No Orphan's Sky ~異世界オルガ外伝~   作:Easatoshi

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第16話

<テクノロジーを修理しました>

「やーっと直ったもんね!」

「一時はどうなるかと思ったわよ……」

 生命線であるエクソスーツがようやく正常に戻ったことで、テイオーは騒がしくもはしゃぐようにステップを踏んでいた。

 助けに来たと思わしき謎の少女からの救援要請から暫くして、墜落船の前に暗闇を切り裂いて姿を現したのは、背丈ほどの巨大なタイヤが左右に4対もついた大型のトレーラーだった。

 ヘッドライトの光に照らされながら、『コロッサス』と呼ぶ乗り物の中から少女の仲間と思わしき女の子達に出迎えられ、キャルとテイオーは彼女達と入れ替わる形で中に入れて貰うと、然るべきエクソスーツの修理に加えキャルは怪我の手当も受けていた。 逼迫した状況から適切に治療を受けられ、キャルはようやく安堵の笑みを浮かべたのだ。

 墜落からここに来るまでほんの短い時間しか経っていないが、極寒の中取り残された心細さからそれは永遠のように感じられ、そこからこの暖かく明るいエクソクラフトの車内に案内されたのは、キャルとテイオーの傷ついた心を癒やすには十分だった。

「それにしても、この世界に宇宙船以外に乗り物ってあったんだね。 空や宇宙飛び回るのも夢あるけど、ボク的には地に足ついてる方がやっぱり安心するもんね!」

「このコロッサスもひっくるめて『エクソクラフト』って言われてるんです。 外で作業している皆はまた違う種類の車両に乗っているんですよ? 私達の知らない機種もまだあるみたいですけど」

「へぇ……色々種類あるんだね」

 テイオーは話を聞きながら車内のモニターに目をやり、救助の際に自身と入れ替わりで車内から出て行った少女達の姿を見る。 どうやらキャル達の避難していた墜落船を調べているようで、その数を見繕うと画面から見えるだけでも軽く14~5人は見受けられ、その周辺には少女の言うまた違った機種が駐めてあるのが確認できた。 少女曰く、この星の危険な環境故にまだ複数名のチームが巡回に当たっているらしいが。

 して、このコロッサス同様大型のタイヤが2対についた4輪車であるが、中には何故か和風ながらの旗を掲げていたり、黒い墨で『バレー部復活!』と大きく描かれた機種もある。 正直救助隊の車両にしては妙に主張が激しかったりする。

(ボク達ウマ娘の勝負服みたいなものかな? ま、隠れる必要もないから目立った方が寧ろ良いかもだけどね) 

 そんなことを考えながら生暖かい視線を送るテイオーだが、皆が仲良さそうにやり取りしている様子から良好なチームには違いないと見受けた。

 

「ありがと……後はスーツの生命維持機能で自然治癒するわ」

「あの状況で生命維持システムをフル稼働しなかったのは良い判断でした。 エネルギー切れのリスクを考えたらそのままにしておいて正解です。 ……でも」

 少女は口をつぐむ。 彼女と同じ考えで生命維持システムのフル稼働は避けたが、おかげで随分と痛い思いをしてしまった。 その事を気に病んだのだろう……バイザー越しにも分かるくらいに、少女は申し訳なさそうに沈んだ表情を浮かべていた。

「本当にごめんなさい……まさかワープ直後に貴方達の宇宙船とかち合うなんて。 こう言う接触事故はこの世界じゃよくあることだから、注意を欠かさないようにはしていたんですけど」

「もういいのよ。 こうして探しに来てくれたんだから義理は果たしたわ」

 少女は依然として申し訳なさそうに謝るが、キャルは肩をすくめて苦笑いした。

 そんな中で出入り口のハッチが開けられ、中に入ってきたのはこのコロッサスの乗り物を運転してきたもう一人の少年だった。 バイザー越しに金と黒のツートンの髪を持つ整った顔立ちを覗かせる。 年の頃はキャルやトウカイテイオーとそう変わらないだろう。

 

「みほさん、お二人さんが乗っていた墜落船は『修理キット』でなんとかなりました。 いつでも自力での脱出は可能です……ただ、先にぶつかったあの戦艦タイプの宇宙船は、現場じゃ修理は無理そうです。 改めてサルベージの段取りを踏む必要があります」

