剪定時空カルデア〜魔界転生〜   作:サルオ

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7.月光レジェンドにひょうたんから駒

 

『はぁ、なるほどねぇ。ボクが見ていない間にそんな事になってたなんて。・・・上代(かみしろ)くん、よく生きてたね?』

 

 

ドクターが僕の方をチラと見てくる。セリフの上では僕を心配してくれてるんだろうけど、僕には見えてるぞ。

 

あぁ、コイツは馬鹿なんだなぁって。

それなのになんで死んでないの?って。

ドクターの顔にデッカく書いてあるのが見え見えだぞ。

 

この人、本当にお医者さんなんだろーか?末期癌の患者さんとかと面と向かって話したら、話しちゃいけない病状とか1発でバレるような気がするんですけど・・・・・・。

 

 

「うっわー何これ!小っちゃい人が動いたり喋ったりしてる!」

 

 

マシュの横で武蔵ちゃんが顔をキラキラと輝かせている。まあ、そんな反応になるよね。現代人の僕でもビックリしたくらいだ。当然、武蔵ちゃんの生きていた時代にはこんな技術があるわけないだろうし、目新しさは抜群だろう。

 

 

「はい、武蔵ちゃん。この人はDr.ロマン。こう見えてもカルデアの医師の端くれです」

 

『マシュ?ボクはこれでも医療部門の責任者なんだよ?』

 

「はい。人は見掛けによりません」

 

『マシュ!?』

 

「うるっさいわよロマニ!黙ってナビゲートに集中しなさい!!」

 

『り、理不尽すぎる・・・・・・』

 

 

さて、武蔵ちゃんとの最悪の邂逅からどうなったかと言いますと、現在僕たちは、燃え盛る冬木の町を探索しています。この特異点とやらの原因を探して。

 

・・・・・・だから熱っちいんだってばさ。

 

 

思考回路はショート寸前。

 

 

「今すぐ会いたいよー」

 

「あら?マスターってば見かけによらず想い人でもいるのかしら?」

 

 

ヤッベ、声に出てたか。

 

 

「そうなんですか先輩!?」

 

 

マシュさんや。

それは武蔵ちゃん同様に「あり得ないだろ!?」っていう驚きなのかい?

 

 

「いやいや、そんなのいないよ。そもそもこの見た目で誰かを好きになっても、結局最後には不幸な目に会うだけだしね」

 

「むっ。マスター、それはよくないわよ?その考えはよくない。誰かが誰かを好きになるのに、理由なんて要らないんだから!」

 

「じゃあ武蔵ちゃん、付き合って?」

 

「無・理♪」

 

 

ほらぁやっぱり!!

 

 

「いやぁ、マスターって見た目だけでなく中身も伴ってないからねぇ。年齢聞いた時はビックリしたけど、私の好みは水も滴る美⭐︎少年!なのでッッ!」

 

「今後に期待って言ったじゃない!」

 

「マスター・・・、人は生まれ持った宿業を捨て去る事はできないのよ?」

 

「見た目に対して夢も希望もねぇ!!」

 

「あ、あの先輩に武蔵ちゃん。現代医療には整形技術というのがありまして・・・」

 

「え!?それって見た目を変えられるってこと!?」

 

「え!?僕ってそこまで見た目が悪いってこと!?」

 

「そこのバカ3人!さっきからうるさいわよ、集中して探索しなさい!!」

 

「チッ、うっせーな。反省してまーす(小声)」

 

「聞こえてるのよ、そこのブタぁッッ!!」

 

「あいったぁーーー!!」

 

 

瓦礫を投げつけられた。解せぬ。

 

 

「なぁ〜んかカリカリしてるわね、あの娘。月のものかしら?」

 

「ナチュラルにセクハラ発言するのやめてください。健全な男子高校生もいるんですよ?」

 

「ん?せくはら?何それ??」

 

「先輩、武蔵ちゃんにはその単語は通じないかと」

 

 

あ、そりゃあそっか。

 

 

「あああ、もう!本当にここにはバカばかり・・・!なんで死んじゃったのよ、レフ・・・。いつも私を助けてくれたじゃない・・・・・・」

 

「所長・・・」

 

 

マシュが心配そうに所長を見遣る。

 

 

「ねぇマシュ。レフってどちら様?」

 

「あ、はい。レフ・ライノール教授。カルデアでいつも所長の補佐をされていた方です」

 

