魔法科高校の劣等生-嘘吐きの百合-   作:ぼいら~ちん

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いつの間にかお気に入り数が物凄い増えててビックリした。
これからも頑張って書いてくんで応援よろしくお願いします!!


第十射 一難去ってなんとやら

「長かった…この一週間がとても長く感じた…

まさしくあれだ…本当に本当に…何て遠いm」

 

「はいはいお疲れお疲れ~

よし、このあたしが労ってあげたんだから代金としてケーキ奢って貰うわよ」

 

「うわ容赦ねぇ…」

 

勧誘期間が終わった次の日の放課後。

俺は疲労感に打ち拉がれぶらぶらと両腕を揺らしながら俯いていた。

しかも俺が大好きなジョニィの名言を途中で掻き消しエリカのケーキ奢れアタック…

もう止めて!!

俺のライフはもう0よ!!

 

「ま、流石にそれは嘘として。

アンタも凄いよね~

一週間前の桐原先輩との試合の所為で学校中でアンタと達也くんの名前知らない奴なんて居ないんじゃないの?」

 

「やっぱり俺がイケメンだかr」

 

「それはない。

ぜったいない。

かくじつにない。

ひゃくぱーせんとない」

 

「本当に心折れるから止めて…」

 

一週間前、「どこの馬の骨だか知らない一年が剣術部二年のレギュラーである桐原武明を倒した」という事実は色んな方向にねじ曲がり「謎の最強剣士現る」なんて変な噂が広まってしまった。

その上あの試合の後襲いかかってきた14人の剣術部部員相手に無傷であしらった達也の事も一気に噂として広まり、上級生に気に入られなかった俺と達也は事故に見せかけボコされかけた。

どの手口も大体一緒で俺達のどちらかが近寄ると喧嘩を始め仲裁に入ると誤射に見せかけた魔法の十字砲火(クロスファイア)

達也は三回、俺は十回近くそんな目にあってリアルにヒットポイントが尽きかけていた。

 

「百合は「謎の最強剣士」、達也は「並み居る魔法競技者(レギュラー)をなぎ倒した二科生(イレギュラー)」ってんで有名人だぜ?」

 

「他には達也さんだと「魔法否定派から送り込まれた刺客」、百合くんは「死んだ宮本武蔵の亡霊に取り憑かれた男」なんて言われてる」

 

「何が宮本武蔵だよ……

しかも取り憑かれたとか縁起でもねぇ」

 

俺についてきた雫がレオの言葉に付け足す。

取り憑かれた、か…俺幽霊とかダメな性質なんだって…

 

「宮本武蔵だぞぉおおおお!!」

 

「うぎゃあああああ?!」

 

恐怖にブルブルと体を震わせていた俺の背後から両肩にゆっくり手が添えられ謎のI am宮本武蔵宣言。

それに驚いた俺は叫び声をあげ物陰へと猛ダッシュで逃げていった。

 

「ゆ、百合くん?

どうしたの?」

 

「い、今、み、宮本武蔵の亡霊が……って今のてめぇかエリカァア!!」

 

「あっはっはっはっはっは!!

昔っからアンタ怖いのダメだもんね!!

四年経っても変わんないとかアンタどこの小学生よ!!」

 

「ふざけやがってぇえええ!!」

 

突然大声で叫んだ俺におっかなびっくりなほのかは恐る恐る声をかけてきた。

青ざめた顔で返答すると俺の立っていた位置にはエリカがげらげらと大笑いしながら床をバンバンと叩いていた。

そんなエリカを猛ダッシュで追いかけ始める俺。

当然エリカも猛ダッシュで逃げる。

 

「きゃ~犯される~」

 

「んなことするかこのダボが!!」

 

「その辺にしておけ。

変な誤解が生まれるぞ。

ところでその根も葉もない噂の情報源は誰なんだ?」

 

「あたしー」

 

「「おい!!」」

 

追いかける俺と追いかけられエリカをいつも通りのポーカーフェイスで宥める達也。

そしてこの奇々怪々とした噂の話へと会話の内容を戻す。

誰がこんな事をしたのかという俺も気になっていた疑問を問いかけるとエリカが反応した。

 

「勿論冗談だけど」

 

「お前は本当にそういうことしそうだから冗談でもやめてくれ」

 

百合・ゲラーなんて変な渾名が広まったのもお前の所為、つまり前科持ちなんだよお前は!!