「ありがとうタカキ君。 いつも頑張ってるね……そろそろ休んだ方がいいんじゃない?」

「性分ですから」

 どこか心配する『みほ』と呼ばれた少女の問い掛けに、『タカキ』と呼ばれた少年は空笑いする。

「ふ~ん、二人は『みほ』『タカキ』って言うんだ」

 すっかり調子を戻したテイオーが、二人がそう呼び合っている名前を口に出した。

 すると、みほとタカキと呼びあった二人ははにかんでこう返した。

「『西住・みほ』です。 貿易船団()()()()()『エクソクラフト』部隊、『あんこうチーム』の隊長を務めてます」

 そう敬礼しつつ名と所属を告げるみほと言う少女。 テイオーはキャルと共に、不意に出てきた聞き覚えのある組織名に目を丸くするが、それに気付かずにもう一人が自己紹介を続ける。

『タカキ・ウノ』、同じく()()()()()の『あんこうチーム』にいます。 よろしくお願いします……えっと、怪我の具合はどうです? ……えっと」

 先に口を開いたのはキャルだった。 一瞬呆気に取られるも、動揺を悟られること無くスムーズに自己紹介を切り出した。

 

「……キャルで良いわ。 キチンと処置してくれたおかげで、後はスーツの生命維持システムで治癒出来るわ。 ありがと」

「ヨロシク! ボクはトウカイテイオー♪ ……()()()()()っていうのはどういう意味?」

 自己紹介を軽く済ませながら問い掛けたテイオーの質問。 それに間を置いて答えたのはみほだ。

『決して散らない鉄の華』……私の大事な人が、大切な友達との絆に込めた願いにあやかってつけた名前なの」

「俺達にとってもその組織の名前は特別なんです。 もっとも一度、生き急ぐあまり血で錆びてボロボロに枯らしちゃったんですけどね……」

 そう一言付け足すのは、何かを惜しむようなどこか遠い目で語るタカキだった。 しかし、みほ共々どこか決意を込めたような目でこちらにむき直し、言葉を続ける。

「だから、今度は枯らさない……返り咲けるようにってその名前を貰ったんです」

「いつかまた、その人がいつでも帰ってこられるよう二って……まあ。 初対面の人に語っても何のことなのかさっぱりかも――――」

 照れ隠しをするみほに、テイオーは満面の笑みを浮かべて見せた。

「ううん。 とても大事な想いが込められてるってのは伝わったよ」

 ()()()()()()は恐らくはやり方を間違えてしまったのだろうが、それでも居場所をもう一度用意してあげたいとあやかった名前のチームを立ち上げる辺り、よっぽど慕われている人なのだという。

 その人に対する純真な気持ちはテイオー達に確かに伝わったからだ。

 何より、それはそれとしてテイオーとキャルはみほとタカキの語りから、ある事を推測……と言うよりは、確信を持っていた。

 組織というか、絆というものに対する名前やその暗い生い立ち、そして込められた決意。 ざっくりとした話でしかないが聞き覚えのある、それも身近な人物から赤裸々に語られたような気さえする。

 色々思う所はあるが、ぶつかったことを負い目に助けに来たと言うことは悪い人ではないだろうし、何よりも()()()()()の名の下にけじめを果たそうとした彼女達の印象を一言でまとめるならば、少なくとも――――

 

((この人達はボク(アタシ)達の味方だね!(ね)))

 

 テイオーはキャルとアイコンタクトし、相手の笑みを持って互いの結論に相違は無いと確信した時、まさにその赤裸々に語った身近な人物を思い出した。

「そーだ! ここでじっとしてもいられないよー! こんなことしてる間に!!」

「そうよ、アイツを迎えに行かなくっちゃ! アタシ達を助けに行く為に、一人でこの嵐の中探索に行ったきりのよ!!」

 そう、その正に自分達を助ける為に単身探索に行った、我らが団長の存在を。 

 2人揃って慌てふためくテイオーとキャルに対し、みほとタカキはそんな彼女らを見て少しだけ驚いた顔をしたが、束の間を置いて何があったのかを尋ねてきた。

「……アタシが怪我を負ってテイオーのスーツも壊れて、もう1人が助かる為の資材を探しに行ったのよ。 怪我の治療薬やスーツの補修材をね」

「!! もう1人いたの!?」

「うん、北東の方だったかな。 キャルの武器を持ってたった1人で探索に行ったんだ。 センチネルだってウヨウヨしてるのに――――」

 その時だった。 テイオーが告げた正に北東の方から、激しい爆音と振動がコロッサス内部にも伝わってきたのは。

 