「あら、なるほど恋の予感。・・・あ、でも死んじゃったのかぁ。残念ね」

 

『恋、とは少し違いますよ。ミス宮本』

 

「うわ!ビックリした。もう。急に話しかけないでよ」

 

『し、失礼!・・・ですが、彼女の立場も少し複雑でして』

 

「あ、そういう堅苦しい話し方はやめましょ?お医者様なんだから、人斬り包丁の私よりずっと徳を積んでるでしょう。もっと気軽に話しましょ?」

 

 

武蔵ちゃんがニッコニコの笑顔でドクターを諭す。

 

 

『そ、そうかい・・・?じゃあ遠慮なく・・・』

 

「・・・・・・面食い(ボソッ)」

 

「まあ整った顔はしてるわね。これでもう少し、いや大分若ければなぁ〜」

 

「ナチュラルに陰口に返事すんのやめてくんない??」

 

『あ、あのう、話しても大丈夫かい?』

 

「「あ、どうぞどうぞ」」

 

 

このノリの良さ。ちょっと尾前(おまえ)に似てるかもな。

 

 

『もともと所長・・・・・・オルガマリーは、マスター候補の1人だったんだ』

 

「え?でもさっき所長にはマスター適性が無いって・・・」

 

『そうだね。それも後々関係してくるんだけど。とにかく3年前に前所長、彼女のお父さんが亡くなって、まだ学生だったのにカルデアを引き継ぐ事になったんだ』

 

 

学生。てことは、本当に僕やマシュとあまり変わらなかったのか。

 

 

『そこからは毎日緊張の連続だったんだろう。アニムスフィアの家を背負うことになったんだから。マリーはカルデアの維持だけで精一杯だった。そんな時、カルデアスに異常が発生した。今まで保証されていた100年先の未来が見えなくなった』

 

「・・・それって、ドクターが僕と初めて会ったときに話してくれたこと、ですかね?」

 

『ああ、そっか。君には途中までしか話さなかったね。それについてはマリーから直接聞いた方が良いかもしれないな・・・。ただ、マリーはその事で協会やスポンサーから山のように非難された。「一刻も早い事態の収束を。」それが彼女に課せられたオーダーになったんだ』

 

「ええ・・・、それっていきなり所長になった学生がやるには難易度高すぎじゃないです?」

 

『ボクもそう思う。しかもそれに加えて、マリーにはマスター適性がない事も判明した。名門中の名門、12のロードの一家、魔術協会の天文学科を司るアニムスフィア家。その当主がマスターになれないなんて、スキャンダルも良いとこだろう?』

 

「いや、それは・・・」

 

 

さすがにおかしいだろ?さっき武蔵ちゃんも言ってたけど、人は生まれ持った宿業を捨てる事はできない。どうしても欲しい才能が無かったり、逆に望んでもいない才能が花開いたり。そんなのはそれこそ神様しか知らないんだから。それを突っつくなんて、人間否定も甚だしい。

 

 

『上代くんが考えていること、ボクにもわかるよ。ただ、そう思わない人間も世の中にはたくさんいるんだ。どれだけ陰口を囁かれたことか想像に難くない。その声はマリー本人の耳にも聞こえていただろうね。彼女のメンタルはボロボロに近い。この半年間はギリギリで踏みとどまってるだけなんだ』

 

「・・・・・・全て放り出す、ってのはダメなんですか?」

 

「マスター。それは確かに優しい方法かもしれないけれど、それが正解かどうかは分からないわ。あの娘は、どんなに苦しくても辛くても、その道で生きることにしがみついている。それが誇りなのか矜持なのか、それとも意地なのかはわからないけれど、易々と踏み込まないほうがいいわよ?」

 

「武蔵ちゃん・・・・・・」

 

 

確かに。さっき、僕はそれで武蔵ちゃんの逆鱗を踏み抜いた。普通の会話ですらどこに落とし穴があるかわからないのに、目に見えてる地雷に「そんなの全部うっちゃって気楽にやろーぜうぇーい!」とかやったらブチ切れるのは火を見るより明らか。

 

 

『だから、彼女は心身共に張り詰めている。上代くんやミス宮本に辛く当たるのは、何も2人が悪いわけじゃないさ』

 

「いやそこは全然気にしてないっすよ。それより、ちょっと所長が気になって・・・」

 

「あらマスター。目移り早くなぁい?」

 

「先輩、見た目に寄らずチャラいです。流石に擁護できません」

 

「そんなんちゃうよ!?確かに所長は僕の好みドストライクな見た目だけど・・・」

 

「1発殴るので歯を食いしばってください先輩」

 

「いやいやいやいや!!」

 

 

完全なる誤解だってばよ!

