【全40話】英梨々とラブラブ過ごすエッチな夏休み 作:きりぼー
苦手な方はスルー推奨。
8月27日(土)夏休み35日目
快晴。残暑厳しいが空気は乾燥していて過ごしやすかった。英梨々の容体が落ち着いたらしいので、午後に少しだけお見舞いにいくことにする。
手土産に昨日の画像から何枚かをセレクトしてプリントアウトし、ミニアルバムを作った。
英梨々が入院していたのは、展望レストランの下の階。特別病棟だった。特別病棟が何かよくわからなかったが、どうやら政治家や芸能人が入院するところで、フロアがすべて個室だった。世の中には贅沢なものがあるもので特権階級の存在を隠そうともしない。実際には金さえ払えば泊まれるらしいのと、英梨々のような感染症だと隔離する必要があり、大部屋が無理というのもある。
「よぉ!」
俺が元気よく挨拶すると、英梨々は右手をあげて手を小さく振った。弱々しいことこの上ない。
ベッドを傾けて背もたれを作り座っていた。ピンクのパジャマを着ていて、左手に点滴をしていた。髪はもちろんストレートのままだ。
「どうだ調子は?」
「ぼちぼち」
その声は枯れていた。喉がずいぶんとやられたらしい。
「なら、無理してしゃべらない方がいいな。これ、お土産」
「ありがど」
ミニアルバムを渡した。英梨々がそれを受け取り横の棚に置いた。
午後の3時を過ぎているので、サイドテーブルにはおやつが置かれている。市販の瓶詰ヨーグルトだ。
「ずいぶんと、いい景色だな」
「う゛ん」
なにしろ地上15階。ちょっとしたホテルなんかよりも高い。個室利用が一泊いくら聞く気も起きない。
「富士山見えるじゃん!」
「う゛ん」
「相槌いらないぞ」
「う゛ん」
「なんか、お見舞いしちゃいけないらしくてさ、頼みこんで届けてきただけだからさ、すぐに帰らないといけないんだ。ごめんな」
「いやだ」
「そういわれてもな。とにかく早く治してさ、月曜には退院できそうって言ってたぞ」
「う゛ん」
「じゃあ、そういわけで、お大事にな」
「う゛ん」
何しろ、部屋の入口にナースが待機している。俺はいそいそと部屋をあとにした。昨日よりはだいぶ顔色がよくなっている。峠を越したのだろう。もう少し一緒にいて、ヨーグルトぐらいスプーンで食べさせて甘えさせてやりたがったが仕方ない。
ナースにお礼をいって、俺はエレベーターを降りた。
※ ※ ※
エレベーターで降りている途中、英梨々からLINEがはいった。
> 2階で降りて、渡り廊下渡って
< なんだ?
言われた通り2階で降りた。コンビニがあった。病院内なので扱っているものが違う。飲食物の他には、医療品や着替えなども多い。
< 降りたぞ。コンビニがある
> 渡り廊下を渡って、本館に向かって
俺は渡り廊下を渡った。コンビニのあたりには看護師がいたが、渡り廊下には人がいなかった。本館の1~4階は外来の診察室になっていて、吹き抜けの場所もあり広い。
土曜日なので、すでに患者もスタッフもほとんどいなかった。1階の会計だけ電気がついていて、あとは少し薄暗い。
< 本館ついたぞ
> 3階の小児科外来に向かって
< なんだよそれ
返信がないので、俺は従うことにする。英梨々の暇つぶしなのだろう。エスカレータが止まっていた。止まったエスカレータを上るマナー違反をするわけにもいかず、本館のエレベーターを待った。
本館のエレベーアーはガラス張りだった。一つ上の三階に上がった。
案内板にしたがって、小児外来に向かう。誰もいない受付があった。ピンクに黒文字で小児外来と書いてある。
< 受付ついたぞ
> 奥の診察行くところに、トイレあるかしら?
受付の横の通路にトイレがあった。男女ともにある。ついでだから、俺はそこでおしっこをする。
< あるぞ。ついでだからすませた。
> そのまま進むとT字路で、左右に診察室があると思うの
< ああ、そうなってるな
> そこ、小児外来だから、棚のところにいっぱいマンガあるでしょ?
