ダンジョン大好きダンジョンマスターが理想のダンジョンを作るまで   作:一一生寝てたい一

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私たちとダンジョン調査と

あれからまた三日が経った。その間俺はと言えば、ポーション作成にただひたすらに魔力を注ぎ込んで飯食って消耗した魔力を回復するために寝る。これを繰り返していた。

 

「ごちそうさまでした。んじゃ寝ますね・・・」

「待った。これを見てくれ」

「はい?」

 

ところが今日は少しばかし違ったらしい。寝ようとしたところを呼び止められた。

はてなにかあっただろうか?もしくはあったのだろうか?

 

「侵入者が現れた。三人組だ」

「ああ、なるほど。そしたら一緒に見ていた方がいいですかね」

「うむ。今日はポーション作りは休め」

「了解です」

 

布団(5DP)をしまい直し、ロムニ様が広げたモニターを横から覗き込む。そこには確かにダンジョンに近づいてくる三人の姿があった。この前の時はダンジョンの入口(地面に直についている階段)の辺りまでしか領域を広げていなかったが、この三日間の間に周囲100mくらいにまで領域を広げてある(しめて500DP。残り約38500DP。ポーションはまだ換金していない)。

 

「今度は何の目的で来たんですかね?前はたまたま見つけてって感じでしたけど」

「調査、じゃないか?冒険者ギルドなるものもあるらしいしな」

「だとしたら結構な実力者なんですかね?」

「みたいだ。これを見ろ」

 

そう言ってロムニ様はメニューの一画面を拡大して見せてくる。そこには一日当たりの獲得DPが表示されている。

 

「一人当たり・・・70DP!?前の奴らの三倍近いじゃないですか」

「数字の大きさ小ささがなにによって変わるかは定かじゃないが、おそらく実力か、所有しているお宝の価値だろうな」

「なるほど。そしたらこいつらは力のある奴らかお宝を持ってきたやつらと」

「そういうことになる。まあ前者だろう」

「ですよねぇ」

 

侵入者からどうやってDPを取っているのかは分からないけども、とりあえずたくさんDPが絞り出せてかつ無害、なんて都合のいい事はないだろう。取れるDPが多いのはおそらくそれだけそいつが危険だからだ。ロムニ様はそういう考えなんだろう。自分も同意見だ。さすがになんの脅威もなしにDPだけもらえるとは思っていない。DPがもらえるということはそれだけ脅威があるということだと考えた方がいいだろう。つまり取れるDPが三倍なら脅威の度合いも三倍なのだ。その上で考えるなら、こいつらは前に来た奴らの三倍近く強いと考えた方がいい事になるわけで。

 

「界王拳とか使ってるんですかね冒険者って。いきなり三倍って」

「かいおうけんがなにか分からないからなにも言えん」

「ああうん。ですよね・・・」

 

現実逃避はここまでにしておこう。とりあえずはこの新しい侵入者たちの様子を見なくては。・・・あれ?

 

「ん?・・・一人10DPの冒険者がいます。こいつはなんでしょう?」

「ふむ?周りの奴より緊張しているようにも見えるな。・・・新米か?」

「すると新米の研修も兼ねて連れてきていると。舐められてますね」

「見くびってくれる分には構わん」

 

仮にも新ダンジョンのはず(俺の知らない索敵手段があるのでなければ)なのに、新米を連れてくるのか。いやもしかしたらギルドの調査要員かもしれないけど、その割には若いし装備が整っている。おそらく戦闘要員、つまり冒険者だろう・・・と思う。

 

「まぁなんにせよお手並み拝見ですかね」

 

 

 

「着いたか」

「明らかに周りから浮いている石階段・・・あってますね」

「き、緊張してきました」

「そう固まらなくていいよ。私たちもいるんだし」

 

