だから、他の部屋はボロボロになっても仕方ないって割り切れる!手加減なんてする余裕は無いし、私が脱出した後に情報収集って名目で荒らされる可能性さえあるんだから!!
「もうっ!さすがに狭すぎます、前に出れない!」
「今度は二階!?やりたい放題してくれるわね!」
でも私一人じゃやっぱりどうにもならないわ…乱射と実体がないことを活かした天井すり抜けの繰り返しで時間を稼いでるけど、守矢の風祝も玉兎も異変の解決に出向くことのある実力者だけあって、これだけ有利な状況なのにほとんど被弾してないわ。それに玉兎の方は私の大まかな位置を簡単に見つけられるみたいなのよね…!一階と二階を天井すり抜けで移動してるのを見抜かれてるから、二階の脆くなってる床何ヶ所かは下に降りれるように穴を開けられちゃったわ。博麗の巫女もそうだけど、守矢の風祝も負けず劣らず乱暴ね、もう!
「……ぬぐぐ、罠に嵌った私が言うのもなんですが、アンタらも思いっきり踊らされてますねえ!
末っ子がさっさと逃げてますよ!何をやってるんですか!?」
「「あっ!?」」
うっ、爆音オルゴールのトラップに引っ掛かって動きが鈍ってたパパラッチ天狗が回復したと思ったら、リリカが脱出したことに気付いてた!
こうなると出来るだけこの天狗は閉じ込めておかないといけない、速度差で追い付かれちゃうから。分断した外の二人はリリカを追わずに正面入り口のバリケードを壊すことを優先してるから、それを上手く利用して…!
バアンッ!!
「ああもう、手間かけさせてくれて!」
あれは…山童かしら?入口のバリケードとして使った大きな家具を一度弱めてわざと崩させる。そして中に入ったのを確認してもう一度塞ぐ!!
「なっ!?」
「ちぃっ!!屋内の騒霊を舐め過ぎてましたか!」
そのまま低速弾をバラ撒けるだけバラ撒いて私も脱出!リリカが脱出した屋根裏部屋の天窓以外の窓には、一度家の中に引き込むことを決めた時点で塞いであるから、何処から出るにしても時間はかかる!
「あっ!?外に逃げられた!?」
私の位置を探知できてた玉兎がそれに気づいたわ…!でもここに4人閉じ込めただけでも上出来、後は外に出れないよう塞いだモノを固定するのだけに集中して逃げ―――ッ!!?
「キャッ!!」
「やってくれるねえ!外に残ったのが私一人じゃ、前衛に出ざるを得ないじゃないか!」
ゆ、油断してた…!河童ご自慢の技術、光学迷彩。それを使って隠れてた河童の弾幕に思いっきり突っ込んじゃって何発も被弾、それで姿を隠すための完全霊体化が解けちゃったわ…!
豹のジオラマで魔力反応が5つだったのは確認できてたのに、
「悪いけど依頼を受けちゃってるからね!大人しく捕まってもらっ!?」
「メルラン!逃げるのを優先して!!」
「―――ッ!」
か、辛うじて最低限の時間稼ぎは出来たみたいね!河童が背後から乱射された弾幕を避けることで私との距離が開いたわ!
家の中のモノで出口を塞ぐだけなら距離を取っても出来る!なら、前衛は任せちゃってもいいわよね~!
「姉さんも無理しないでね!!」
「援護が来るまでなら私一人で押さえられるわ!リリカも回収してもらうから、上手く潜伏して!!」
姉さんが戦う気になってるなら任せられる!!私たち姉妹のリーダーとして活動してただけあって、姉さんの状況判断能力は悪くない。たぶん、カナあたりが助けに来るまでは粘れる確信があるってこと…!
それなら、リリカとの予定通り私は人里で潜伏すればいいわ!リリカが先に脱出したけど、姉さんとリリカを囮に私が逃げることになっちゃうわね。
でも、もう選択の余地なんて無いから。甘えさせてもらっちゃうわ!
