No Orphan's Sky ~異世界オルガ外伝~   作:Easatoshi

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第15話

<テクノロジーをリチャージしました>

「こいつで最後か……」

 窒素の雨が降りしきる極度の冷気の中、手持ちのソジウムを使い切ったオルガは毒づいた。

 嵐をやり過ごす洞窟も掘り進む事も出来ず、避難しているキャル達の存在もあって短期決戦を決めたオルガ・イツカ。

 道行く最中に散発的に遭遇するセンチネルドローンを屠り、その残骸や道中のソジウムを含んだ花からの補給を欠かさず先に進んできたものの、いよいよそれも限界に近づいてきた。

「そろそろ目的地にたどり着かねぇと……ん?」

 その時だった。 ブリザードの唸る暗黒の世界に青白い光を見いだしたのは。 青白くもどこか温かみのある光に誘われるように、オルガはその方向に歩いていくと……。

 

「……これは?」

 それは幾何学模様の刻まれた建造物……オブジェだった。 厳しくもありのままでいるこの自然環境の中にあって、明らかに場違いなまでに整った正方形に象られた大きな敷石の上に、大小様々な長方形の石柱が点在する。

 中でもその中央にそびえ立つ、丸い穴の空いた特に大きな石柱は青々とした神秘的な輝きを放っていた。 どうやら光はこの真ん中の構造物から放たれているらしい。

 異質な佇まいを見せる、しかし所々に朽ちたような形跡の見られるこれは、言うなれば古代のモノリスとでも言うのだろうか……オルガは厳かに佇まうこの構造物に、かつて拠点の惑星に存在した『知識の石』に似たものを感じていた。

 ……しかし切羽詰まった今のオルガにとって、その構造物よりも周囲にちりばめられた石柱の方にこそ目を奪われていた。

「おお! コンテナが沢山あるじゃねぇか!」

 そう、この建築物には多数のコンテナが放置されていたのだ。 見た目のデザインからしてこの構造物とは異なる意匠で、多少壊れてはいるが真新しさを感じる物で、ひょっとしたらまだ使える物が中に入っているかも知れない。 恐らくは後から誰かが投棄した物がそのまま残っていた物なのかも知れないが、今は有効活用させて貰うとしよう。

 して、早速中身を物色してみるが……それはオルガにとって救いの神とも言える品々が豊富に入っていた。

『フェライト塵』『コバルト』『ソジウム硝酸』……おお、『量子プロセッサ』もあるな!」

 色とりどりの部品の数々にオルガは心躍った。 オルガ自身はおろか、救助を待つ二人のエクソスーツも十分修理可能なほどの大量の素材が発見される。

 オルガはスーツのストレージが使えない代わりに、その辺の葉やツタをちぎって作った即席のロープをほどき、荷下ろしをする。 それらはいずれも、センチネルから鹵獲したよく分からない部品ばかりだった。

「さあ、ちゃっちゃと修理しちまうか」

 嵐は未だに吹き荒れている。 エネルギー源は手に入ったとは言え、今は危険防御システムのエネルギー残量はこれでもかと言うぐらい削られる極限の環境下だ。 早速オルガはセンチネルから鹵獲した素材も駆使して、まずは自身のエクソスーツの壊れたテクノロジーの修復に着手した。

 

…………………………………………

 

……………………

 

…………

 

<テクノロジーを修理しました>

 全ての修理が完了した瞬間、野放図に置かれていた素材や部品の数々が、あっという間にエクソスーツのストレージに収納された。

「工事完了です……って奴じゃねぇか、へっ」

 これで一安心だとオルガは一人得意げに笑う。 破損していたジェットパックやストレージ等の修理も終えたばかりか、その過程でテクノロジーモジュールも取り込んで、実質パワーアップも果たす形となった。

(だがまあ、センチネルの部品がどんな影響及ぼすか分からねぇがな)