なんだ、マンガの催促かよ。俺は棚を探した。診察室は多く、右側は4部屋あった。ただ、照明が薄暗いので気分がいいものではない。窓からの調光がなければ怖いと思う。
< マンガ本あったぞ
> なにか面白そうなのあるかしら
< 特にないな。子供用の絵本が多い
> そう ありがとう
< もういいのか?退屈なら何かラノベ買っていこうか?
> 平気よ スマホで十分
< なんなんだよ
> あとで教えるから、家についたら連絡頂戴
< わかった
俺はそこを後にした。本館のエレベーターで1階まで降りたが、出入り口は開かなかった。しょうがないのでまた2階に戻って、渡り廊下を進み、入院棟から外に出た。とんだ手間だった。
※ ※ ※
帰りにコンビニ弁当と栄養ドリンクを買う。実は俺も喉が少し痛くて、咳がさっきから時々出る。もしかしたら風邪がうつったか、もしくは2人とも風邪になっていて、俺の方が症状の出るのが遅かっただけかもしれない。あれだけチュッチュしてれば、そりゃ風邪の菌だかウイルスだかも、共有するだろうさ・・・
自宅についたら、英梨々に言われた通りにLINEで連絡をいれた。
< 自宅についたぞ なんだったのさっきの
> 夏と言えば?
< なんだ?スイカ?
> はぁ?あん(ry
< 略すなよ
> 夏と言えば、怪談よ、怪談
< ああ、怖い話だろ?でも、英梨々は苦手だろ
> そうよ。苦手よ。だから、こんな日が沈む前にやってるんじゃないの
< それで?
> 実はね、ロビーで知り合った人に聞いちゃったのよ
< なにを?
> 怪談
< よほど暇だっただな
> だって、怪談されるなんて思わなかったのよ。ちょっとした噂話というか、ここでの実話らしいのだけど
< 実話ねぇ・・・怪談で作り話ですっていうのもな
> それでね、もう、倫也に話すしかないのよ
< 面白かった?
> 面白くないわよ!
< まぁいいや、聞くよ
暇そうな英梨々の相手をしてやる。本当なら会って話したかったのだろう。俺はペットボトルのスポーツドリンクを飲む。
> ここで入院していた患者さんがね、夜に暇だったから日中に倫也の行った小児科外来のところに行ったんですって。食事が終わった8時過ぎ頃
< まだまだ宵の口だな
> そうよね。普通の都会生活なら8時なんて一番活動しているわよね。でも、ここは病院なのよ。食事終わったら予約したお風呂に順番に入って、9時には消灯なの
< なるほど、夜はちゃんと夜なんだな?
> そうよ 夜勤さんと日勤さんが交替するのね。夜は〇〇が担当しますって挨拶にも来るわ
< ほー 夜勤さんカワイイ?」
> バカ
< いや、あんまり怖い話もさ・・・
> それでね、その場でマンガ本を読んでいたらしいのよ
< けっこう薄暗かったけど、確かにマンガぐらいなら読めそうだったな
> 音がしたんですって
< なんの?
> わからないけど、機械音。通路の反対側の方から
< ほう
> で、ポーン。ポーン。って。定期的になる信号みたいな合図だったらしいのよね
< ふーん?心電図とかかな?
> さぁ?それで、そうなると突然、怖くなったんですって
< それはわかるよ。さっきも日中だったのに怖かったし
> そうよね。だいたい夜の病院を1人で歩ける?どんな神経なのよ
< 長期入院だと慣れるらしいぞ
> うん。それでね、怖くなったその人はマンガ本を数冊選んで、戻ろうとしたんですって
< マンガ本は持つんだ
> そりゃあ、退屈だったからでしょうけど。それでね、角曲がってトイレの前に
< ああ、さっきのトイレな
> 車イスがあったんですって
< ん?誰の?
