無職さんのデンドロ履歴書   作:リリアーナを照れさせ隊

69 / 102
履歴書その3 (登場人物紹介②+α)

 

名前:妙蓮寺(みょうれんじ)黒星(こくせい)

通り名:“四刀流”

性別:女

年齢:12

メインジョブ:【舞剣姫(ソードダンス・プリンセス)】(剣士系統派生舞剣士系統超級職)

サブジョブ:【剣士】【踊子】【舞剣士】【舞剣聖】【蹴士】【烈蹴士】

備考:天地所属の遊戯派。青海波家の客分。

クラスで友達を作るためにデンドロを始めたが、一年以上経った今も最初の一歩を踏み出せていない。ゲーム内で寄ってくるのは基本的に修羅なので、かわいい女子との楽しいゆるふわデンドロライフを今日も夢見ている。

完璧主義者かつ自己評価が低いため緊張しやすい。また想定外の事態に陥ると慌てて意図に反した言動を口走る事がある。人見知りで初対面には当たりがきつめ。

スタート直後に助けてくれた恩人を追って、青海波家に仕えるようになった。領地内での評判はすこぶる良い。小柄で可憐な少女が海賊をBASARAする光景に胸を打たれたロリコン武芸者達から縁談が届いているが、主人の青海波磯羅が強権を発揮して瀬戸際で食い止めている。

超級職を獲得したのは比較的最近。前任者はカルディナのスラムで人身売買を営むおじさんだった。黒星本人は何も知らないし、今後も知る予定はない。

本名:(空白で提出)

リアル:元アイススケーター

ネーミング由来:最寄駅名+敗北の暗喩

生年月日:2032年9月30日

身長:142cm

体重:(空白で提出)

趣味:読書

特技:柔軟体操、シウマイ弁当

苦手なもの:修羅、アドリブ、徒競走

 

<エンブリオ>

裏走鏡面(りそうきょうめん) オデット・オディール】

TYPE:アームズ・ワールド 到達形態:Ⅵ

紋章:“比翼”

能力特性:理想追求&入れ替わり

モチーフ:『白鳥の湖』の“オデット・オディール”

スキル

《ダブルアクセル》《トリプルアクセル》

瞬間的にAGIをそれぞれ二倍/三倍にする。

破れた銀盤(バースト・リンク)

水面に映る鏡像が独立して動き出す。

相手の鏡像に対して当たり判定を付与する。

虚は踊る、されど謳わず(オデット・オディール)

必殺スキル。鏡像と本体を入れ替える。

発動中、本体は水面下で当たり判定を持つ。

備考:スケート靴の<エンブリオ>。エッジ部分は剣判定でスキルが乗る。

 

◇評判

簀巻「バッカみたいな奴。ま、結果的にはよかったんじゃないのー?」

迷子「いつでも来い。負けてはやらん」

磯羅「俺達の妹分みたいなモンだぞ。そうやすやすと嫁になんざやれるか」

花火「また一緒に遊ぼうな!」

伯爵「四本の刀、ですか。参考になりますね」

闇商人「出資した密輸船を沈められたげす……」

作者「無から生えた主人公属性」

 

 

名前:柳葉

通り名:“柳水”、“断流”、“海賊狩り”、“白河の清き魚”、“百船乱麻”、“リアル柳生”、“シシャモ(子持ち)

性別:男

年齢:25

メインジョブ:【海乱鬼(カイラギ)】(武士・海賊系統複合超級職)

サブジョブ:【武士】【海賊】【荒波武者】【飛脚】【海賊剣士】【航海士】【剣士】【一刀武者】

備考:天地所属の世界派。青海波家の最高戦力。

剣の天災。←非常識人←おい勝手に書き足すな(本人追記)落書禁止!(マナより)

自分のあり得たかもしれない別の“可能性”を探し求めてゲームの世界に飛び込んだ天才。普段は友人の領地を巡回して治安維持に励んでおり、もののついでに野良試合にて屍山血河を生み出す。こいつが混沌