 センチネルドローンの残骸から回収したモジュールは、言うなれば『生きたガラス』とも言えるような、無機質でありながらも生体パーツのような有機的な部品が含まれていた。

 使えそうだと修理の際の勢いでそれをスーツに組み込んだ事で、数字上オルガのエクソスーツは大幅な強化を果たした。 言うなれば、より高く飛べ、より長く生命維持が可能で、より効率よく走ることが出来る……と。

 自分で組み込んでおいて言うのも何だが、強力な能力と引き換えに何かが起きる気がしなくもない。 そんな予感があった。

(ま、今それを考えても仕方がねぇんだけどよ)

 オルガは首を横に振って考えを振り払った。 今はこの物資をキャルとテイオーに持って行ってやるのが先だ。 乗ってきたラディアントピラーは見るも無惨だが、一部部品をかっぱいで彼女達の避難する墜落船にでも組み込んでやれば、あれで元いた星系に帰還する事も十分可能だろう。

 燃料の設計図が手に入らなかったことは心残りだが、それよりも今は一刻も早くこの星から立ち去らねば、踵を返そうとしたその時であった。

 

ー{{トラベラーか? 友か?}}ー

 

 何者かの声が、突如として脳裏に浮かび上がってきた。まるで誰かに話しかけられたかのような感覚。

思わず辺りを見回すオルガだったが、周囲には誰も居ない。 あるのはこの場で青白い輝きと共に佇むモノリスのみ。

(……まさかな?)

 オルガはもしかしてと思い、モノリスをじっと眺めてみる。 あの知識の石のように、この不思議な物体はオルガに何らかの現象をもたらそうとしているのか? そう気になったオルガは、二人の元に帰還するという使命を忘れたかのように、頭に直接響いた謎の問い掛けに答えずに居られなくなる。

「俺は……鉄華団団長にしてトラベラー、オルガ・イツカだぞ……」

 モノリスは微動だにしない。 しかし、確実に何かが反応したような気がした。

 それは何かが目覚め、こちらを観察しているかのような圧倒的な感覚。 自然と次の問いかけのような物が頭に浮かび上がる。

 

ー{{これが最初か? これが最後か?}}ー

 

 ……質問の意図が分からない。 オルガはその意図を考えるように目を細める。

 こんな抽象的な質問をされてどう答えたものかと困ったが、少し考えた後答える事にした。

 相手が何を知りたいかは知らないが、心理テストのような物なら……だからオルガは、自分なりの解釈を込めてこう言った。

「……関係ねえ。 最初だろうが最後だろうか、俺はただ進み続けるだけだ」

 ……沈黙。

 相手の望む答えだったがどうかは知らないが、少なくともオルガは自分なりの答えを口にした。

 始まりとも言えるあの日、初めての死を前に見いだした自分なりの生き方。 それを貫くように異世界を渡り歩いてきた揺るぎない答えだ。

 それにしてもこのモノリスは、こうして訪れたトラベラーにこう言った質問を繰り返してきたのだろうか?

 遙か昔からからずっと、オルガは何故だがそんな感覚を覚えていた中、モノリスが再び問い掛けてきた。

 

ー{{真紅の目を見たか? 真紅の目に見られたか?}}ー

 

「……『両方』だよ」

 普段なら相手にすることのない質問に、何故か素直に答えずにいられない。 そんな唐突で奇妙な問いかけだが、何となしに心当たりがあった。

 記憶の石を通して三日月の姿を見たあの時――――オルガは部屋に鎮座していた、奇妙な輝きと共に脈動する球体。 そんな三日月を追いかけようと宇宙ステーションで聞き込みをしていた時に、一人のゲックから垣間見たあの瞳の赤い輝き。 むしろ、モノリスからの質問を通して合点がいったと言って差し支えはない。

 

ー{{アノマリー発生率が安全域を超過}}ー
 

ー{{■■ 侵入を検知 警告 警告 ■■ 警告 ■■}}ー

 

「!?」

 突然、モノリスの声色が変化した。 まるで警報を鳴らすかのように、その言葉を繰り返す。

 驚きながらも身構えるオルガに対し、しかしモノリスは告げた。

 

