【全40話】英梨々とラブラブ過ごすエッチな夏休み 作:きりぼー
8月15日(月)夏休み23日目
オタクの祭典『夏コミュ』が終わると、俺と英梨々の中では夏が終わった気分になる。
外はまだまだ暑いが、蝉の鳴く声は減ってきているように思う。
今日の英梨々は白い無地のTシャツに下は緑ジャージ姿。実におしゃれをする気がない。髪を後ろで結って黒いヘアゴムで留めている。そして、俺のベッドで何をするでもなくゴロゴロしていた。
「何かアニメでも見るか?」
「何があるのよ」
「鋼のなんちゃら」
「なんか、どーでもいいわね」
鋼のなんちゃらは、ずいぶん前に流行したアニメだ。錬金術師が活躍する。金髪の幼馴染ヒロインが主人公と結ばれるせいか、英梨々もこのアニメが好きだった
「えっ?みない」
「もう、セリフを覚えたぐらい見たわよ。なんで今更それを見ようなんて思ったのよ」
「ほら、実写化されるみたいだし」
「ほんと、どーでもいいわよね。倫也だって実写なんてみないでしょ」
「まぁそうなんだけどさ・・・話題として」
英梨々は手を伸ばし大きなアクビをしている。まだ午前中だ。ラノベを読むでも、マンガを読むでもなく、ぼっーとしている。
曰く、これぞ夏休みということらしい。当然、テーブルにはカルピスの入ったグラスが置かれていて、結露で下が濡れている。その景観がいいらしいのだ。
俺はというと、まったく課題に手が付かない。さすがに受験生なのでそこまで量は多くないし、気合を入れれば一日で解答を写し終えるだろう。まともに解いたらどれくらいかかるかは知らないが。
「ぜんぜん、勉強してねぇな・・・」
「ほんと、倫也どうすんのよ?このままじゃ大学落ちるわよ」
「いや、そうなんだが・・・それ、お前もだよな」
「あたしは美大の推薦もらってるし、実技の提出物だけ作ればいいもん」
「才能あるやつはいいな」
「その、人が努力していないみたいに言うのやめてくれるかしら?」
「すまん」
この夏なんども繰り返してきた話題だ。進路。考えただけでうんざりする。
才能かぁ。何事も努力が大事だと思う。でも、努力することも才能じゃないか?好きなことに没頭する才能。俺にも欲しい。去年のゲーム作りはずいぶんと真剣に取り組んだ気がする。今年も、こんな風にダラダラと過ごすなら、ゲームを作った方がよかっただろうか。
でも、英梨々と付き合って、加藤が口を聞かなくなって・・・美智留は順調に地下アイドルで活躍しはじめていて、詩羽先輩は大学に行ってしまった。改めてまとめる気力は俺にはなかった。あの坂の上で見かけた桜の女の子。俺はあの子・・・加藤恵に対する第一印象をゲームにしたかった。でも、それはもう叶わない。
家のチャイムが鳴った。
「きたわね」英梨々の声が少し高くなった。
英梨々が跳ね起きた。俺は窓を開けて配達員さんに降りていく事を伝えた。
玄関を開ける。台車にはダンボール3箱が乗っていた。それを玄関においてもらい、サインをした。
「ああ、けっこうな量だな・・・」
「倫也の部屋に運ぶかしら?」
「英梨々の家に運ぶものを、上にもっていく必要もないしなぁ」
「じゃあ、リビングで分けましょ」
届いたのは夏コミュで買った同人誌やグッズである。小さいダンボールとはいえ、中は紙なので持ち上げると重い。英梨々と一緒に運びガムテームをはがして開けていく。
英梨々は一冊ずつ取り出しながら、パラパラとめくり、テーブルの上に重ねていく。
「あの場所では魅力に思えても、冷静になるとそうでもないのよね」
「まぁそんなもんだろ、テンションもあがってるしな」
