モンハン世界?本当に?   作:epitaph

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ヒロインとのイチャイチャ回



村でのひとこま

何時もの狩りの終わり、村長への報告に館へ歩く道すがらに響く甲高い叫び声。

顔を向ければ預けられて居たのだろう、広場で遊んでいたらしき子供の群れが突撃してきた。

元気だねーと先頭の一人を高い高いと持ち上げれば、欲しいのは狩りの成果についてだったようで、お帰りの声もそこそこに肉は?今日肉ー?と前後左右からの大合唱が始まる。

今夜は焼き肉ダヨ!おお大げさに言ってみせれば感情が爆発したかのように。キャラキャラと喜色満面に走り去るのだから現金なものよと苦笑が滲むが、今日の子守り役だったか、井戸端に座る少女に眉を伸べる様子を見て取って、これくらいは愛嬌よなと上がってもいない溜飲を下げた。

 

「今回も無事だったみたいね」

「森ならともかく、草原なら慣れたもんよ」

「そ、頼りになるったらないわね。」

 

おかえりなさい、ただいま、と笑い合って挨拶を交わし、少女の横に腰を降ろす。

村長は?お爺様ならお館よ、これから報告?少し休んだらね、と

年長組から感染していた熱狂も少しは落ち着いたのか、ネーチャンニーチャンと走り寄って来た幼い子供を捕まえた。

 

「それで、今日の夕食は豪華になりそう?」

 

先ほどの声も聞こえていたのだろうに顔を寄せて小さく確認してくるのは年頃に旺盛な食欲故か。

君もかと驚くようにしてみせれば、頬に少しの朱を散らして弁明とも言えぬ声を上げる。

 

「だってしょうがないじゃない、たまのごちそうなのよ?」

常の食事に文句を言うつもりなんてないけれど、やっぱり新鮮なお肉は別物よ、と

気恥ずかしげに口を尖らせる少女に同意すれば、そうでしょうと頷かれた。

 

最近は定期的な狩りの甲斐もあって3日に一度は配給されるようになったが、新鮮な内に食べられるのは持ち帰ってからの数日だけだ。残りは保存用に燻されて、古い順に消費されていく。燻製肉は煙臭いと好みが別れているから、少女にはそれが不満なのだろう。

お魚の燻製は美味しいのにと溢されても、どうにもできないので困ったように笑うしかない。

婦人衆の方々とは脂身が原因かなと意見の一致を見ているが、どうしたら改善できるかは手探りで調べてもらっている最中なのだ。

 

腕の中の子供の相手をしながらしばし、お話をしてくださらない?澄んだ声音で促されるのは今回の狩りの様子。

着いて行きたいとは思わないけれど、見知らぬ世界に想いを馳せるのは楽しいからと、今では習慣となったそれにどんな風に語ろうか、舌の上で言葉を転がし始める。

丘の上から見える風景、青々と茂った草の絨毯が果てまで続く大草原のこと、いくつもの群れを作って草を食む竜たちのこと。その先に聳える果ても見えない森林と、その上を飛ぶ竜を見付ければ警戒を深めて暫く様子を見たこと。豊富とは言えない語彙に苦労しつつ、多少こなれた調子で吟じるように語り出せば、合間合間に相づちをうってくれるからなんとも面映ゆい気分になるのだ。こればかりはいつになっても慣れてこない。

狩猟の終わり、村を視界に納めた安心感に早足となった件でこれで終わりと手仕舞をするように両手を挙げて見せる。

 

満足げに細められた瞳に自分も安いなと思いつつ、静かになった子供を抱えながら益体もない話に話題を戻していると目の前の道から俄に騒がしい声が聞こえ始めた。職人方かな?気を向けて待てばその通りに、門前で預けた草竜の切り出しも終わりそうだと伝わったのだろう、荷台を曳く幾人かを引き連れた鍜冶方の親方が二人の前に姿を表した。

渡りに舟かと声掛け手を振ればこちらに気づき、先に行っとけと子弟に指示を飛ばして寄って来る。

 

