でも無事大学にも合格したのでこれからはもう少し頻度が上がると思います。
あと4月からアニメが始まる作品の2次創作作品を新連載として近日公開致しますのでお楽しみに~
「……さ~ん。
お兄さ~ん、大丈夫ですか~?」
「う……ううん?」
「お?
目が覚めましたか?」
「な、なぁぁああああ?!」
「おぉ~元気の良いこと」
目を開けるとそこには黒髪の少女の顔が視界一面に広がっていた。
俺はその少女との距離が一センチメートルも無いことに気が付くとすぐに体を起こして後退り。
その姿を興味深そうに少女は見ていた。
「だ、誰アンタ?!
てかここどこ?!」
辺りに広がるのは黄緑色の草で埋められた草原。
そして地平線の当たりには自生してからかなり時間が経っていそうな木々によって形成された森がある。
現代にそうそうない景色の中で一際異彩を放っていたのは目の前の少女格好だ。
服装はフォーマルな半袖シャツに黒のフリル付きのスカート、最後に真っ赤な下駄。
この時点でかなり現代の常識的にかなり反している(基本的に外出の際はなるだけ肌を露出しないのが今の常識である)のだが一番おかしいのは彼女の体の後ろに見え隠れしている真っ黒な翼だ。
飾りにしてはやけにリアルで今にも動き出しそうなクオリティ。
これ作るのに幾らかかってんだろ?
「あやや?
初対面の相手にアンタとは酷い口のききかたをしますこと。
ま、これから取材する相手に自己紹介をしないのもあれっちゃああれですよね」
なあ、具体的にあれってなんだよ?
困ったときにすぐあれって言葉使うよなみんなして。
「私は清く正しい
そしてここは幻想郷。
外の世界のあなた達から言う『異世界』です」
「異世界……あ!!」
黒い羽の少女-射命丸文の一言で全てを思い出した。
なぜ俺はこんなところにいるのか、そしてなぜこんな事になってるのかを……
◇ ◇ ◇
「……本当に辿り着けるとは思っても見なかったなぁ」
俺は物凄い長い階段を目にしながら呟く。
寿和さんから仕事の内容を聞いてから二日後。
準備万端な俺達はバイクに乗ること数時間、目的地である青木ヶ原、通称富士の樹海の中にいた。
そして数分彷徨った後に物凄い長い階段を見つけ、その階段の横にかすれて読みにくいものの『博麗神社』とかかれているのを見つけた。
「まさか百合さん……バイクのままこの階段を上っていくのですか?」
「もちろん。
だって弾もこの中だしもし長距離の移動とかになったらこれ使った方が楽だろ」
「バイクで境内に入るなんてここの神様に失礼だと思うんだけど」
「こっちにも事情があんだから寛大なお心をお持ちの神様なら許してくれるでしょお」
そんな軽口を叩きながらバイク押しつつ階段を上がる。
そして階段を上りきり、鳥居の前に三人で並んで立つ。
「まあ……あれだ。
ここからは敵の本拠地だ。
いつか言ったと思うが百合君のお約束三箇条を忘れるなよ。
死ぬな。
死にそうになったら逃げろ。
そんで隠れろ。
運が良ければ隙を突いて相手をぶっ倒せ。
あっ……これじゃ四つだな」
「前も同じ間違いをしていませんでしたか?」
「あ、纏の時もそうだった?
アタシが言われた時もそう。
ほんっとに緊張感ないわねあんたは」
「う、うっせえな。
まあ死ななけりゃ万事どうにかなる。
どうにもならねえときには大きな声で……腹式呼吸で助けを呼べ。
何時でも駆けつけてやる」
「それ、アタシからもそっくりそのままあんたに返してやるわよ」
「いえエリカさん。
百合さんも何事も一人で抱え込まないで何時でも助けを呼んでくださいね」
「……ありがとな」
「私達」という部分を必要以上に強調して言う纏。
それに少し照れくささを感じた俺は頬をポリポリと掻きながら二人に礼を言う。
そして互いに頷きあった後鳥居の中へと足を踏み入れた。
「うぉお……うぉぁああああ?!」
何か膜のようなものを通り抜けた感覚を覚えるとそこに広がっていたのは苔なんか一切生えていない綺麗な神社。
その上には綺麗な青空……さっきまでの極相林とは大違いである。
が、そう思ったのも束の間。
最初からあったのか、はたまた突如現れたのか……理由はさておき、俺達は足下にあった紫色の穴に落ちた。
落ちている最中、育ちの良さそうな女性が足を組んで日傘を差しながら座っている姿が見えた。
そして俺の姿に気付いた女性は俺の方を見て微笑むと声を発さず唇だけを動かした。
「ゆっくりしていってね」
と。
◇ ◇ ◇
「どうか致しましたか?」
「あ……ううん。
何でもない」
ぼーっとしていると目の前の黒い翼の少女-文から声をかけられる。
奇妙奇天烈、奇々怪々な目に遭いながらも平常心を保てているのは流石は俺だなとつくづく思う。
「ところで……あ~」
「ん?
