No Orphan's Sky ~異世界オルガ外伝~ 作:Easatoshi
それはそれとして登場人物が増えている現状、各キャラの掘り下げのために掛け合いのような日常回も入れるべきか考えている今日この頃。
第23話
早朝のプロミス/48。 近いようで遠い彼方から夜明けの光が海を割って地上を照らす時間帯。 空にはオルガ達の乗って帰ってきた貨物船イサリビが空気に霞み佇んでいるのが見える。
「頭が痛い……」
そんな爽やかな朝日に似つかわしくないどんよりとした面持ちで、基地付近の砂浜を一人シャルロットは歩いていた。 ISの部分展開さえしていない、深紫のISスーツにオレンジのパーカーを羽織った文字通りの無防備で。
元々この星の空気組成が地球のそれとほぼ同じであることに加え、それでも未知の空気感染症などを恐れて今まで危険防御シールドだけは展開していたのだが、ビスケット等の持ち込んだ基地施設の設計図の中に大抵の外傷や疾病を治療出来る『体力ステーション』なる機材が含まれ、それを実装したことで今のように外を歩くことが可能になったのだ。
昨日の乱痴気騒ぎで悪酔いしてしまい寝覚めが最悪の彼女にとって、直にこの星の自然なままの澄んだ空気に触れられるのはありがたい事だった。
「大分派手に酔っちゃったけど……ペコリーヌや新しく来たみほって子に迷惑かけちゃったかなぁ……ん?」
ふと視界の端に映る見慣れぬものに彼女は目を止めた。
ここは宇宙船の離着陸場。 基地の浜辺に近い箇所から突き出たむき出しの連絡橋を通じて、海上に設けられた数々の着陸用デッキが設けられている。 仲間が増えた事で宇宙船の数も増えた為、それを留めておく為のデッキの数も拡張したばかりだ。 当然ながら、あまり見慣れない形の宇宙船が軒を並べている。
「こうしてみると壮観ですね」
ふと背後から声がかかる。
振り返ると、黄と黒のツートーンの髪色を持つ少年がそこに居た。 彼も私服姿で、オルガの私服と同じオリーブカラーで背中に白い花の刺繍が彩られた、鉄華団の証であるジャケットを身につけている。
「えっと、タカキ君だったっけ?」
「おはようございます、シャルロットさん」
「うん、おはよ。 ……新しく増えた仲間の宇宙船だよね? つい昨日まではたった一つのデッキだったのに、本当に大所帯になったんだなって思ってさ」
IS乗りの自分がここに留めることは基本無いが、それでも基地と共に鉄華団の絆が広がっていくと言う実感を、シャルロットは感じずにはいられなかった。
オルガもそうだが、彼の周りに居る人間は皆、何かしら強い想いを抱えている。
それは、自分だって例外ではない。 別の世界でオルガの家族だったスペシャルウィークや、好意を明確にしている西住みほという少女。 そして、未だ再会を果たせない彼の相棒である三日月・オーガス。
種類は違えども、彼等の気持ちに負けてはいられない。 そう思いながらも、オルガに対する強い想いを噛みしめる。
「……そう言えば、オルガって船とか壊れちゃったって聞いたけど」
シャルロットはふとタカキに話を振ってみる。
「ええ、運悪く俺達の乗ってたイサリビが団長のすぐ側にワープしてしまって衝突して、そのまま近くの惑星に不時着しました。 船は大破してコックピットブロックしか使い物になりません……だから」
タカキは数々の宇宙船の中の一つを指差した。 ずんぐりとしたキャノピーを先頭に、左右に乗降口の突いたキャビンスペースに長いブースターと続く大柄な宇宙船、この世界では『シャトル型』と呼ばれているらしい形式の船があった。
「『USGケリオン』って言います。 俺達が団長とぶつかる前にいた星系でサルベージした宇宙船で、コックピットを移植出来る次の船が見つかるまで暫定的に使って貰おうと思うんです」
「へぇ……」
シャルは感心しながらその船を眺める。 あのサイズなら複数人の乗り合いが出来そうだ。 居住性だって期待できるだろう。
「ありがとうね。 オルガ達の為に色々してくれて」
「いえ、仲間なんですから当然のことです。 それに俺達が起こした事故のせいで、とんでもない目に遭わせてしまいましたから、むしろ物足りないくらいです」
タカキは少しだけ申し訳なさそうな顔をしていた。
そんな彼に、シャルロットははにかんで彼に気に病まないように伝えると、彼は安心したように笑った。