本人は自覚していないが相当な負けず嫌い。例えば対戦ゲームで彼に勝利した場合、渋々敗北を認めた上で「もう一度」を勝つまで連呼する。忖度で手加減すると本気で怒り出す。とても面倒くさい性格。

<超級>進化のトリガーは『諦観』。己には他の道など与えられておらず、ただ一つに終着する、という気付きを形にした必殺スキルが発現した。

以前から他人の長所を褒めそやす傾向にあるが、<超級>到達後は加えて、自分の剣を上回る“可能性”探しに注力している。本気で人を褒めるくせに、彼の認識では「皆は自分に無い可能性を持っている」事が当たり前であるため、特別記憶に残さない。

本名:柳葉雨龍

リアル:現役の剣道選手

ネーミング由来:本名

生年月日:2019年4月21日

身長:187cm

体重:78kg

趣味:剣道

特技:剣道

苦手なもの:ピーマン、選択と決断、地図

 

<エンブリオ>

マナ/【源辿海姫(げんてんかいき) マナナーン・マクリール】

TYPE:メイデンwithルール・アームズ 到達形態:Ⅶ

紋章:“波”

能力特性:液体操作

モチーフ:ケルト神話の航海神“マナナーン・マクリール”

容姿:青いドレスの朗らかな少女

身長:150cm(通常時)

体重:それレディにする話かな?

食癖:汁気の多いものしか食べない

スキル

《紋章偽装》

応刀(アンサラー)

水に触れた対象一人の指定ステータスを100%減算。減算した数値分、同じ自分のステータスが上昇する。

《秋水》

液体で武器を形成するスキル。基本は刀。

《水鏡》

液体の振動を知覚する広域探査スキル。水分が多い土地や水辺だと探知範囲が広がる。

《霧雨》

肉体を水に変化させるスキル。

巡り廻りて漣に(マナナーン・マクリール)

必殺スキル。一定時間スキルの出力を大幅に向上。

単一の固有スキル+《応刀》を除いた他のスキルが使用不可能になるデメリットあり。

備考:液体を操作する万能型。スキルの出力は<超級>としては低い(類似例はゼタのウラノス)。時折りスキルを発現しては削除することを繰り返しており、上述以外に変なスキルを習得している時もある。

基本性能として『液体を吸収・ストックする』仕組みを持ち、貯蓄した液体の総質量でメイデン体の外見年齢が左右される。通常時は十代後半だが、ストックを放出した直後は四歳程度の見た目になる。柳葉の通り名のひとつは幼女化した彼女を連れ歩く風景が由来。

 

◇評判

無職「“想像力が足りていない。釣った魚に餌をやらないタイプ”」

黒蓮「次は倒す」

首狩兎「次は斬ります」

磯羅「難儀なやつだよ。それと仕入れの個数間違えたよな? 次はねえぞ」

あやとり&星鎧「レディの、女子会……アタシと……? 恐れ多いというかご勘弁願いたいというか『【海乱鬼(かいらぎ)】、確認候』ぎゃー!? そっちもダメ駄目ー!」

ドラム缶「初期装備は剣を推奨する。合理的な判断だ」

作者「元々設定を作っていた主人公属性」

 

 

 ◇◆◇

 

 

 □■二〇四五年四月十五日

 

「……いや、どこだよここ」

 

 バーベナは見知らぬ河原に立っていた。

 

 無職が講和会議でギデオンを離れて。

 バーベナは闘技場の賭博・寄生プレイ・ぶりっ子乞食のお徳用三点セットで羽を伸ばしていた。

 自由を満喫していたところ、いきなり別の場所に転送されたのだ。当然ながら困惑する。

 

 小川のせせらぎ。鳥のさえずり。

 穏やかな木漏れ日とうららかな陽気。

 春眠暁を覚えずってしまう環境設定である。

 バーベナはつい、眠気に誘われてしまい。

 

「起きて」

 

「ぴぃ!?」

 

