただけませんか?」

「ワタルさんです。それから怪我を治療したのはシンピさんと言います。お二方とも、まだ下にいると思いますよ」

「ありがとうございます。質問が多くて申し訳ないんですが、自分の私物はどちらにあるかお聞きしても?」

「それはこちらで管理しています。下の受付で言えば受け取れるかと」

「重ね重ねありがとうございます」

 

そう言ってベッドから起き上がり立とうとして、ケケさんに押し戻される。

 

「あの、なにか」

「まだあなたに関して調書が済んでいません。申し訳ありませんが、もう少しお付き合いください」

「あ、わかりました」

 

そっか。まぁそうですよね。考えてみればダンジョンで見つかった男性とか怪しいし、とりあえず身元を調べておくよね。

 

「では質問の続きを。まずは名前を教えていただけますか?」

「悠馬と言います」

「どこの出身ですか?」

「えっと、南の方の村ですね」

「……はい。なぜあのダンジョンにいたのですか?」

 

来た。この質問は避けて通れないだろう。さてどうやって答えたものか。

とりあえず、ここは漏れた情報を運よく掴んだ、という体がいいだろう。おそらく一番真偽を調べにくいはず。

 

「ええっと、実はあの周辺でダンジョンが見つかったと旅の人からお聞きしまして。一旗揚げようと思い立ってと言いますか……」

「この辺で漏らす奴と言うと……カランですか」

 

俺の返答を聞いた受付嬢さん。顔を歪ませるとちっと舌打ちを一回。そこまで気に障りました俺の返答?

ケケさんはその後も紙に何事か書いていたが、少しすると書き終えたのか顔を上げた。

 

「事情は分かりました。怪我をしてすぐのところ失礼いたしました。あとはご自由にしていただいて結構です」

「あ、ありがとうございます」

「最後に、……あのダンジョン『緑の楽園』のことはあまり言いふらさないようにお願いします。私たちの間でも、どう扱うか、まだ決まっていないところもありますので」

 

あ、『緑の楽園』って名前なんだうちのダンジョン。

 

「わかりました。お世話になりました」

「いえ。服と宿泊の代金はワタルさんより頂いています。明日までこの部屋にいて頂いても大丈夫です」

 

では、と最後に一礼してケケさんが部屋を出ていく。改めて桶の水で顔を洗い、服を整える。窓から外を除くと、そこにはのどかな村の風景が広がっている。どうやらこの部屋は二階にあるらしく、太陽の位置から今は朝早くらしい。

ドアをくぐり部屋を出て、廊下を渡り階段を下りる。その途中、今回の作戦について、昨夜の会話を思い出す。

 

 

 

「―――まず俺の背を斬ってくれませんか?」

「……どういうことだ?」

 

突然の提案に顔をしかめるロムニ様。まぁそうだよね。こんな提案冗談としか思われないだろう。

 

「作戦のためです。と言ってもものっすごい雑なものなんですけど」

「構わない。聞かせてみろ」

「さっきあの侵入者、薬草以外の宝はなさそうって言っていたでしょう?だから、なにかしら帰る理由を与えればもう帰ると思うんですよ。で、もう寄ってこない」

「ダンジョンの破壊を目的としていなければ、そうですわね」

「ダンジョンの破壊目的でも一時的に帰らせることはできると思います。この作戦が上手くいけばですが」

「なるほど……。それでその作戦とはなんだ?」

「簡単なものです」

 

そう言って俺はロムニ様たちに背中を向ける。

 

「この背中に大怪我を負わせて、いかにも襲われましたーという体であの人の前に出るんです。まともな人格の所有者なら、助けずにはいられないでしょう。そしたらその場で治されるにしろ治されないにしろ、拠点まで連れて行ってもらうように俺が動きます。」

「そうやってこのダンジョンから引きはがすのか……なるほど」

「どうでしょう?」

「それって……ロムニ様の剣の腕前次第ではー?(;’∀’)」

「そこは、まぁ、大丈夫でしょう。……大丈夫ですよね?」

「任せろ」

 