(良い子だよね……タカキ君。 転生とかする前の、最初の鉄華団ってどんなのだったんだろう)
タカキが自分達を気遣ってくれている事は、誰の目にも明らかだった。 そう言えばもう一人居た小太りな彼……ビスケットも気立ての良い温厚な青年であることを思い返す。
傭兵団でもあったと言うことから少々気性の荒い、しかし情には厚い仲間達が居たと言うことはオルガの口から度々聞いていたが、こうしてみるとそればかりでは無かったのだと言うことを強く実感する。
今度その辺りのことを詳しく聞いてみようか、そう思っていた矢先の出来事だった。
「あ、二人ともここにいたんですね? うっ、イタタ……頭が……」
連絡橋を繋ぐ基地の出入り口から出てきたのはスペシャルウィークだった。 彼女も酔いが酷いのか、ヘルメット越しに頭を押さえているようだった。
「おはようスペ。 身体大丈夫? しんどくない?」
「ううっ、まさか二日酔いになるなんて思わなかったです……タカキ君もおはよう」
「あんまり無理しちゃだめだよ? ほら、もう安全だからエクソスーツは脱いで大丈夫だよ」
「あ、そうでした」
衛生設備が整ったのだから、基地周辺でスーツを着る必要は無くなった。 その事実を伝えられていたことを思い出すとスペシャルウィークはヘルメットを外す。 端正な顔つきと共に馬耳と白斑の混じった頭髪が露わになる。
「ふう、こんなに良い空気だったんだ……故郷の北海道とはまた違うけど……あっ、そうだ!」
少し肌寒い、しかし汚れの無い空気に気を良くしながらも、しかし何かを思い出したようにシャルロット達に向き直ると、改めて彼女達に告げる。
「二人とも、直ぐに食堂に集まってください。 基地のコンピューターに通信が来てるんです! 皆も集まってますよ!」
昨日散々に暴れ回ったにも関わらず、ペコリーヌの人知れぬ尽力で元通りに清掃された食堂フロア。 その隅に配置し直した基地のコンピューターを前に鉄華団の面々が勢揃いしている。 その中心に居るのは、コンピューターを前にして屈んでいるオルガだった。 皆エクソスーツは来ていない私服姿で、特にオルガとビスケットはタカキ同様のオリーブの鉄華団ジャケット姿だった。
「どうしたの、皆?」
「基地のコンピューターに知らないメッセージが来てるって」
そこに、シャルロットとタカキ、そして彼女らを呼びに行ったスペシャルウィークが戻ってくる。
「おう、朝っぱらから済まねぇ……話はスペから聞いてるみてぇだな?」
オルガは立ち上がりシャルロット達に向き合う。
「うん。 この集まりは、ひょっとして今からメッセージを再生するとか?」
「ああそうだ……中身はまだ検めてねぇ、早速始めるぞ」
そう言ってオルガは端末を操作して音声メッセージを再生する。
<エンティティ・アルテミス! 君の信号を受信した。 これが最初か? これが最後か?>
「――――!!!!」
突如として流れ出した声と言葉に、オルガは目を見開き驚愕の表情を浮かべる。
電子音の混じったような男の声で、何者かは分からない。 しかし問題はその内容にあった。
『これが最初か? これが最後か?』と言う謎の問い掛け、そして男が口にしたその名前……。
「『アルテミス』……だと?」
「? オルガ、知ってるの?」
シャルロットの問い掛けに、オルガは答えた。
「……俺やテイオーとキャルが不時着したEDN-3RDで聞いた名前だ」
オルガは語る。
「墜落した直後に何者かから連絡が来て、行った先に煙を噴いている墜落船があったんだ。 キャルの怪我とテイオーのスーツの故障で、緊急避難先にその墜落船を使わせて貰ったんだが、その持ち主の名前がアルテミスって言う名前だったんだよ」
そしてオルガはジャケットのポケットから奇妙な基盤を取り出した。 見ると電源など入っていないに関わらず、ランプの部分がしきりに点滅し、その輝くタイミングは基地のコンピューターについている、動作チェックランプの点灯と共鳴しているようにも見えた。
「こいつはその情報が入っていたビーコンから拝借した基盤だが、基地に持ち帰って調べるつもりだったんだ」
「……でも、何かする前に勝手に反応してる感じがするよ?」
「ああ、恐らくな。 このコンピューターに接続してどっかに信号を送ってたのかも知れねぇ。 それをこいつが拾って――――」
<■■ メッセージ受信 ■■ 周波数:既知の接続先 ■■>
