転生したら音楽の才能がカンストしてた。   作:はや

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好きな曲のオマージュです。
参考にした曲は後書きで紹介しています。


文化祭飛び入り参加

 私の名前は黒夜怜。今をときめく音楽が好きな18歳。前世の記憶がある事以外は普通のJK。いっぱんぴーぽーといつやつだ。

 

 前世の記憶でも私は女だった。時代はほとんど変わらず西暦2000年代。しかし、前世の世界とこの世界とは微妙な差異がある。織田信長が女になったり、年号が違ったり、テレビに出ている有名人に見覚えなかったりと所々違う。

 

 

 

 

 

 

                  

私は前世から音楽が大好きだった。歌や演奏だけでなくて時々作詞作曲もすることもあった。

プロのような計算し尽くされた美しい旋律と表現豊かな声で作られた世界観に憧れた。しかし特別な才能があるわけでもなく、私が作った曲は凡庸なものだった。

 

 

だからこそ転生した時はチャンスだと思った。

 

 

「最高の曲を作りたい。」

 

 

そう願うままに行動を起こした。両親に変に疑われないよう、幼女のふりをしながら音楽に興味を持った事を気づかせるように誘導した。そして、おもちゃのピアノを買い与えられた。

ママンが簡単な演奏をしてくれたのでそれを真似してそれなりの形で弾いてみると、すごく驚かれた。「うちの子天才かもしれないわ〜」とか言って喜んでくれた。

 

私の狙い通り、ピアノ教室に通う事ができた。それからは音楽の素養を磨く為に頑張った。色んな音と触れ合い、ひたすら楽しくピアノを弾いていった。

 

2年も続けていると絶対音感が身に付いた。それからも経験のためにピアノは続けている。

ちなみに詩織ちゃんともこのピアノ教室で出会った。

 

 というか何なのこの体。一度見たら忘れないような記憶力と高い演算能力に効率的な体の使い方が感覚で分かる肉体。スペック高すぎぃ。

 

それから本格的に修行を始めた。

まず、作詞に本を読みまくった。それと並行して英語の勉強もした。スポンジのように知識を吸収していく自分に戦慄した。もうこれは良い事だと思って考えるのをやめた。

 

ママンとパパンにはあまり我儘を言わない天才肌な子だと思われている。だから、6歳の頃にパソコンとギターを頼んだ時も喜んで買ってくれた。私の中に音楽で表現したい世界観がいくつもある。それを実現するためにパソコンの音楽ソフトで無数の音の組み合わせては崩してと、試行錯誤を始めた。また、日々の生活の中でも出来ることを始めた。周りのほんの些細な事でも捉えてはそれを歌詞やメロディにする。言うは易しだが行うとなると中々大変だった。しかし、頑張って半年も続けていれば習慣となった。

 

そして、1番に力を入れたのは歌だ。どんなに良い曲でも歌次第で駄作になってしまう。私の中にある世界を表現し、聴いた人を引き摺り込むには、高い歌唱力必要だ。基礎スペックの高い私は、ただの技術だけならすぐにプロクラスに至った。しかし、ただ上手いだけではだめなのだ。上手いだけの歌手など幾らでも居る。必要なのは表現力。しかし、私でもすぐに極められるものではなかった。まぁ、これについては最近やっと納得のいくものになった。

 

 

 

 

 

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私は、東京都内では有名で偏差値高めの私立高校に通っている。人生2回目で頭もハイスペックなので、勉強する必要がないので楽だ。

最近、私の高校では文化祭の話で持ちきりだ。

それもしょうがないのかもしれない。

なんと、最終日には有名なアイドルグループ《STAR LIGHT》がライブをしてくれるらしい。近くの席の女子が興奮しながら友達に語っていた。そういえばあまりアイドルの曲を聴いたことがない。どんなパフォーマンスをしてくれるのだろうか。私も少し楽しみなってきた。そういえば私のクラスは喫茶店を出すらしい。クラス全員で協力し合って準備を進めている。

 

 

そんなこんなで迎えた文化祭。

私の学校は都内では大きめの高校なので、文化祭も相応に大規模なものだ。トラブルも所々で見受けられたが、実行委員達が上手く処理していた。私のクラスも大盛況とまではいかないが、そこそこ売り上げを出している。最終日には完売するだろう。幾ら貰えるのか分からないが楽しみだ。

 

 

あっという間に最終日になった。私は今日行われるライブイベント担当の実行委員なので忙しい。

 

 

「おい、どうすんだよ!ライブ30分前なのに《STAR LIGHT》がこねえぞ!」

 

「メンバーが乗っている車が事故にあったらしい!」

 

「なんだと!?もう代役も呼べないぞ!」

 

「今更、中止にする訳にもいかない!どうにかするぞ!」

 

 ステージ裏で実行委達が騒いでいる。何やら件のアイドルが本番直前でトラブルがあり、出られなくなったようだ。丁度私も音響の整備中だったのでよく聞こえてきた。一体どうするのだろうか。今から代役を呼ぶにも遅すぎる。まぁ、生徒会がなんとかするだろうから問題ないだろう。私には関係ないことだと考え早々に興味を失う。そんなことより今日の夕飯のことだ。家族がお腹を空かせているに違いない。帰ったら急いで作らねば。

