白金輪廻はブラコンと共に   作:初見さん

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11、白金姉弟(最終回)

「……って訳なんですよね」

「もう弾けや、妬ましいわ」

「うわ、怖。急に男になった」

「こいつたまに素に戻るから」

 

 俺が話し終えた瞬間ルナさんが言ったのはそれだけだった。

 

「いい、輪廻。私はね、楽器が弾けないところからスタートしたのよ。それに比べりゃアンタの実力なんて上の上よ」

「でも、燐子と俺じゃ……」

「そんなのプロレベルとど素人なんだから当然でしょ。でも、別にアンタは燐子と勝負したい訳じゃない。プライベートで、仲良く、演奏したい。それだけじゃない。アンタがプロを目指すなら私たちじゃ力になれないわ。あことか頼りなさい。でも、そうじゃないなら、深く考えずに弾いた方がいいわよ」

「……そんなもんなんですかね?」

「私はリサとは楽器違うけど、初めて演奏した時は楽しかったわよ。私はリサに置いてかれた訳じゃなかったんだって思えたもの」

「……そうですか」

「まぁ、なんにせよだ。そこまで弾けるならやってみりゃいいんじゃねぇか? 俺も母さんに嫉妬してたことあるし」

「お前もかよ」

「ルナ口調」

 

 ルナさんのツッコミに雷狼さんは答える。

 

「それは本当ですか?」

「おう。だって俺の母さん料理人として世界大会連覇してんだもんよ。言っちゃ悪いけどRoseliaと素人同士のレベルなんて遥かに上だぜ? ガチモンのプロと一般人なんだからよ」

「……もしかして雷狼さんってあの剣さんですか?」

「そうだぞ。知らなかったのか」

「うっそでしょ、Roselia所属のリサさんの弟に世界的料理人の息子とかいい意味でやばい人しかいないですね」

「「お前もRoseliaの弟だろ」」

「あのど変態(白金燐子)は知りません」

「「今その人について話してるだろ!?」」

「確かに」

 

 知らなかった。まさか3人中3人が劣等感を抱いてた過去があったなんて。ってか、雷狼さんは関係ない感じに言ってましたけど。

 

「背負ってる劣等感は同じ類でも、俺は姉弟じゃねぇもん。ちょっとブレるだろう」

 

 確かにそうだと思った。

 

「まぁ、なんにせよやってみなさい。オネエ(ウェイ)に進むものなら当たって砕くか砕けるかよ」

「進みたくないですその道は」

「バカお前オネエ道舐めんなよ? 料理上手くなるぞ?」

「嘘でしょ?」

「これがマジなのよねぇ」

 

 どんな道なんだオネエ道って……でも、なんか勇気もらえた気がする。俺も、やってみるか。

 

「そう思った時点で、貴方はもうオネエ道を歩いているのよ」

「もしかして勇気出して一歩進むのがオネエ道ですか?」

「そうよ。やれるならやってみるのがオネエ道よ」

「ようこそオネエ道へ。キスしたもの同士仲良くしようぜ」

「アンタマジで殴りますよ」

「え、お前らそんなことしてたの? マジで引くわ……」

「オネエに引かれたら終わりですよもう」

 

 ♪♪♪ 

 

「……姉さん、今暇か?」

「これから……輪廻のお風呂上がりの写真見て……オナろうと思ってたんだけど」

「よし暇だな。早くピアノの部屋来い、今すぐ来い。さあ来い!」

 

 強引にバカを部屋に連れ出した。

 

「まさかわたしの初体験が……ピアノの角使ってなんて……」

「何を言ってんだアンタは」

「とりあえず服脱ぐね」

「なんで?」

「ブラは……つけてないから良しとして」

「なんで?」

「ゴムもいらないよね」

「なんで?」

「さぁ……お姉ちゃんに全てをかける覚悟はある?」

「姉さんピアノ弾くから聴いて」

「放置プレイだね!」

「それでは聴いてください。物凄い燐子ちゃんが物凄い歌」

「……え? ピアノ弾くの?」

「遅いよ!?」

 

 そう言って俺はあの曲を弾く。THプロジェクトの、友希那さんが作ってくれた歌詞を、この曲に乗せて。歌ってみた。

 思えば俺はピアノが嫌いだったのに、いつの間にか欠かせない存在になっていた。姉さんに内緒で弾いていても、どれだけ姉さんに劣等感とか嫉妬とか抱いてても、こいつに助けられたのは事実だから。

 偉大な姉(白金燐子)空を飛ぶ(ピアノを弾く)のを想像して、偉大な姉(白金燐子)微笑む(楽しそうに演奏する)のを想像して、俺が、そんな偉大な姉(白金燐子)に嫉妬し、劣等感を抱きながらも、結局は嫌いになれず、姉を尊敬し、憧れてしまった、そんな想いも全て、この曲に乗せて、俺は歌う。

 演奏が終わり、静寂が少し。すぐに聞こえたのはどこからか手を叩く音。音源は姉の両手から。拍手だった。

 

「……一人で、頑張ったんだね」

「……最初は一人だったけどな、今はあこが付き合ってくれたんだ」

「子宮ノックってやつだね」

「突き合ったんじゃねぇよ。後、大事な話してんだよ今」

「……そっかぁ……お姉ちゃん感動しちゃったなぁ……」

「……燐子姉さん」

「どうしたの?」

「俺さ、昔姉さんが嫌いだったよ。ピアノを弾いて俺を置いて行って、Roseliaに入って、また俺を置いて行って、俺は姉弟なのに、姉さんの隣には立てないんだなって。だから嫉妬もしたし劣等感も抱いた」

「……うん」

「でも、それでも姉さんを無視したり、手放すなんて出来なかった……完全には嫌いになれなかった」

「……そうなんだ」

「……バカなのは俺の方だったよ。何もしないで、姉さんに追いつける訳ないのにさ」

「だからピアノを弾いた。姉さんに少しでも追いつけるように、あこにも頼んだし、なんなら暇さえあればやった。まぁ、友希那さんには姉さんに及ばないって言われたけど」

「でも、俺は姉さんとピアノが弾きたい。だから……一緒に弾いてくれ。頼む」

 

 そう言って頭を下げる。姉さんは俺の肩に手を置いて言った。

 

「……やったるで、輪廻」

「……え? あの、ちょっと待って、なぜ急に関西弁?」

「輪廻の想い、しかと受け取ったよ……じゃけん……やるっきゃなか!」

「もう何語ですか?」

「輪廻の流した涙はどんくらいか分からない……でも、もうdon't cryだよ」

「あの、燐子さん?」

「輪廻、連弾しよう!」

「燐子さん?」

「お姉ちゃんが手取り足取り……なんなら口とか下の口とか使って……ケーキ入刀してあげるから」

「おいコラ白金えぇぇぇぇぇ!! 色々混ざっとるわ!」

「……輪廻」

「……なにさ」

「わたしの弟になってくれて……ありがとう」

「……礼を言うなら親に言えや」

 

 その後、俺と姉さんはピアノを二人で、弾くことができた。姉との連弾? ……まぁ、楽しかったわよ……ヤベェオネエ出てきた。

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