雪ノ下が男になると彼らの関係性はどう変わるか   作:つっちー@

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1話

 

 

 ふと。自分の体に違和感を覚え,夜中に目を覚ました。春先とはいえ肌寒い夜のはずなのに汗が気持ち悪い。痛みはない。しかし、感じた違和感は拭えない。何かが起きていることだけはわかってしまう。

ひとしきり体を探っているうちに、ソコにたどり着いた。

叫び声をあげなかったのは胆力ゆえ、ではなく有り得ない現実に怖気づいてしまったからだろう。

 ああ、どうしよう。こんなこと他人には相談出来ない。そもそも言ったところで信じてもらえる訳がない。どうしよう。誰か。

 頭に思い浮かんだのは奉仕部の2人だ。あの2人なら。しかしスマホに伸ばそうとしていた手は止まってしまう。

 駄目だ。打ち明けて頼ったとしてどうにもならない確信があった。それほどにコレは常軌を逸してしまっている。誰かに頼ることも自分でどうにか行動することも出来ず、ただ時が過ぎるを待っているしか出来なかった。

 

 

 

 

 夢見の悪さで起きてしまった。しかも気持ちの悪いことに夢の詳細はぼんやりとしている。時間を確認してみればまだ朝とも呼べない時間だった。

 眠りが浅いのは疲れている証らしい。この間、戸塚が言ってたから間違いない。夢に戸塚が出てくれたなら安眠出来るのに。夢の中で戸塚とイチャイチャしたい。なんなら現実でもしたい。戸塚セラピー効果で気分が落ち着いてきた所で二度寝しよう。

 

 翌朝、やはり変な時間に起きたせいかいつもよりやや寝不足気味で学校へ登校した。のろのろと玄関で上履きを履き替えていると肩と叩かれた。これは、もしや!振り向いたら戸塚がほっぺに指をつんってする悪戯をしてくれる。

 

「ヒッキーおはよ。眠そうだけど、夜更かしでもした?」

「………あぁ由比ヶ浜か。はよ」

「なんかめっちゃがっかりされた!?」

 

 当たり前だろうが俺の純情を弄びやがってドキドキを返しやがれ。でもよく考えたら由比ヶ浜にされてもドキドキしてたと思うのでやっぱり返さなくて大丈夫です。

 さりげなく由比ヶ浜から距離を取り、まぁちょっと…と適当な相槌を返す。なんとなく怖い夢を見たせいでっていうのは恥ずかしいし。ほんと男子って見栄っ張り!

 

「ふーん。そういえば昨日、ゆきのんと夜なんかあった?」

 

 さして興味が無さそうに話題を変えたと思ったら、急に見覚えのない疑いをかけられた。なんだコイツさては凄腕の探偵か。痛くない腹を探られているだけなのに焦って変な口調になってしまう。

 

「ほう。どうしてそう思うのかね?」

「んー?昨日ゆきのんとメッセでやり取りしてたんだけど、途中で返信来なくなってね」

「寝落ちじゃねえの」

 

 俺にも中学時代に経験している。頑張って必死こいて女子とメールするんだけど大体2、3往復した辺りで返信が来なくなって翌朝、『ごめーん!寝てた』って言われるやつ。

 当時は眠いのに付き合わせて申し訳ないなぁとかきちんと謝ってくれるなんて優しいんだなぁとか思ってもいたが、そういったのはたいていが面倒くさくなって未読スルーしてるらしい。ソースは一色。あいつほんと碌なこと教えねぇな。

 しかし由比ヶ浜と雪ノ下に限っていえばそういったことはないだろう。本当に雪ノ下が寝落ちしたか猫の画像漁りに興が乗ったかだろう。俺の時もたまにあるもんなー。まぁその時は気づかなかったのではなく単純に優先順位が猫画像より低かっただけってゆってたから無視された訳じゃなかったからいいんだけどね!良くないんだよなぁ。

 

