魔法科高校の劣等生-嘘吐きの百合-   作:ぼいら~ちん

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投稿が遅れないように気をつけると言ったな。
あれは嘘だ。
ということで遅れてすみません!!
リアルが段々多忙になってきて小説を書くことがなかなかできませんでした。
しばらくこんな風な投稿形態になってしまいますが末長く見守っていただければ幸いです。


泡沫サマーデイズ編
第十七射 夏になったが今のところ特に予定がないのが虚しい


「百合、少し良いか?」

 

「はい、なんでしょうか姉上?」

 

期末テストを終えて数日後、姉上が俺と達也に頼んだ引き継ぎ用の書類をまとめている最中、姉上から声を掛けられた。

なんだかんだ言って七月の中旬。

四月の一件以来特に学校では犯罪に絡むような行為は起こっておらず、反魔法組織絡みの事件も起こらなかった。

しかし取り締まり件数はいつも通りなのでけっこうみんなお疲れなのだが。

だからどうしたとか言うのはナシだ。

平穏なのが一番だからな。

 

「お前、明日の放課後は空いているか?」

 

「ありますが連絡して待ってもらいますよ。

しかし……この時期だと九校戦関連ですか?」

 

「ああ。

察しが良くて助かるよ」

 

九校戦……正式名称は全国魔法科高校親善魔法競技大会。

その名の通り全国に九つある魔法大学付属高校の生徒が己の知恵と技能の限りを尽くしプライドを掛けて戦う競技大会だ。

これの選手に選ばれるということは学内で能力的が認められたのと同義でありとても名誉なことなのである。

 

「じゃあ、俺に応援団長でもやってくれとかって話ですか?」

 

「いや。

お前をスピードシューティング本戦の選手に推薦したことの報告をな」

 

「選手の方に推薦?!

そう言うのって本人との相談をしてからするもんじゃないんですか?!」

 

本戦の(・・・)という点には何も言わないのだな。

それに一科生のお前が応援団長なんかに選ばれるはずがないだろう」

 

俺が叫ぶとすかさず達也からのツッコミが入る。

そりゃあ……なあ……

 

「でも一年の俺が推薦されたところでそれを二、三年生が容認するかどうかはまたハナシでしょ?

どうやって俺は俺の技能をプレゼンすればいいんでしょうか?」

 

「その件なら心配はない。

明日の放課後、お前と三年生の模擬競技をやってもらう。

相手は真由美だ」

 

俺はそんな唐突かつあり得ないマッチアップにただただ唖然とするしかなかった。

 

「なんで真由美さんが相手なんですか?!」

 

「それくらい強い相手の方がお前も燃えるだろう?

逆に考えるんだ、第一高校の三巨頭と戦うことのできるまたとないチャンスじゃないのか?」

 

「……はあ。

わかりました。

俺は明日の準備をしたいので」

 

「わかった。

明日また会おう。

あ、これを渡しておこう」

 

そういって部屋の隅から持ってきたのは一m程の大きさのアタッシュケース。

鍵などは特に付いておらず、開けてみるとそこには小銃型のCADが丁寧に収納されていた。

 

「これが九校戦で使う競技用のCADですか?」

 

「ああ。

お前の力量を図るにあたって道具も本番で使用するものを使わなければ意味がないだろう」

 

「……じゃあ、既定の範囲内ならどんだけ弄っても文句は言われませんよね?」

 

「ああ。

その通りだ」

 

ニヤリと不敵な笑みを浮かべる姉上。

俺も同じく時代劇に出てくる悪代官のようにニヤリと笑う。

おぬしも悪よのうとか言いたくなるけどそこは姉上の台詞なので言わないでおく。

 

「じゃ、失礼します。

なあ達也、ケーキ屋なんか一緒にどうだ?」

 

「お前にしてはいい考えじゃないか。

ちょうど甘いものが欲しくなってきたところだし深雪も連れて行こう」

 

「と言うわけなのでお先に失礼します」

 

「失礼します」

 

「え?!

