No Orphan's Sky ~異世界オルガ外伝~   作:Easatoshi

2 / 54
 何か続いちゃった。 結末とか何も考えてないのに……。


第2話

「こう言っちゃなんだけどさ、相変わらず持ちネタにしては精神衛生面で最悪だね」

「勘弁してくれ……俺だって好きで死んでるんじゃねぇんだ」

「ま、まあオルガさんも無事だったんだし……でもどうしてあんな高さまで空飛んだんですか?」

 再会から程なくして真っ赤な希望の華をぶちまけたオルガに対し、明らかにドン引きするトウカイテイオーとスペシャルウィーク。

 恐る恐る問い掛けるスペシャルウィークに、オルガは仏頂面で枯れた花を差し出した。

「さっきまでは青く瑞々しかったんだがな。 コイツには二水素が含まれていたんだ――――」

 オルガ曰く、酸素とソジウムの花のように二水素を採取できるものかと思って摘み取ったのだが、どうもこれは背中のブースターを一時的に強化するものだったらしく、物は試しで空を飛んでみたところあえなく制御不能になってしまったらしい。

 ちょっとしたハプニングに二人は苦笑いするものの、ひとまずは無事完成と相成った宇宙船を前に3人は浮き足立っていた。

「ま、とんだ目に遭っちまったが……いよいよか。 狭いが助手席はあるみてぇだ。 操縦は俺がするが、構わねぇか?」

二人は二つ返事で了承した。

して、運転席をのぞき込むオルガだが、ふとあることに気がついた。

「こいつ、『阿頼耶識』に対応してんじゃねえか」

「「??」」

ウマ娘二人は首を傾げる。先ほどはテイオーが座っていて気付かなかったが、座席の背もたれに当たる部分に神経接続用のコネクタが装着されていた。

それは今し方オルガが口にした、『阿頼耶識』と呼ばれる人の脳と機械をナノマシンと脊髄に埋め込まれたコネクタを介して操縦を制御するインターフェースである。

オルガの世界に存在する代物ではあるが、彼らの住んでいた時代をしても忌み嫌われる代物で、後ろ盾のない孤児を中心に非合法かつ苦痛を伴う施術によって埋め込まれ、しかも適合できない可能性も有るという曰く付きの代物である。

オルガも決して恵まれた立場の出身という訳ではないことから、この阿頼耶識の施術を施されているものの、それはスペシャルウィークやトウカイテイオー達みたく、戦いに縁のない仲間達にはあえてこの事実を告げていなかったのだ。

いずれにせよ、そんなものがどういう訳か搭載されているこの宇宙船は、元々がオルガ専用にあてがわれた乗り物なのではないかと感じてしまった。そして、操縦席に乗り込んだ彼はシートベルトを装着してエンジンを起動させる。

「とにかく、コイツに乗ってさっさとこの危険な星からずらかろうぜ!」

オルガは乗り込み、二人にも助手席への同乗を促した。

背面のバックパックを背もたれに押しつけると、コネクターがバックパックに備え付けられていたであろう端子に接続される。

「あ、ダンチョーのバックパックが背もたれの端子に「うぐっ!!」ピェッ!?

端子が接続された途端、宇宙船の情報がオルガの脳内に流れ込む。

「オルガさん!? どうしたんですか!? 大丈夫ですか!?」

「こ、こんくれぇなんてことはねぇ! ……『ラディアントピラーBC1』って言うんだそうだ、この機体」

振り返りながら語るオルガの鼻からは血が垂れていた。

「オルガさん! 鼻血が出てますよ!?」

「ああ、気にすんな。頭の使いすぎで鼻血が出ちまったんだよ!」

「ワケワカンナイヨー……」

「それよりもだ、出発すんぞ!」

オルガはコクピットのキャノピーを閉じ、3人揃って地上を飛び立った!