> わからないわよ
< 状況がよくわかんないな
> その人もわからなかったけれど、『やばい』って思ったらしい
< 気のせいだろ
> そうよ。何の根拠もないの。でも、もう診察時間の終わった小児外来に、なんで車イスがあったのかしらね
< 誰かが利用したんだろ。もしくは置きっぱなしだったか
> そうやって、みんな何かしら合理的な理由を見つけるのね。どんなに不自然でも。
< 病院だし、車イスはあちこちにあるだろ
> いいのよ。そこに怪奇現象なんてないの。この怪談はね、何一つ怪奇現象なんてないのよ
< よし、進めてくれ
俺はスポーツドリンクをゴクリと飲んだ。家の中に一人だ。咳払いをひとつする。
> 来た時には車イスなんてなかったのに、おかしいなと思いながら、エレベーターのところに行き、上の階へいくボタンを押したんですって
< 入院していた部屋は本館だったんだな?
> そうね。待っている時に、『後ろを振り向いちゃダメだ』って思ったんですって
< 根拠ねぇな
> でしょ?でも、わかるのよのね。後ろを振り向くって、なかなかないじゃない?『呼ばれでもしない限り』
< まぁそうだな。呼ばれている気がしたのかな
> そう。だから、絶対に振り向かなかったの。そういうのって怪談にありがちでしょ。ギリシア神話でもそんな話あるわよね
< 冥界から戻ってくる話な
> エレベーターが到着して、中に乗ったんですって。ここのエレベーターってガラス張りで外が見えるじゃない?
< ああ、新しかったな
> 夜だからガラスに映ったのよ
< えっ?幽霊?
> 自分が
< それは、当たり前だろ
> そうよ。だからね。自分しか映らなかったから、ほっとして、振り返ってボタンを押したのよ
< 普通のことだな
> あったの
< 何が
> 車いす
< どこに
> すぐ後ろによ
< いやいや、それは作り話だろ 誰が押したんだよ
> 合理的に考えるなら、誰かが押して、そこまで持ってきた?あるいは元々そこにあった?変よね
< だから、作り話なんだろ
> そうよねぇ。そう思うわよねぇ
< まだ続きあるのかよ
> そうよ。閉めるボタンを連打して、8階の自分のフロアまで上がったのね。エレベーターの前ってナースセンターよね
< さぁ?本館の作りはわからないけど。だいたいがそういう作りじゃないか?
> うん。それでね、その患者さんは怖かったからナースセンターに入って、その話をしたんですって
< 車イスがついてきた話?
> そうよ。そしたらね、若いナースが少し悲鳴をあげて、年配のナースさんが、その人に言った言葉が『看護師の中にもそういう話を信じている人と、いない人がいて、怖がる人もいるのでやめてください』ってはっきり怒られたらしいのよ
< だいたい病棟から抜け出すことも怒られるべきだよな
> そう。それも怒られたらしいけど、やっぱり病院内ではよくない行動だって、オカルト的にも危険だって言われたらしいわ
< まじか。でも、そんなの迷信だろ
> そしたらね、エレベーダーがチンと鳴ったのよ
< ?
> ナースセンターの前で話していたらしいのだけど、エレベーターが開いたの
< ほう
> 誰も乗ってなかったの。でもね、あったのよ・・・
< 車イスか!
> うん
< まじか。やばくね?
> 合理的に考えてみてよ
< ん。そうだな。誰かが車イスを乗せて、8階のボタンを押し、乗らずに出た。
> そうよね。実際に可能なのよね。手の込んだ悪戯をするならね・・・
< でも、そんなやついないだろ?夜の病院だもんな
> うん。だからね。信じるか、信じないかなのよ
< やっぱ、俺は怖いな
> みんな怖がっていたらしいわ。年配のナースはその車イスをエレベーターから降ろしてチェックしたの
< チェック?何を?
> どこに所属の車イスなのかよ。病院のものだと、どこの所属か書いてあるのね
< なるほど、で、どこのだった?