ー{{境界は破られた。 障壁は崩れ落ちた。}}ー

ー{{お前の宇宙が待っている。 我々を探せ。 TRAVELLER}}ー

 

 そう言い残し、以降モノリスはものを言わなくなった。

「……何だったんだよ……ん?」

 呆気に取られるオルガの手元に『ワープセル』や原料となる『反物質』『反物質格納容器』のそれぞれの設計図と――――

 

<警告:センチネルの脅威を検出しました>

 

 オルガを追ってきたセンチネル達の洗礼を残し……。

「ハッ……ああ分かったよ」

 自身を取り囲む赤い輝きを放つドローンの群れに、オルガは呆れとため息も混じった声色で静かに呟いた。

 あまりに寒い中での長い問答が終わった直後にこの始末。 どうやら何が何でも足止めをしたいらしい。

 幸い弾薬はこの空飛ぶガラクタ共の残骸から回収出来て潤沢にある。 ならば答えはこれだ。

 オルガは『ジオロジーキャノン』を選択すると、その弾頭をセンチネルの群れに叩き込んでやった。

 ――爆発!

 オルガの目の前で爆散する赤き光りのドローンの群れ。 ほんの挨拶代わりの一撃だが、連中を怒らせるには十分だった。

 赤い輝きと共にレーザーを放ってくるセンチネルの群れを前に、オルガは己の感情の高ぶりを感じた。

「全員ぶっ倒してやるよ! 派手にいこうじゃねぇか!!」

 そう叫んでオルガは手にしたマルチツールを構え、迫る赤光の雨の中へと身を投じた。

 

――――――……

 

 

 もうどれくらいの時間が経っただろうか、寒さで気が遠くなって時間の感覚がない。 体感的にはかなりの長い間、身を振るわせながら待ちぼうけを喰わされていたように思える。

 体温の高いウマ娘でありながらもトウカイテイオーは、そのあまりに冷たく容赦の無い窒素の雨に機体を打たれながら、次第に下がっていく室温に為す術を持たなかった。

 体温と共に意識も刈り取られていく中、時折身体を揺するキャルのおかげで辛うじて、眠ってしまう最悪の事態は避けられている……しかし、それも時間の問題であった。

「しっかりしなさいテイオー! 寝たらよおしまいよ!?」

「キャル、ごめん……ボク、もう……」

 内側から凍り付きそうなバイザー越しに見える、トウカイテイオーの面持ちは土気色に染まりつつある。 眠気どころか既に気力を失いかけてる彼女に、キャルは必死で励ましの声を送り続ける。

「あんたが諦めちゃったら何の意味も無いのよ! 3人で帰るって約束でしょ!? ほら、もっとしゃんとしなさい!」

 キャルとは違いテイオーのエクソスーツの危険防御システムは機能していない。 容赦なく体力と気力を奪われるテイオーに対し随分と無理を言っているが、それは承知の上なのだ。

「だって、とても……寒い……さむいよぉ……うう……もう……限界……」

 そして、極度の体温低下によりテイオーは遂に力尽き、気を失ってしまった。 焦ったキャルは強く彼女の身体を揺するが、反応は無い。

ちょっと、起きて! お願いだから! …………ああぁ……」

 絶望的な状況に追い込まれ、キャルは今にも泣き出しそうになりながら必死でテイオーに呼びかける。

 呼びかけながら、せめてあと少しだけでも彼女の命を繋げられないかを考えていた。

(どうすればいいのよ!? テイオーの、テイオーの危険防御システムが動きさえすれば良いのに!!)