 

 

「さっきから何くっちゃべってるのよ、ロマニも混ざって!アナタ達、本当にやる気があるの!?」

 

「あ、所長!すみません、決してふざけてたわけでは・・・」

 

 

 

 

 

所長に返事をする僕の目に映る、3体の黒い影。

 

 

 

それが今まさに所長に飛びかかろうとしていてーー

 

 

 

「マシュ!!武蔵!!」

 

僕の声に応え、2人が一歩で所長の隣に瞬時に移動する。

マシュはその場で大地を踏み締め、2体の怪物の攻撃を盾で防御。

武蔵は踏み出す二歩目で腰を深く落として刀に手をかけ、三歩目を踏み出すと同時、刀の煌めきが残りの怪物1体を両断していた。

 

「きゃあ!なに、なに!?」

 

「やああああああああッ!!」

 

マシュが盾にへばりついたままの怪物を振り回し、敵2体を武蔵に向けて投げつけた。

 

 

「あら、マシュって見た目に反して豪快ね♪」

 

 

口の端をギィっと上げた武蔵が、左手を脇差にかけ、

 

「せいッ!!」

 

煌めきがニ閃。飛んできた2体の怪物を、あっという間に両断した。

 

 

「いやね。まさか『出る』世界なんて・・・。妖怪、悪鬼の類かしら?」

 

 

武蔵ちゃんが右手に持った刀を肩にかける。左手の脇差は逆手に持ったまま。僕には見えなかったけど、恐らく逆手のまま鞘から抜き放ったのだろう。

 

 

「はい。2004年の冬木には存在しないハズのものです」

 

「とんだ時代錯誤だわ」

 

 

武蔵ちゃんがため息を吐きながら刀を鞘に収める。マシュも周囲を警戒しつつ、一息をついていた。

 

 

「だ、大丈夫ですか所長!?」

 

 

僕は尻餅をついている所長に駆け寄る。

 

所長は腰が抜けたのか、立ち上がることができないようだ。

 

 

「な、な・・・」

 

「所長?」

 

「何してんのよこのブタ!!警戒を怠るなって言ったでしょう?あと1歩で私は死んでたかもしれないのよ!?」

 

「す、すみませんでした。所長、手を・・・」

 

「触らないで!」

 

 

僕の差し出した手を、所長が乱暴に払った。

 

 

「どいつもこいつも、どいつもこいつも・・・!みんな役立たず!誰1人私の思うように動かない!」

 

「所長・・・・・・」

 

「なんでよ・・・。私は上手くやってるじゃない。いつも最善を尽くしてるじゃない。それなのになんで一つも思い通りにいかないのよ・・・・・・」

 

 

 

所長はそのまま、膝を抱えてうずくまってしまった。

 

 

 

僕はそんな所長を見て、ふぅーっと息を吐いた。ため息じゃないよ?これからちょっと怒られるんだろーなぁっていう覚悟を決めるためだからね?

 

 

「・・・・・・あー、なんか暑くて頭がクラクラするぅ〜」

 

「・・・?」

 

「先輩?」

 

「所長、僕もうちょっと限界っぽいです。もしよければ、ここで少し休ませてくれませんか?」

 

「ハア?なに寝ぼけたこと言ってんの、このブタ。私たちに休む暇なんて・・・」

 

「いや確かに所長の言う通りっす。だけど僕ってば、色々なことがいっぺんに起きすぎで、理解が追いついてないってのもありましてぇ。そもそも僕、なんとなくノリで会話してましたけど、カルデアがどんな組織とか、人理がどーとか100年後の未来がどーとか、ぶっちゃけ全然分かんないんすよ」

 

「なッ!バカ、嘘でしょ!?そんな事もわからずアンタは此処にいるっていうの!?」

 

「ハア、恥ずかしながら・・・」

 

「嘘でしょ、信じられない・・・。ロマニ!これって一体どういうことなの!?」

 

『え!?ボクですか!?いや、どういうこと、と言われましても・・・・・・』

 

「ふざけないでよ、どんな素人かとは思っていたけど素人以前の問題じゃない!良いわ。このブタには今からここで私直々に教えてやります。ほらブタ!そこに直りなさい!!」

 

 

