無職さんのデンドロ履歴書 作:リリアーナを照れさせ隊
《注意》今回、不快感を想起する描写があります。
《補足》作者は超最高のハッピーエンドが大好きです。
□■錬金術師の研究棟・下層
あなたは平和主義を標榜する<マスター>だ。
争いからは何も生まれない。
無益な諍いの前に、まず対話するべきだ。人間は知的インテリジェンスな生命体であるからして。
それはそれとして野盗とPKは滅べ。
心優しい一般労働者あなたを襲う連中に、分け与える慈悲は存在しないのである。
アルベルトの攻撃は床をぶち抜いて複数フロアに跨る縦穴を作り出した。
クマにーさんの小攻撃を上回る威力。あなたが長男長女でなければ耐えられなかっただろう。
「流石は我らの特別顧問だ」
全力で逃走中のあなたに続く二人は自称【虚飾魔王】と【呪禁博士】、あなたのフレンドだ。
「いいところに。助けてくれない?」
「……、……っ」(『息切れしてます』)
平時なら。あなたは再会を喜び、お仕事コレクションのため戦闘を仕掛けるところである。
あくまで超級職に殺害されてテラーカイブに情報を登録するためであり、野盗PK修羅HENTAIではない旨を、あなたは名誉のため明記しなくてはならない。
だが、今はそれどころではないのである。
アルベルトの攻撃を避けた直後、あなたはさらに一歩踏み込んで前方に転がる。
最大警戒の《危険察知》が告げる未知との遭遇。
新しい出会いは生命の危機と共に。
あなたの足元が爆ぜて崩壊する。
既知の現象だ。固定ダメージの伝播である。
四方の壁面に、床に、縦横無尽に馳せる影。
それと目が合ったあなたは《看破》で正体を見破り、それはそれは深い絶望の淵に沈んだ。
『……』
“万状無敵”カルル・ルールルー。
かの<超級>が何故ここに。カルディナ議会の大盤振る舞いに涙が止まらない。
どいつもこいつも無言で襲ってきやがって。少しは作劇の見栄えを考えろ。
あなたは<超級>を
「いやあ、色々あって。でもあれはムリムリ」
「……」(『ジョンスンは尊い犠牲でした』)
カルルと交戦したテンコマメンバーは潰走。
アルベルトとあなたの鬼ごっこに途中参戦した。
その理由こそ、今あなたを襲う魔の手である。
『
カルルの切り札、特攻態。
それは数多の<UBM>を屠った【神獣狩】カルル・ルールルーが、所有する特典武具のうちデメリット型攻勢装備を集約した姿の総称である。
今回用いるソレは市街戦に長けたアセンブリ。
着ぐるみから特殊部隊に様変わりした狩人は、地面に沈み、床下を泳ぎ、大群と化して病爪を振るう。
籠手・上半身装備:伝説級特典武具【透冥鉱鑿 ドリルモーグ】
装備スキル:《アンダーグラウンド・ライナー》
効果:地形・オブジェクトの透過、及び遊泳。
副作用:毎秒SPを一〇〇〇消費。SP枯渇後は特殊な【飢餓】状態になり永続的にHPが減少する。
――【健常のカメオ】で状態異常判定を無効化。
――発動時間:無制限
外套:古代伝説級特典武具【黒翅無数 ジェネレイト・ジェノサイド】
装備スキル:《
効果:消費HPに比例した分身体の生成。分身体はオート操作で指定した敵を攻撃する。
副作用:装備スキル発動中のHP全損、回復不可。装着者と分身体は十種類の病毒系状態異常に侵され、接触した対象に毒が感染する。装着者が死亡してから五分後に分身体は消滅する。
――【救命のブローチ】で致命ダメージを無効化。
――【健常のカメオ】で状態異常判定を無効化。
――発動時間:無制限
頭装備:伝説級特典武具【厄衝角 コズナヅチ】
装備スキル:《淵之怨角》
効果:触れた対象に最大HPを半減するだけの固定ダメージを与える。連続で判定。
副作用:装着者の頭部を覆う【厄衝角】に倍の固定ダメージを受ける。【厄衝角】の破損で解除。
――ネメアレオンで不壊化。
――発動時間:無制限。