「アタシだけ助かっても意味ないのよ!! テイオーが助かるならアタシのスーツが壊れても良いから……!!」

 何とかこの子だけでも助けたい! そう言いかけた時、キャルの脳裏に唐突にひらめきが走る。

 この極寒の中、低体温症で危篤状態のテイオーに対しキャルが無事なのは、ひとえに無事だった危険回避システムのおかげだ。 そしてそれは、ソジウム自体が底をついたとしても、25℃前後の常温に保たれれば自然にリチャージが行われる仕組みになっている。

 キャルは考えた。 テイオーのスーツを暖めてやれば、ソジウムの貯蓄タンクは破損していても、危険防御システム自体は復旧する。 そしてその暖める熱源は……ここにあった。

 

 そう、自身のエクソスーツを故障させて回路を発熱させてやれば、テイオーのスーツを復旧させうるほどの熱は発するだろうと。

 キャルの元いた世界、アストルムはこのような超科学的な電子機器とは無縁の世界だ……少なくとも彼女が知る限りは。 そんな彼女にとって、電子制御されている機械に意図しない動作をさせるなど未知の領域だ。

 どうなるかは分からないが、しかしやらなければテイオーの命が危ない。 キャルは意を決すると、自身のエクソスーツのガイダンスに、スーツを発熱させるぐらいに回路に何らかの過負荷をかけるよう指示を出した。

 

<警告:エクソスーツの機能ならびに、着用者の身体機能に著しい損傷をもたらす可能性があります>

 

「……やって頂戴」

 躊躇いつつもキャルは指示を出す。

 ガイダンスは指示を受け取ると――――直後、自身のスーツの内部温度が急上昇し始めた!

 身体が守られていたキャルにとって、スーツの加熱は言うまでも無く熱い。 温かな晴れの日にストーブで全身を囲うような蒸し暑さだが、キャルはそれを堪えるとテイオーの方に向き直る。

 意識を失っているのか、ピクリとも動かないテイオー。

 彼女の上に覆いかぶさり、全身を使って抱きしめると、自分の体を温めるようにして一緒に抱きかかえる。

 折れている片方の手足があまりに痛く軋んでいるが、それでも何とか耐えてぎゅっと力を込めると、次第に2人の体が暖まってきた。

(もう少し、もう少しだけ頑張れアタシ……)

 スーツ越しにも分かるほどテイオーの体は冷たく凍え、シャットダウンしかけている彼女のスーツもあいまって。今正に命が失われつつある状態だと強く感じさせる。

 それを何としてでも防ぐべく、自身のスーツに警告インジケーターが鳴り響く中、キャルは自分の体を犠牲にしながらも必死になって彼女を温め続ける。

 寒さで気を失ったテイオーに対し、自身は逆にあまりの暑さに茹で上がりそうな感覚に意識を朦朧とさせながらも、決して離すまいと力を振り絞って抱擁を続けた。

 

<警告:スーツの内部温度が限界値に達しました。 危険防御システムに損傷が発生しています>

 

(サウナでも、もうちょっとマシな気温してるわよ……!! でももうちょっと、もうちょっとだけ……!!)

 既にキャルのスーツも悲鳴を上げはじめ、今度はキャルの危険防御システム自体に致命的なエラーが発生しつつある。 それでも、ここで手を緩めれば確実に彼女は死ぬと確信していたからこそ、最後の最後までキャルはテイオーを抱きしめ続けた。

 やがて――――

 

<有毒熱防御、復旧>

<着用者のバイタルが危険値に達しています――――生命維持システム、起動>

 

 遂にトウカイテイオーの危険防御システムがリチャージされ、同時にスーツ内の生命維持システムが、昏睡状態にあった彼女のバイタルを復帰させようとフル稼働を始めた。

「――――あれ? 暖かい……?」

 するとどうだろう。今まで生死の境目にいたはずのテイオーが目を覚まし、ゆっくりと瞼を開いたではないか。 短くも長い眠りから覚めたような彼女の様子に、熱にうなされながらもキャルの口元に自然と笑みが浮かぶ。

「さ、寒くなりすぎたら、逆に周りが熱く感じるようになるって言うけど――――」

「そんなわけ、無いでしょ……?」

まだ頭がぼんやりとしているのか、どこか夢見心地のような口調で、それでもいつもの彼女らしい軽々しい口調のテイオーの様子に、思わず安堵のため息をつく。

 その一方で、テイオーの方はようやく現状を認識し始めたようで、自身がどうして助かったか分からないらしくキョトンとした表情でこちらを見ると、驚愕したように目を丸くした。