<こちら『ウサギさんチーム』、西住隊長大変です!>

不意にコロッサス内部のスピーカーから焦ったような少女の声が響き渡る。 ただならぬ様子にみほが慌てて機内の壁に備えられた通信機器と思わしき機械にアクセスする。

「! こちらあんこうチーム! 状況を説明して下さい!」

<12時方向の『モノリス』周辺にて()()がセンチネルと戦闘に入りましたぁ!!!!>

 仲間と思わしき女の子の叫び声と同時に、機内にけたたましい警報音が鳴り響き内壁に備え付けられたモニターに外部の映像が映し出される。 そこに映っていたのは――――

 

「オルガ!?」

「ダ、ダンチョーーーーー!?」

 

 テイオー達の叫びに、みほとタカキが驚愕の眼差しを注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

「クソッタレ!! また増援かよ!!」

 オルガは番犬のような細い四脚のドロイド『センチネルクアッド』の残骸を雪の中に沈めると、破壊する間際に通告したのか、援軍と思わしきセンチネル達が吹雪の向こうから押し寄せる。

 その中には四肢を持ち二足歩行をする、胴体のずんぐりしたオルガの背丈の倍はあるロボットの姿もある。

「識別名は『センチネルハードフレーム』か……!! またやっかいそうなのが増えやがった」

 見るからに強力そうな新手の出現にオルガは毒づきながら、センチネルの残骸から剥ぎ取った弾薬を装填し、シールドエナジーの充填も同時にこなす。

 

 戦闘開始から10分足らず、絶えず晒されるセンチネルの波状攻撃にオルガは疲弊していた。

 最初にやって来たセンチネルドローンの群れも、装甲を纏ってレーザーを飛ばしてくる攻撃型から、妖しげな光を送って仲間を回復させたり、仲間を次々とワープ召喚する厄介者と種類を取りそろえ、連携して襲いかかってきた。

 それらは倒せば倒すほど警戒レベルの上昇と共に数も増え、今し方倒したセンチネルクアッドのような、四本足の見た目通り俊敏に稼働するドロイドに翻弄され、やっとこさ倒し終えたばかりだというのに、今度は巨大なロボットときた。

「我ながら情けねぇ……たった10分でこの有様かよ」

 初見かつ数の暴力に圧される割りには十分な戦果ではあるものの、今正に命の危機に晒されてるオルガとしてはそんなのは気休めに過ぎない。

 転生を切っ掛けに死亡しても生き返る能力を持つ彼でも、おいそれと命を狩られてやるつもりは毛頭無い。

「あのデカい奴が恐らく指揮官機だな……ならアイツを潰しゃぁ勝ち目もあるってもんだろ」

そう考えたオルガはセンチネルハードフレームに対し接近戦に持ち込むべく、背部スラスターを全開にして加速した。

しかし、それを迎え撃つようにセンチネルが動き出す。 ハードフレームは飛びかかるオルガに対し右腕をかざすと、その腕の先についている発射口らしき箇所から火炎放射!

「チィッ!?」

 オルガは咄嵯の判断で急制動をかけて射線上から離脱するが、それでも完全回避には至らず、スーツの左肩から先が燃え上がってしまった。

 しかしオルガは慌てず、回避した勢いで雪の上を転がり燃え上がった左腕を消化、めげずにそのまま敵へと突進していく。

 間髪入れずにマルチツールの発射モードを『スキャターブラスター』に切り替え、火炎放射を行ったハードフレームの銃口に散弾を撃ち込み破損させた。

(これで修理要員のドローンが集ってくるはずだ……!!)