「このダンボールはあたしのよね?」
「だな」
「こっちが、倫也の選んでくれたものよね」
「ああ、なかなか光る才能の子もいて、気になったのは買ってきた」
新人の発掘。これは同人ファンの醍醐味である。
テーブルの上に同人本が散らばってく。うちの親がみたらいくら寛容でも怒るか悩みそうである。R18同人は、18歳以下への販売が禁止なのだから。
俺は自分の巨大ロボット系や少年雑誌のものを部屋に運ぶ。ついでに氷の溶けたカルピスを下に運んだ。テーブルの上は邪魔なので、キッチンのカウンターに置いといた。
英梨々はある程度仕分けを終え、またダンボールにしまっている。
「倫也、これは上にお願い。こっちは玄関に。あとで家に運ぶわ」
「あいよ」
こうして、俺の部屋にまた英梨々の荷物が増えていく。俺の部屋よりは英梨々の部屋の方が4倍以上広い。あまり荷物が増えても困るのだが、英梨々がここにいる時間も長いのでしょうがない。拠点を英梨々の部屋にすればいいのだろうが、あっちはメイドさんが誰かしらいて落ち着かないようだ。
俺はダンボールを再び玄関に運び、もう一つを上に運んだ。英梨々はキッチンでカルピスを飲み終えて、グラスを洗っている。
そろそろお昼なので、何か考えないといけない。何も考えずにいるとまたカップ焼きそばになってしまう。
「英梨々、そろそろ何か喰いにいく?」
「いかない」
「何か作ろうか?」
「カップ焼きそばでいい」
「あっそ・・・」
無駄だった。せめて、野菜ぐらい付け足したいが冷蔵庫にろくなものがはいっていない。
英梨々は俺の部屋に運んだダンボールを壁際におき、中から一冊を取り出してベッドの上で寝転がりながら読み始めた。鼻歌まで歌っているところから、かなり上機嫌になってきたらしい。
これで、見ているものが女性用ファッション誌なら、年頃だしわからなくもないが、見ているのはBLものである。俺が覗いてみるが、イケメンの裸ばかりだ。同人誌にもよるが、どちらかというとストーリーよりも、絵の表現が重視されているのが多い。散文的なのだ。だいたい少年漫画よりも少女漫画の方が、コマ割りが複雑でどういう順番で読むか迷う時があるものだ。
「セクシーさのかけらもねぇな・・・」
「あんた何言ってんのよ」
「見たまんまの感想だよ」
「はぁ?なんでエロ同人読むのに、あたしがセクシーにならなきゃならいのよ」
「ごもっとだけどな」
俺は英梨々の姿をスマホに収めて、見せた。
「これが、今のお前だ。だらしないにも程があるだろ?」
「・・・なに、あんた?じゃあ、あたしが正座でもして、読経でもするかのようにこの凌辱マンガ読めとでもいうのかしら?」
「そうじゃねぇけど」
「なによ、文句あるならいいなさいよ」
「ないない。俺が悪かったよ。ゆっくり楽しんでくれ。俺、カップ焼きそば作ってくるから」
「あっそ。じゃあ、あたしはイカ入り大盛りで」
「あいよ」
やれやれ、大事な時間を邪魔してしまったらしい。まぁこういう一日も悪くないけれど、一日中BLマンガなど読んだら、気が変になりそうだけどな。男と女で違うか。いや、男でもエロ本などずっと読まないはずだ。
カップ焼きそばを作った。お湯を切り、ソースを混ぜる。それだけだ。それを二階に持っていく。
扉が閉まっていた。開けようとしたら鍵がかかっている。
「おい、英梨々。カップ麺できたぞ」
部屋の鍵が開き、扉が少し開いた。俺は扉を開けて中に入った。英梨々はベッドの上に戻っている。
「おい英梨々!?なんてかっこしてんだ・・・」