そう言っている間にも基盤はどこかに信号を送り続けていたようで、たった今新たな通信が基地のコンピューターに繋がった。
一同にどよめきが走るも、コンピューターからはあの男の声が流れ出す。
<聞こえているか、トラベラー?>
皆の間に緊張が走る。 オルガも内心恐る恐る、しかしそれを悟られないよう平常を装った上で次の言葉を待つ。
<そろそろ真実を話してもらおう。 君はエンティティ・アルテミスの信号を使っているが、本人ではないな?>
「ああそうだ……俺は、鉄華団団長、オルガ・イツカだぞ……」
どういう訳か、オルガの自己紹介は元の世界において射殺された最後の記憶を引きずる為か、満身創痍を装う癖があるのだ。 そんなイヤに芝居がかった自己紹介に、一部のメンバーからはつい失笑が漏れる。
「笑うんじゃねぇよ……俺だって命がけなんだぞ」
「一々命かけなくて良いよダンチョー……で、ボク達アルテミスって人じゃないけど、そっちは一体誰なの? この信号の持ち主と知り合い?」
オルガに代わり、テイオーが何者かとやりとりを続ける。
<ナーダはこの信号に見覚えがある。 君とは以前に交信したことがあるのだと思う。 ……どうだろう。 こちらに来て、ナーダ達の家できちんと顔を合わせないか?>
オルガとテイオーは顔を見合わせて首を傾げ、他の面々も困惑の色を浮かべるだけだった。
「……『ナーダ』って言うのがコイツの名前? オルガ、アンタ異世界の知り合いで覚えはないの?」
「正直ピンときませんね……いや、冗談は抜きに聞いたことがねぇ」
キャルからも知り合いに居ないかと聞かれるが、通信主であるナーダと言う名前に耳に覚えはない。 過去の転生先でも、こんな名前の人物に出会ったことは無い。
<ナーダの居る場所に案内する、今から宇宙船に乗って惑星の軌道上まで来て欲しい>
そう言って通信を一方的に打ち切った。
「何だったの今の……明らかに怪しいよね」
「さぁな、だが仮に罠だったとしても……罠ごとかみ砕くまでだ」
「だよね」
みほの言葉に、オルガは不敵に笑って返す。
「ま、行かなきゃ何も始まらないですし、行ってみるしかないですよね☆」
「そうだな。 よっしゃお前等! 次の目標が出来た……早速出発すんぞ!」
オルガの号令で、一行は手早くエクソスーツに着替え、宇宙船に乗り込む。
皆が乗り込んだことを確認すると、オルガもビスケット達から仮の宇宙船として譲られた、USGケリオンにスペシャルウィークとトウカイテイオー、そしてビスケットとタカキの計5人が乗り込んだ。
「よしっと、操縦桿はどれも特に差異はねぇみてえだな。 しっかし肩の装甲硬くなったのは良いけどよ、ゴツいったりゃありゃしねぇ」
オルガは左肩周りを覆う、赤いストライプの入った獅電の白い装甲を若干疎ましく感じていた。 硬い防御力を備えているに越したことはないが、こと宇宙船の操縦においては取り回しの悪さが気になってしまう。
「あはは、でも似合ってますよオルガさん」
「フォローをどうも……でもまあ、今は使えねぇけどしっかり阿頼耶識には対応してるしよ、この際贅沢は無しってか」
苦笑しながら、オルガは操縦席の計器類をチェックする。
すると、コックピットの外から声がかかった。
<オルガ君、そろそろ出発しましょう!>
<皆準備は完了しているよ? オルガさん、合図をお願い!>
「ああ、分かってる」
オルガは通信機に向かってそう答えると、船内の全員に聞こえるようにマイクを手に取った。
そして大きく息を吸い込み、腹の底から大声で叫ぶ。
その言葉に、全員が耳を傾けた。
「気ぃ引き締めて行くぞぉ!」
オルガの号令に、呼応するように雄叫びが上がると。
オルガ達を乗せたUSGケリオンの浮上を合図に、他の宇宙船が次々に垂直離陸! その機首を遙か上空に向け加速――――機体は一斉に大気圏外へと離脱する。
再び無限の宇宙へと駆り出したオルガ達。 青いプロミス/48を背に成層圏へと飛び出した彼らの側には、昨日からこの場で待機しているイサリビの巨躯が佇んでいる。
「……あのナーダとか言う奴の言葉を信じるなら――――」
「うん、ここに居れば案内してくれるって言ってたけど」
オルガとビスケットが顔を見合わせる。 仲間達にも声をかけて辺りを見回してもらうが、しかし自分達以外には何も見えない。
広大な暗黒空間の中に宇宙船に乗って、ただポツンと立ち尽くすのみ。 それらしい気配は一向に見当たらない。