 オルガの予想通り、ハードフレームの被弾を察知したセンチネルの修理ドローンがこちらに向かってくる。 ドローンの中でも一回り小型のそれは、壊された銃口を修復すべく修復用の光線を浴びせ、瞬く間にハードフレームの破損箇所を元通りに復元していく。

 折角壊した箇所をあっさりと元通りに直してしまう憎たらしい敵だが、元よりオルガもそうなることは想定の範囲内だった。 寧ろ狙ってやったと言っても過言ではない。

「コイツでも食らいやがれ!!」

 再び発射モードを切り替え再び『ジオロジーキャノン』に、引き金を引くなり銃口からプラズマを帯びた炸裂弾が放物線を帯びて飛び、健気に修復作業に当たるドローンの群れを複数体巻き込んで破壊! 岩盤ごと破砕する爆風により姿勢を崩され、ついでに抉れた地面により足を取られたハードフレームは転倒する。

 慌てて仲間を呼ぼうとするサモナードローンの存在もオルガは見逃さない。 主力が腰砕けになって隙を見せたサモナーに対し、オルガは弾速の速い『ボルトキャスター』によるバースト射撃を叩き込む! くしゃくしゃになったサモナーは爆発四散!

「ドンパチってのは補給から断つもんだからよ……!!」

 マルチツールのマガジンパックを入れ替えボルトを引くオルガの呟き。 戦線を維持する上で補給線を断ち、修理や増援の要請を行えないようにして孤立させるのは基本だ。 とは言え、一対一に持ち込めたものの相手はこちらよりも一回りも大きい機動兵器だ。 流石にモビルスーツほど巨大ではないが、ロボットであることに加え大きさも装備も充実しているとなれば不利に違いはない。

 そうこうしている内にハードフレームは起き上がり、こちらを排除すべく向き合って来る。

「来るなら来やがれ・・・・・・沈めてやるよ<オルガさん!! 伏せて!!>!?

 すぐ側の森の茂みからだろうか、拡声器で増幅されたであろう大音量の少女の声がオルガの名を呼びかける。

(――――この声は!?)

 どこか懐かしいその声にオルガはすんなりと従った。 その場で身をかがめ地面に伏せる。

 

<撃て!!>

 

 直後、その頭上を幾つかの何かが掠めた気がした――――直後、ハードフレームの胴体が爆風と共に炸裂! ハードフレームは四肢を散らばらせ爆散する。

「……助かったぜ」

 砕け散ったセンチネルの残骸を一瞥しながらオルガは立ち上がり、何かを発射したと思わしき方角に振り返り礼を言う。

 目先には声が聞こえてきた森が見えているが、その茂みを割って現れたのは複数台の戦車に似た乗り物であった。

(モビルワーカー、じゃねぇな?)

 オルガの目の前に現れた乗り物は砲台こそついてはいるが、キャタピラではなく左右2対の大きなタイヤのついた四輪駆動車が6台。 それらに挟まれる形で中央に位置するのが一回りも大きな、同じように大きなタイヤが4対についた大型トレーラーの姿だった。 大半は雪原の色合いに合わせ白に濃い緑のまだら模様のカラーリングだが、一部は黄色やピンクの鮮やかな色彩だったり、日本語で『バレー部復活!』と文字を書いていたり、柄の刻まれた旗を掲げた派手な車体も見受けられる。

(――――まさかな)

<ダンチョー! 無事でヨカッタヨー!!>

「! テイオーか!?」

 聞き覚えのある声が目の前のトレーラーから響いてくる。 それはトウカイテイオーの声だ。 寒さに震えていた弱々しい声と違い、すっかり元気を取り戻しているようだ。

<無事で何よりね……アンタがくたばったら、貸したマルチツール返して貰えなくなるじゃない!>

「キャルも……無事だったのか」

<ま、そんな所ね……ここにいる『鉄華団』の面々に助けられたのよ。 アンタの仲間だって言うらしいじゃない>

「……!!」

 オルガは目を見開くと、乗り物のキャノピーや乗降口の扉が一斉に開く。

 

「本当にイツカ君だ!」

「お久しぶりですオルガ殿! 元気そうで何よりです!」

 