「垂直に飛んだよ!」

「すごいです!! でもなんか怖いですね……!」

VTOL(垂直離陸機)か、こいつはいいモンだ!」

3人が宇宙船に乗って空へ舞い上がると、オルガは動作確認の為まずはまっすぐに加速する。

機体は驚くべき素直さと敏捷性で空中を直進、ロール、旋回を難なく果たしてみせる。

「おいおいスゲーじゃねぇか! こんな機体に乗るの初めてだ!」

「「……?」」

 慣れた様子で期待を抵抗なく操るオルガに、スペシャルウィーク達は怪訝なまなざしを向ける。

「オルガさん、普段からそういうの乗ってたんですか? 北海道で三日月さんと一緒に農作業用の重機乗ってたのは知ってますけど……」

「ゲームの知識って言うにはミョーにあっさり受け入れてるんだよね。 まるでこういうのが当たり前にあったみたいに」

「まあ、後で話してやるよ……そんじゃいよいよ大気圏離脱だ!」

 そう言ってオルガは操縦桿を握りしめる。

 すると、機体のエンジン音がより一層高鳴り、機体は地表から離れる度速度を増していく。

「わぁっ、何これ!?どんどん速くなってる!」

(おいおい!本当に速ぇじゃねぇか!)

 オルガ自身も驚くべき速度で宇宙船はあっさり大気圏を離脱、文字通りの意味で瞬く間に宇宙空間に飛び出した。 驚くべき事に、先程の操縦に加えこれだけの加速でありながら、三人の身体にかかる重力加速度は進行方向を感じられる程度のごく僅かな力しかかかっていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数秒後、オルガ達は星々の輝きの中にいた。

「わぁ!! すごいや!」

「綺麗……!!」

 息を呑む二人のウマ娘、目前に広がるのは暗闇を無数の恒星の輝きに彩る、星々の大海そのものだった。

下を見下ろせば、今し方オルガ達がやりくりに苦慮していた危険な惑星が、地表のそれなど及びもつかない程に、穏やかに赤い輝きを保っている。

オルガは背中の阿頼耶識コネクタを介して脳波で直接操作を行う。

すると、宇宙船の現在位置と周辺のマップがスペシャルウィーク達にも共有される形で映し出された。

そこには先ほどまでオルガ達がいた星の姿も見られる、この星系の全体図そのものだった。

「……分かっちゃいたが、ここは太陽系ですらねぇな」

オルガのため息に、ふとスペシャルウィークが振り返る。

「え?どういう事ですか?」

「オレ達の住んでた星系とは違う別の星系に来ちまってる……早い話が、ここには地球も火星もねえってこった」

「ええっ!?そんな事あるんですか!?」

「現にこうしてここにいるだろうが、こんなアトラス何ちゃらとか言う宇宙服着せられてよ……」

「そっかダンチョー……ここ、別の宇宙なんだね」

「ああ、だが心配すんな。帰る方法は必ず見つかるはずだぜ……なあ?」

「はい!一緒に頑張りましょう!」

「うん!ボク達なら大丈夫だよ!」

 めげずに明るく答える二人に、オルガも不敵に笑った。

「さすがだぜ、頼りにしてるぜ二人とも――――<ザザッ……>

 三人の会話を割るように、ふと宇宙船の無線機に不審な通信を受信した。

 

 

 

 

<通信要求...発信元:#4925B.>

 

 

 

 

 オルガ達は会話を止め、突如受信した謎のメッセージに耳を傾ける。

 

<教えて欲しい、あなたが何者なのか。 私は...kzzkttk

 

 三人は顔を見合わせた。 後ろの方はノイズのせいか十分に聞き取れなかったが、最後の方は確かに何か言っていたように思えた。

「おい、今の聞いたか?」

「はい、なんかよく分からないですけど……」

「誰かが呼んでるみたいだったよね……」

「ああ、どうやらオレ達に用があるらしいな」

 不審なメッセージに内心不安ではあるものの、同時に好奇心もある。

 三人は互いに目配せし合うと、意を決して代表者であるオルガが名乗りを上げることにした。

 

「……俺は、鉄華団団長……オルガ・イツカだぞぉ」

((何でいつも死にかけみたいに名乗るんだろう))

 名を名乗る度いつも満身創痍に見えなくもないリアクションを取るオルガは、彼女たちにとっても見慣れた光景だった。

 ……しばし沈黙するが、無線の向こう側の相手は続けてこう告げてきた。

 

