ダンジョン大好きダンジョンマスターが理想のダンジョンを作るまで   作:一一生寝てたい一

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俺と冒険者ギルドと

室内に入ってきてそのまま受付に向かった二人組。ものすごく見覚えがあるというか。

 

「ナリタとクウコウか。ダンジョン調査が終わって今帰ってきたのかね」

「そうでしょう。今から報告して、そうしたら一杯酒を飲むのでしょうね」

「あのお二人は?」

 

ナリタさんとクウコウさんの二人は、こっちは知ってるけど向こうからは初対面なわけで。少し面倒だけど初対面という体を取るしかない。

 

「ああ、あいつらはナリタとクウコウつって……そういやユーマ」

「はい?」

「あんた、冒険者になるのかい?なるならあいつらの後輩ってことになるけど」

 

おっと、これは思わぬ質問。

冒険者、冒険者かぁ。今わかってる事って、冒険者にならないとダンジョンに入る許可が下りないことくらいなんだよな。それ以外で冒険者になるメリットがまだわからない。

 

「冒険者になってよかったことってなにかあります?」

「おお、メイスやソードなんかの武器を堂々と持っててもなにも言われなくなったな。あとはCランク以上とかに限るが、信用があるから多少無茶やっても多めに見てもらえらぁ」

「まああまりやらかすようなら降格が待ってますからね。そもそもの限度があるからというのもあります。もちろん犯罪は論外ですが」

「ふむふむ」

「あと、これはおそらくあなたにとって一番大きなメリットなんですが……」

「お?なんです?」

「冒険者になると、ランクにもよりますがダンジョンの情報をもらえるようになります。他だと身元がしっかりしてないと駄目なんですよね」

「ふーむ、なるほどなるほど」

 

ダンジョンの情報をもらえるのがメリットか。いいかもしれない。

 

「この周辺ってダンジョン多いんです?」

「いくつか点在してますね。あなたが冒険者になったらまた詳しくお話しますよ」

「さっさとなっちまいなよ!あたしらが手ほどきしてやるからさ!」

「まあ、そういうことです」

「んー……」

 

……正直、これはならない理由もない気がする。情報は少しでも多い方がいいし。とくにダンジョンを作っていく上で他のダンジョンの情報が手に入るのはあまりにも大きい。

 

「なるのになんか条件ってあります?」

「いえ、ありませんね。この村では発展のため審査もしていません。なので低ランクの冒険者にはごろつきまがいもそこそこいます」

「あ、そういやちょっと金がかかるな」

「げ、いくらです?」

「銀貨三枚だけど……立て替えてやろうか?」

「あ、いえ。それなら俺払えます。申し込みってどこでできるんです?」

「ここでできるよ。冒険者ギルド兼任だからねこの店」

「ふむ」

 

よかった。どうやら複雑な条件はないらしい。にしても身元の確認とか大分緩いような?この世界の基本ってこんなもんなのか?いちいち確認してもいくらでも偽装できそうだし、そのせいだったりするのかね。

 

「よし。じゃあちょっといってきます。色々ありがとうございました」

「あいよ。今度都合のいい時に声かけてくれりゃあ、いくらでも心構えってやつをレスチャーしてやるよ」

「またお会いしましょう」

 

最後に軽い挨拶をして別れる。さて受付はっと。まだ報告が終わってないみたいだ。

なんのけなしにナリタさんとクウコウさんの後ろに並ぶ。そうすると当然前の会話というものが聞こえてくる。

 

「…‥で、そのランというモンスターに三人ともやられたそうな」

「そうですか……。わかりました。この件に関してはこちらから問題の起きないよう遺族の方に伝えさせていただきます」

「お願いします。しかし誰の口から洩れたんでしょうね」

「さあ……っと」

 

しばらく話し込んでいたが、こちらに気づいたらしい受付の人(ケケさんとはまた別の女性……なかなかのナイスバディ)がこちらをちらりと見て何事かナリタさんとクウコウさんに囁く。するとお二人ともこちらを見た後、横に避ける。譲られたのか?

俺が前に出ると、お二人はそのまま入口から出ていこうとして……カランさんに捕まりそのまま席に引き込まれていった。哀れ。

 

「ようこそいらっしゃいました。ご用件は?」

「えっと、冒険者になりたいんですけど」

「承りました。銀貨三枚いただきますが、大丈夫でしょうか?」

「預けている俺の荷物から支払いたいです。あと朝食代も」

「わかりました」

 

そう言ってしゃがむとごそりとカウンター下から布袋を一つ取り出される……そういえばお名前なんだろ?