この装備のカルルは『どんな障害物もすり抜け』、『毒をばら撒く集団が』、『接触箇所から敵を消し飛ばす』……無慈悲な暗殺者。
カルルがこの手札を切ったのは、他の特攻態と比較して制限の緩いアセンブリだから。
装備枠の都合で【ぽーらーすたー】を使えないが武器は自由。MPを消費しないため他の装備スキルを併用でき、いざとなれば装備を元に戻す事が可能だ。
兎を狩るのに死力を尽くす狩人はいない。
カルルはブチ切れても冷静であった。
壁役の【像将軍】を連続固定ダメージで屠り。
逃げ出した残党をカルルは追い立てる。
毒を無効化できなければ二人はとうに死んでいた。
狩りの最中に珍しい獲物とかつての同僚……あなたとアルベルトに遭遇したが、彼の仕事は変わらない。
無職? 知らんけどまとめて排除する。
だいたいそんな感じである。
いい加減にしろ。あなたは殺意が漲った。
<超級>も、それを連れてくる奴も。
あなたがいったい何をしたというのか。
「そうだそうだー。言ってやれー」
そうだとも。まだ、まだ舞える。
あなたは再度<超級>の説得を試みた。
不屈のあなたは類稀なるコミュニケーション能力で、相手から和解を引き出そうとする。
自分が有利な時は力で、不利な時は言葉で対応する。あなたがフレンドから学んだ知識である。
最初にあなたは自らの目的と立場を表明した。
あなたに敵意は(少しだけしか)ない事。
隣の悪党二人とは無関係である事「おいコラ」
目的を達成したらすぐに立ち去る事。
心なしかアルベルトの気迫が薄れる。
あなたは内心でガッツポーズ。
更にあなたは真心を込めて続けた。
あなたは
『『……』』
攻撃の勢いが強まった。解せぬ。
あなたはリリアーナとネフィを連れてこの場を去りたいだけだというのに。
「ダーッハハハハハ!? 嘘でしょ無職くん! よりにもよってその言葉選びはないだろう!?」
「……」(『自分は無関係です』)
誠に遺憾である。あなたのコミュ力の理解者はついぞ現れないのだろうか。
やはり暴力。力は全てを解決する。
血に酔うあなたは、直近最高の度合いで修羅に思考が寄っている。天地の精神汚染は根深い。
……幸い、救いは残されている。
所属を同じくするカルディナの<超級>は何故か協力せず、互いに激しい攻撃を繰り広げている。
いいぞもっとやれ。でも仲間割れは他所でやれ。
惜しむべきはアルベルトが毒と固定ダメージの耐性を獲得しており、決め手に欠ける事だ。
拮抗状態では千日手になるのが明らかだった。
かつての同僚、手の内は知れている様子だ。
カルルは弓に矢をつがえ。
アルベルトは濁流と疾風で場外を狙い。
あなたは背後からアルベルトを奇襲した。
魔法で完全燃焼の木っ端微塵である。
「ええ……?」
漁夫の利、取ったどー!
あなたは高らかに勝ち誇った。
追跡スキル持ちのアルベルトをどうにかすれば、あなたはこの場から逃げられるのだ。
クレバーなインテリジェンスによる勝利である。
『……《
火炎耐性を獲得したアルベルト復活。
復活ってこれ何回目でしたっけ。あなたは指折り数えて冷や汗を流した。やっべ。
悲しいかな。あなたは天文学に対する造詣がさほど深いとは言えない。必修項目として、夏の大三角を誦じる事ができる程度の知識がある。
あなたに集中するターゲット。
<超級>二人とランデブーだ。まるで嬉しくない。
追い込まれたあなたは、ある区画に迷い出る。
あなたの知らない物語だが。辿り着いた階層は“伯爵”モンストロが放棄した居住区画。
未だ多数のホムンクルスが残る場所である。
◇◆◇
□■錬金術師の研究棟・居住区画
「来たか」
モンストロは接近する
破壊と騒乱の嵐を前に、彼ができる事は少ない。
ホムンクルスの避難は遅々として進まず。
当然である。「今からここは戦場になる」「生まれ育った場所を捨てて逃げろ」……そう言われて、迷わず飲み込む人間がどれほどの数いるだろう?