俺はまたスポーツドリンクを飲み、咳をした。どうも調子が悪い。今日は早く寝よう
> 『小児病棟 入院棟12階03』って書いてあったの。入院棟だからあたしがいる方ね
< じゃあ、やっぱり紛れこんだのか
> さぁ?ナースで涙ぐむ人もいたらしいのと、何よりもすごいのは、『塩』が用意されていたことなの
< へぇ・・・
> 車イスと、エレベーターに塩をまいて、小さな盛塩をエレベーターの扉前にしたらしいわ
< うへ。じゃ、やっぱりナースさんでも信じている人がいるんだな
> そういうことって時々起こるらしいわよ
< 怪奇現象じゃん
> でも、一応合理的な再現も可能でしょ?
< そうだけどさ
> でね
< まだ続きあるのかよ!
あんまり食欲はなかったが、コンビニで買ってきた生姜焼き弁当を開けて食べ始める。ラインの小さな画面を眺め、英梨々の話の続きをまった。
> ナースが電話して、小児病棟の人に取りに来てもらったの。そしたら男性ヘルパーさんがすぐに来てくれて、その車イスを見たんですって
< ほう。男性がいると安心だな
> そうしたらね、『ああ、この子ですか』って
< どういうこと?
> マンガ好きで亡くなったばかりなんですって
< ヤメテクレ
> 怖かった?
< そうだな。あまり気分のいい話じゃねーな
> この話を聞いたら、誰かに話すまで憑りつかれるらしいわよ
< もう、そういうのはやめておけよ
> ごめん。倫也。あとはお願い。
< あのなー
> 無事だったら、いいことして、あ、げ、る(ハート)」
< 期待しとくよ!
そこで、いったん返信が止まった。
暗くなってきたので窓ガラスに部屋が映り込むから、ベッドにあがってカーテンを閉めようした。ふと下を見ると小さな女の子がこちらを見上げている。え?だれ?何?俺は見なかったことにして、カーテンを閉めた。
「やばいやばいやばい。合理的に考えろ・・・ありえない」
そうだ。俺はスマホを取り出し、電話帳を調べる。加藤は冷静に説教されそうだ。だいたい電話にでてくれるか怪しい。美智留は怖い話が大の苦手だ。出海ちゃん・・・は先輩の威厳が損なわれる。こうなったら、背に腹は変えられない。俺は伊織に電話をした。
「やぁ、倫也君なんだい?」
「伊織、頼む。ちょっと聞いて欲しい話があるんだが・・・」
俺はさっきの話を伊織にした。すまん、これで友達失っても伊織なら問題ない。
「ふーん?それで、倫也君はこの話が怖いのかい?」
「怖いだろ・・・だいたい、家の前に女の子がいたんだぞ?」
「それは偶然だろうね。まぁいいさ。僕には何が怖いのかわからないし」
「お前、怪談平気なんだな・・・」
「倫也君が話下手というのもあるかもよ?それに、マンガ好きの少女の幽霊なんて僕らにとっては最高じゃないか?憑りつかれて何が困るんだい?」
「お前に話して良かったよ!」
まったく、どういう感性しているだか。やはり信じない人にはぜんぜん怖くないらしい。
「以上で用事はおしまいかい?」
「この話を聞いた人に憑りつくらしいぞ。でな、誰かに話すと」
「ふーん。要するに倫也君は僕に友達じゃなくなってもいいということだね?」
「いや・・・お前ならなんとかしてくれると思って」
「いいさ。その子をあずからせてもらうさ」
「すまん」
「僕に万が一の時があったら、倫也君もちろん責任はとってくれるのだろうね?」
「何の責任だよ」
「出海の事は任せたよ」
「・・・」
電話が切れた。怖かったがカーテンを開けて外を確認する。もちろん女の子はもういなかった。近所の子か何かだったのだろう。
俺は1人でモソモソと弁当を食べて、英梨々に報告をした。「適任ね」と返信があり、なんだか英梨々が笑っている気がした。
※ ※ ※
夜の9時過ぎ、俺の体調はだいぶ悪くなっていた。咳がひどい。