「妹と私たちの家に何してくれてるのよ」
「なーんで本命が私の方に来ちゃうかなあ?さっさと脱出して来いよあいつら!」
レミリアが【私だけ】は条件付きで見逃してくれたおかげで、なんとか間に合ったようね。天狗と守矢神社が相手なら、まず間違いなく狙いは私…姫海棠はたてに念写された写真が情報源でしょう。だから私を無視してメルランとリリカを追うことはないはず。
それなら、私が囮として時間を稼げばなんとかなるわ…!カナと上海、それに何故かはわからないけど藤原妹紅もここに向かってきてくれてる。加えてメルランとリリカが逆に4人も
「乗り気じゃないなら帰ってもらえるかしら?自宅まで押しかけてくるのはもうファンじゃない。ただのストーカーよ」
「私は音楽に興味ないよ。もっとも、たまに演奏してるエレキギターやらエレキベースやらの電気楽器ってやつ?あれは分解してみたいと思うけど」
「私が電気楽器も弾くことを知ってる時点で、音楽に興味は無くても私たちのライブに興味はあるみたいね」
「そりゃ、あんたらほど儲けてる妖怪は幻想郷でも一握りだろ?研究費用はいくらでも欲しいからね、便乗して商売できないか調べるぐらいはしてるのさ」
…これなら、無理に戦闘せずとも時間稼ぎは出来るかしら?どうやらこの河童はあくまで協力者ってスタンスみたいで、豹の処遇に興味は無さそうに見えるわ。
それなら、適当に無駄話で気を引いてしまえば…!
「ま、こうなった以上強硬手段を取らせてもらうよ?
「…ッ!?」
ドオンッ!!
河童が何かのスイッチを押し込むと、大きな爆発音が家から聞こえたわ…!
メルランとリリカなら大切な楽器はレイラの部屋に隠してくれただろうけど、家ごと崩れたら意味が無い!
「たかねもたまには役に立つもんだ。サバイバルゲーム用のオモチャみたいな爆弾でも、私がちょっと手を加えればこの通りってね!」
「…住宅損壊は見逃しても、実物が残ってる名器が破損してたら請求させてもらうわよ…!」
「知らないね!価値のわからない楽器なんかに払う金は無い!!」
「にとり、よくやりました!!私は末っ子を追いますので!!」
まさか外壁を爆弾で爆破するなんて…!私たちが有力な妖怪の傘下にいないからって、なんて事してくれるのよ!
「ゴッホ…、おいにとり!?作動させるなら合図送れっつったろ!?」
「ここからじゃ聞こえないだろ!外に出してやっただけありがたいと思え!」
「後でどうなっても知らないわもう!永遠亭に修理代とか請求しないでよ!?」
「でも、見事に釣られてくれましたね!
ルナサさん、このまま付いてきてもらえれば悪いようにはしません!私たちに付いてきてもらえますね?」
閉じ込めてた4人が脱出した上、迷惑な記者天狗は迷わずリリカの追撃に向かってしまった…!
雷鼓の家まで逃げ切れるかは怪しい距離しか取れてない。これじゃ下手すると豹が助けに出てきてしまう!なんとかして、リリカの援護にも向かわないと!
「…私はとっくに覚悟を決めてるのよ!
連れて行きたいのなら力尽くでやってみなさい!!」
♪*$%&$#*+#”%#*♪
「「「「―――っ!!?」」」」
メルランにさえ「騒音レベルはかなり高い」とまで言われる私の鬱の音。それを音楽ではなくただの雑音として残った4人の背後で炸裂させる!!外壁を壊されたことで綺麗な音を出せなくなったヴァイオリンとギターの幽霊を、気付かれないようここまで騒霊の力で持ってこれたから使える不意打ち!!本当にカナには教えられてるわね!!