安穏と暮らす籠の鳥は危険を知らない。
そして外の世界を知らない彼らは、どこに逃げたら良いか分からない。
一秒でも長い猶予を与える事がモンストロに許された精一杯の抵抗だった。
「あの」
その対象はホムンクルスに限らない。
何故かまだ逃げていない女騎士を含む。
「……何だ」
「お礼がまだでしたから。この場所……居住区ですか。案内していただきありがとうございます」
リリアーナは“伯爵”と交渉した後、無理を言って、ホムンクルスの居住区画を見て回った。
その案内を仰せつかったのがモンストロだ。
「酔狂な奴だ。面白くもないだろう」
「いえ。ネフィの故郷を見てみたかったので」
「あれが居住区画で過ごした事はない。ここを離れるまでの間、ずっと水槽の中にいた。故郷と思いたくもないだろうな。現に引きこもったままだ」
リリアーナは右手に“伯爵”が用立てたジュエルをはめている。中ではネフィが静かに眠っていた。
「この場所で生まれて過ごした時間より、お前と暮らした時間の方が何倍も幸せだったはずだ」
「……私は出会う前のこの子を知りませんが。たとえそうでも、目にしておきたかったんです」
リリアーナは包むように優しく宝石に触れる。
「少なくともここに一人、ネフィを想ってくれる人がいると知る事ができました。それだけで決して無駄ではなかった、そう思います」
「……時間がない。さっさと立ち去れ」
モンストロは顔を背ける。半分事実であった。
恐ろしい<超級>がすぐそこに迫っている。
会話に興じる猶予は残されていないのだ。
「あの……多分、あれ一人は身内といいますか……やはり責任を感じるので私も残って止めた方が」
リリアーナは胃を押さえて冷や汗を流した。
本当に大丈夫です? 連帯責任とか……色々。
「――くどい」
顔色の悪いリリアーナの提案を男は遮る。
「これは
「……失礼しました。ご武運、を」
リリアーナのすべき事は何か?
簡単だ。ネフィを無事に連れ帰ることである。
二人は意思をひとつに、それぞれ別の道を行く。
モンストロは【怪物王】の本領を発揮するため、おぞましい異形に変貌し。
バタリ、と。
「…………おい?」
――リリアーナは痙攣して、その場に倒れた。
◇◆
その光景を、あなたは目にした。
◇◆
「どうした? ……しっかりしろ! おい!」
【怪物王】はリリアーナに呼び掛ける。
意識が戻らない。呼吸は浅く、尋常ならざる発汗と、蒼白と化した肌が、いずれも異常を示す。
「【快癒万能霊薬】が効かない……毒じゃないのか? なら、魔法で……」
懸命な処置虚しく。リリアーナは衰弱する。
モンストロは違和感を振り返る。
精神性のストレスによるものと早合点したが、直前のリリアーナは不調が見受けられた。
しかし思い当たる原因は……否、ある。
(茶と、砂糖菓子)
茶が原因とは考えにくい。同じ急須の中身を複数人が飲んでいる。茶器の並びは無造作で、席に着くまで誰が触れるか不確定だ。
砂糖菓子も同様に。提供した本人が口にしている。
真実は単純だ。重要なのは順番。
あの場で茶と砂糖菓子を食したのはリリアーナと“伯爵”だけ。アイはジョブにより、ネフィは警戒して、そして【怪物王】は護衛のため、飲食をしていない。
リリアーナは先に【ケモミミ薬】入りの茶を飲んだ。その後に砂糖菓子で薬を解毒した。
“伯爵”は砂糖菓子で耐性をつけてから茶を飲んだので薬の効能を受けなかった。
それこそが罠。
お茶の後に砂糖菓子を食べる。
混入した【ケモミミ薬】の中和、同時に三種の成分は化学反応を起こし……服用者の命を奪う。
忘れるなかれ。
“伯爵”モンストロは無職のフレンドである。
彼女達はもっぱら遊戯派であり、一様に大なり小なり頭のネジがはずれている。