所長が僕にビシィッと指を突きつける。腰を抜かしたまんま。

 

威厳もクソもあったもんじゃない。でも、これで良い。

 

 

「ありがとうございます所長!よろしくお願いします!」

 

「良いから、いつまで立ってんのよ!さっさと座りなさい、首が痛いのよ!」

 

「は、はい!」

 

 

・・・・・・うん。これで良い。さっきのドクターの話では、きっと所長は僕以上に精神に来てるはずだ。それなのに所長は、折れずめげずで頑張っている。こうやって大声を出しているのも、虚勢を張っているのも、今にも折れそうな心をなんとか持たせようとする現れなのかもしれない。

 

まあ、僕には所長の心の中なんてわかりはしないんたけど、ここはそういう前提で動いた方がいいんだろうな。

 

 

「じゃあ、マシュと武蔵ちゃん。申し訳ないけれど周囲の見張りをお願いしてもいい?」

 

「はい!お任せを、先輩!!」

 

「ダメよマシュ。あなたはこっちに来て座りなさい。怪我してるじゃない」

 

「え?」

 

 

所長の指摘に、僕は驚いた。よく見れば、確かにマシュは怪我をしている。

 

 

「いえ、所長。この程度、かすり傷ですので・・・・・・」

 

「いいからさっさとこっちに来なさい!いくらデミサーヴァントとはいえ、怪我が重ねれば戦えなくなるでしょう?応急処置でも、治療できるときにやっておいた方がいいわ。それに!あなたやムサシが倒れたら、誰が私を守るのよ?」

 

「先輩・・・?」

 

「所長の言う通りだね。マシュ。こっちに来て座って。武蔵ちゃん、悪いけど見張りは・・・」

 

「全くもって問題ないわ、マスター」

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

マシュがおずおずと所長の隣に座り、所長がテキパキと応急処置を施していく。

 

(マスター)

 

「ひゃう!?」

 

突然、頭の中に武蔵ちゃんの声が響いた。変な声出ちゃった。

 

「何よブタ。鳴き声?」

 

「い、いえいえ!なんでもないっす!」

 

慌てて取り繕う僕。てか鳴き声って。

 

(ゴメンゴメン!驚かすつもりじゃ無かったんたけど。これね、マスターとサーヴァントの繋がりを通して会話できるんですって。だから試しに話しかけてみたのよ)

 

(そ、そうなの?そんな便利な機能があったんだ・・・。それで武蔵ちゃん、何かあったの?)

 

(いやいやいや、ホント何でもないんだけどね!・・・・・・だいぶ良い感じじゃない、マスター?)

 

(へ?)

 

(所長の状態を気遣ってあげたんでしょ?悪くない判断だと思うわよ?あと、さっきの指示、なかなか堂に入ってたじゃない!)

 

(そ、そうかな・・・これでも探り探りなんだけど)

 

(そんなもんでいーのよ。人生9割は間違いなんだから。常に正解を選び続けられる人間なんて居ないわ)

 

(そんなもん、かな)

 

(そんなもん♪ま、それだけよ。こっからはちゃんと見張りしまーす)

 

(うん。よろしくね。武蔵ちゃん)

 

僕は武蔵ちゃんをチラ見した。武蔵ちゃんは素知らぬ顔で周囲を警戒している。このあたりは、やっぱり侍なんだろうな。警戒を怠らず、思考をいくつかに分けながら物事に対応している。

 

・・・すごいなぁ、やっぱ。

 

「ちょっとブタ?何をニヤニヤしているの。ちゃんと話聞いてるの?」

 

「あ、はい!聞いてます聞いてます!」

 

「まったく・・・。ロマニ!ところでさっきの『アレ』、解析は進んでいるの?」

 

『アレ、ですか。正直見たこともない礼装なんでなんとも・・・・・・』

 

「まぁいいわ。とにかく解析を続けなさい」

 

 

所長の言った、『アレ』。僕は、自分の手に持ってるモノをチラッと見る。

 

所長のカルデアについての授業を聞きながら、僕は『コレ』を手に入れた経緯を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し、時間は遡る。

 

武蔵ちゃんとの出会いのあと、冬木の霊脈にて展開された召喚サークルの中で。

 

通信を繋げてきたドクターに簡単に武蔵ちゃんを紹介した後、僕たちはさらなる戦力増強のため、改めて召喚儀式を行ったのだ。

 

 