あっ……ちょっ……」

 

姉上は何かを言いたげだったが悪いが無視させていただく。

上の階への階段に差し掛かったところで達也から脱力感に満ち溢れたため息がこぼれた。

 

「ありがとう百合。

あれだけの量の書類と格闘するのに些か疲れて来たところだったんだ」

 

「いいっていいって。

あれが一番ナチュラルに帰る理由だったわけだしな」

 

そう言って俺は下り階段へと歩みを進める。

 

「今日も帰りは遅くなるのか?」

 

「ああ。

先に飯食って寝ててくれ。

飯は外で適当に食ってくるから」

 

「わかった。

深雪にも伝えておく。

あまり無理はするなよ」

 

「ご心配ドーモ」

 

振り向かずに俺は手を振って階段を下る。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「遅かったじゃないの!!」

 

「わりぃわりぃ。

ちょっと姉上の引き継ぎ用資料の整理に手間取ってさ」

 

校門まで小走りで向かっているとエリカからの悪態が飛んできた。

 

「また姉上姉上って……

あの女のことが好きなら浮気するなり好きにすればいいじゃないの!!」

 

「そう言われてもなぁ……」

 

五月のお墓参りの一件以来、俺達二人は世間一般的に彼氏彼女の関係になった。

そう言っても毎日一緒に帰ったり、週一くらいのペースで俺の家で飯を食べたりと依然とあまり変化はないのだが。

あと付き合いはじめて分かったのだが……この千葉エリカ、結構独占欲が強い。

そしてこんな風にいじけるとなかなか手はつけれないわ最終的には飯奢らされるわで俺の財布がコンクリートもびっくりなくらいに枯れ果ててしまう。

 

「俺が好きなのはお前だけだよ。

あの事件からずっと言ってるじゃないか」

 

「……じゃあ……キスしてよ」

 

「ふぇっ?!」

 

唐突な発言に驚き、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう俺。

 

「で、でもここは校門ですよエリカ殿?

そろそろみなさん部活を終えて下校時間の筈なのですが……」

 

「いいのよ!!

あたしとアンタが付き合ってることが周りに認知されればアンタが他の女に色目利かされることもないしアンタだってそう簡単には手出しできなくなんでしょ!!」

 

そう言い捨てるとエリカは目を瞑り少しだけ唇を尖らせた。

俺は頭をがしがしと掻くと大きなため息を一つ零しエリカを抱き寄せた。

 

「ひゃっ?!」

 

「ん?

どした?」

 

「なんでいきなり抱き締めんのよバカ!!」

 

「だってお前と近づかないとキスできないだろ?」

 

「そ、それもそうだけど……いきなりはダメでしょいきなりは!!」

 

「すまんすまん。

じゃ、いくぞ」

 

「う、うん」

 

俺の今にも燃え上がりそうなほどに熱い顔は頭一つ小さい赤い髪の少女へと近づいていく。

少女も心なしかいつもよりも顔が赤い気がする。

少しずつエリカと俺の顔が近づいていく。

そして二人の影が重なる……

 

「こんな大衆の眼を引くところで不純異性行為に走られるのも風紀的には注意せねばならないのだが」

 

「「ぎゃぁぁあああ?!」」

 

横合いから聞こえて来たため息混じりの声に俺とエリカは異口同音の叫び声を上げる。

声の主の方へと体を向けると呆れ顔の達也と深雪、顔を赤らめて俯いている美月、少し頬を赤らめながら目を逸らすレオ、そして何とも言えない引きつった笑みを浮かべるほのかと無表情な雫、要するにいつも帰るフルメンバーがそこに勢揃いして俺達の行動を見ていたのだ。

 

「な、何だよ達也かよ……脅かすなって。

よし、エリカ。

そろそろ行こうぜ」

 

「何を誤魔化そうとしているんだ?

続きをしたらどうだ?」

 

意地の悪い笑みを浮かべながら達也は答える。

 

「……どこから見てたの?」

 

「最初からだ」

 

「ってかお前らって……あの……そのぉ……」

 

「付き合ってたの?」

 

レオが気恥ずかしそうに口を濁すと雫によるど真ん中のストレートが俺に向かって投げつけられた。

言葉が耳に入ってきてその意味を理解した瞬間に一気に顔が熱くなる。

エリカの方を見ると耳まで真っ赤にして俯いている。

 

「ああ、そうだ。

俺達は四月の事件の後から付き合い始めたんだよ。

達也と深雪はこのこと知ってたんだがなんかみんなに言うのはちょっと恥ずかしくてな」

 

あははと俺の口から出た渇いた笑い声。

それが今の心情を全て物語っているのは言うまでもない。

 

「やっぱりそうだったんですね!!

最近エリカさんと百合くんだけ別に帰っていたのにも納得がいきます」

 

頬を赤らめながら「付き合っているのならそういうこともしますよね」と頷く。

……あれ?

なんか反応がおかしい気がするぞ?

