再度お伝え致しますが、風太郎の過去話は原作改変です。なお、それほど深くは掘り下げません。
漫画八巻以降にそんな展開があれば、分かりませんが(笑)
書いている時も、こんな事いうかな……言うかも? ぐらいのテンションで書いてます。キャラ改変はご愛敬と言うことで御願い致します。
その場が凍り付く。何か信じられない物を見るかのように三玖は風太郎を見るが、立ち位置からは表情は読み取れない。
「何言ってるんだよ! 世界で一番可愛い妹をどうしようって言うんだ? 俺はらいはを目に入れても痛くない程愛してるぜ?」
その言葉に、二乃は風太郎を睨みつける。どれくらいの間そうしていたのだろう。実際の時間で言えば、数秒、或いは一秒にも満たないのかも知れない。だが、呼吸をする事すら憚れる四葉と三玖には、三十分や一時間にも感じられる。
「……そうよね、そうだったわ」
踵を返し、自分の部屋に戻る二乃。風太郎との勉強は既に良い時間であるため、その日はお開きとなった。
「二乃、あれはどういう意味?」
食事が終わり、各々が時間を好きに使っている間、三玖が二乃に問いかける。
「別に、そういう噂があっただけ」
三玖は色々な言葉が頭をよぎる。直接聞く話だろうか、とか、失礼じゃないか、とか。だけど、それ以上に真相を知りたかった。
「……噂じゃない」
三玖がじっと二乃を見つめる。それに対し、居心地の悪さを感じているのだろう、目が何度か泳ぎ、一度溜息をつく。
「偶々知り合いに、アイツの幼馴染みがいたのよ。探した訳じゃないわ、本当に偶然。だけど、友達がそう言ってたから」
悪意があったわけでは無い、友人との会話に風太郎への悪評が無かったわけではないが、安易な暴言として引き合いに出せる程、良識を失っては居ないと言う。
「アイツが違う、っていうんならそうなんでしょ。むしろ深掘りする方が野暮じゃない?」
触れるべきでは無かった、そう話してそれ以上会話しようとはしない二乃。
「……そう、だね」
沈黙が聞こえた。
「……」
あの時の風太郎に、見覚えがあった。正確に言うと、同じ様な反応を見た記憶があった。
「……野暮、なのかな」
自問自答に答えが出るまで、一晩では足りなかった。
「おはよー……三玖、大丈夫?」
一花が三玖を心配する。どうやら寝不足で目の下に隈が出来てしまっている。
「ねぇ、ちょっといいかな」
「どうしたの?」
一花は心配そうに三玖を見つめる。それに応えるかのように意を決して三玖は口を開く。
「私、フータローの事をもっと知りたい」
「なん……だと?」
一瞬誰かの霊圧を感じ取れなくなったのかと錯覚したが、どうやら違うらしい。
「二乃のあの言葉、きっと嘘じゃ無い。だけど、フータローも何か隠してる」
「でも、それって……」
どうやら三玖の意思は固いようだ。
「分かった、だけどそれがもしも、風太郎君を傷つける事になるかも知れないよ」
ヘッドホンに手を添えて、握り込む。そこには葛藤と決意が見えた。
「うん」
事実を追い求めるとして、風太郎と五つ子との接点は家庭教師と言うこと以外には殆ど無い。学校に友人はいるが、転校して間もなければ事情通という訳でも無い。
「多分、結構昔の事だと思う。幼馴染みって言ってたし」
風太郎の過去を知る人物は、同様に幼馴染みに尋ねる、という方法は難しい。そこまでの交友関係はないのだ。
「だとすると、妹さんは知ってるかな」
三玖の言葉に、一花は顔を歪める。
「止めておこう。知っているなら傷つける事になるし、知らないなら尚更だよ」
「……そうだね」
三玖は周囲が見えていないことに落ち込む。
「となると、知っているのは限られてくるかな」
一花が一人、提案する。
ファミレスで大量の食事をかき込む風太郎の父。