<何なのよ……またガセネタでも掴まされたの?>
「それともまたいきなりワープしてきてぶつかる……ピエェ!?」
呆れ声のキャルに対し、メット越しに耳元を抑えてその場に蹲るテイオー。 無理もないが、昨日の今日のショッキングな出来事に若干トラウマになりかけているようだ。
気まずそうに苦笑いするビスケットに、震えるテイオーを慰めるように肩を抱き寄せるスペシャルウィーク。
結局、何も起きない。
「……何だったんだ? さっきの通信は――――!!」
オルガが諦め半分でぼやいたその瞬間、停留するイサリビの反対方向の空間に突如円形の歪みが生じる。それは次第に大きくなり、やがて巨大な穴となって宇宙空間に出現した。
そこから現れたのは、古びたスペースコロニーと思わしき錆のある巨大な球体の構造物。 一カ所に窪みがあり、その中央にはシャッターと思わしき開閉口が見受けられる。
ワープとも違う空間を割って現れるような異様な出現に、オルガ達は一斉に慄いた。
「これが……さっきの人が言ってた『家』、なのかい?」
「分からねぇ、だが……」
行ってみないことには分からない。 そう言わんばかりに操縦桿を握り込むと、それに待ったをかけたのはトウカイテイオーだった。
「え、ちょっとダンチョー!? ……まさか中に入ろうとか言わないよね?」
「そうなんですか!? 私その、ちょっと心の準備が……なんて」
「おまっ……」
怖じ気づいたような二人の言葉にオルガは苦笑いする。しかしそれも当然だろう。
目の前に現れた謎の物体に、未知の領域に足を踏み入れるのだ。 先行きに不安を覚えても仕方がない。
何よりそんな不安を感じているのはスペシャルウィーク達だけではない。 よく見ればモニターに映る別の宇宙船に乗るキャルを始め、戦車道の一部の面々にも不安の色が浮かび上がっている。
そんな仲間達を安心させるように、オルガは力強く言い放った。
「大丈夫だお前等、散々良いように振り回されてズタボロだった俺が無事に帰ってこれてんだ。 俺を信じろ」
少し自虐を交えつつもその自信を込めた一言に、仲間達の表情から怯えの感情が消える。
そして皆が一様に、信頼を込めた瞳でオルガを見つめ返した。
(俺は鉄華団団長だ。 団員をいざという時に引っ張れねぇでどうする)
オルガはビスケットとタカキに目配りをした。 タカキは無言でうなずき、ビスケットも後に続いて首を縦に振ると、こう告げた。
「僕達は何があってもオルガを信じる」
(この場合、信じなきゃいけないのはナーダって奴の言葉なんだが……)
「……ああ、任せろ」
オルガは野暮な考えだと頭の片隅に追いやって口に出さず、背中を押してくれたビスケットの言葉を噛み締めると、宇宙船のスラスターを徐々に噴かせゆっくりと謎の構造物に接近する。
すると意を決した他のメンバーもオルガの乗るUSGケリオンに続く。 オルガを先頭に一列になる姿は、まるで騎士の行進のようであった。
やがて一行は、謎に包まれた構造物の間近まで辿り着く。 すると機体のオートパイロットが始動しオルガ達の宇宙船を誘導すると共に、構造物のハッチが展開。 内部は通路となっており、その最奥にはワープポータルと思わしき光が見えた。
オルガ達はなすがままその光の中へと導かれていく。
眩い閃光が収まると、そこはスペースコロニーを思わせるような機械と電子の光に包まれた……しかしそれ以上に広い空間と遙かに多い数の離着陸場が存在した。 それらにはまばらだが他の宇宙船の姿も見受けられ、人の出入りが少なからずあるようにも見える。 中央には球状の巨大な機械が浮かび上がる端末が存在し、その後ろをスロープ付きの出入り口がある建造物が鎮座している。 入り口の隠されていた空間だが、見ただけでそれなりに活気のある隠れ家的な場所であることが窺える。
「なんだこりゃあ……」
「そこいらの宙域にある宇宙ステーションよりずっと大きい……僕らの住んでいた世界のコロニーに匹敵するよ」
技術に関しては桁外れに高度だけど……そう一言付け加えるビスケットと、オルガ等を中心とした面々は感嘆の声を上げた。 やがて宇宙船は各々にバラバラの位置に誘導され、離着陸場の真上に来ると垂直に着陸した後で機体の向きを変え、着陸プロセスを完了する。
オルガ達は宇宙船のハッチを開け謎の空間内に降り立つと、皆が巨大な球体の浮かぶ端末の前に集合する。