『この特異点がどれほど危険なものかはわからないけど、サーヴァントが1人でも多くいてくれたら心強いからね。霊脈から流れ込んでくる魔力も十分だ。あと1人くらいは召喚できそうだよ』

 

「そう。ならブタ。さっさと召喚しなさい。仮にマスターに従わないサーヴァントだとしても、こっちにはマシュとムサシがいる。2対1で勝てないような凶暴なサーヴァントなんてそう顕現しないでしょう」

 

「所長、それってフラグっていうんじゃ・・・」

 

「いいからさっさとする!!」

 

「はいはい・・・・・・」

 

 

そう言いながら、僕は教わった(実は半ば暗記していた)召喚の呪文を唱え始める。これって毎回やんないとダメなんかなぁ。結構面倒くさいんだけど。

 

しかし、今度現れる英霊には無礼を働かないようにしないとな。せっかく武蔵ちゃんとのやり取りで大失敗をして学べることができたんだ。すぐにでも活かさないとね。

 

・・・・・・・・・ところで、Fateの原作に詳しい説明は無かったけど、この英霊召喚の枠組みってどこまで適応されるんだろーか?

 

原作では、確か現代には存在し得ない、未来の英雄も呼び出すことができていた。それ以外にもリセマラの予習のときにざっと見た感じだと、単なる英雄や豪傑だけでなく、歴史的に有名な人物も英霊として召喚されるっぽい。例えばアンデルセンとかシェークスピアとか。他にも有名であれば、オペラ座の怪人のような、創作物の人物も召喚されるみたいだし。

 

これ、例えばドラ○ンボールとか、ワン○ースのキャラクターとかも、下手したら呼べてしまうんではなかろーか?この2つのマンガなんて世界的に有名だしさ。例えば某野菜の星の人なんかが召喚されたら、仲間として認めてくれるかは別として、もうホントに勝ち確定なんじゃないか?下手したら指を「クンッ」てやるだけで街とか消し飛ばせちゃうし。

 

まあ、流石にそこまでやべーやつは出てこないだろう。・・・・・・こないよね?

 

そんなしょーもない事を考えながら呪文を唱えていると、

 

 

 

 

ビシッ!

 

バチ、バチバチバチバチ・・・!

 

バキンッ!!

 

 

 

 

 

ん?

 

なんか、さっきと様子が違うんですが??

 

 

「ちょ、なによコレ!こんな反応見たことないわ!?」

 

「先輩!危険です、下がってください!」

 

「え?え?」

 

『何だ、コレ!?英霊召喚じゃない、霊脈の魔力の流れがおかしい!まるでその場の時空間自体が捻じ曲がっているような・・・!』

 

「え?英霊召喚ってそういうものでは??」

 

『そうだけどそうじゃないんだ!魔力も儀式も問題ない!けれどフェイトシステムが異常を起こしている!こんなのは初めてだ!!』

 

「え、それってヤバいんじゃ」

 

「あら〜、私達の冒険はここで終わっちゃいましたか」

 

「ウソでしょーーーー!!!?」

 

「先輩!!あぶなーーーーー」

 

 

マシュが僕に駆け寄るのと、召喚サークルが光に包まれたのはほぼ同時だった。

 

僕は目を瞑る寸前、一本の光の輪が大きく広がるのを確かに見た。

 

 

 

 

 

爆発とか、そういうのは無かった。恐る恐る目を開けると、召喚サークルは消えていて、もとの炎に包まれた冬木の光景が飛び込んできた。

 

 

「い、いまのは・・・・・・」

 

「先輩!お怪我はありませんか!?」

 

「マシュ?うん、大丈夫みたいだ」

 

「はぁ・・・、良かったです先輩・・・」

 

 

マシュはあの直前、僕とサークルの間に立って盾を構えてくれていたようだ。

 

 

「怖かった〜!ありがとう、マシュ!」

 

「いえ、先輩が無事なら何よりです!」

 

「な、なんだったの。さっきのは?」

 

「さあ?僕にもさっぱり・・・」

 

「まぁ私はたぶん平気かなぁ〜なんて思ってましたけどね。いやぁ、マスターが無事でよかったよかった!」

 

「武蔵ちゃん、縁起の悪いこと言わないでよ・・・。マジで終わったって思ったんだから」

 

「ごめ〜んね♪」

 

『こちらカルデア!みんな無事かい!?』

 

 

通信からドクターの声が聞こえてきた。どうやら召喚サークルが消えても、通信は途絶えなかったらしい。

 

