魔法科高校の劣等生-嘘吐きの百合-   作:ぼいら~ちん

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投稿遅くなってすみません!!
以後気をつけます!!


第十四射 守るための戦い

「……記憶の改竄か。

何度見ても胸糞悪いな…ったく」

 

俺は保健室のベッドに座りながら空になったマガジンに弾を込めながら呟く。

その横の机にはバラバラになった武装一体型CAD「ライアーリリー」が置いてある。

今俺は保健室で壬生先輩の聴取を行っていた。

彼女は侵入者と共に学園の図書館から魔法研究に関する論文を盗み出そうとしていたのだ。

それをエリカに止められ、腕に怪我を負いあまり聴取などをしていい状態ではないのだが本人の意向で生徒会の三巨頭と俺、達也、深雪、エリカ、レオの八人に対してことの経緯を話してくれた。

先輩がこのような行為に及んだ動機で、「渡辺先輩に剣の稽古を頼んだのだがすげなくあしらわれた」とのことだった。

本当はすげなくあしらったのではなく「壬生の方が強いから稽古の相手を辞退する」という内容で、完全に事実とは食い違っていた。

この手のことは反魔法組織が一般人を利用するためによく使う手口だが、毎度毎度よくもこんな非人道的なことをするよなと思う。

 

「なあ達也、この場合の問題ってただ一つだよな」

 

「ああ。

奴らが今どこに居るのか、だな」

 

「……まさか、彼らと一戦交えるつもりなの?」

 

「まっさかぁ」

 

恐る恐る質問を投げかける真由美さん。

俺のあっけらかんな返答に一瞬ほっとするも俺の返答はまだ続いている。

 

「そんな生ぬるいことで終わりにするわけないじゃあないですか」

 

「百合の言う通りです。

一戦交えるのではなく叩き潰すんですよ」

 

「馬鹿を言うな!!

学生の領分を越えている!!」

 

ドスの利いた声で答える俺達。

それに対して真っ先に反対したのは姉上だった。

 

「私も同じ考えよ。

このことは警察に任せるべきだわ」

 

「じゃあ姉上達は良いんですか?

壬生先輩をこのまま強盗未遂で家裁送りにしても」

 

バラバラだった拳銃を組み立て終え遊艇を引く。

遊艇が元の位置に戻ったときに放たれる独特な音が静かになった保健室内に響き渡った。

 

「なるほど、警察の介入は好ましくない、か。

しかしな司波、十六夜。

このまま放置はできないからと言っても相手はテロリストだ。

下手をすれば命にかかわる。

俺も七草も渡辺も生徒に命を懸けろとは言わん」

 

俺と達也に厳然たる態度で語りかけて来たのは部活連会頭の十文字先輩だった。

 

「そんなこと言われるのは百も承知ですよ」

 

「最初から委員会や部活連の力を借りるつもりはありません」

 

「……お前達だけで行くつもりか」

 

「まあ、そうしたいのも山々なんですけど……

コイツらが何を言っても付いてくる気満々っぽいんでそうもいかないでしょうね」

 

「お兄様、私もお供させていただきます」

 

「あたしも行くわ」

 

「俺もだ」

 

俺の言葉に密かにその瞳に闘志の炎を灯していた三人も参戦の意思を示した。

 

「司波くんに十六夜くんもしもあたしの為ならこんなことはやめて。

私は罰を受けるに値する罪を犯した。

それにその罰を受ける覚悟もできてる。

そんなことよりも司波くん達があたしの所為で傷付く方が耐えがたいわ」

 

ことの発端とも言える壬生先輩が止めに入る。

しかし達也はその誠意に応える気が微塵もないような表情で振り返った。

 

「壬生先輩の為ではありません」

 

その言葉にショックを受けた先輩は反論する気もなくなったのか黙り込んでしまった。

 

「自分の生活空間がテロの標的になったんです。

俺は深雪との日常(・・)を損なおうとするものを全て駆除します。

それが俺にとっての最優先事項です」

 

きっぱり言い切った達也は俺の方へと視線を向ける。

俺の顔を見た達也は少しだけ口を緩めると更に言葉を紡いだ。

 

「…百合の理由は少し違うようですが」

 

「まあそうですね。

俺は本来ならこう言う事件に遭遇したら警察にチクらなきゃいけない立場なんだけど……」

 

「……そう言えばそうだ。

確かお前の家は代々、頭首の子供のなかで最も能力の高い人間を十二歳になったら警察官にさせているはずだ」

 

「しかも「魔法に関する事案は遭遇した場合すぐに連絡する」という条件付きでね。

俺の代は両親が亡くなってしまったのですがその伝統だけは残っていまして現在も俺はその警察省テロ組織対策本部の捜査官としての任に付いています」

 

その証拠に懐から手帳を取り出しみんなに見せる。

全員が確認を終えたのを確認すると懐にそれをしまいながら言の葉を紡いだ。

 

「……どの道あたしが捕まるのはすぐだったってことね」

 

「だから俺はそんなこと考えていませんって。

俺は警察の人間である以前に一人の人間ですし、十二の誕生日の時に決めたんです。

自分の手の届く範囲の人を幸せにするためなら自分の全てを投げ捨てたっていい。

それが例え偽善とか自己満足だとか言われてもそれを善だと信じて戦い続けるって」

 

「なんで…そこまでするの?