ゆえに「前に痛い目を見たので、少しやり返してみますか」と悪戯心が働いて(それ自体はよくある事)。
それが――虎の尾の上で踊り、臥龍の逆鱗を撫で回す愚行と知る由もなく。
◇◆
脇目も振らず駆け出した。
だが、<超級>の攻撃で足が止まる。
そこをどけ。失せろ。
あなたは彼女に手を伸ばす。常なら一息で踏破できる距離が、今はこんなにも遠く。
拡張した回復魔法。縮地。妨害を受ける。
「…………」
視線が交差する。
リリアーナは何かを告げようとしている。
目を凝らして無音の声を読み解いた。
――ね、ふぃを。たのみ、ます
あなたの前で……リリアーナは光の塵になった。
◇◆
あなたは依頼主を尊重する有能な<マスター>だ。
依頼達成率は驚異の百パーセント。
あなたは彼女の願いに応えよう。
遺された
それ以上でもそれ以下でもなく。
ならば、今から為す事は。
これより先の出来事は仕事ではない。
要は、ただの八つ当たりだった。
◇◆
――《スペリオル・インターン》、【■■】
その宣言を聞き取れた者はいなかった。
靄に包まれたように不確かな声は、しかし、年端のいかない少女のようだった。
遥かな蒼穹を意味する名を冠した幼女。
その容姿を借り受けた者は頁を破り捨てた。
腰に吊るされた小瓶は歓喜した。
嗚呼、美味なるかな! 美味なるかな!
極上の感情から摂取したリソースは膨大で、魂だけの存在が、仮初の肉体を編み出せるほどだった。
神話の再来は供犠に問いかける。
汝の恐れるものはなんだ、と。
天青石の瞳は魔人を一瞥して、
――黙れ。
格付けは覆らず。魔人は小瓶に引っ込んだ。
あなたは指差しで確認した。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。
最後に、光の塵の傍らで、あなたの護衛対象を拾い上げる『怪物』を確認する。
ゆっくり前進するあなたを砲火が襲う。
アルベルトとカルルの攻撃だ。
あなたは気にせずに歩き続ける。
あなたが歩いた後には眷属が生まれる。
ソレらはあなたの“危険”に反応して、周囲の敵に襲い掛かる。
『『……!?』』
【■■】の固有スキル《眷属変性》。
自動的に周辺のあらゆる
「……っ、お前」
あなたは【怪物王】からジュエルを奪う。
次いで光の塵に手を翳して願った。
万が一、億が一の。小数点の彼方の可能性を。
しかし、何も起こらなかった。
あなたは悲嘆に暮れた。
よろしい。ならば皆殺しだ。
◇◆◇
□■三日後
アルター王国、王都。
王城の一室は陰鬱な空気に満ちていた。
集まった人物は王国の最高権力者、並びにその配下と、信頼できる数少ない<マスター>である。
「こんな事になるなんて」
アルター王国第一王女にして事実上の国王名代、アルティミアは悲痛な顔持ちで呟く。
「知っていたら、彼らを送り出しはしなかったのに……」
「自分を責めるのはよしてくれアルティミア。それを言うなら事態を予測しなかった私も同罪だよ」
当代【聖剣姫】を慰める【大賢者】インテグラだが、彼女の顔色はアルティミアより酷い。
まるで緻密に組み上げたパズルを分別つかない赤子が破壊して、重要なピースを飲み込んでしまった時の保護者のような惨状であった。
「後悔より先にやる事がある」
重々しい空気を破ったのはシュウ・スターリング。
「姫さん、アンタの役目は何もせず座り込んでメソメソと泣きべそをかくことか?」
「おい兄貴! いくら何でも言い過ぎだ! 二人はリリアーナを……幼馴染をッ」
「黙ってろレイ。そういう段階はもうとっくに過ぎてるんだよ。今ここで話すべきは、アンタが
「いいのレイ。ありがとう……その通りね」
アルティミアは深呼吸の後、机上に地図を広げた。
「既に聞いていると思うけれど、改めて状況を共有しましょう――王国を脅かす<超級>と、その対策を」