なんて言う元気は俺にはない。

寧ろ言い返したらエリカの思う壺だと思う。

 

「でも噂の内容は本当。

こんな噂に尾ひれがついたのはそれだけ二人の強さが衝撃的だったってこと」

 

「そういうもんかなぁ?」

 

「アンタももっと自信持ちなさいよ。

それこそ風紀委員なんだからいつ誰にナニされるかわかったもんじゃないわよ?」

 

「変に含みのある言い方をしないでくれ」

 

そのナニをされるかについては聞かないでおく。

想像しただけで鳥肌が立ってきた…

 

「って俺今日見回りの当番じゃん…

ごめんなエリカ、ケーキ奢んのは明日で良いか?」

 

「仕方ないわね…待っててあげるわよ。

万年便所飯ぼっち野郎のアンタをこの可愛いあたしが一緒に帰ってあげるんだからありがたいと思いなさい」

 

「毎日ありがとな」

 

エリカの頭をぽんぽんと撫でる。

恥ずかしそうに顔を耳まで真っ赤に染めて俯くエリカ。

憎まれ口にイラッと来たがこれもコイツなりのコミュニケーションなのだということを知ってる俺は特に怒ったりはしない。

 

「じゃ、みんなまた後でな」

 

「百合!!」

 

「ん?」

 

「け、怪我とかしないでよ」

 

「わかってる、心配すんな」

 

そう言うと俺はみんなに背を向け風紀委員本部のある校舎へと歩き出した。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「今時ガラス瓶に入ったコーラが売ってる自販機なんて珍しいわね」

 

「やっぱりコーラはガラス瓶に口付けて飲むのが一番美味いからな。

とうとう見つけたぜって感じだよ」

 

日も沈みかけてきたころ。

見回りを終えた俺はエリカと共に駅前のお店が密集しているエリアに来ていた。

曰わく「時間も遅いからケーキじゃなくて晩御飯奢りなさい」だそうだ。

 

「晩飯奢れっつってもさ、何が食べたいとかそういうリクエストとかある?」

 

「うーん…なんでもいい?」

 

「物による」

 

「じゃあ満漢全せk」

 

「わかった、ラーメンな」

 

「ちょ?!

せめてフランス料理のフルコースとか奢って頂戴よ!!」

 

「それも却下だ。

第一に満漢全席とかフランス料理のフルコースとか出してくれる店なんてこの辺りにあるのかよ?」

 

「あるじゃない。

ほら、あそこ」

 

エリカが指差した方向に視線を向けると如何にもな中華料理店の看板が見え、入口の前に置いてある立て看板には「満漢全席あります」の文字。

その下には要予約と書いてあるが。

 

「……じゃあお前の誕生日にな」

 

「わ~いやった~!!

約束だからね!!

それまでに死んだりしないでよ!!」

 

「死ぬとか言うなよ縁起でもねぇ」

 

「や、やめてください!!

はなして!!」

 

時間帯が時間帯なだけに路地から女の子の声が聞こえてくる。

女の子は二人でその内の一人が男に腕を捕まれておりもう一人がそれを必死に引き剥がそうと奮闘しているという構図だ。

 

「ほのかをはなして!!」

 

「ほら建ったじゃない。

アンタの死亡フラグ」

 

「今のワンシーンのどの辺で?!」

 

俺のツッコミを完全スルーしエリカはどんどん路地の方へと進んでいく。

 

「ってよく見たら雫とほのかじゃねえか!!」

 

「あぁあん?