ああ、この翼の事ですか?
あって当然ですよ。
だって天狗だものbyあやや」
「みつをみたいに言ってんじゃあないよ。
にしても天狗か……」
翼の事とか頭の上にちょこんと乗っかってる頭襟もそれなら納得がいくが……
なんというか……イメージと違うんだよね。
「……あなた今凄く失礼なこと考えましたよね?
なんか自分の中の天狗のイメージと違ってひ弱そうだなと」
「そんな事は微塵も思ってない!!
絶対に、神様に誓ってもいいですt」
そう言おうと口に出した矢先、目の前の天狗少女の視線が痛いほどに突き刺さる。
じーっと、それこそ自分の嘘を見抜いているようなその瞳は十六夜百合という存在全てを疑ってしているような気がした。
「ひ弱そうだとは思っていませんが自分の中の天狗のイメージとは違うと思ったのは本当です申し訳ありませんでした射命丸様」
「よろしい。
あ、あと私のことは文で結構です。
では……そろそろ取材の方に入らせて頂きますが、何か質問は?」
「さっきから取材取材って言うけど文はマスコミかなんかなの?」
「はい。
『
幻想郷の鴉天狗は大体何かしらの記事は書いてますよ。
はい、これ最新号」
そう言って渡されたのは新聞だった。
彼女の言うとおりそこには「文々。新聞~異変解決特別号~」と名前が書いており、一面の見出しは「博麗霊夢今日も大活躍!!」と写真付きで書いてあった。
ペラペラとページを捲ると「紅魔館に泥棒入る。犯人はいつもの魔女」という見出しで記事が書かれていた。
被害者の少女P・Nさんの証言は結構頻繁に起こることなのかもう完全に諦めており写真に写っている目は少々虚ろだった。
すぐ隣にはその紅魔館でメイドを勤めている少女I・Sさんの写真とコメント。
「おい文!!」
「な、なんですか?!
いきなり大声だして!!」
「この紅魔館のメイド、名前はなんて言う?」
「紅魔館のメイド……ああ!!
彼女は
普通の人間な上にお若いのに紅魔館のメイド長を勤めています。
通称「完全で瀟洒な従者」。
垢抜けてるどころか少し抜けてるところもあるんですがね」
目の所には黒い先が引いてあるがその顔は優輝にそっくりだった。
他人の空似……なのかもしれない。
でも俺は確かめたい。
何か少しでも知ることが出来るかもしれないから。
「そのメイドは今どこにいる?」
「……先程紅魔館の主に聞いてきたところ、この先の「香霖堂」というお店に買い物に行ったそうです。
丁度私も彼女を探していたところなのですよ」
「そうと分かれば善は急げだな」
「そうですね!!」
「ふぇ?!」
突然俺の腕をがっしりと掴む文。
「な?!
あ、文!!
アンタ何を?!」
「何って香霖堂に向かうんですよ。
空を飛んでで」
「いやいやいや!!
なら俺のバイクで良いじゃん!!
文が飛ぶよりもこっちの方が絶対に早いって!!」
「そんな鉄屑よりも私の方が早いですよ。
断言します」
えぇ~
父上の形見のバイクを鉄屑呼ばわりかよ……
「大丈夫ですよ!!
私結構速さには自信あるんで!!
しっかり捕まっててくださいよ!!
スペルカード!!
疾風『風神少女』ぉ!!」
「ま、待て!!
早まるなよ文ぁぁあああああ?!」
そのバイクに弾薬とか結構沢山積んであるのにぃぃいいい!!
◇ ◇ ◇
「いらっしゃいませ。
ん?