始まりは【猫神】トム・キャットの証言。
彼のタレコミは人々を恐怖に陥れた。
「例の無職……【失業王】が暴走したわ。報告によると我を忘れて手当たり次第に暴れているそうよ。その場に居合わせた【殲滅王】と【神獣狩】が交戦の末、撤退。打って出た【猫神】は瀕死の重傷を負った」
王国決闘第三位のトムが動いた本当の理由を知る者はこの場にいない。だが、貴重な情報をいち早く掴む事ができたのは彼のおかげだった。
フリーの<超級>が被害を齎すのは今に始まった事ではない。けれども【失業王】には外付けの安全装置があった。そのため、致命的な犯罪行為に手を染める事はないと考えられていたが。
「原因は、王国近衛騎士団副団長リリアーナ・グランドリアの死亡を目撃したからと考えられるわ」
「……っ」
「副団長……どうして」
「許せねえ、誰がこんなことをッ」
信じがたい訃報が彼らに重くのしかかる。
「あの……」
「詳細は調査中よ。……現在【失業王】は東部の国境線から北上している。進路と速度から、今日にでもこの王都にやって来るわ」
「王都に……どうして?」
「意図的でしょうね」
<デス・ピリオド>のサブオーナー、ルークは無職の移動経路を指でなぞり、思考をまとめる。
「一度この地点で大きく進路を変えています。元の進行方向は」
「……<
「はい。【地竜王】が統べる最北の未踏領域。無職さんの目的地はここで間違いないでしょう。そして今の状況と精神状態、とある伝説を紐解けば、あの人の狙いはひとつに絞れます」
「言ってくれ」
「不老長寿をもたらし、万病に効く奇跡の果実。【地竜王】が保有すると語られるそれを入手すれば……死者の蘇生が叶うかもしれない。その可能性に縋っているのだと思います」
全員が息を呑んだ。
なにせ皆が知っている。常識である。
英雄も、魔王も、王も、奴隷も、善人も、悪人も、分け隔てなく理解している。
<Infinite Dendrogram>で
普遍の理に抗うのは<超級>とて不可能だ。
「……えっと」
「アイツもバカじゃねえ。……バカかも知れないが考えなしに動くとは……動くかもしれんが……」
「お兄さん。そこは信じないと話が進みません」
「ああ、悪い。とにかくアイツは【地竜王】に喧嘩を売るつもりだ」
無謀な挑戦の末路は伝説に記されている。
地竜の軍勢は報復で、当時最大の領土を誇る巨大国家ボーラスを滅ぼした。
故に<厳冬山脈>の侵入は、【地竜王】との接触は禁忌とされてきた。当然だ。下手を打てば七大国家が容易く滅亡するのである。
「で、だ。俺がアイツなら【元始聖剣】を使う」
「【アルター】を……!? 冗談はやめて。これは私にしか使えな……い……?」
「ようやく気付いたな? ああそうだ、【アルター】は【
「……失念しておりましたが、奴の提出した書類の片隅に書いてありました」
「リンドス卿! なぜそれを早く言わないの!」
「申し訳ございません……荒唐無稽な話ゆえ、記憶から消しておりました」
「リンドス卿!?」
報連相の欠如、発覚。
アルティミアは気が遠くなった。
「も、もしもーし」
ともあれ。
無職の目的は判明した。
王国が保有する【アルター】の強奪。
そして【地竜王】への侵攻である。
到底、見過ごせる行為ではない。
「どんな理由があろうと、この国を脅かすのなら容赦はしない。……リリアーナだってきっと、こんな事は望んでいないはずだから」
「俺にも協力させてくれアズライト。リリアーナのためにも、無職さんを止めるぞ!」
「レイ……」
「え? もしかして本当に死んでます、私?」
「よし、その意気だ。……で、リリアーナはいつまでそこに突っ立ってるクマー?」
「「「は?」」」
To be continued
実はリリアーナは生きていたんだ!
な、なんだって〜(棒読み)