今回、私ことカランは、長年のパートナーであるシンピと、ギルドから引率を任された新米冒険者のシーイと新しく発見されたダンジョンの調査に赴いていた。なんでも薬草がたくさん生っているそうだ。ちゃんと収穫できれば大量にポーションを精製できる量・・・らしい。普通そんな大規模なダンジョンなら危険もそれ相応のはずだが、確認されたのは現在スケルトンだけらしい。不思議だ。

 

「なんにせよ、とりあえず中に入るところからだな」

「罠はないみたい。先行は任せてください」

「頼むぞシンピ。シーイは真ん中を歩け。一番安全な場所だ」

「わかりました。あの、大丈夫でしょうか?」

「なに、問題ないだろう。・・・情報通りならな」

 

怖がるシーイを勇気づけながら階段を下りていく。階段に備え付けられた松明が僅かに足元を照らす。

 

「事前情報通りだな。持ち前の明かりが無いと足元がちゃんと見えない」

「シーイ。足元気をつけて」

「大丈夫ですシンピさん。ありがとうございます」

 

道中、特に何事もなく、しばらく降りていくと明かりが見えてきた。

階段終わりからこっそり中を覗くと、確かに情報通りの広間が広がっている。

 

「月が出ている。確かに階段を下りてきたよな私たち?」

「そのはず。これはダンジョンで確定してよさそうですね」

 

入口の罠を調べ、そのまま中に入っていく。辺りは月明かりに照らされ、幻想的な雰囲気に包まれているが、決して油断はできない。ダンジョンの中にはあの手この手で油断させ、そこを狙うものもある。

最初の広間を調べ終え、改めてダンジョンの構成をマッピングして記録していく。

 

「ここから繋がるのは三方向か。入口から見て右と左と真ん前」

「木々でわかりづらいですが、隠し扉などもなさそうです。本当に入口の広間って感じですね」

「お二人とも手馴れていらっしゃいますね・・・。っきゃ!」

「どうした?」

「草の中に骨が・・・!」

「骨・・・?スケルトンか!」

 

シーイが悲鳴を上げると同時に、草木に紛れて隠れていた骨がカタカタと音を立てて動き出す。そのまま周囲を取り囲むように数体のスケルトンが立ち上がってくる。

 

「これも情報通り、おらよっ!」

「カラン、前線任せた」

「任された!」

 

わざわざ相手の準備が整うのを待つ理由もない。立ち上がった直後のスケルトンを狙ってハンマーを振りぬく。胴体の骨が砕け、一体のスケルトンが再び倒れこむ。

 

「シーイ、あたしたちの後ろに隠れてな!」

「前線はあの脳筋に任せてれば大丈夫です。私の弓もスケルトン相手では分が悪い」

「は、はい!」

「あと四体か、あんがい少ないな」

「スケルトンは動きが鈍い。代わりにその見た目に反して筋力がある、こういう相手は先手必勝でつぶすのです」

「なるほど!」

 

シンピがのんきにスケルトンの特徴と対策をシーイに教授する傍ら、私はスケルトンどもを片っ端から片付けていく。1体また1体とスケルトンがその数を減らしていく。

 

「おらっ!おらおらっ!」

「スケルトンは肉が無いから斬撃は通じにくく、逆に打撃は直接骨を砕けるため有利です。焼いてもいいですね」

「砕くのはどこでもいいのですか?」

「頭や胴体、人間と同じく致命的な部位を狙うのが効果的です。頭をつぶせばスケルトンの活動は停止しますし、胴体なら動作のほとんどが不可能になります。足でもいいですが、這いずっているスケルトンに切られて逆に足を失った冒険者もいるそうな」

「ひぇ」

「おい、終わったぞ」

「カラン。お疲れ様です」

 

シンピの言う通り、スケルトンは先手を取ればたいした相手じゃない。残りの4体もさっさと片付けて二人の元に戻る。

 

「なんの変わりもないスケルトンだったな」

「そうですね。これだけ特徴のあるダンジョンならもっと強くてもいいと思うのですが」

「そういうものなんですね・・・」

 