そう言って大剣を構えるロムニ様。どうやらこの作戦に乗り気のようだ。

他のメンバーも半信半疑ではあるけども、異を唱える人はいない。

全員を一通り見渡して、俺は最終確認の言葉を放つ。

 

「―――というわけです。どうです?」

 

 

 

以上が昨夜の作戦会議の内容だ。その後俺はロムニ様に背中をばっさり斬られ、痛みで半ば意識を失いつつ作戦を遂行したという訳になる。まぁ結局途中から今の今まで意識を失っていたんだけど。

先程の受付嬢さん、ケケさんが話の中で昨夜と言っていたので、今が作戦決行日の翌日の朝方なのは間違いないと、階段を降りつつ思考を回す。シンピとカランという名前にも聞き覚えがある。前に侵入してきた三人組がお互いにそんな名前で呼び合っていたはずだ。となると、スケルトンで威嚇ないし襲い掛かった相手に俺は助けられたことになる訳で。

 

「皮肉だなぁ……」

 

知らずに襲ってきていた相手を助ける。そんなこともあるのかと思わず呟いてるうちに、気づいたら一階についていた。

そこそこ広い空間に受付らしき制服を着た人が立っているカウンターと、待ち合わせ用だろうか?室内にはいくつか円形のテーブルと椅子も置いてあった。今も二人ほど座っている姿が見える……というかあの姿は。

 

(シンピさんとカランさんか)

 

既に見知った姿だった。シンピさんは法衣のような服を着ているためわかりやすく、カランさんは図体が大きいため遠くからでも一目で分かる。

話しかけようとして、姿を知らないはずの自分からだと不自然かとやめたところで、向こうがこちらに気づき声をかけてきた。

 

「おう!あんた目が覚めたのか!」

「カラン。彼は重傷を負ってたんです。もう少し静かにしてあげてください」

「お、おう。悪い」

「そこの方。朝食はまだでしょう?ご一緒にどうですか?」

「あ、これはどうも」

 

自然な流れで朝食に誘われてしまった。断るのもおかしいのでご一緒することにする。情報収集にもなるだろうし。呼ばれて俺が近づくと、すっとシンピさんが椅子の一つ引いてくださる。ここに座れということだよね?

俺が席に座ったのを確認して、シンピさんが話し出す。

 

「改めてご挨拶を。私はシンピといいます。こっちの大きいのはカラン。私の相方です」

「カランだ、よろしくな」

「悠馬と言います。シンピさんにはお世話になったようで……」

「怪我の具合はどうですか?見たところ大丈夫そうですが」

「おかげさまで、ほとんど後遺症もないですよ。どうやって直したんです?」

「私は『ヒーリング』という……見せた方がいいかもですね。カラン、手」

「んう?おう」

 

カランさんがスッと手を差し出す。その上にシンピさんが手を乗せる。

 

「『光よ、彼の者を癒せ―――【ヒーリング】』」

「ああ、いい気持ちだ」

「おお、光が……」

 

手で包まれた部位から目に優しい光が溢れ、周囲を満たす。思っていたよりも光の満ちる範囲が広いけど、これはシンピさんの魔力が多いからだろうか?

 

「とまあ、こうやって昨晩あなたを癒したわけです」

「なるほど。いいもの見させてもらいました、ありがとうございます」

「いえいえ」

 

さてそうやってこうやってしばらく話していたのだが、得られた情報と言うのは案外多くなかった(朝食は軽いスープとパンだった。意外と悪くなかった)。

一つに、俺たちのダンジョンが『緑の楽園』と呼ばれていること。一つに、冒険者ギルドの存在とその仕組み(ランク制らしい)。一つに、『緑の楽園』で死人が出たためその調査に向かった冒険者がいること(これはおそらくナリタとクウコウとかいう二人組の事と思われる)。

そうして話していると、これまた見覚えのある姿の二人組が宿のドアを開けて入ってきた。

 




朝食の代金は預けてある私物から払わせる予定(メモ)
まだ長くなりそうなのでいったん区切りを……あと今回から三点リーダーを直しました。見やすくなっているといいんですけど。
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