 

 

うーんうーんと考え事をしていると詩織から声をかけられた。

 

「れ〜い〜、お願い!代わりに歌って!」

 

「詩織、何を言ってるの?」

 

詩織とは私の自慢の親友のことだ。フルネームは城ヶ崎詩織。文武両道で生徒会長までこなしているハイスペックウーマン。....の筈なのだが頭がおかしくなったのだろうか。彼女の爆弾発言には周りも騒然とする。

 

「会長何言ってるんですか!素人にさせても意味がないでしょ!」

 

「そうですよ!文化祭が台無しになりますよ!」

 

ここにいる人達は、詩織を除いて私の事が歌える事など知る筈がない。口々に皆が文句を言っている。そりゃそうなるよなぁ。たかが小娘1人に何ができるんだよと思うのは当然だ。詩織も少し強引すぎるよ...

 

「あなたが歌えば万事解決よ!お願い!」

 

しかし、懇願してくる親友の頼みを無碍にはできない。

 

「.....詩織....私、歌うよ。」

 

 

幸い私のバックの中に自分の曲が入ったUSBがある。最近は満足のいく歌唱も出来るようになったし、良い機会だ。チャレンジしてみよう。

 

 

 

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私は舞台へ上がる。久しぶりの感覚。前世で軽音部の発表した時以来だ。周りには大勢の客。しかし、弱気になることは無い。私が作った最高の曲がある。

 

何やら観客が何か喚いている...私はあまり歓迎されていないようだ。だが、曲が始まってしまえば私の独壇場。ここにいる全員黙らせてやろう。

 

 

「聴いてください....【命】」

 

 

 

 

 

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会長の独断により、代役が黒夜さんに決められてしまった。

 

 

『え〜皆さま誠に残念ながら、《STAR LIGHT》の皆さんがトラブルで出演中止になりました。よって代役が出演しますが、皆さまご声援よろしくお願いします。』

 

司会者も若干困惑している。

 

 

「ふざけるなぁ!楽しみにしてたんだぞ!」

 

「はぁ、無名の代役とか最悪」

 

「あーあ、楽しみにしてたのになぁ」

 

 

観客のブーイングが沸き起こる。そりゃそうだ。楽しみにしてたライブをどこの誰かも知らない奴に歌われるんだ。

 

「本当に大丈夫でしょうか...」

 

「大丈夫よ。」

 

 

会長は微塵も不安は無いようだ。黒夜さんの歌にはそれだけの力があるというのだろうか?

 

 

「聴いてください【命】」

 

 

 

 

黒夜さんが歌い始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、世界が変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にか真っ白な空間に1人ぽつんと立っていた。困惑して辺りを見渡すが何も無い。

 

少し経つと目の前に少年が現れた。私は驚くが少年はどうでも良さそうに独白を始める。

 

その様子はまるで悲鳴のようだった。

 

生きることに疲れた自分。

 

他人なんてどうでも良いくせに綺麗事を並べ立ててくる世の中。

 

自分自身で死にたいと言うこともあるのに、周りに対しては「そんなことするな。」と言う。

 

自分の周囲で死なれるのは嫌だからって言うエゴでしかない。

 

本当の意味で命と向き合っているものはいない。誰も少年自身を見ない。

 

それを馬鹿馬鹿しいと吐き捨てる。

 

目の前にテレビが現れた。

 

画面にニュースが流れる。

 

それはまるで誰かが死にそれを大勢が嘆いてと。そんな美談にして肯定する世の中。

 

みんなが命を軽く見てるから、死ぬことを助長している。

 

そんなものが正しいのか?

 

私はそんな風に問いかけられた気がした。

 

1番が終わって2番に入る。

 

生きる意味が見出せず、孤独を抱える少年。

 

笑顔を浮かべて幸せに生きる。そんな妄想をする少年。

 

寂しさや悲しさからくる死にたいという感情。

 

理解して欲しいけど誰にも理解されるはずがない。

 

矛盾を抱えて意地になる少年。

 

救いを求めているくせに、差し出された手を振り払う。

 

少年は変わらないければいけない。

 

価値があるのかはわからない。

未来なんて最悪なのかもしれない。

 

しかし、生きる希望も生きる理由も必要無い。

 

命そのものと向き合え。

 

生きたいから生きていると言え。

 

そんな少年へのありったけの叫びが聞こえた。

 

少年の瞳に光が宿る。それは、懸命に生きるのだというという力強い意志の発露だった。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

気づけば曲は終わっていた。彼女が舞台から降りた時やっと我に帰る。そこで自分が泣いていたことに気づき慌てて拭う。

 

 

 

観客の先程までの罵倒はなくなり、会場も静寂と化している。

 

 

 

なんなんだあれは.....。まるで劇物だ。彼女が歌い始めてから強制的に曲の世界に引き摺り込まれていた。

 

 

 

 

「会長...彼女は一体何者なんですか...」

 

 

「凄いでしょ。怜は私の親友よ。」

 

 

「違くて...はぁ、もう良いですよ....」

 

 

 

思わず溜息が溢れる。

もう色々と疲れましたよ...会長.....

 

 

 

 

 

 




イメージ曲
命に嫌われている

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