 

「えっと、受付嬢さんの名前って……」

「あ、申し遅れました。私はククと言います。よろしくお願いしますね。こちらがお荷物になります」

「ありがとうございます。本人確認は大丈夫です?」

「昨夜運び込まれた時に皆同席していましたから。顔は結構知られていると思いますよ」

「あ、なるほど」

 

そうか。窓から見た時もあんまり大きそうな村じゃなかったしなぁ。噂が広まるのも早いんだろう。

 

「さて、清算させていただいてもよろしいでしょうか?」

「あ、お願いします」

 

丁寧に袋の中身を確認していくククさん。布袋の中には俺が着ていた服(ぼろぼろになっている)と、もう一つ、ロムニ様から渡された袋が入っており、中には銀貨が十枚入っていた。

ありがとうロムニ様。もらった銀貨がなかったらカランさんたちに借りるしかなくなってました。

心の中で合掌していると、そこから四枚をククさんが持っていき。朝食代のお釣りですと銅貨九十枚を渡される。……一気に袋が重くなった。

 

「さて、次にこの用紙に名前をお書きください。代筆も承っております」

「あ、じゃあ代筆でお願いします。悠馬です」

「はい。ユーマ……っと」

 

本来ならこの後ギルドランクの説明があるらしいが、既に知っているのでそこは飛ばしてもらう。

 

「さて、これでユーマさんは冒険者ギルドの一員……なんですが」

「はい?」

 

なんだ?まだなにかあるのか?

 

「ユーマさん、実は魔法が使えるとかありますか?それ次第ではGランクを飛ばしてFランク、Eランクから始めていただこうかと思っているのですが」

「あれ?そういうのありなんです?」

「はい。魔法が使える人は基本的に優秀なので、一種の優遇措置ですね」

「……実際は?」

 

そう聞くと周りを確認する仕草(なお人は全然いない)の後、ちょいちょいと手招き。こちらが顔を寄せると、耳元で囁くように話始める。

 

「ここだけの話、魔法が使える人は実家が裕福だったりお貴族様だったりするんですよ。ユーマさんは家名も名乗りませんでしたし、持ってきたお金もまあ常識の範囲内だったので、そういう面は大丈夫だと思いますけど」

「あー……」

 

つまりこれは面倒事を避けるための面もある、ということなのだろう。で俺は面倒事にはならないと判断されたと。まあ隠す理由もないし素直に話すか。

 

「いくつか最下級魔法が使えます。中でも【ウィンド】が得意です」

「わかりました。それならFランクから、ということで登録しておきますね。では改めて、これがギルドカードになります」

「ありがとうございます」

 

やったぜ。身分証ゲットだぜ。とはいえ、情報収集はこれからである。

 

「『緑の楽園』までの地図とかってありますか?あとこの周辺のダンジョンについて教えてください」

「ありますよ。ダンジョン内部の地図と合わせて銀貨三枚になります」

「一枚くださいな」

「はい、ありがとうございます。それから周辺ダンジョンなんですが、お教えできるのは『天上の声』、『死者の墓場』、『愚者の集まり』の三つです」

「それはあれですかね?俺のランクがまだ低いからですかね」

「そうですね。ユーマさんが貢献してくださればそれだけたくさんの情報をお渡しできますよ……金銭はいただきますけど」

「あ、お金は取るんですね」

「タダなのは名前だけです。場所や内部の情報、地図なんかはお金をいただきますね」

「なるほど」

 

とりあえず名前が知れただけでも十分か。しかしこの周辺ってそんなにダンジョンあったんだなあ、参考がてら近いうちに行ってみたい。

 

「しかし、ダンジョンが多い割にはこの村ってそんなに発展してませんよね。なんでなんです?」

「それは、『緑の楽園』を除いてお宝のあるダンジョンが少ないからですね。ある程度攻略してしまったらあとは時々様子を見るくらいにおさめられてるというか」

「ふむふむ」

 

お宝がないと即破壊にはならないのは単純に手間の問題だったりするんだろうか?あるいは危険性か。……新入りがあんまり深く突っ込むと悪く思われそうだし、ここは即破壊はあんまりないということだけ覚えておこう。

 

「他になにか質問はありますか?」

「そういえばワタルさんはどこに行かれたんです?姿が見えませんけど」

「ワタルさんなら朝早くに出られました。言伝を預かりましょうか?」

「んー……今度お会いした時直接言うことにします」

「はい」

 

さて、これでとりあえずやることは済んだと思う。

 

「色々ありがとうございました。俺ももうここを発ち元の村に戻るつもりですが、また来ると思うんでその時はまたよろしくお願いします」

「はい。その時はまた対応させていただきますね」

 

最後にお互い一礼し、カランさんに捕まったナリタさんたちを尻目に、こっそりと店を出る。時刻は昼前。太陽を目印に方角を合わせ南を見やる。それから少し歩くとすぐに村の出入り口に着いた。自警団らしき村人に軽い目礼をしてそのまま外に出る。また少し歩いて村から見えない位置まで行ったら今度は東に方向を合わせ、買ってきた地図を見ながら歩き出す。目指すは我らがダンジョン、『緑の楽園』への帰還だ。

 

「お土産話が手に入ったのと、人間の間での地位が手に入ったのは嬉しい誤算だった。これらを手土産に、いざ帰還!」

 




未だにこの作品の強みと言うのものが見出せませんが、そのうち図を使ったマップ付きダンジョン作成作品にかじを取るつもりです。あと今回出てきたダンジョンも近く作品内で出すつもりです。そのための伏線回。
今更ですが、この作品はWEB版準拠です。対戦よろしくお願いします。
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