インターホンが鳴った。こんな夜更けに誰かと思ったら、美智留が立っている。しかも枕持参。
何があったか聞くまでもない気がしたが、一応聞いてやる。たぶん原因が俺にもある。
「どうしたこんな夜更けに」
「トモ。きいてよ。波島兄ちゃんがさー」
「怖い話でもしてきたか?」
「そう!なんでわかったの」
「まぁ、あがれよ。ゴホッ」
「トモ、咳でてるけど、風邪?」
「ああ、風邪っぽい」
美智留は手洗いを済ませてマスクをした。俺はリビングで美智留の話を聞いた。内容は改変されていて、最後が男の子になっていた。
どうやら、伊織は約束を守って、あの女の子の霊と暮らすようだ。もちろん、信じてなどいないのだろう。
「美智留。安心しろ」
「トモ、この話知ってるの?」
「ああ、俺の作り話だからな」
「もう!ほんと焦ったよ。あたしは嫌いだからさー、こういう怪談?みたいの」
「知ってるさ。悪かったな、とばっちりかけて。ゴホッ」
「トモ、大丈夫?」
「いや、今日は早く寝るよ。お前も泊まってくか?」
「そのつもりだけどさー」
「風邪をうつしても悪いし、帰った方がいいかもな」
「看病してあげようか?明日はいないけど」
「明日、日曜日か。ライブか?」
「うん。小さなステージだけどね」
「順調でなによりだよ、じゃあな」
俺は部屋に戻って布団を敷いた。美智留がベッドを使うだろう。
美智留が来た理由が面白かったので、英梨々にLINEで報告をしておいた。
着信がある。英梨々からだ。
「もしもし、倫也?」
「どうした?お前、病院だろ」
「個室だから誰にも迷惑かけないわよ」
「そっか。お前、もしかして病院に1人なのか、ゴホッ」
「大丈夫?」
「ああ、どうだろう。だいぶ体調崩したみたいだ。ゴホン」
「もう、早く寝なさいよね」
「そうする。何か ゴホッ 用事があったんだろ?」
「別にたいした用事じゃないわよ。氷堂美智留は泊まるのね?」
「ああ」
「その様子なら心配なさそうね」
「英梨々。ゴホッゴホッ・・・お前はだいぶ喉も治ってきたようだな」
「おかげさまで。明日には退院したいけど、念のためもう一泊していくわよ」
「そっか、お大事に」
「それ、あたしのセリフじゃないかしら?お大事に」
「おやすみ」
「おやすみ」
電話を切った。英梨々の声が聴こえてよかったと思う。だいぶ声も軽くなっていた。
布団に横になると、シャワーを浴び終わった美智留が部屋に入ってきた。長いロングTシャツ姿一枚だった。ムッチリした生足がエロい。胸はほんとに立派に膨らんでいて重そうだ。これに比べたらやっぱり英梨々はペタンコと言われてもしかたないかもしれない。
「トモ~。大丈夫?ほら、体温計」
「さっき栄養ドリンク飲んだから平気だろ」
「あと、冷えピタね」
体温計を脇にはさみ、美智留はおでこに冷えピタを貼ってくれた。ずいぶんとひんやりして気持ちがいい。
ピピッとなって、体温計を取り出すと、37,8度ある。熱も出てきたようだ。
「あー、これは完全に風邪だねー」
「だな。じゃお休み。遊んでやれなくてごめん」
「あと、トモがベッドで寝たほうがいいと思う」
「いや、いいよ。おやすみ」
「おやすみ」
部屋の明かりが消えた。下からは見えないが、美智留はベッドの上で足でも組んでいるに違いない。下着丸見えでも俺に対しては気にしない。まったく困ったやつだ。
本当なら今日は、英梨々と民宿で泊まっていたらしい。和室に布団。隣で浴衣を着た英梨々が寝ていたはずだ。寝ている時はノーブラ派だっけ・・・いやいや、こんなこと考えている場合じゃない。
結局、なにもいやらしい事はこの週末はできなかったな。
俺はうとうとしながら、英梨々のことをぼんやりと考えていた。
美智留はイヤホンで音楽を聴いているらしく、音が少し漏れていた。
(了)
なんやかんやと、ミッチーは倫也に少し過保護なのです。