 

「ちょっとほのか?!

アンタなんか勘違いしてない?!」

 

「隠さなくても大丈夫ですよエリカちゃん。

年頃の女の子と男の子だもん仕方ないわ」

 

「ちょっと待て!!

お前ら何かとてつもなく大きな勘違いをしていないか、いやしているだろ!!

俺達が最近二人きりで帰るのはエリカの家の近くに用があるからであってだな!!

おい、達也からも何か言ってくれよ!!」

 

俺の普段の言動などから完全に嘘しか言っていないと思われていると俺は思い達也に助けを求める。

 

「フッ」

 

……今、コイツ微かに笑ったよな?

 

「昨晩家に帰る途中にホテルに入っていく二人を見たぞ」

 

「野郎ぶっ殺してやぁぁああある!!」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「やあやあ百合くんエリカちゃん!!

今日も来てくれてうれしいよ。

ん?

今日は学校の友達もいるのかい?

うれしいねぇ!!」

 

エリカの家の近くにあるとある一件家。

目的地であるそこのインターホンを鳴らして数分後、テンション高めの眼鏡の男性がマシンガンのような言霊の雨を俺達に向けて降らした。

 

「はい。

右から司波達也、妹の深雪、西城レオンハルト、柴田美月、光井ほのかに北山雫です。

みんな、この人が俺の叔父上の水無月圭吾だ」

 

ぺこりとお辞儀をする一同。

達也はいつもよりも幾分か楽しそうな目つきをしているが他のみんなは妙に高いテンションに付いていけていないのか若干引いている。

 

「どうも、僕が百合くんの叔父の水無月圭吾(みなづきけいご)だ。

昔はCADのエンジニアをやっていたが今は家電とCAD専門の修理工を営んでいるよ。

……確か司波くんと司波さん百合くんを家に泊めてあげてるんだったよね。

いつもありがとう、百合くんが迷惑をかけてはいないかい?」

 

「大丈夫ですよ。

寧ろこちらの方が世話になっているくらいです」

 

「ならよかった。

おっと、立ち話もなんだから上がっていくと良い。

時間もあれだから夕食もどうだい?」

 

「で、でもいいんですか?

こんな時間に上がらせていただいても」

 

「大丈夫大丈夫。

妻も子供は大好きだしちょうどご飯を大量に作り過ぎてどうしようか困っていたところだったから」

 

……きっとこの人(叔父上)のことだからこうなることを予想してご飯を多めに作っていたのだろう。

そんなこんなで少し引け目を感じながらも俺達一同は水無月邸にて夕食をいただくことになった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「今日もご飯美味しいです!!

この肉じゃがのレシピ教えてもらってもいいですか?」

 

「美味しいなんてありがとう。

でも幾ら百合くんでも私のレシピを教えるわけにはいかないわ」

 

「ですよね」

 

程良く膨れた腹をぽんぽんと叩きながら無意識に出た俺の言葉に叔父上の妻、水無月幾夜(みなづきいくよ)さんが小悪魔的な笑みを浮かべながら答えた。

彼女は料理研究家として活動しており、叔父上を美味しい料理で支える傍らレシピ本を出版している。

しかもそのレシピ本が出すたび出すたびベストセラーになるのだから驚きだ。

 

「今日はありがとうございました」

 

「いやいや。

僕達もとても楽しかったよ。

あ、そうだ百合くん、頼まれていたものを持ってくるから少し待っていてね」

 

「了解です」

 

「頼まれていたものか……新しいCADか何かか?」

 

そう言ってリビングから出ていく叔父上。

それを目で追いながらレオは俺に対して質問をした。

 

「いいや。

ハードじゃなくてソフトの方だな」

 

「持って来たよ百合くん。

頼まれていた新しい起動式の『ヴァーユの神風』だよ」

 

そう言って手渡されたのはアタッシュケース。

あけてみると中には二つの自動式拳銃用のマガジンが入っていた。

 

「ちょうどいいや。

前々から思ってた疑問も解決するしコイツのテストもできる、一石二鳥だな」

 

「何がだよ?」

 

「俺と一対一で模擬戦をやってくれレオ」

 

俺の発言に首を傾げるレオ。

そして俺の言葉を聞いた直後は少し驚いていたもののすぐに笑みへと変わった。

 

「いいねえ。

ちょうど俺も食後の運動に体動かしたいと思ってたとこだったんだ」




最後まで読んでいただきありがとうございます!!
次回もお楽しみに!!
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