白金輪廻はブラコンと共に   作:初見さん

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7、輪廻の思い

 俺があこちゃんと会ったのは姉さんの家の中である。要は自宅だ。

 

「宇田川あこです!」

「白金輪廻だ。姉さん、俺はどこに逃げれば良い?」

「逃げなくて……いいよ。わたしの部屋に投げておくから」

「ああ、あの溶鉱炉か」

「あこゴミ扱い!?」

「フフッ、冗談だ」

「……なんか、笑い方りんりんにそっくり」

「あこちゃん……一応姉弟みたいなものだから」

「サラッと絶縁されなかった!?」

「輪廻と結婚するのはお姉ちゃんで充分だもんね」

「ねじゃねぇよバカ姉貴」

「シスコンなの?」

「輪廻はロリコンだよ?」

「初対面に何言ってくれてんの?」

 

 それが出会いだった。最初はただの姉さんの友達。そう思っていた。

 そして、ある日。あこと姉さんがいつものように遊ぶために家に入ってきた。姉さんが買い物に行くと言い出して一旦出て行った。その時に、俺はあこがいるのを普通に忘れてしまって、ピアノを弾いてしまったのだ。

 

「……え? 輪廻さん……ピアノ弾けるんですか?」

「……忘れてた。……だったらなんだよ?」

 

 俺はその時姉さんが嫌いだった。ピアノに夢中で俺に構ってくれなくなった姉さん。Roseliaにスカウトされて、遠くに行ってしまった姉さんが家族ではなく、ただの有名人になって俺の元から離れるのが嫌だった。

 姉さんの演奏に嫉妬していたのもあって、子供だった俺は姉さんを苦手としていた。

 そんな時にでも、俺の癒しがあった。それは姉さんに隠れて弾くピアノ。ピアノを弾いているときは錯覚だけど、戯言だけど、姉さんと一緒の立場になっているなんて自惚れていた。姉さんに近づけた気がしたんだ。

 でも、あこちゃんに見られて俺の全てが終わった気がした。姉さんのバンドメンバー、Roseliaのドラマー宇田川あこに見られたという事は、姉さんと比較されて俺のピアノが否定されるだろうと思っていたのだ。だって、プロレベルと素人だから。

 でも、あこちゃんは、

 

「え! すごいよ輪廻さん! ねぇねぇ! あこNFOの曲弾いて欲しいな!」

「……え? ……あ、ああ。良いけど、姉さんの方が上手いよ?」

「なんでりんりんが出てくるの? あこ輪廻さんのピアノが聞きたいんだけど?」

 

 そんな言葉をサラッと言う彼女。彼女にとってはただ聞きたかったんだと思うけど、その時俺のピアノを肯定してくれた彼女の顔を俺は忘れない。

 

「……ねぇ、あこちゃん。この事姉さんには内緒にしてくれないかな?」

「どうして?」

「……恥ずかしいからかな。ほら、姉さんに言ったら色々暴走するからさ」

「あー……なんか分かります」

 

 俺は嘘を言った。本当は姉さんに、バレたくなかったのは、比較されたく無かったから。それくらい俺が弱かったから。

 でも、あこちゃんは約束を守ってくれたし、時折聴かせてあげた時、とても嬉しそうな顔をしていた。思えばこの時から俺はあこちゃんに惚れてたかもしれない。

 

「りんりんと輪廻さんが一緒に弾いたらもっとバーン! ってするんだろうな」

「……どうだろうね」

 

 ただ、あこちゃんのその一言は少し嫌だったかな。なんて今はもう気にしてないけど。

 そして、ある日あこちゃんは……

 

「……輪廻さん」

「……どうした? ……あこちゃん。目腫れてるぞ!?」

「……フラれちゃった」

「……え?」

 

 この一言で、俺が彼女に対して一方的に片想いしていたと知ったのだ。

 それから、俺はあこちゃんを元気付けるため食事に連れてったり、一緒にピアノを弾いて貰ったりしていた。

 下心なんて無いなんて、言葉で言ってても本当は期待してしまっていたんだろう。でも、告白というそのアウトラインは絶対に超えてはいけないと思った。

 彼女がフラれて落ち込んでるのに、追い討ちなんてかけたく無いし、何よりそんな略奪者にはなりたく無いと俺の絶対的理性が、働いてたから。

 あこちゃんが落ち込んでた反動で燐子姉さんに俺がピアノ弾いた事を言ったのは誤算だったけど。

 そんな訳で俺は何が言いたいかって言うとだ……

 

 ♪♪♪ 

 

「あこちゃんが好きなんだ……って言っちゃったな。我慢してたのに」

「……輪廻さん……」

「まぁ、それよりも大事なことはだな、俺はあこに救われたんだ。だからあこが悩んでるなら力になりたい……なんて言ったら下心丸見えか? まぁ、どちらにせよあこちゃんの味方になりたいのは本気だよ」

 

 そう言った俺は笑っているだろうか。あこちゃんに実は好きでしたなんて略奪者みたいな、我慢をし続けてた心が爆発して、本能で全て話した俺は、あこちゃんのために笑えているだろうか? 

 そう考えていると、あこちゃんも涙を流しながら俺に言った。

 

「……輪廻さん……ごめんなさい……あこ……あこも、輪廻さんが……好きなんです……!」

「……え?」

 

 その言葉は俺にとって嬉しいはずなのに、苦しそうに答える彼女を見るととても喜べなかった。




 今更ですけど創作3作品クロスさせて書くの大変ですよね。
 矛盾しすぎてる気がする。なるべく違和感なく作りたいです。
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