「凄く広い空間だね。 ここにさっき通話してきたナーダって人が居るのかな?」
「だろうな。 ……とは言え、どこを探せば良いのか分かんねぇ……ん?」
オルガがふと離着陸場の方に目をやると、オルガ達の後からそれぞれ黒と白を基調とした二機の宇宙船が
飛来した。 それらは自分達とは別の離着陸場に着陸すると、二機から一人ずつ大げさな荷物を背負ってパイロットが現れた。 宇宙服と船と色を合わせているのだろう。 黒の宇宙船の方からは黒一色の男性の骨格と思わしきスーツのパイロットが先に降りる、白の宇宙船からは白を基調に赤のアクセントが入っている、くびれを帯びたスーツを身に纏い、こちらは女性なのだと思われる……の降船を手伝っているようだ。 ヘルメットのバイザーに透明の部品がない為外側から表情は見受けられないが、やりとりから何となしに二人は親密であるかのように見受けられる。
「それなりに出入りはしてるみたいなんですね」
「知る人ぞ知る空間なのかしら「あーーーー!!!!」
突如として、ペコリーヌが降りてきた二人組に対し指差し大声で叫んだ。
急に声を亜上げるペコリーヌに一同は面食らう。
「お、おいどうしたんだよペコリーヌ! 急にそんな大声「あの人達ですよ! 以前一緒に栄養プロセッサの改造を手伝ってくれた人達は! おいっすーーーー!!☆」
ペコリーヌは大手を振って、二人組に駆け寄っていく。
「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!」
慌ててその後を追うキャル。 オルガ達も慌ててキャルに続く形でペコリーヌを追う。
(そう言えば以前にそんなことを言ってたな)
オルガは、ペコリーヌとキャルに再開したその日の晩のことを思い出していた。*1
彼女達が料理を行う際に用いた栄養プロセッサ。 それらを改造、再プログラミングし改造してくれた人物がいると会話の流れで教えてくれた事があった。
同時に、ペコリーヌともう一人の女性の方と料理談義で何時間も盛り上がり、同行者のキャルを辟易させたとも。
「ペコリーヌったら! また料理の話で何時間も粘ったら許さないわよ!」
そうこう言ってる内に、先に二人の元にたどり着いたペコリーヌが白いスーツの女性にハグをした。 女性の方も、まんざらでもない様子ででペコリーヌを抱きしめ返す。
「お久しぶりです! 元気にしていましたか!?」
「久しぶりペコリーヌ! 貴女も元気そうで何よりよ!」
「どうだ? 栄養プロセッサはちゃんと役に立ってるか?」
「ええもう! ……ただ、つい最近故障しちゃったみたいで、機械が上手く動かなくてやばいですね」
「そっか、今持ってるんだったらついでに修理してやるよ。 丁度材料とか色々かき集めてきたしな……で、その後ろの行列は――――」
黒いスーツの男が後から追いついたオルガ達の方を向くと、一瞬だけ身を震わせ硬直した。
「あ、キャルも久しぶりね! ペコリーヌの元気に振り回されたりしてないか……な……」
白いスーツの女も、オルガ達を見るなり口元の一辺りに手を持って行き、ハッとしたような仕草を見せる。
いっぺんに押しかけたのが悪かったのか2人組は若干身構えているようで、これはしまったと言わんばかりにオルガ達一同にどよめきが走る。
「あ、ひょっとして……」
「一気に押しかけたから引かせちゃったかな?」
「一斉に走ってきたのが悪かったのかも知れん……」
「あー、そのいや、なんだ。 そこなペコリーヌとキャルの知り合いでよ「――――ひょっとして、オルガか?」!」
オルガの声を遮るように、聞き覚えのある声が男の口から発せられる。 顔が見えないと言うこともあって一瞬相手が名前を知っていたことに身構えかけるも、しかしオルガは思い出す。
(待てよ? 男の方が機械いじりして、女の方がペコリーヌと語り合うレベルで料理得意って言ってたな)
そう言えば、あの二人、確か名前は――――。
「
「あ、そうだったな! 忘れてた」
「!!」
男は慌てて顔を覆い隠していたヘルメットを脱ぎ捨てる。 そこには黒い短髪の、一見して女性と見間違えそうな端整な顔立ちの、しかし年の頃は自分とそう変わらない少年の顔があった。
名前は、もう既に言われてしまっているが――――
ビーターな彼、参戦! もう一人の方は……最早言うまでもなかろうw