【全40話】英梨々とラブラブ過ごすエッチな夏休み   作:きりぼー

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今回はノリノリな英梨々です。

体張ってる売れないタレントみたいになってますが、同意なら問題なしです。たぶん。


18 エッチなポスター制作

8月9日(火)夏休み17日目

 

今日は英梨々の部屋でポスターや看板製作を手伝っている。週末の『夏コミュ』に出品する同人本はすでに刷り上がっていて、ダンボールの中に納まっている。

 

 英梨々のもう一つの顔が、「エゴスティック・リリィ」で、人気エロ同人作家だ。もちろんこのことはトップシークレットで一部の関係者しか知らない。学校の誰もがこの可憐なお嬢様キャラを演じる美少女と、腐女子向け凌辱マンガを描くエロ同人作家を結び付けることはできない。

 

 美術部の後輩は、英梨々が二次元のイラストもプロ並みに上手いことを知っているし、油絵でアニメ的な絵を描いていることも知っている。英梨々にオタク要素があることは公然の秘密だが、あまりにも後輩からは神格化されすぎて、本質は見抜かれていない。

 

「こいつは腐女子ですよぉ!騙されてはいけません!」と、真実を報告してやりたい衝動にかられる時もあるが、小学生の時のいじめ経験もあり、もちろんそんなことはしない。

 

 だだっ広い英梨々の部屋の床に巨大なイラストボードを置いて絵を描いている。あたりには水彩絵の具、アクリル絵の具、カラーマジック、色鉛筆などの各種塗料が散乱していて、パッと見たところでは実にアーティスティックなわけだが、いろいろ問題がある。

 

 第一に、英梨々がコスプレをしている。これがもう古典的にコスプレの殿堂とでもいうか、某有名格闘ゲームのチャイナ服である。基本色は青色に黄色のラインであるが、白基調に金色のラインの衣装であるあたり、実によくわかっている。色違いが実装された時はときめいたものだ。えっ?俺、今の高校三年生だよ?

 

 なぜこんな格好をしているかというと、時は少し遡る。

 

 英梨々が膝を床につけて絵を描いていた。最初はいつもの芸術用正装というべき、白い長袖シャツにデニムのオーバーオールだったわけだが、ツインテールが非常に邪魔になってしまった。テーブルで描く時は後ろに結わきなおせばいいが、床で描く場合は長い髪がどうしても邪魔になる。

 そういうわけで、英梨々はツインテールを三つ編みに直し、それからクルクルと頭の上に巻き付け、お団子を二つ作った。そこまで髪型が完成したところで、俺が「チュンリンみたいだな」と指摘すると、「それなら、コスプレグッズがあるわよ?」と、何かのスイッチが入った。

 

 頭のお団子にお団子カバーをつけ、英梨々が着替えた。もちろん俺は後ろに向いて、ガラス窓に映る英梨々の姿を盗み見るぐらいしかできなかったわけだが、シンプルな白い下着を着けていたことだけはわかった。この辺の集中力と想像力はやっぱり、日ごろの訓練のたまものだろうと思う。ふぅ・・・

 

 そういうわけで英梨々がチャイナ服に着替えた。これがなかなか特注品だけあって、体にぴったりしている。キャラクターと一番違う点は、胸だ。これはもうどうしようもないらしく、分厚くパットをいれるよりも、やや幼いチュンリンといったコンセプトでまとめあげているのは、自分の可愛さを知っているからだろう。

 

「ほっほぅ・・・」と俺は感心する。

「あんたねぇ。せっかく期待に答えてコスプレしたんだから、感想ぐらいちゃんといいなさいよ」

「カワイイヨ エリリ カワイイヨ」

「どうして、九官鳥モードなのよ!」

「照れくさいからさ。英梨々が可愛すぎて」

「やんっ」

 

 って、なんだその声。英梨々の顔が赤くなっている。一度ふざけて、真面目な言葉をかける。このギャップ。ほんと最近2人ともバカになってきた気がする。元々バカか。

 

「その下って、どうなってるんだ?」

「ふふっ、見たいかしら?」

 

 英梨々が身体を横に傾け、片足を上げた。特徴的なのは大きなスリットで、チュンリンが蹴りをいれたり、ジャンプしたりするたびに、下着が見える。このチラリズムに当時の思春期の男子はメロメロになったものだ。(あっ、俺高校三年生(ry

 

「チラッ」

 

 英梨々がわざとらしく声をだして、スリットを少しめくった。白い下着が見える。光沢があるがまさか流石にシルクではないだろう。ポリエステルであると思いたい。

 

「見えちゃうんだな」

「これ、アンダースコートと同じで見せパンだから」

「へぇ・・・」

 

 そう、男子が理解できない女子七不思議のひとつ、見せパン。下着は見られたら事件だが、見せパンならOK。いまいちわからない。下着同然のビキニもよくわからん。あっちは夏の水辺だから解放感と勢いがあるのかしれないが、見せパンはなぁ・・・

 

 コホンと俺は咳払いで誤魔化して、話を現在に戻そう。

 

 そういうわけで(どういうわけだよ・・・)、英梨々はチャンリンコスプレをしていて、俺はさっきからスリットからチラチラ見えるアンスコを拝みながら作業をしている。

 大きな絵を描いている英梨々に対して、俺の作業は地味だ。まずは生原稿のラミネート。生原稿には小さなエゴスティック・リリィのサインもしてある。コアファンにはプレミア価格で売れる。しかもネットオークションでさらに高騰する。それからサイン色紙のペン入れ。こちらは若干雑な方がそれっぽくなる。英梨々の下絵を俺はなぞるが、顔はいじらない。顔と瞳は英梨々がちゃんと描く。先着様用と、複数購入者への特典となっている。商魂たくましいのか、ファンサービスがいいのかは意見が分かれるところだ。

