モンハン世界?本当に?   作:epitaph

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オープニングだよ
ここで本作の雰囲気を掴んでくれると嬉しいねぇ
ダメだったらブラウザバックのお時間だ



はじまりはじまり

ドッドッと心臓が常より早く鼓動する。

緊張によるものだ。けれど体と心の動きを阻害するほどではない。

むしろ程よい程度で集中力が高まっているのを感じた。

 

身を隠すのはまばらに散らばっている岩の一つ。

空に視座があればすぐ見付かるだろうが大丈夫、この時間帯にはそれがないことは長い観察で判っている。

もしもの備えと僅かに注意を残しても目を向け続けるのは眼前、果ても遠い大草原に群れる竜たちへだ。

岩の影から頭だけを覗かせて群れの動きを観察し続ける。

 

30から50の頭数を一塊に遠目にもいくつも確認できる。

群れの数もそう、けれどなにより目を惹くのは個体の大きさ。小さなものでーーーまだ子供なのだろう、こちらの首もとに届く体長があり、大きいものならその倍を優に越える。

突進を食らえばひとたまりもあるまい、暴れるならあの巨体はそれだけで脅威だ。

挑むには勇気がいる、しかし成功させれば村を満たしつつ次の挑戦への足掛かりになる。

 

初めての狩猟、村に待つ親に重役達も説き伏せて、重ねに重ねた計画と準備。

失敗してもいい、また挑戦すればいいのだから、だから五体満足で。

出発の際に送られた心配の声を反芻するが、子供だてらに分かっているのだ。

村にはもう、そう何度もの失敗を許容できる余裕なんてないのだと。

だからこそ、この一回を成功させると意気込んできたのだ。

 

風は一定の向き、少し横を向けば視界の殆どを埋める霊峰から吹き下ろす風は冷たいが、緊張から滲む汗を止めることはない。遮るものなく降り注ぐ陽光も合わせればむしろ丁度いいくらいだ。

自身の匂いは横に流され前方の標的に届くことはないと理解すれば、だた見つからないことだけに注意して。

のったりと動き、草を食むことに夢中と見える獲物達に目を凝らす。

こちらに気付いた様子はない。いいぞと心中に呟く内に、食欲に押されたか一頭、二頭と群からばらけていく。

もう少し待てと逸る気持ちを抑えながらいざ始まった際の動きを再確認する。

 

模倣するのは野生の狩猟者達の動き。

十回の下見の内に2度見た狩りの風景。

襲うのは群から少し離れた少数。とにかく傷を付け、悲鳴を上げさせ動けなくする。

群れは反撃か逃走か、すぐ動き出すが声をあげ、威嚇をすれば元来臆病だ、傷付いた一頭より群れ全体の保全のために逃走を選択すると知っている。

まれに勇敢な個体が居ることも知っているが、反撃の仕草を認めたらさっぱり諦めて全力で逃げるのだ。

与えた傷が深ければいずれ死ぬ、死骸に流れた血の匂いを嫌って群れは移動するから、そうなってから回収すれば目的は達成される。

反撃を貰わないことを最優先、ここが駄目なら他の群れを選べばいい、時間はある、この一回に執着するなと胸に刻み、じりじりとした時の流れに機会を待つ。

 

手汗に滑らぬよう握って離してを繰り返すのは右手に下げた片刃の剣。

先祖伝来と言いつつ扱える者もいないからと、期待と共に渡されたそれはずっしりと重い。

まだ成長しきっていない体には大剣の如くだが、超人さながらのこの身なら持って振り回すことに不足しない。

元は片手に振るうものと聞き、刀身の重さに体を流されぬよう今は両手でもって扱うが、いずれ体も追い付くだろうと恃むそれは廃れて久しい狩人の狩猟具だ。

 

未開領域に足を踏み入れ環境を読み、尽きぬ資源を村へと持ち帰る狩人の役割を今日にこそ復活させる。

そんな使命感を半分に、なにより見果てぬ世界への興味を原動力にここまでやってきた。

そのための第一歩、そのために求める初めての成果。

 

調子は上々で、風善く視界善く足場善く。

予め定めた距離に近づいてくる獲物を見れば、残すはもう踏み出すための決意だけだ。

 

今、まだ、今、まだ

 

深い集中に意識が拡大する。

擦るように足を動かし、両手に剣を握り直す。体を持ち上げ、走りだすための準備を整える。

緊張に体は震えていない、視線は一点を見据えても視界に全てがはっきりとわかる。

息を深く、深く吸う。同じ時間をかけて吐き出して、それを何度か繰り返せば全身に力が満ちた。

 

今、まだ、今、今!

 

決断と同時に岩影から身を翻せば離れた群れのいくらかは気付いたか、しかし目の前の獲物はまだ気付かない。

一歩、二歩、三歩と飛ぶように駆ける。

気付いたか、首をもたげ逃げ出そうにも群れへの合流には時間が足りない。

剣を腰だめに、進路を示すようにまっすぐと構えて。

 

ただ前へ、脇目も振らずただ前へ!

 

 

 

かつての記憶だ。

初めて成功させた狩りの一幕。

仕留めた獲物を前に勝鬨を挙げて、両手を天に、届けとばかりに突き上げて。

意気揚々と進む村への帰路に、後ろ手に曳く重さが誇らしく。

村が見えれば安心にか、途端に重くなる体に荷物。

両親の姿を門前に認めれば、男の意地よと体に褐入れ顔を上げ。

最後の最後、疲労に負けて気絶なんかはしたけれど。

 

それでもまぁ、いつになっても色褪せない、己に誇る大殊勲を得た日の記憶だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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