「おう、ご苦労さん、かなりの大物だって聞いたぜ」

渡せとばかりに伸ばされた手へ、腰帯から外した剣を預ける。

「結構大きめだよ、多分何本かは柵の補修に使える骨も採れるんじゃないかな」

そいつはいいと呟きながら、鞘を払って剣の刃先に刀身を調べ始めた男は刃筋を日に当て指を這わせる。一通りに調べて一旦の納得がいったのか鞘に戻した彼に、気が早いかと思いつつ次の遠征なんだけど、と狩猟の帰り道に考えていた予定を話す。

 

「村長達とはこれから話すけど、今日の分で暫くは肉も足りるはずなんだ。だから森に行こうと思うんだけど、鉄は勿論、前回持ち帰ったあの鉱石は何かに使えそう?」

 

使えそうなら持ち帰る量を増やすよと訊ねるのは前回の森林遠征、頼まれていた鉄鉱石を採取する内に見つけた青みの深い鉱石らしきもののこと。

きっとあるはず、多分あるはず、鉱石採取時にはそんな思いを心の隅に探した結果、

これがもしや?と見つけたそれを僅かな量を持ち帰り、調査を依頼していたのだ。

期待通りの鉱石だったならと幾分か前のめりになってしまう。

まさしくならば、待ち望んでいた武器の強化が叶うと。

 

「ああ、あれか。恐らく燕雀石っつうやつだ」

「鉄に比べると?」

「より上等な代物だよ」

おぉと小さく歓声を上げるも男は浮かない顔だ。

ただ情けない話なんだが、と頭を掻きつつ続けるのは

 

「先代共々扱った経験がないんだよ。鉱石片と一緒に口伝されてたから何なのかはすぐわかった。性質もな。だが加工法となると抜けが多い。なにか思い出せないか先代に頼んじゃいるが望み薄だ」

多少の知識はあるから始まれば速いだろうが、殆ど一から揉まにゃ形にならんと言われれば膨らんでいた期待も萎んでいく。

 

森の浅瀬の調査がおおよそ終わった今、そろそろ本格的に中層に挑みたいと考えていたのだ。

けれど同時に、瀬踏みのようにして単発的に潜った森の奥から聞こえた独特な金切声に、その声の主の落とし物だろう桃色の鱗を見つた過去があれば、鋼鉄製の武器では時期尚早とする気持ちもあった。

何せ木に固定したその鱗に剣を降り下ろせば、割れはすれども酷い刃こぼれを得たのだから、

不意の遭遇に逃走の選択肢しかない状況は極力作りたくなかった。

だからこそ武器の更新を目安にして挑もうと温めていた計画も、当分は先になりそうだと思えば気も沈む。

仕方ない、今は基礎を積み上げているのだと気持ちを切り替える。

 

「じゃあ鉄の分量はそのままで、荷台に空きがあれば積めるだけ積んで持って帰るでいいかな。鉄より上等ならいつかそれで剣を作って欲しいし」

「それで頼む。それと木材だな。どれが欲しいかは後で伝えるが、炭にしたらここらの木より明らかに火勢の強いのがいくつかあった。燕雀石の精製に使いたい」

「なら遠征先は河寄りの北側だね。変わった鉱石を見つけたらそっちも少量持ち帰る。木は切り出して河に落とすから、回収をお願い」

出来る?と聞けば何とかするとの力強い回答。

いっそ筏でも作って素材も流すかと一瞬思うも、沈む危険に思い直す。

森林領域への遠征は時間と労力、どちらもを多く必要とする大仕事だ。

その一回分をふいにする可能性を考えれば、決して選べるものではない。

 

話を続けようとした男は少年の横に目をやってすぐ、しくじったとばかりに空を仰いだ。

どうしたんと向けられた気楽な声に、これ以上は後で話すと話を締め括り、明後日には整備も終わるから取りに来いと剣を片手に元行く道にさっさと戻っていく。

退散とばかりに早足に去る男の後ろで、蚊帳の外に置かれ、機嫌を損ねた相手に気がついたのだろう。素直に謝る少年に、少しの棘を含ませてじゃれつく少女の声が響いた。

 

 

 




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