「いやぁ、悪いねご馳走になっちゃって」
ハハハと笑う彼に、遠慮という文字はなさそうだ。
「本当に、息子達を呼ばなくて良かったのかい?」
ひとしきり食べ終わってから、水を飲んで一息つく。一花が口を開いた。
「はい、どうしてもお父様にお聞きしたい事がありまして……」
噂の話を始めると、父親の顔が一変する。
「その話をどこで……いや、それはいいか」
詮索するの止めて、一言区切る。
「事実だよ。だがそれは、まだ風太郎が小さくて娘が物心付く前の話だ。今の風太郎にそれを問うのは……親としては止めて貰いたいな」
否定はしない、だが詮索は無用だと、そう言われた。だが、三玖は引き下がらなかった。
「教えて下さい、知らなきゃならない……ような気がするんです」
食い下がる三玖に違和感を覚える父親。
「どうしてだい。そんなに風太郎の家庭教師が信用ならないのかい?」
その言葉に一花が首を横に振る。まだ結果らしい結果を残せては居ないが、風太郎が家庭教師になる前と今では、明確に勉学の意思が変わってきている。
「……違うかも知れない、ですけど。フータローさんが、まだ、解決出来てない、かもって」
三玖の言葉に、父親が考え込む。判断するまで、少し時間がかかったが、三玖の熱に当てられて渋々と頷いた。
「当時の事を知る人間は多くは無いよ。外交的といっても小学生にもならない風太郎の交友関係は狭い。だけど、家庭が丁度借金の苦しみに襲われ始めた頃の話だ」
長くなるから借金の詳細は省くが、要するに生活が酷くなることに対して、風太郎は不満を漏らす様になり、いつしかそのはけ口は父親だけに収まらなくなった。
「そうして、妹にまで怒りの矛先が向いた時に、事件が始まったんだ」
まだ小さな子供に借金の理屈など分からない。親や家庭の事情を知ったとしても、理解は出来なかった。だからこそ、悲劇が起こった。
「……らいはが生まれたことが、家庭を苦しめる原因だと、思い込んでしまったのさ」
酷く重たい何かを吐き出すように、俯き溢す父親。徐々に妹を遠ざけるようになり、いつしか風太郎なりに不幸の原因を取り除くための方法を探し始める。
「……そんな」
一花は言葉を失う。結果として大事には至らなかったが、一歩間違えれば凄惨な事件になっていたかも知れなかったのだろう。
「一悶着あった後で、風太郎の誤解は解けたよ。それからは、今のようにらいはを愛してくれる様になった。だから、その事を知っているのは当時の幼馴染みと私と少数の友人くらいなものだ」
妹はまだその事を理解していなかったようで、覚えても居ないらしい。
「らいはには、どうか聞かないであげてほしい。それが妹にも風太郎にも良いと、そうしてきたんだ」
思い詰めたような表情で父親は二人に告げる。その言葉に頷くと、仕事の時間だと父親は席を立つ。
「こんな話をしておいてなんだが……風太郎も根は良い奴なんだ。仲良くしてくれれば、嬉しいんだけどね」
「大丈夫、です」
三玖の言葉に、少し安堵したように見えた。
三玖と一花は自宅に戻るために歩いていた。時刻は夕方、日が沈みかけている。
「ねぇ、三玖。どう思った?」
一花はもういいのではないか、と呟いた。他人が言及して良いものでは無いのかも知れない。既に出来たカサブタを剥がして、血を流させる必要があるのか、と。
「フータローは本当にこれでいいのかな?」
読了ありがとうございました。
BUMP OF CHICKENのメーデー 良い曲ですよね。
なんで五等分の花嫁を読んでいる時に思い出したのか、私にも分かりません。
もしかしたら、風太郎君に歌詞を重ねたのかも知れませんね。
それはない(豹変)
あっ、そう言えば(唐突)
五等分の花嫁の一番くじ、今発売中らしいですぜ!
皆も買いに、行こう!(ダイマ)