珍しい客が来たものだ」
カウンターに座っている男は暖簾をくぐった私に物珍しそうな顔で私に目を向ける。
「偶には私だってここに来ますよ。
それに客である私にそれは失礼なのでは?」
意図的にむすりとした表情を作りこの店の店主、
「そうだね。
ところで何をお探しで?」
「はあ……まあいいわ。
外の世界のものなのだけど……『クラッカー』という物をご存知かしら?」
あからさまに話を逸らしてきた霖之助さんに溜め息混じりに問い掛ける。
「クラッカー……
ああ、それならこの間無縁塚で拾ったよ」
そう言って店の奥へと行ってしまった霖之助。
しばらく待つと小さな紙袋を持ってきてカウンターの上にそれを置いた。
そこから円錐の形をした厚紙に紐が付いたものを取り出すと私にそれを手渡した。
「これでいいんだよね?」
「はい。
買おうとは思うのですが……少し試したいことがあるのでいいですか?」
「うん」
霖之助さんの許可を得た私はその円錐から伸びる紐を引っ張る。
これから鳴り響くであろう大きな音に目を瞑るがそれは起こらずただ紐と紙が擦れた時の微かな音が部屋の中に響いただけだった。
「駄目。
中の火薬が湿気ってしまってる」
「ん?
その中には火薬なんて危険なものが入っていたのかい?
でも宴会なんかで使われるんだろう?」
「火薬と言ってもごく少量しか入ってないですよ。
人畜無害と言っても良いくらいにね。
火薬が破裂することによって中に入っている紙吹雪なんかが飛び出すって仕組みなの。
本来は宴会なんかよりも友人同士のお祝い事の時に使われたりすることが多いわね。
誕生日会とか」
「へえ……
霖之助さんは私-十六夜咲夜に感心の眼差しを向ける。
このような事はお嬢様に言われたりする事は偶にあるがそれ以外には余り言われ慣れてないので実は少し恥ずかしかったりする。
「まあ、昔の話ですが私は外の世界に住んで居たので---」
「ぁぁぁぁあああああ!!」
男性の声と共にドスッと言う鈍い音が外から聞こえてくる。
その音に私達は肩を震わせた。
「……そのクラッカーからはそんな音がするんだね。
確かに人を驚かせるのにはぴったりだ」
「笑えない冗談はよしてください。
最近は色々と危険な事もあるんですから。
霖之助さんはここでお待ちを。
私がやります」
レッグホルスターからナイフを数本取り出し店の入り口に背中を付ける。
「本当にここで良いんだよな?」
「ええ。
彼女の主人であるレミリアさんから聞いたのだから間違いはないはずです」
外から聞こえてきたのは男と女の声が一つずつ。
二人の声には聞き覚えがあった。
でも、その周りの気配が気になる……なら!!
ベキィッ!!
思い切りドアを蹴り飛ばし注意をこちらに向けさせる。
そして……
「スペルカード……『
手の中で光っていたカードが光の粒子となって消えると、宙を舞っていたドアとそれを蹴破ったのに反応した二人の動きさえも遅くなり次第にそれは止まった。
手に持ったナイフを一本だけ手元に残るように男に投げつける。
そのナイフも男の目の前まで進んだ所で動きを止めた。
そんな事にはお構いなしに私は目の前の男の背後に回り込む。
「ふっ!!」
止まっていたものがゆっくりと動き出すと目の前の男も動き出す。
そんな男に向かって私はその手に持った一振りのナイフを振り下ろす。
「まだまだ甘いな」
男はそう言うと私の腕を掴み、そのまま体を捻って私の体を自分の近くへと引き付ける。
そして腕を私の首に回し自らの服の袖からサバイバルナイフを取り出し、首にあてがった。
その時には既に私が投げたナイフと蹴破ったドアは動きを止めており静かに地面に落下した。
「攻撃が大振り過ぎる。
敵を一撃仕留めるなら確実に頸動脈を断ちにいった方が早いし隙がない。
そして能力解除のタイミングもまだあめぇ。
俺の首に刃が触れてから解除してもむしろ遅くはなかった」
人の首にナイフをあてがい
「ただ、最初に扉を蹴破る事により相手の視界を奪う事と注意を引くのを同時に行ったのは良かったな。
俺の目がなかったら多分やりきれてた。
成長したな
男はナイフを袖の中に仕舞い、今度は私の体に手を回す。
さながら映画のワンシーンで恋人が後ろから抱きついてきたかのようなシチュエーション。
そして右の手で私の頭を撫でる男。
それは数年振りの感覚で非常に心地良く、幸せな気分になれるものだった。
「ありがとう、そしてお久しぶりです。
百合兄さん」
その男、十六夜百合に少々震えた声で応える。
その瞬間、私は紅魔館のメイド「十六夜咲夜」から十六夜百合の従兄弟「十六夜優輝」に五年振りに戻ったのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
次回もお楽しみに!!
感想やご意見待ってます!!
感想文欄になにか書かれると投稿ペースが上がるかも?!