動きを止めたスケルトンを軽く見てみるが、これといって変わったところは見られない。これだけ大きいダンジョンなら普通はもっと強いモンスターが配置されているものだけどなぁ。

 

「まぁいいか。先に進めばわかるだろ」

「カランは相変わらずなんというか。まぁそうですね、どっちにしろ先に進むしかないですか」

「先に進むんですか・・・?もう帰りませんか・・・?」

「今回はできればダンジョンコアまで見つけてこいって言われているからなあ」

「まだ進みますよ。体力は全然大丈夫でしょう?」

「うえぇ・・・」

 

シーイはすでに悲鳴を上げ始めている。まだダンジョンに入ってから40分くらいしか経っていないんだがなぁ。ギルドで訓練も受けているはずなのにこの体たらく、もしかしたらこのメンタル面の弱さが原因で今回預けられたのかもな。

 

「道は3つだが、左の道は前に入った冒険者が行き止まりだと言ってたな」

「なら真ん中か右か、どっちに行きましょうか」

「真ん中でいいだろ。考えてもわかんねぇし」

「そんな適当に・・・」

「わかんないもんは適当でいいんだよ。適当で」

「では真ん中で。行きましょうか」

 

話をさくっとまとめ、次に進むと決めた道を調べ始める。しばらく調べてなにも罠が無いという結論に達する。ここまで罠もないと、まるで生まれたばかりのダンジョンのような気がしてくる。

 

「まるで生まれたばかりのダンジョンだな」

「この大きさで生まれたばかりのダンジョンというのはありえるのでしょうか?」

「さぁなぁ。珍しいのは間違いないが」

 

実際、生まれたばかりのダンジョンの中には狭いがモンスターがたっぷり詰まっていたりといったいわゆる『モンスターハウス』と呼ばれる部屋・・・だけで構成されているダンジョンもある。あの類は百害あって一利なしなのでダンジョンコアが見つかり次第破壊することになる。その点、このダンジョンは大量の薬草があって出てくるのはスケルトンのみ。しっかり管理できれば人間にとって有益なものになるんじゃねぇかな。

 

しばらく蔓や蔓に覆われた通路を進むと別の・・・といってもさっきの部屋とほとんど変わらない広間にたどり着いた。さっきと違う点があるとすれば、

 

「シンピ。この草、薬草だ」

「ほんとですね。となるとここは薬草畑といったところでしょうか」

「そんなのダンジョンの中にあるんですか?」

「ダンジョン入門学に書いてあったでしょう?ダンジョンによっては鉱脈が見つかることもあります」

「はえー・・・」

 

この広間の草花は薬草になっている。つまりこの広間は大きな薬草畑なのだ。ギルドに寄せられた報告書によると左の道の先も薬草畑になっているらしい。となると3つの道のそれぞれに別の薬草畑が設置してあるのだろうか。随分とお宝の多いダンジョンだ。

 

「ここも前の部屋と変わらなそうだな。さっさと先に進もうぜ」

「そうしましょう。薬草はまた別の方に摘んでもらうという事で」

「わかりました!」

 

多少調べてみたがやはりこの広間にはなにもなさそうだ。となるとこのダンジョンの宝はやはり薬草の類なんだろう。

この広間からは道が一つ繋がっていた。ちょうど今通ってきた通路と正反対に位置している。罠に気を付けつつ先を確認する。

 

「あれ?この先はさっきの通路と全然違うな」

「どういう風に違うんです?」

「今までの通路は縦に広くて横は狭かったけど、この先は上も蔓に覆われて狭くなってる」

「ふむ?」

 

蔓に覆われているからか月の光も届いておらず、この先の通路は暗くなっている。そのためここから見てわかるのはそれだけだ。

 

「どうする?あたし先頭でこのまま進むかい?」

「そうですね。少し待ってください、魔法で光を出します」

「私、魔法って初めて見ます!」

「こういう機会でなければあまり見ないかもしれませんね」

 

祈るようにシンピが杖を構え、詠唱を始める。

 