 オルガの前に姿を現すは、皆自分と年の頃の変わらぬ少女達。

 かつて『戦車道』なる、チームで戦車同士の模擬戦を行う競技が広く知られていた世界……その世界の日本にある高校の一つである大洗学園の生徒達であった。

「お前等……!!」

 バレー部員からなるアヒルさんチーム、生徒会組のカメさんチーム、1年生達組率いるウサギさんチーム……その他多数を引き連れて現れた懐かしき面々に息を呑むオルガ。 彼もその世界に転生していた際、兵科は違えど彼女達の仲間として共に戦車道を歩んでいた記憶があっただけに、そして、そんな彼女達が一人として欠ける事無く勢揃いしていると言うことは―――――!!

 

「やっと、逢えた……!!」

 

「お久しぶりです、()()!!」

 

 トリを飾るのは一組の男女。

 戦車隊の隊長を務め、自身の義理の妹でもあった『西住 みほ』、その隣にいるのは最初の世界から度々共に過ごしてきた鉄華団の旧メンバー『タカキ ウノ』の姿だった。

「みほ……タカキ……!!」

 生死を共にした仲間達に窮地を救われ、オルガの胸裏には例えようのない熱い感情がこみ上げる。 まさか彼女達も、タカキまでもこの世界に現れていたとは。

「ヤッホー! ダンチョー!」

「オルガ、アンタ随分と大所帯だったのね」

 遅れてトウカイテイオーとキャルが車内からひょっこりと姿を現した。 スーツの破損はすっかり元通りになり、キャルも自力で車内から降りて立っている所を見るに、怪我の治療も彼女達にして貰っていたようだ。

「おお、お前等も保護されてたのか!」

「本当に凍死するギリギリだったんだけどね……でもここにいるみほ達が助けてくれたんだよ!

「全く、散々な目に遭ったけど何とか無事だったわ」

 再会を喜ぶ一同。 死の一歩手前まで追い込まれかけたが、無事に姿を現した二人の事を感謝すべく、オルガはこちらに歩いてきたみほに向き合い……そして強く抱きしめられた。

「お、おいみほ……」

「おお」

「これはこれは……」

 突然の抱擁に周囲から一部生暖かい視線を注がれ困惑するオルガだが、それはみほから発せられる強い熱情によってかき消される。

「本当に、本当に生きてて良かった……!! 廃校の危機を乗り越えた後で、鉄華団の皆と一緒にいなくなって……!! 訳の分からない世界に迷い込んで!!」

「みほ……」

 胸元に顔を埋める彼女の顔色は窺えない。 しかし小刻みに震える彼女の体躯と声色から、オルガは確かにみほの強い想いを感じ取った。 共に過ごしてきた家族としての温もりを、優しさを。

(随分と心配させちまったみてえだな……)

「もう大丈夫だから安心しろって。 俺はこうしてここに居る……どこにも行かないからよ」

 みほが涙を流す理由。それを察したオルガはみほの頭を優しく撫でた。 みほも一言「うん」と呟いた。

 

「……タカキ、まさかお前も一緒に居るとはな」

「ええ、まさか()()()の輸送船に団長の船が突っ込んでくるなんて思いませんでしたよ」

 困惑したような台詞を言いつつも、タカキの表情は嬉しそうだ。 しかし同時に、オルガはタカキの口にした鉄華団の名に引っかかりを覚えた。

「お前等もその名前をつけていたのか……」

「俺達にとって鉄華団は組織である以上に『絆』ですよ」

 しかし、タカキは少しだけ気まずそうな面持ちで言葉を続ける。

「妹の為とは言え、一度は離れてしまいましたけどね……でも、もう一度、一緒に歩いて行く事を許してくれるのなら。 そう思って……」

 黙って彼の言葉を聞いていたオルガは、束の間を置いてはにかんで告げた。

「異世界でも一緒だったろ? 今更気にすんな。 ……今度こそ一緒にたどり着こうぜタカキ! それに皆!!」

 オルガの一声でみほが顔を埋めたまま、戦車道チームが、テイオーとキャルが一斉に腕を空に掲げると、オルガもそれに倣いマルチツールを握っていない方の左腕を掲げ――――

 

 

「……あれ? ダンチョーその左腕どうしたの?」

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