なにお前、この子たちの友達ぃ?」

 

俺がひたすらツッコミまくるとそれに気付いたのかほのかの腕を掴んでいた男がこちらに体の向きを変えた。

そして雫がこちらへと駆けてきて俺の後ろへと隠れる。

 

「雫、一体どういう状況だこれは?」

 

「達也さん達とご飯食べに来たら私達二人だけはぐれちゃって…」

 

「それで達也達を探す最中、ここの路地を通ろうとしたらあの男の人に絡まれた、と」

 

「絡まれたとは心外だなぁ兄ちゃん。

俺はこの子達を教育してたんだよ。

大人の教育ってやつをなぁ」

 

よく見ると男の左手はほのかの制服のボタンに触れておりそれをゆっくりと片手で外していく。

怖くて声を出すことが出来ないほのかは俺に助けてを求めるように涙の溜まった瞳をこちらに向ける。

 

「はあ…そんな目で見つめられちゃあ俺が助けざるを得ないじゃあないか。

エリカに任せようとしたけどこればかりは仕方がないな」

 

「あ?

なにを言っ―-」

 

次の瞬間、男の体が何かに撃ち抜かれたように後方へと吹き飛ばされた。

その反動でほのかを握っていた手は離れほのかはこちらへと駆けてくる。

 

「遅くなって悪いな」

 

「い、いえ!!

怖かったけど百合くんなら助けてくれるって信じてましたから」

 

「でも百合くん、今何を…」

 

「いってぇな糞がぁ…」

 

「あり?

まだ気ぃ失ってないんだ?」

 

俺は手に持っていたコーラの空き瓶を投げ捨て鞄からもう一本瓶のコーラを取り出す。

 

「じゃあわからなかった雫ちゃんの為にもう一回お見せしましょう!!」

 

「ふざけてんじゃねぇよクソガキがぁああああ!!」

 

男は拳を握りしめこちらへと走り出す。

そして俺の顔面に向かって拳を振り抜く。

 

「そんなよろよろで俺の相手が務まるかっての」

 

しかしその拳は空を切り、前屈みになった男の額にコーラの飲み口をあてる。

 

「栓を吹っ飛ばす!!」

 

「あがぁ?!」

 

突然俺の手にあったコーラの王冠が吹き飛び男はボクサーの渾身のアッパーカット食らったかの様に体が仰け反る。

少し宙に浮いたその体は重力に従って地面へと落ちていった。

 

「コーラの栓が…まさか今のは振動系魔法?」

 

「流石は雫だな」

 

俺は中身が半分くらい残った瓶を雫に手渡す。

 

「何これ…暖かい?」

 

「そう。

コーラに振動系魔法をかけて温度を一気に上げることによって栓を飛ばしたんだ。

突沸と二酸化炭素で圧力が変わることによって栓が飛んでくんだが…沸騰したコーラってのはドロドロになるんで飲めなくなるんだわ」

 

雫はその手に持ったコーラの瓶を逆さにする。

すると下に溜まっていた黒い物体がゆっくりと重力に従って飲み口へと流れていく。

 

「でも、百合くんって振動系の魔法って苦手じゃありませんでしたか?」

 

「この間雫が教えてくれたんだよ」

 

「うん。

あの時の百合くん本当に面白くて…ふふふ…」

 

肩をプルプルさせながら笑う雫。

いやね…折角入試で一位になったんだから系統魔法は全部使えるようにした方が良いって思わない?

 

「ま、二人とも無事だった事だし、達也達探してみんなで飯食うか」

 

「はい!!」

 

「当然全員分奢ってくれるのよね?」

 

「んなことするわけねえだろ!!」

 

「百合くんありがとう」

 

「確定事項?!

…仕方ない、奢ってやるよ全員分!!」

 

「よっ、太っ腹!!」

 

「ありがとうございます!!」

 

みんなの笑顔が見れればそれで良い。

例え俺の周りから人がいなくなったとしてもみんなが笑顔なら良い。

こいつらの楽しそうな顔を見ていると本気でそう思えてくる。

だから俺はこいつらを守りたい、二度と悲しい思いをしないために。

そう思った。




最後まで読んでいただきありがとうございます!!
次回もお楽しみに!!
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