 

 でもって、問題点その②について、話をしておこうと思う。

 

 実に英梨々が艶めかしいアーティスティックなわけであるが、その二つを台無しにする大問題が目の前で起こっている。

 

 俺の絵だ。そう、四つん這いで裸になっている俺の絵を英梨々が制作していた。実に見事な構図で、見えそうなところはちゃんと薔薇のオブジェによって隠され、振り向いている顔は恍惚としている。どうみても俺に見えるのは、俺が先入観をもっているからだろう。そう信じたい。そうでないと俺は数万の来場者に恥をさらすことになる。全国区でケツの穴を晒したくない。

 

 だから、俺は絵に没頭する英梨々に尊敬の念を抱くこともできず、さっきからセクシーな英梨々に欲情を抱くこともできず、げんなりとした気分になっていた。英梨々のスリットがはだけるたびに、俺はため息がでる。

 

 英梨々の彼氏であることは嬉しいし、毎日楽しく過ごしているわけだが、こういう事態になると考えさせられるものもある。だいたい俺は英梨々の前で、裸の四つん這いになどなっていないのに、どうしてこう再現度が高いのか。

 

 俺が想像するよりも、ずっと妄想が得意なのだろう。受け入れる寛容さが欲しい。

 

※ ※ ※

 

 英梨々が描き終えた。俺も作業が一段落。

 

「どうかしら?」

 

 無邪気な笑顔を添えて、英梨々に聞かれた。さぞかし満足のいく作品に仕上がったのだろう。でも、俺は未熟な人間で、自分の四つん這いの裸の絵を見せられて、気の利いたことの一つも言えなかった。

 

「どうって言われてもなぁ・・・げんなりするよ」

「なによ。ケツの穴の小さい男ねっ!」

「うまいな」

 

 英梨々が笑って八重歯が見える。白いチャイナドレスは所々がカラフルに色が着いてしまっていた。チャイナ少女が悪戯を終えて満足しているようにしか見えない。

 

「少し休憩しましょうか」

「そうだな」

「おやつに何か食べたいものあるかしら?」

「食欲は失せてるなぁ・・・」

「じゃあ、あたしだけドーナッツ頼むわよ」

「適当に頼んでくれ・・・あとで喰うかもしれないし」

 

 英梨々がスマホをいじってミズドのドーナッツを注文する。配達の人がもってきてくれるのだ。便利な世の中になったのか、それとも貧富の差が激しくなったのか。いや、そんなことはどうでもいい。今大事なのは俺の性欲の回復だ。性欲じゃない食欲か。似たようなもんだ。だいたい高校三年生の健康な男子が食欲ないのは、健康が損なわれているか、心に病を患っているかのどちらかだ。

俺はいたって健康であることと、心の病の原因が目の前にあることを鑑みて、この治療に専念せねばならない。(大正義)

 

 ゆえに。俺は英梨々に頼むことにした。こんなことを本当は言いたくないが、やむを得ない。

 

「なぁ英梨々。せっかくだから、スッピンバードキックしてくれよ」

「なにそれ?」

「そのキャラクターの必殺技だよ」

「そのキャラクター?」

「お前のコスプレ」

「ああ、これ?」

 

 コスプレしていることを忘れていたらしい。たいした集中力だよ、ほんと脱帽する。どうりでときどき後ろに回り込んでガン見していても気づかないはずだ。

 

「チュンリンの必殺技」

「えっ、倫也を蹴り続ければいいの?あんたそんなに変態だったっけ?」

「確かにそれは有名だけどな」

 

 どうせなら踵で踏まれたい。いや、違う。

 

「逆立ちして、クルクル周る技だよ。カポエラみたいに」

「ああ、あったわねぇ・・・できるわけないでしょ!」

「やっぱ、恥ずかしいか。一流のコスプレーヤーに恥じらいは不要だぞ?」よくわからんがとりあえず煽ってみる。

「普通できないでしょ。技術的に。倫也できるの?」

「そうだよな・・・じゃあ、側転でいいからしてみろよ」

「側転ねぇ・・・」

 

 英梨々が立ったまま前屈して固まっている。ああ、これだけの行動でこいつが運動音痴だとわかる。つま先がかろうじて床につくぐらい身体が固い。これに匹敵するのはでんぐり返しのできないぼのぼのぐらいか。

 

「じゃあ、やるわよ。見てなさいよ」

「ああ、見届けてやろう」

 

 英梨々が広いスペースを見つけて、勢いよく両足を交互にあげた。とてもじゃないが側転とは言い難い。まぬけなポーズだった。滑稽ですらある。だが、それで十分だった。さすが英梨々だ。よくポイントを抑え、需要を把握している。

 

 衣装がめくれあがり、テカテカと光る生地のアンスコが包み隠さず見える。若干食い込んでいて筋が見えそうでみえない。丸みをおびた女性らしい尻のライン。そこから惜し気もなくでている長い生足。

 

「できたかしら?」と英梨々が振り向いた。照れながら笑っている。まったくノリのいいやつ。

 

 これでポンデリングがおいしく食べられそうだ。

 

(了)




性ホルモンの動的平衡を科学的に分析。実に知的な作品に仕上がって満足。

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