 

『良かった!そっちは無事みたいだね!』

 

「ロマニ!何がどうなってるのよ!」

 

『わかりません・・・。カルデアの歴史を紐解いても、こんな事は恐らく初めてで・・・』

 

「なによソレ!いい?すぐに原因を特定して・・・・・・待って。アナタ今『そっちは』って言った?」

 

『・・・はい。カルデアではフェイトシステムがシステム許容範囲を大きく超えてオーバーヒート。フェイトシステムが爆発を起こしました。小規模ではありましたが、その際、近くにいたスタッフ数名が巻き込まれて軽傷を負っています』

 

 

所長の顔がみるみるうちに青ざめていく。

 

 

「破損状況は!?」

 

『わかりません。今はスタッフの応急処置に追われていまして・・・』

 

「命に別状が無いなら後回し!それよりフェイトシステムよ、最優先で復旧させて!!」

 

『申し訳ありません。少なくともすぐには無理です。所長たちのレイシフト中は、そちらのフォローが最優先です。復旧作業は、冬木の調査が終わった後でないと・・・』

 

「・・・悪夢だわ」

 

 

所長が気を失いかけ、倒れそうになる。マシュがすぐさま駆けつけて所長を支えたから大丈夫だとは思うけど・・・。

 

 

「ドクター。そのフェイトシステムってやつ、少なくとも今回の一件が片付くまでは使えない、ってことですか?」

 

『正直、この一件が終わった後も使えるかどうかはわからない・・・。詳しく状況を確認できる状態じゃないんだ。最悪、二度とフェイトシステムは使えなくなるかもしれない』

 

「そう、ですか・・・」

 

 

自分から聞いておいてなんだけど、なんとなく予想はしていた。少なくとも、この一件を解決するまで、新しい英霊召喚はできないという事。英霊は要だ。この事件を解決するための戦力。その追加戦力が、もう期待できないという事。

 

 

「心配?マスター」

 

「武蔵ちゃん・・・」

 

 

武蔵ちゃんが僕に声をかけてくれる。その目は真剣そのもの。僕の不安を感じ取っているのだろう。けれどそれ以上に、武蔵ちゃんの質問には「今の戦力が不服か?」という問い掛けも多分に混じっている。

 

だから、正直に言うよ。

 

 

「うん。武蔵ちゃんには悪いけど、僕はこういった状況は初めてで。どれぐらいの戦力があれば安心できるのか、僕自身にも分からないんだ・・・」

 

「うん。素直でよろしい。大丈夫よ。私はそういった人たちをたっくさん見てきました。それこそ農民のみんなから盗賊を追っ払ってほしいとか、そんな依頼も受けた事があります。だからマスターの気持ちは十分わかるわ」

 

「武蔵ちゃん」

 

「その上で、私はマスターを守り切ります。私、めちゃくちゃ生き汚いから!マスターが死んだら消えちゃうこの身なのであれば、全力でマスターを生かすように努めるわ。マシュも居るんだし、戦力自体は十分よ。というか、今あるモノでなんとかするしかないって状況は死ぬほどくぐり抜けてきたからね、私!安心はできないかもしれないけど、頼ってくれればいいわ」

 

 

そう言って、ニッコリと笑う武蔵ちゃん。それは先程の殺気を伴ったものではなく、心の底から安心できるような、なんというか、仏様?みたいな印象で。

 

ちょっとだけ、涙が出そうになった。

 

 

「・・・ところで、ねぇマスター?あそこに落ちてるものは何かしら?」

 

「え?」

 

 

武蔵ちゃんに釣られて、僕は背後を振り返った。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・ウソ、だろ?」

 

 

 

 

 

「石の、彫刻?なんか輪っかになり損なった感じよね。失敗したのかしら?でも細部の装飾はかなり作り込んであるし・・・」

 

 

武蔵ちゃんにわかるはずがない。

 

ソレは、遥か古代に在ったとされるモノ。

 

そして、遥か未来で具現化されたモノ。

 

現代においても、知ってる人は極少数だろう。

 

 

 

だが、僕はコレを知っている。嫌というほど知っている。

 

 

 

だって、これは僕の憧れそのもの(・・・・・・・・)なのだから。

 

 

召喚サークルの消えた跡、その中心に。

 

 

 

 

 

仮面ライダークウガの変身ベルト、霊石アマダムを埋め込んだ『アークル』がぽつんと置かれていた。

 

 

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