「あたしもそう思ったんだけどいつも寝落ちしちゃった時ってゆきのんから連絡くるんだけど今朝は来てないから……まぁヒッキーじゃないんだったら大丈夫かな」

「お、おう。大丈夫とは」

 

 

 

 

 あの後由比ヶ浜とはクラスが異なるため別れ、自分の机で荷物を整理しながら考える。由比ヶ浜はお昼に会うからそれとなく聞いてみると言っていた。季節の変わり目に少しくらい体調を崩すことくらいあるだろう。

 普段であればそこまで考えないのだが今回に限っては、何故か不安に駆られる。

 まぁ杞憂に終わるならそれでいい。俺はスマホを取り出して雪ノ下にメールを送った。

 

『由比ヶ浜が心配してるっぽいけど、なんかあったか?』

 

 送ってからちょっと聞き方が直接的過ぎたかとか、めっちゃ人のことだしに使ってんなとかもんもんとしてると意外にも雪ノ下から返信は直ぐに返ってきた。

 

『いま家にいるのたすけて比企谷くん』

 

 その一文を頭が理解する前に俺は荷物をまとめて教室を飛び出していた。その際、出入口で入ってくる葉山とすれ違う。

 

「もうHR始まるぞ。どうしたんだ?」

「悪い早退する担任に言っといてくれ!」

 

 それだけ言って葉山の返事も聞かず、教室を後にする。

 雪ノ下がGW過ぎから実家からマンションに戻っていたのは前に聞いていた。だからいまいる家というのはマンションの事なんだろう。かなり急いで来たおかげでマンションのエントランスに到着する頃には、息は乱れていた。このまま行ったらただの不審者だな。めっちゃはぁはぁ言ってるし。

 呼吸を整えてから部屋番号を呼び出す。ややあってモニターから雪ノ下の声が聞こえた。

 

『比企谷くん?』

「おう」

『どうして…いえすぐ来て』

 

 そしてこちらの返答も聞かぬまま声は途切れ、代わりに自動ドアが開いた。モニター越しの雪ノ下の声はいつもより低いような気がした。やはり体調は良くはないのかもしれないが、安否は確認できた。その事に少しだけ安堵する。

 急かされるまま自動ドアを潜りエレベーターで目的の階まで昇る。部屋の前に到着しインターホンを鳴らす。すると直後に扉は開き、中から腕を掴まれ引き込まれた。

 

「っ!ちょっ。雪ノ下?」

「……」

 

 雪ノ下の部屋に引っ張られたと思ったらそのまま雪ノ下に抱き着かれた。焦って名前を呼ぶが雪ノ下は答えず胸元に顔を埋めるだけだった。

なにこれ。八幡わかんない。とりあえず抱きしめ返せばいいの?いやいや落ち着け仕事しろ理性。

何一つ理解出来ない中ひとつだけ気づいた。未だ沈黙してる雪ノ下の身体が震えていた。

 

「あーっと、まぁなんだ。落ち着いたらで良いから離れてくれ。心臓に悪い」

「ふふっ。じゃあお言葉に甘えて、落ち着くまでこうさせてもらうわ」

 

我ながら0点な台詞だと思っていたが、雪ノ下の返しが100点過ぎる。あとこうゆう時の手の置き所がわからないんだけど。悩んだ末に降参のポーズのまま固まっていた。

 

「取り乱してごめんなさい。ありがとう比企谷くん」

 

 すっかり落ち着いた雪ノ下にリビングに通してもらい、今は隣あって座っている。うん。俺はまだ心拍数落ち着いてないけどね。雪ノ下さん数分間離してくれなかったし、密着してるせいでずっといい匂いだったし。俺めっちゃ気持ち悪いな。

 

「それで。何があったんだ?体調不良って訳じゃなそうだが」

「ええ。そうね。比企谷くん落ち着いて聞いてほしいのだけれど。…えっとね、実は。あの私、男になったみたいなの」

 

 

 

 





いかがだったでしょうか?
今までにない八幡と雪乃を妄想して書きました。

拙い文章ですが、感想・評価など貰えると嬉しいです
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