案の定、相手全員が慣れていないでしょう『幽霊の音波攻撃』で怯む。そこに移動制限目的の高速弾・低速弾の混合弾幕を展開して、私も迷わず一直線に私たちの家を離れる!!
一番近くまで来てくれてる、カナと上海に合流するために!!
「―――というわけだ。他に何か聞きたいことはあるか?」
「…全部を信じることはできないけど、ある程度納得はしたわ。
それでも、上海と一緒にいようとしないのは気にいらないけどね」
メディスンの質問はやはりというか…全て上海に関してのことだった。上海のボディに隠れ家の精神が乗り移ったことの負担、アリスと俺の魔力が同時に宿ることによる危険性、巨大化術式の安全性などだ。
ハッキリ言ってしまえば、魔術回路や術式を説明してもメディスンには理解できない。魔法使いではないどころか、妖怪として活動できるようになってからの年月が短すぎるので知識が足りていないのだ。だから『今の上海がどういう行動をするとボディに負担がかかるのか』と『上海ならそのリスクは避ける』という2点に集中して説明することで、無茶をしなければ問題無いということを理解させることにした。
不満はあっても、なんとか納得はしてくれたようだな。そして、ここからが俺の正念場…!
リリカは真っ先に脱出してくれたが、射命丸が速度を活かして単独追撃に動いている。逆にルナサと入れ替わりの形になったメルランは上手く離脱できたようで、どうやら人里に潜伏しようとしているらしい。
そして夢幻館から帰って来たルナサはメルランを逃がす囮になったようで、射命丸を除いた4人を引き連れてカナと上海に合流しようとしているのだ。出来れば、接敵する前にメディスンを送りたいところだが…!
「俺の追手を追い払うことが出来れば、上海と共に過ごしてやれるんだがな…
俺と一緒に居る方が上海を危険に晒しちまうんだ。毒を操るメディスンなら、自分のせいで友に迷惑をかけることのキツさは分かるんじゃないか?」
「…少しは、ね。
その追手を追い払うには、どれぐらいかかるのよ?」
「追手次第としか言えないから、わからないとしか答えられないんだよ。
…ただ、メディスンが力を貸してくれるなら、近いうちにもう一度会うことは出来る」
「えっ…!?
何をすればいいのか教えなさい!」
よし、予想してた以上にメディスンは上海の力になろうとしているな!これなら、口八丁で味方として動かせる!
「メディスンが過ごしてる鈴蘭畑の先に、小さな小屋があるのは知ってるか?」
「知ってるけど、それが何?」
「俺はこの雪を凌ぐのにあの小屋を使おうとしてここまで来た。ある意味メディスンから俺に話しかけてきてくれて助かったよ…あの小屋、雪が止むまで使っていいか?」
「勝手に使えばいいわ。私の家じゃないし」
「ありがとな。
これを上海に伝えてくれればいい。そうすれば『メディスンのところに上海が遊びに来た』ってことにして、あの小屋まで二人で来てくれればいいだけだ」
「それだけでいいの!?わかった、上海に会ってくる!」
「いや、上海のところまで今から俺が送ってやる」
「え?どうやってよ」
ユキと夢子に反応を拾われるのは確定だが、ルナサ達を見捨てるわけにはいかねえ!
これで俺の方に向かって来ちまったら、かなりハイリスクだが妹紅の家に隠れさせてもらえばいい。流石にユキと夢子が永遠亭付近に近付くことは無い、俺からユキにその存在を伝えておいたのだから…!
上海に与えた魔力翼を、空間魔法の出口にする!!幻想郷内のそれほど遠くない距離なら、出口に使っても魔力は十分残るからな!
「えっ!?豹さん!?」
「っ、上海の声!
いいわ、大人しく待ってなさいよ!!」
「ああ、上海の力になってやってくれ!」
上海がすぐ反応し声を掛けてくれたことで、メディスンは俺を信じ飛び込んでくれた!
「頼んだぜ、メディスン…!」
俺が戦場に立たずに済むよう、皆の助けになってやってくれ!