悪いことをしたのはあたしなんだよ?」

 

壬生先輩が疑問を口にする。

恐る恐るといった表情の彼女に俺は笑顔で語りかける。

 

「俺は他人に対しては嘘吐きなんですよ。

でもね、自分の心だけには嘘を吐きたくない。

それだけの話です。

それに、あなたにもう一度チャンスをあげて下さいって頼まれちゃったんですよねぇ」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「いだっ?!」

 

工場の門扉を突き破り地面に着地すると同時に大きく揺れる。

それと同時に大きく跳ねた車内のみんなの中で俺だけ天井に頭をぶつけてしまった。

 

「アンタ…本当に大丈夫?

これから戦うってのに緊張感ないわね…

ってアンタ鼻血出てんじゃないの!!」

 

「あ、ほんとだ」

 

ぶつけた後頭部をさすりながら悶える俺にエリカは声を掛けてくれた。

そして俺の顔を指差して声を上げる。

道理で鼻があっついと思ったら…

 

「これあげる。

使いなさい」

 

「おお、悪いな。

今日ティッシュ忘れちゃってどうしようって思ってたんだよ」

 

「はあ…」

 

エリカからポケットティッシュを受け取り一枚取り出し鼻に突っ込む。

その横ではあきれ顔の達也がわざとらしいため息をついていた。

そのついでに俺達は乗ってきた大型のオフロード車から降りた。

 

「司波、お前が考えた作戦だ。

お前が指示を出せ」

 

「はい。

百合、お前は退路の確保と無いとは思うが援軍の殲滅だ。

レオとエリカは百合のサポートと百合の撃ち漏らしの始末だ」

 

「わっかりました隊長殿ぉ!!

漏れなく全員縛りあげときますよ」

 

流石に緊張感のなさすぎた今の発言に少し達也のペースが崩れかけた。

 

「……会頭と桐原先輩は左手から迂回して裏から中へ侵入してください。

深雪は俺とこのまま正面から踏みこむぞ」

 

「わかりました」

 

「百合、くれぐれも車が吹き飛ばされるなんてことはしないでくれよ」

 

「この俺にまっかせなさーい!!

じゃあ四人とも気をつけて」

 

俺が中へと向かう四人を気遣う言葉を掛けて送り出す。

そして俺は鼻血の所為で少々くらくらするため近くの木陰へと向かいそこで地べたに腰を下ろした。

 

「じゃあお前ら、今から俺が三つ命令を出す。

これだけはこの作戦内では絶対に守ってくれ」

 

俺は胡坐の体制で顔の前で指を三本立てる。

 

「なんだ?

妙に真面目じゃねえか」

 

「アンタがそう言うってことは相当な重要事項ってことよね?」

 

「重要って言うか最優先事項だな。

命令は三つ。

死ぬな、死にそうになったら隠れろ、そんで逃げろ、運が良ければ隙を突いてぶっ倒せ。

あ……これじゃあ四つか?

ま、取り敢えず死ぬな。

それさえ守れば後は万事どうにでもなる」

 

「……ほんっとにアンタには緊張感ってものが欠落してるわね。

まあ、そんな約束なら守ってあげるわよ」

 

「同じくだ。

戦略的撤退も戦術の内ってな」

 

「わかってんじゃないの……っと、敵さんのお出ましの様じゃないの」

 

オフロード車の向こう側がだんだんと騒がしくなってくる。

その向こうから立ち上るのは夥しい数の想子の光。

 

「……数はざっと二十前後、いけるな?」

 

「一人七人くらい?

そんなの余裕に決まってんじゃない」

 

「俺も舐められたもんだな。

楽勝だっての」

 

二人は敵の数に怖気づくこともなく、寧ろその数に士気が上がっているようだった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「な、何故だ?!