『万物を照らす光よ。我が声に応えここに出でよ―――【ライト】』

「わ、杖の先に光球が出てきました」

「光魔法最下級、ライトだな。こんなんでもそこそこいいお値段するんだぜ」

「魔法って買ったら使えるのですか?」

「ダンジョンから発掘されたスクロールを使うと覚えられるんだけどな。そのスクロールが結構するんだよ」

「行きましょう」

 

杖を掲げたシンピを真ん中に、再び陣形を組んで先に進んでいく、しばらくすると、一枚の扉にぶち当たった。

 

「この扉、植物に絡まれていますけど埃とかは被っていませんね。つい最近できたばかりのようです」

「ダンジョンの扉は不思議とそんなんばっかりだけどな」

「なにか秘密でもあるのでしょうか?」

「さてな。いまだダンジョンはわからないことだらけだ」

 

何度目かわからない罠を確認したのち、扉をゆっくりと開ける。何があってもいいように武器はしっかりと構えておく。そのまま何事もなく扉は開き切る。中からは薄い光が漏れ出ていた。

 

「この光、もしかしてダンジョンコアか?」

「え?ダンジョンコアってわかるものなんですか?」

「ダンジョンコアは薄く光っているんです。ですから安置されている部屋も薄く光っていることが多いんですよ」

「はえー・・・」

 

部屋の中に入ると、そこには予想通りダンジョンコアが設置されていた。部屋の中央、台座の上にポンと置かれている。

 

「これを壊すとダンジョンは機能を停止するんですよね?」

「そうですよ」

「ならさっさと壊して出ましょうよぅ」

「ところがそういう訳にもいかないんです」

「どうしてですか?」

「こういった、ダンジョンコアがある場所が分かっていて危険度の少ないダンジョン。もしくは特定のうまみのあるダンジョンはわざと残して管理することがあるんです」

「なるほどー・・・。ここもそうなるんですか?」

 

シーイがぐるんと部屋を見渡しながら聞く。

 

「おそらくは。出てきたのはスケルトンのみ、足元が見にくかったので罠の警戒を強めていましたがそれもなし。ここまで危険度の低いダンジョンはなかなかないですね」

「はえー・・・」

「もういいか?そろそろ帰ろうぜ。ダンジョンコアの位置も分かったことだし」

 

ダンジョンコアのある部屋でそのまま話込め始めた二人に声をかける。わざわざここで話を続けることもないんだ。講釈はダンジョンを出てからすればいい。

 

それからは追加のスケルトンが出てくることもなく、ダンジョンを出れた。

 

「結局出てきたのは最初のスケルトンのみ。規模に対して明らかに出てくるモンスターの強さが見合っていませんでしたね」

「そうだなぁ・・・。見つけたダンジョンコアが偽物の可能性も考えるべきか」

「そんなことあるんですか?」

「たまにな。ダンジョンコア破壊しても活動し続けたり、複数のダンジョンコアが見つかるダンジョンもあるんだよ」

「ダンジョンにも知恵があるということなのでしょうね」

「ダ、ダンジョンに知恵が・・・」

「突然変化することもあるしな。意志のようなものを持ってるんじゃないかって話も最近出てる」

「まぁそう恐れる物ではありませんよ。変化するときには大体前兆がありますから」

「それでも怖いですよ」

 

今回の探索では本物か偽物かはさておきダンジョンコアも見つけられた。ギルドからの依頼は達成したと言える。ギルドからの依頼は割がいい、もらえる金額を想像して思わずにんまりしてしまう。

 

「さっさと帰ろうぜ。そんで酒だ!」

「カランは酒好きですよね・・・」

「わ、私もご一緒させていただいていいですか?」

「いいですよ。口調もそんな硬くなくて大丈夫です」

 

 




高評価が嬉しかったので連投します。評価してくれた方ありがとう!ダンぼる流行れ!
シーイ→新入り シンピ→神秘 カラン→??? 過去何を元にこの名前を付けたのか自分でもわかりません
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