紅の夜叉 THE CRIMSON SAGA ──幻想殺しと紅の夜叉── 作:つくカイ
学園都市。
東京西部の未開拓地を切り開いて作られた都市。面積は東京都の三分の一ほどで、外周は高い壁で覆われている。総人口はおよそ230万人。その実に8割が学生である。
あやとあらゆる科学技術を研究し、学問の最高峰とされるこの街には、実はもう一つの顔がある。人工的かつ科学的やプロセスを経て組み上げられた、超能力養成機関である。
学生を対象に『開発』されるこの能力は各人によって様々な種類に分けられるが、その価値や強さ、応用性などによって、
【学園都市の公式サイトより中略】
act.2〈ソラリス〉
「……どういうことか説明くらいは欲しいね」
学園都市第七学区にそびえ立つ、窓のないビル。文字通り窓もドアもないビルのその内部にて学園都市統括理事会の最高責任者であるアレイスター=クロウリーは忌々しそうに告げた。
緑色の手術衣を着て、赤い液体に満たされた巨大な円筒器に逆さまで浸かっている男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見えるその『人間』は今、誰から見ても「不快」と取れる表情をしていた。
『簡単なことですよ、アレイスター=クロウリー統括理事長』
と、パネルの中から返事が帰ってくる。まだ声変わりしていないボーイソプラノの少年の声だ。しかしその声には妙な威圧感と寒気が混合していた。
気味の悪い少年だ。
それがアレイスターの、少年に対する最初の印象だった。
そしてものの数秒でそれが本当であることをアレイスターは思い知る。
『「我々の邪魔はしないで頂きたい」。それだけです』
「それが理解できないと言ってるのがわからないのかい?」
そう言うとアレイスターは手元に置いてあった画面を指差した。
「 こ・ れ・を見せておいて言うことが「邪魔するな」?ふざけるのも大概にしないか」
『ふざけてなどいませんよ。ただ我々の目的の邪魔をして欲しくないだけです』
「……」
手元に浮かんだ画面を一目するとアレイスターは先ほどの表情から一転、「フッ」と不敵な笑いを浮かべた。
「まぁいいだろう。考えてみれば邪魔する理由もない。……だが一つだけ教えてくれないか?」
『なにを、と聞くのは野暮でしょうか』
「……あれはなんだ?魔神か?」
『魔神などという生半可なものではありませんよ。アレは……言うとなれば「ちから」でしょうか』
「力……?」
『どんな理不尽な
どんな理不尽な
どんな理不尽な
どんな理不尽な
どんな理不尽な
どんな理不尽な
見境なく
一片の慈悲もなく
区別なく
握り
蹴り
擦り
砕き
壊す
そんな
一番理不尽なちから』
「……」
『それが〈ソラリス〉が求めるものです。これでよろしいでしょうか?』
「……ああ。ありがとう」
途端に画面が暗黒に変わる。
「さて……」
「君はどうでる?
プロローグ 「act.2〈ソラリス〉」終