 鯉口を鳴らす音と殺気で覚醒する。

 先日イベントで知り合った赤の他人……妙蓮寺黒星の姿を認め、寝ぼけ眼をこすって舌打ちした。

 

「やめろよ心臓に悪い」

 

 バーベナは無職の折檻で、殺意を浴びた瞬間に行動するよう調教されている。失敗したら簀巻きである。

 修羅の鞘当て程度なら少し漏らすぐらいでスルーできるようになっていた。何を漏らしたか、それはバーベナの名誉を守るため、ここでは割愛する。

 

「てか、あれ? 何で王国にいるの?」

 

「違う。逆。バーベナが天地にいる」

 

「うぇ!?」

 

「ちなみに今のは嘘。プッ、騙されてる」

 

「こ……こいつぅ……」

 

 随分と無遠慮で生意気な女だ、とバーベナは自分を棚上げして拳を握りしめる。お前が言うなと人は言う。

 黒星は上機嫌に体を揺らしながら、数少ない女性のフレンド(注:バーベナは男)との会話を繋いだ。

 

「ここは街やフィールドとは別の空間。一時的に、私がバーベナを呼んでみた」

 

 現在地が王国でも天地でもない場所、かつ、黒星が一連の現象を引き起こしたこと以外は何の説明にもなっていない解説にバーベナは疑問が増えるばかりだ。

 デンドロにおいて空間転移は非常にコストが重い。仮に二人をそれぞれ別の地点から転送して、のどかな空間を形成しているのであれば、相当強力なスキル・魔法が関与していると考えるのが自然だ。

 しかし黒星のジョブと<エンブリオ>は、空間に直接作用するものではない。時間比例型の自己バフを積む舞剣士系統。鏡像に作用するオデット・オディール。どちらの効果でもないとすると。

 

「Sレア確定ガチャ。もう引いた?」

 

「引いたけど……あ、なるほどね」

 

 イベントの賞品を、奇しくも上位入賞した黒星とバーベナの二人は受け取っている。

 

()()()()

 

「当たり」

 

 黒星は数世代前の携帯ゲーム機に接続するケーブルのような端末を見せびらかした。

 

「【通申(つうしん)対川(たいせん) タチアイカワ】。遠くにいるフレンドと、この空間で決闘ができる」

 

 Sレアガチャ産の古代伝説級武具。

 戦闘用シミュレーションルーム、と表現するほかない変わった能力のMVP特典だ。

 装備スキル《太刀相交(タチアイカワ)》は、あらかじめ「開始時刻」「対戦相手」をフレンドリストから選択する事で、定刻に意識だけを自動転送。

 生成された仮想空間で一日に一人、最大三十分間、ステータスと装備を再現した訓練体(「アバターのアバター」と黒星は表現した)で決闘ができる。

 なお相手が申請を拒否するとスキルは不発。ログアウト中も転送失敗で不発になる。

 

 あくまで意識のみを飛ばしたシミュレーションのため、仮想空間内で消費したスキルコストやデスペナルティは現実に影響を与えない。またシミュレーション中は互いの本体が無防備になる点は注意が必要である。

 

「そういやなんか来てたな招待メッセージ。何も見ないでYES押してた」

 

「よかった。拒否されたら毎日送るしかない」

 

「いや怖いわ。人の事情も考えろって。そんな真似してると友達いなくなるよ?」

 

「だってバーベナ以外に試す相手がいない」

 

「おぅ……」

 

 心の傷にクリティカル。

 悲しいかな。黒星は友人が少ない。

 フレンドリストと睨めっこして、はなから選択肢がないと気付いた黒星の気持ちはいかに。

 

「まあほら。フレンドはこれから増やしてけばいいじゃん? あんま落ち込まないでさ」

 

「うん。やっぱりバーベナは悪くない人」

 

「そこは普通いい人だろぉ」

 

「あ、用事は済んだから好きにして」

 

「自由か?」

 

 黒星はバーベナを放置して特典武具の検証に没頭する。空間の設定を確かめていた。

 途中退場するとスキルが終了して空間自体が消滅してしまうようなので、バーベナは待機したまま、一人暇を持て余してしまう。

 