「はぁ?あんたバカなの?あんたが言ったんでしょうーが」
「いやいやそういう意味じゃねーぞ?」
「じゃあ、どういう意味よ」
英梨々が下のジャージを脱いでいた。上のTシャツは俺のものだ。大き目でだぶついている。だから、英梨々の下着はTシャツに隠れて、かろうじて見えない。が、スラリと長い細い生足は丸見えである。お尻の膨らみもはっきりとでていて、角度によってはパンツが丸見えだろう。
「あのなぁ・・・」
「ふふん。目のやり場に困るでしょ」
「困るよ!」
「サービス、サービス♪」
「そういう問題じゃねーだろ」
「ほら、早くテーブルに置きなさいよ、伸びちゃうでしょ」
俺はため息をついて、カップ焼きそばをテーブルに置き、英梨々に割りばしを渡した。英梨々はベッドから降りてきて、あぐらをかいて座った。英梨々は行儀悪く同人本を手に取りながら、いただきますも言わずに焼きそばを口にしている。
俺はこいつの母ちゃんではないので、叱る気も起きない。
だぶついた俺のTシャツの柄はアニメプリントで、でかでかとラブコメのヒロインがプリントされている。英梨々が立ち上がったり、ベッド上で寝転んだりしない限りは、まぁ大丈夫だろう。胸の膨らみが気になる・・・
「倫也、これ面白かったわよ」 英梨々が俺に一冊の同人本を渡す。
「ジャンルは?」
「BL」
「けっこうです」
「食わず嫌いもよくないわよ」
「あいにく俺は偏食なんでな」
「つまんない男よね」
英梨々が本を置いて、焼きそばをまじめに食べ始めた。Tシャツが大きいせいか、英梨々の右肩が少しはだけてでている。うなじから鎖骨のラインがとてもキレイだ。水色のブラヒモも見えた。
・・・こいつ、さては誘っているな。
「倫也、いやらしい目線のところで悪いんだけど」
「なんだよ・・・」
「あたし、絶対に倫也の部屋でなんか、ヤらないわよ」
「だぁ~」
「なによ」
「だったら、そんな恰好するなよ」
「はぁ?あんたでしょ。あたしの憩いの時間を突然ディスってきたのは!」
「ああ、そうだよ。俺だよ。見るに見かねてな!」
「だから、ご要望通りセクシーにしてやったんだから、それでいいでしょう?」
「よくねぇわ」
「あんた、カップ焼きそばは温かいうちに食べなさいよ!」
「ああああああっ、もう。わかったよ」
俺はカップ焼きそばを急いで喰った。なんで、自分の部屋で生殺しにされなきゃならないんだ?この女・・・襲ってやろうか。ほんとに。そんな度胸ねぇけど。
「ごちそうさま」
英梨々が手を合わせて言った。
「いただきますもいえよ・・・」
「あら、言わなかったかしら?」
「言ってねぇよ」
「あんたって細かいわよね。言ってほしいならそういいなさいよ」
「ああ、そうだよ。思ったよ。『いただきます』ぐらい言えってな。でもそれ指摘したらどうなる?」
「『やだ、倫也、お母さんみたい』って言うわよ。」
「だから、言わなかったんだよ・・・」
「あんた、さっきいったじゃない」
「・・・」
「あらやだ、倫也、お母さんみたい。ぷぷぷっ」
英梨々がわざと俺を挑発している。
それで満面の笑顔になって八重歯が見えた。あっ、こいつ・・・!
「青のり八重歯についてるよ!!」
さっきまで自信満々だった英梨々は、顔を急に赤らめて、何も言わずに部屋を出て言った。飲物ぐらいもってきてやればよかったかな。
つーかさ。恥じらうとこ違うだろ・・・
横を走り去った時の生足のエロさと、お尻の膨らみが俺の目には焼き付いていた。なんだから英梨々の日向の匂いが濃い気がした。
(了)
これは我慢するの無理だろ・・・