ダンジョン大好きダンジョンマスターが理想のダンジョンを作るまで   作:一一生寝てたい一

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俺と帰還と①

買った地図の縮小がわかりづらかったり、手書きらしく細かい部分がわかりづらかったりといろいろ問題点はあるけど、道がわからないほどではない。道中ちまちま休みを挟みながら、数時間後俺は森の入口までたどり着いていた。既に日は沈み始めており、辺りが暗くなるまでそうかからないことが伺える。

 

「急がないとな」

 

地図の今まで歩いてきた距離と時間から算出するに、ここから『緑の楽園』まではほんの二時間ほどだろうか?大分近くまで来た。

 

「テントとか、夜を越せる道具を買ってきた方が良かったかな……いやそもそもテントってあるのかね?」

 

今から夜に入るのに合わせて森に入ろうというのは少々危ないのではないだろうか?食料もないので、はっきり言って遭難したら最期だ。

今から戻って購入することも少し考えたが、今から戻れば何故戻ってきたのかという疑問は抱かれるだろう。ロムニ様たちとの合流も遅れる。出来る限り早く合流は済ませてしまいたいので、やはり戻る選択はない。

 

「じゃあ……行くかぁ……」

 

正直あまり気は進まないが、状況的にも行くしかない。

 

「なに、ダンジョンまで行ければ全部解決するんだ。問題なし!」

 

 

 

それから約二時間後。俺は迷っていた。遭難である。

 

「あれぇ……?」

 

地図を見ながら周囲を見渡すが、深い森の中、目印になるものもない。一度道を外れてしまえばどうしようもなかった。

何度も周囲と地図を確認しながら進むが、見知った場所に出ることもない。

再度周囲を見渡し、嘆息。空を見ようと上を見上げるが、木々が上空を覆い隠しそれすら叶わない。

 

「終わった……これは終わった」

 

思えばロムニ様たちとのダンジョン作りは楽しかった。なんせ命がかかっているのだ。皆真面目に取り組んでいたし、ダンジョンを作りたいと言っても笑う奴の一人もいなかった。

 

「俺には過ぎた職場だった。ここで死ぬのもまた天命か」

「あの~……」

 

ふと。木々の陰から聞き覚えのある声が聞こえた気がした。

 

「この声は……ランさん?」

「はい~」

 

誰かと思えば同僚の一人のランさんだった。森の木々に映える緑の身体が美しい。

しかしなぜこんな場所に彼女が?

 

「ロムニ様から迎えに行くよう言われまして。思ったよりも近くて助かりましたわ~」

「ああ、なるほど」

 

ロムニ様からの助けだった。天(ダンジョンコア)はまだ我を見捨ててはいなかったか。

助けが来てくれたなら話は早い。さっさとダンジョンに戻ってまたダンジョン作成の続きに戻ってしまいたい。さっきから虫に引っ付かれて鬱陶しいことこの上なかったりするし。

 

「よし。それじゃさっそくでなんですけどダンジョンまで案内していただけますか?」

「はい~……と言いたいところなのですけど~」

 

なぜか歯切れ悪く途中で言い淀むランさん。なにかあっただろうか?まず真っ先に考えられるのは俺の裏切りの可能性とかだけど、そればっかりは信じてもらうほかない。

 

「この場で証明するのは難しいですけど、俺は裏切ってませんよ。その証拠に周辺ダンジョンの情報も持ってきました」

「ああ、いえいえ。その可能性は最初から疑っていませんわ」

「あれ?そうなんです?」

「ええ。元々がたまたま召喚されたモンスターであるあなた様が裏切るとは考えにくいですから~」

「ああ、なるほど」

「それはそうと、ダンジョンの情報は助かります。ロムニ様にもいい報告が出来そうですわ~」

 

どうやら裏切りを疑われているというわけではなかったらしい。そうなると本当に言い淀みの理由が分からなくなる。考えられるのはダンジョン側でなにか問題が起きた可能性だが、なにかあったのだろうか?

 

「俺が出た後、問題でも起きたんですか?」

「察しが良くて助かりますわ~。実はユーマさんにも関わる事なのですけど~」

 

はて?俺に関わる事?二人目の人間が召喚されたとかか?

 

「あの後、ユーマさんがダンジョンの外に運ばれて行った後のことです。私たちは戦力を少しでも増やそうと戦闘能力の高いメンバーを迎え、急ぎ第二層を整えることにしましたの」

「はぁ。それ自体はいい判断だと思いますが」

「そう、そこまでは問題ありませんでしたの。問題は呼んだモンスターでして~」

「なんでしょう?反抗的とか?」

「いいえ~それはロムニ様が直々に躾けられてなんとかなりましたわ~」

「あ、反抗的ではあったんだ……」

 

そうなるとなんだろうか?俺に関わることとなると、召喚されたモンスターが人喰らいとかか?

 

「仲間に人間がいるとお話ししたら、『人間なんて脆弱な!いつ裏切るとも知れない!今すぐ追放すべきだ!』と来ましたの~。もちろん説得はしたのですけどいまいち聞き入れたがらなくて~」

「ああ、そういう……種族は?」

「ヴァンパイアですわ~」

「またいかにもな……」

 

しかしそうか、今まではなかったけど、俺が原因で協力したがらないモンスターっていうのもいるのか。基本的に出てくるモンスターは皆ロムニ様に忠誠を使ってるもんだと思うけど、俺は違うからだろうか?

 

「しかしヴァンパイアですか」

「あら?なにか?」

「ヴァンパイアって弱点たくさんあるじゃないですか。よく呼ぼうと思いましたね?」

「それなら問題ありませんわ。残ってたDPのほぼすべてを費やして弱点のほぼすべてを消しましたから~」

「そんなに……それで強いんです?」

「少なくとも、ロムニ様と真剣勝負をして3分は稼ぎましたわね~」

「ロムニ様が強すぎる……」

「ヴァンパイアの方は弱点をなくす時に足りないDPを補うため、多少魔法を削りましたから~。身体能力はロムニ様に迫るものがありましたわ」

 

そうなると今すぐどうこうというのはないだろう。反抗的なのもロムニ様に躾けられたというし。

そうして歩いていると次第に周囲が見慣れた光景に変わってくる。たびたびメニューの映像で見ていたダンジョンの周囲の木々の配置だ。

 

「着きましたかね?」

「ですわ~。さて、ユーマさんのヴァンパイアさんへの対応の仕方なのですけど~」

「ん?なにか?」

「『とにかく毅然とした態度で接せ』との指示ですわ~」

「ああ、わかりました」

 

忽然とした態度、というのは苦手なのだが、とにかくやるしかないだろう。頑張って舐められないよう接するしかない。こればっかりは俺の問題でもあるのだから。

 

「それじゃあ、ダンジョンの中に入りましょうか~」

「ええ。そういえば、どれくらい俺のこと探されてたんです?」

「ヴァンパイアさんのことが片付いてすぐですから~。およそ10時間ほどでしょうか~?」

「……ご迷惑をおかけしました!」

 

結構な時間捜索されていた。この恩はどこかで返さなくてはならないだろう。忘れないよう頭の片隅にとどめておく。

 




お久しぶりです(土下寝)身の回りが忙しくなっていったん創作から離れたのですが、そうなるとなかなか戻る決心がつかずここまで遅れる流れになりました。申し訳ない。
幸い次以降の展開は多少考えているため、今後しばらくはある程度安定して投稿……できるといいなぁ……
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