「ふーん。メニュー機能は使えるんだ」

 

 風景に合わせたお座敷席で思案することしばし。

 

「……作業? うわぁ、やる気でなーい」

 

 バーベナは絶賛後回し中のToDoを消化する。

 

 バーベナは自分の<エンブリオ>、タキオンを紋章から呼び出した。

 お忘れの諸兄のために説明するとタキオンの本体はエアロバイク型のチャリオッツ系列である。

 タキオンに跨ったバーベナはペダルをこぐ。

 粉挽きの要領で胴体部分から排出される粉塵。

 一定量を生成したところでバーベナは足を止めた。

 

「これをつけて、と」

 

 バーベナは【クイックサンド】を装備する。

 生成した粉をボディスーツに付着させると。

 

「フッ……ヒッヒッ、フゥ……」

 

 またペダルを回し出す。

 粉塵を生成したら、体にまぶしてまたペダル。

 何回も何回も同じ作業の繰り返しである。

 

 タキオンでAGIが上昇した彼は、一分一秒の時間が引き延ばされ、まるで無限に等しい労苦が精神を苛む。

 時計を確認すると開始からわずか十分。

 実に地味で過酷な作業であった。

 

 バーベナが一見無意味に見える作業を嫌々こなしているのは当然ながら理由が存在した。

 

 それはタキオンの性質が関係している。

 タキオンが付与する加速の効果量は、粉塵生成時のバーベナのAGIを参照する仕組みになっている。

 単純にAGIの数値と言えないのは、計算式をバーベナが理解しておらず、スキルの本質ともズレるからだ。

 

 【哲学者】の《高速思索(ハイスピード・スペキュレイション)》。

 武器を装備していない時に、思考速度のみを自身のAGIの三倍に加速させるスキル。

 超音速起動の補助でサブジョブを取得した際、なぜかタキオンの性能が飛躍的に上昇したことから、バーベナは<エンブリオ>の性質をおぼろげながら把握した。

 

(ペダルこいでる時の思考速度でバフの効果量が変わるっぽいんだよね)

 

 それに気付いてから、バーベナはできる限り思考速度を高めてタキオンをこぐようになった。

 【哲学者】はもちろん、()()()()()()()A()G()I()()()()()()()()も、思考速度は速まるわけで。

 

 より質の高いタキオンを生成し、それを使ってさらに思考を加速させるという永久機関が爆誕した。

 

 無職がこれを知ったならバーベナを簀巻きにして、ジョブクリスタルに叩き込み、哲学者系統上級職【哲人】の就職をすゝめるだろう。

 なぜそれを早く言わないのかと。

 ジョブビルドの大幅な見直しが必要だと。

 お仕事は報連相が重要だと何度言わせれば。

 

 実際は速度と上昇率が反比例して効率最悪。

 体感時間は作業時間の数十倍とマジ苦行。

 面倒かつ今のビルドで満足しているバーベナは、口が裂けても無職に報告しないつもりである。

 

 意識だけ加速して引き延ばされた世界で。

 バーベナは四刀流の剣舞を眺めるのだった。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 バーベナが生成した粉塵は【タチアイカワ】の効果終了と同時に訓練体ごと消滅し、せこせこ積み重ねた作業時間は丸ごと無意味になった。

 

「…………だから作業とか嫌なんだよな」




【タチアイカワ】
制限時間内なら何度でも戦闘可能。
決闘結界のように状態を初期化できる。
『観戦機能』付き。決闘する二人のフレンドは意識を同時転送できる。観戦用アバターは戦闘力を再現しない。
この機能を悪用して、秘密の会談や、遠方にいる相手とのフレンド申請(メニュー機能は使える)ができる……と青海波の大名は考えたが、友人と遊ぶつもりの黒星に水を差すのが偲びないので口を閉じた。

意識がないバーベナのアバターは、取り巻きに好き放題されていた(健全版)。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。