「ど、どうしたのキャル!? 凄い汗だくで……本当に熱そうに――――!?」

 テイオーは、キャルがスーツを本当に発熱させていることに気がついたようだ。 この様子ならもう大丈夫だと、キャルはスーツのオーバーロードを解除する。

「ま、まさか……ボクを暖める為に、スーツを……!?」

「……機能のいくつかが持って行かれちゃったけどね」

「そんな!? ボクなんかの為に……!!」

 涙を浮かべてこちらを見つめてくるテイオーに対し、キャルは少し照れくさそうな笑顔を見せる。

 その反応に対して苦笑いしながらも、彼女は怪我をしていない方の手でテイオーの頭を撫でてやる。

「なんか、じゃないでしょ? トップアスリート……3人で帰るって約束、忘れたの?」

「! そ、そうだけど……」

 キャルは不敵に笑って言葉を続ける。

「アンタを無事で帰さなかったら、アンタの友達のスペやペコリーヌ、それに他の皆に合わせる顔が無いわよ……。 命の危機ってのは何度も乗り越えてきたんだから、これくらいのことアンタが気にする必要なんか無いわよ?」

 キャルの言葉を聞いて、テイオーは思わず目頭が熱くなったようだ。

 先程までずっと死と隣り合わせだった恐怖心も手伝い、年相応の子供のように大粒の涙を流してしまう。

 それを誤魔化すかのように慌てて袖で拭おうとするが、バイザー越しに涙を隠す事は叶わなかった。

「帰るもん!! 必ず、必ず3人で皆の元に帰るもんね!」

「フフン、その意気よ!」

 泣き止んで鼻声になりながらも決意を新たにしたテイオーを見て、満足げに笑みを作るキャル。

 だが、内心キャルの心情は穏やかでは無かった。

 結局やむを得ない事態だったとはいえ、自身のエクソスーツの危険防御システムにダメージを与えてしまった。 今はまだ辛うじて稼働しているが、バックパックから既に煙が上がり、いつ機能停止をしてもおかしくない状況に追い込まれてしまった。 オルガが修理材を持って早く戻ってこなければ、本当に2人仲良く共倒れになってしまう。

 

 

 どうしたものかと考えた時、ふと背後からコクピットの風防を叩くような音が聞こえた。

「キャル! 誰か居るよ!?」

 テイオーの位置からは見えているらしく、音のした方を指指す彼女に従って振り返ると、そこには同じくエクソスーツを着込んでこちらを呼びかける何者かの姿が。

 白と緑のカラーリングからなるエクソスーツのデザインから、我らが団長では無い事が窺える。

 

「聞こえてますか!? さっきぶつかった貨物船の救助班です!! 返事して下さい!!」

 

 声質的に若い女性だろうか? 背丈や声の高さからして、自身とそう年齢の変わらない少女かも知れない。

 それはそうとして、さっきぶつかった貨物船から救助に来たという発言に対し、キャルとトウカイテイオーは互いに丸くなった目を見合わせた後、歓喜に震えた。

「生きてるよ! ボク達生きてるよぉ!!」

「早いとこ助けなさいよ!! こっちは手足の骨折るわスーツが壊れるわで大変なのよ!」

 救助に来たと告げる何者かに大声で返す2人、テイオーに至っては風防を内側から叩いて生存を必死にアピールする。

 突如現れて船にぶつかった憎き相手であるが、きちんと救助に現れたことと命が助かった事の安堵感で恨み節など吹き飛んでしまった。

 すると外の何者かは身を引いて無線機を繋ぎ、恐らくは仲間と思わしき相手に増援を要請する。

 

「こちらあんこうチーム、遭難者を発見! 遭難者は負傷してスーツも破損しています! タカキ君は『コロッサス』に乗ったままこっちにきて下さい!」

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