<あなたは決して kzzktt ひとりでは―― kzzkzzztt を追って...>

 

 程なくして無線の通信が途絶える。 その後、宇宙船の地図に何やら座標データらしきものが送られてきた。

 どうやら惑星の座標らしい。 オルガはそれを宇宙船のコンピュータに入力……と言っても、阿頼耶識コネクタを介してなので一瞬のことなのだが。

 

<報告:ナビデータを受信しました>

「おう、これで目的地も分かったな」

 宇宙船のHUDに、入力されたばかりの座標データが浮かび上がり、それは先ほどまでいた惑星と異なる同じ星系内の別の星にあった。

「でも、この惑星ってどんなところなんでしょうね」

「どうやらこの機体にもスキャナーが内蔵されているみてぇだ。 目的地の惑星に向けて――――と」

 オルガは機体を転換し、次の目標が浮かび上がっている赤い惑星に機種を向け、スキャナを展開して見せた。

 

 惑星

   差し迫ったコア爆発

 

   銅

   玄武岩

   銀

   センチネル警戒度:高

 

「な、なんかざっくりした情報が出てきましたね……」

「差し迫ったコア爆発ってなに? それにこの『センチネル』って言うのも……」

「まあ、行ってみりゃ分かるだろ」

 オルガはそう言って、宇宙船の進路を惑星に向け機体を加速した。

 その際に惑星へのおおよその到着時刻が表示されるのだが、ここで二人は目をヒン剥くような勢いで驚いた。

「ピェっ!! ま、丸一日かかるって言ってるよダンチョー!」

「こんなの待ってたら日が暮れちゃいますよぉ!! ……宇宙に夜ってあるのかわかんないですけど」

 一方でオルガは特に慌てている様子はない。

「そう慌てんなよ二人とも……こんな距離ひとっ飛びなんだからよ」

 オルガは操縦桿をしっかりと握りしめ、機体の操縦に集中し始めた。

 すると機体のキャノピーの右端に、雷のようなマークのインジケーターが表示され――――

 

 次の瞬間、機体は大気圏の離脱でさえも足下に及ばない、猛烈な速度で宇宙を飛び始めたのだ!

「な、何これぇ!?」

ヒエェっ!! 隕石がものすごい速さで迫ってるのに……ぶつかってない!?」

 機体は宇宙に散らばる小惑星帯など物ともせず、と言うよりはすり抜けて目的地の惑星に向けて高速飛行している。 見れば到着までの所要時間も、丸一日から僅か1分にも満たない時刻に短縮されているではないか。

『パルスドライブ』って言うんだってよ! ったく、今までの異世界で見たどの技術よりもやべぇぞ!」

 パルスドライブは、惑星間を亜光速かつ自動で移動する技術であり、HUDを通して浮かび上がる座標のマーカーを指定すれば勝手に方向を調整してくれる優れものだ。

 その動力源は『三重水素』、あるいは『黄鉄鉱』と呼ばれる金属であり、これは特に前者ならなんとそこらの宙域に浮かぶ隕石を砕けば、容易に数を揃えることが可能というのだから驚きだ。

(隕石には他にも『金』『銀』『プラチナ』だって含まれてるってんだからな……ま、こいつは後で採取すりゃ良いか)

 パルスドライブや隕石の話はさておき、オルガ達の目の前に目的の惑星が猛烈な速度で接近する。 二人はあまりの速さに腰が引けてしまっている。

「お、オルガさん!! 惑星が迫ってますよ!?」

「ぶつかっちゃうよダンチョーーーーーーー!!!!」

「慌てんなって! 十分な距離に近づいたら勝手に減速してくれんだよ! ……さてお前ら、そろそろ次の星だ! 気ぃ引き締めていくぞぉ!」

オルガがそう告げると、パルスドライブが停止して宇宙船の速度は緩やかになり、惑星への着陸に備え弾道軌道に移行する――――。




 キャラも掴み切れてないのにどこへ行こうというのか(白目)
 まあ、書き始めた以上はキリの良い所まで何とかやってみます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。