何故キャスト・ジャミングの中で魔法が使える?!」

 

目の前の男-司一が何度目かわからないが驚愕の色に顔が染まった。

その周りには体の一部から血を流しながらうめき声を上げる男達。

そしていつの間にか屋外の戦闘の音もなくなっていた。

 

「ひぃいい!?」

 

後ずさりする司一、その背にあった壁から突如として煌めく物体が突き破りそのまま壁が切り裂かれた。

その煌めく銀光を放つ物体は桐原先輩の高周波ブレードの刀身だった。

 

「やるじゃあねえか司波兄。

で、そこで腰抜かしてる奴は誰だ?」

 

壁に張り付き怯えている男に桐原先輩は蔑みの目を向けた。

 

「それがブランシュのリーダー、司一です」

 

「こいつが……?」

 

突如桐原先輩の全身から驚くほどの覇気が放たれる。

そしてゆっくりと煌めく刀身を頭の上へと振り上げる。

 

「壬生を誑かしたのはテメェかぁぁあああ!!」

 

「ひぃいいい!!」

 

最後の力を振り絞り、とでも言ったものか司一は今までの数倍の出力の想子のノイズを桐原先輩に浴びさせる。

その影響で手に持っていた刀は光を失うものの、刃引きされたその刀が奴の体を引き裂くのは既に決まっているはずだった。

 

ドゴォオン

 

しかしそれは叶うことなく屋外側の壁が吹き飛ぶのと同時に桐原先輩が持っていた刀も何かに弾かれたように宙を舞った。

 

「……何しやがる?

十六夜!!」

 

砂埃の中から現れたのは黒髪の少年。

その両手には金色の四角形が両脇に描かれた拳銃を携えており、へらへらと不敵な笑みを浮かべながら司一の目の前に立ちはだかった。

 

「……ブランシュ日本支部のリーダー、司一。

答えようが答えまいが、俺は今からお前にごく簡単な質問をする」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

あたしが百合が壁にあけた穴から中を覗き込むとそこには普段の百合からは想像すらできない程の殺気を放ちながらも普段通りの緩い声で目の前の男の眉間に拳銃を突きつけながら目の前の男に話しかけていた。

 

「俺が質問して二秒以内に答えなかった場合は俺はテメェの眉間に弾丸をぶち込む。

中に込めてあるのは軍事訓練用の拳銃用のゴム弾だが、今は特殊な術式を用いて威力を上昇させてる。

さっきの爆発を見てりゃ、この意味がわかるよな?」

 

百合は男の眉間にごりごりと銃口を押し当てると男は壊れたおもちゃのように何度も何度も首を縦に振った。

 

ウーノ()ドゥーエ()、それ以上は待たねえ。

例えアンタが答えなくても自分で探しに行くつもりだが……ま、情報は少しでも多い方がいいだろうと思ってな。

じゃあ質問タイムだ。

『四年前、十六夜家の人間を皆殺しにした奴は誰だ?』

……ウーノ()

 

ゆっくりと百合はカウントダウンを開始する。

 

「し、知らない!!

本当にそんなことは知らないんだ!!」

 

「……ドゥーエ()

じゃあ死ね。

それくらいの覚悟はしてここに来ているんだろう?」

 

引き金に指を掛ける百合。

その拳銃にはまだ『黎明のクェーサー』が発動中である証の黄金の長方形の光は灯っている。

 

「の、無頭龍(ノー・ヘッド・ドラゴン)だ!!」

 

「あ?」

 

「無頭龍の人間だ!!

名前まではわからないが四年前のあの事件の実行犯は無頭龍に所属する工作員の一人だと聞いた!!

信じてくれ、これは本当のことだ!!」

 

突然思い出したかのように口からぺらぺらと口から言葉が紡ぎだされる。

その言葉を聞いて百合は口を更に吊りあげた。

 

「そうか、ありがとな。

じゃあおねんねの時間だ」

 

「ど、どういうことだ?!

話が違うじゃないか!!」

 

「お前こそ何言ってんだ?

俺は話さなかったらお前の眉間に弾丸をぶち込むとは言ったが話したらそれを止めるなんて一言も言ってはいないぜ?」

 

「な……?!」

 

確かに百合は質問に答えた場合のことは一言も口にはしてない。

その事実に部屋の中の全員が口をあんぐりと開けて絶句した。

 

「お休み」

 

バァン

 

火薬が爆ぜる炸裂音、そしてチャンバーから出てくる薬きょうが地面に辿り着くのと同時に撃たれた男も地面に倒れこむ。

 

「百合……アンタ?!」

 

「ああ、大丈夫だ。

流石に殺しちゃあいねえよ。

ほら見てみ?」

 

百合が倒れこんだ男の前髪を掴み、上に持ち上げると涙でぐしゃぐしゃになった表情の顔が現れる。

よく見ると血液の類は一切見受けられず、眉間に少し紫色の痣ができているだけだった。

 

「ミッション完了、ってな」

 

満面の笑顔と共にピースサインを作る百合。

その表情を見た途端に一気に体の力が抜ける。

 

「……そう言うことは最初に言えってのバカーっ!!」

 

「敵を欺くにはまずは味方から。

常識だろ?」

 

好きな人が人殺しになるなんて嫌なんだから!!

心配させんなこのバカ百合!!




最後まで読んでいただきありがとうございます!!
次回もお楽しみに!!
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