寂しがりやな魔界人の幻想郷逃亡録   作:影就

191 / 289
誤字報告により190話の守矢を洩矢に修正してます。久しぶりにやらかしましたね…
迅速な報告いつも助かっております、ありがとうございます。


第191話 反応察知/迎撃準備

「魔界と取引、ね。

神綺様が明日にはこっちに来ると思うんだけど、待てないの?」

「そちらのお二方が察した通りですわ。迂闊に動けない魔界人の替わりに、私が動いて差し上げます。

今この時、あの殿方を支えるべく動いている手駒が減ってしまうのは避けたいのではなくて?」

「何を企んでいるのですか?夢殿大祀廟で豹さんを襲った貴方が、今更協力など」

「そこが勘違いなのです。まあ、私も一つ勘違いしていたのですが…

私は鬼からあの方を逃がそうとしたのです。ですが、あの方は一度交戦すれば鬼と手を組めると仰いまして。仙界の豊聡耳様より地底の鬼との協力を選んでしまっただけ。むしろ私はあの方に協力していただきたいのですわ」

「成程のう。協力を断られたから力尽くで拉致しようとしたが、数的不利に陥って引き下がったというわけじゃな」

「ええ、少々厄介な地底の妖怪も絡んでいましたので自衛のためにも戦闘になってしまっただけ。あの方に危害を加える気はありませんでしたの」

「それを信じられる理由がありません。第一、協力を断られたことで実力行使に出た時点で貴方は危険視されているでしょう。今更助力を申し出ても、豹さんが受け入れない可能性もあります」

 

ユキの返しに全く悪びれず交戦したことを告げてくる。これが霍青娥…なるほどね、邪仙と呼ばれるわけだわ。

私と夢子が返答する前に、命蓮寺の面々が非友好的に対応してくれている。そういえば、ここ命蓮寺と仙界の一派は宗教的に相容れないのだったわね。

 

「ええ、だからこそ魔界の皆様とお話ししに来たのですから。

ですが、信用されないのも理解できますので…先に私から夢殿大祀廟を脱出した後の情報を提供しますわ。摩多羅隠岐奈の動向は、皆様も知りたいでしょう?」

「「「ッ!?」」」

 

私とユキどころか夢子まで大きな反応を返してしまったわ。まさか、私達にとってもルナサ達にとっても最大警戒対象である相手…幻想郷の管理者の一角・摩多羅隠岐奈。その情報がこんなところで手に入るなんて…!

 

私達だけでなく命蓮寺も加えれば6人―――これだけの戦力を相手に暴れる気は無いでしょう。つまりは協力を断る前にこの情報は貰っておくべき。今どう動いているのか、まったくわからないのだから…!

 

「聖、この話は聞いておきたいわ。悪いけれど敵意を抑えてもらえるかしら?」

「私からもお願いするわ。摩多羅隠岐奈の情報は逃すわけにはいかない」

「…虚報という可能性は?」

「だとしても聞いておきたい。簡単に言っちゃうと、そいつはあの巫女と悪霊たちを兄さんとぶつけることで八雲紫と兄さんの関係を断つつもりみたいなの。

その方法はわたしたちが一番避けたい状況なのよ。魔界人である兄さんを、魔界で暴れたあいつらが()()()()()っていう事実は作りたくないから」

「っ!?

そういうこと、ですか…!わかりました。星も、マミゾウさんも矛を収めてください。彼女が話をしたいのは私たちではなく、夢子さんたちです」

「…聖がそう言うなら」

「ふむ、あの巫女は何処であろうとまず攻撃は変わらぬということじゃったか」

 

星は理解しきれていないようだけど、マミゾウは魔界の事情を察してくれたようね。非協力的でもこういう状況で引いてもらえるのはありがたいわ…!

そう思った矢先に、星とマミゾウ以外の5人がそれに気付いたわ。

 

「「「えっ…?」」」

「あら?」

「これは…?」

 

空間魔法が行使され、プリズムリバー邸に向かっていたカナと上海に一つ反応が合流したわ。というか、この反応は…!

 

「上海のところにメディを送った…?」

「メディ、ですか?どなたでしょう」

 

流石は母さんが弟子と認めただけはあるわね。聖白蓮も空間魔法の行使をしっかりキャッチ出来ていたわ。

 

「毒を操る妖怪化した人形よ。上海が一昨日接触した時に協力を頼んでいたのだけれど…おそらく豹から接触して、ルナサ達の助けになるよう上海のところに空間魔法で送ったんだと思うわ」

「…本当に変わらないな、兄さんは。わたしたちに反応を拾われることより、ルナサたちを援護することを優先したのね…」

「でも、先輩がこんな分かりやすい反応を残すということは…脱出経路も考えた上でしょうね。

アリス、上海が出口だとして入口はあの方角…私とユキが急行することに問題はある?」

「無名の丘の鈴蘭畑の辺りかしら。なんであんなところに…?

理由は分からないけどここから最短距離で向かうのは避けた方がいいと思うわ。永遠亭のある迷いの竹林上空を横切ることになる」

「それは迂回するべきだね…でもそのタイムロスで兄さんなら潜伏できる。

今は摩多羅隠岐奈の情報を貰うことを優先しよ。その方が兄さんの助けになるから」

「…ユキがそう言うならそれが正解でしょうね。アリス、先輩の魔力反応は?」

「駄目ね。入り口付近を集中して探査してるけど見つからないわ…

本当に恐ろしい高位魔導士なのね、豹は」

 

それこそ最短距離を最高速で向かっても逃げられたかもしれないわ。あれだけの魔力反応が残る空間魔法を、私の探知・索敵魔法に引っ掛からないレベルの魔力封印状態で行使できるなんて…今の私では再現不可能。

 

やはり魔法使いとしては、豹とゆっくり時間を取って話したくなるわね。学べることが多くありそうだわ。

 

「どうやらあの方が先に手を打ってくださったようですね。本当に素晴らしい…

とはいえ、あまり時間に余裕は無いようですし。早速状況をお伝えしますわ」

「ええ、頼むわ。

先にそれを話してから、私達魔界への要求を聞きましょう」

 

そして霍青娥も【豹が戦力を送った】ということを理解していたから。私たちに向けて話し始める。

…これは、夢子に任せるべきね。魔界のことを私の独断で決めるわけにはいかないし、そんな責任はまだ負いたくないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?メディ!?」

「こんばんわ、上海。ヒョウさんを見つけたわ。一緒に会いに行きましょ」

「っ!そういうことですか…!

メディ、豹さんのところに向かう前に手伝ってください!」

「わたしからもお願い!あいつらを追い返したいの!」

 

豹さんが私のために創造してくれた黒翼が、空間魔法の出口として利用されて。そこからメディが飛び出してきました。おそらく豹さんが、ルナサさんたちのお家が狙われてしまったのに気付き…メディを送り出してくれたということです。

 

「え?どういうことよ」

「豹さんを私たち以外の方々まで探し始めてしまったんです!それで、メルランさんとリリカさんが襲われてしまって…!」

「ルナサも戻って来てくれたんだけど、やっぱり数が多すぎてこっちに逃げて来てるのよ!

メディちゃんも手伝ってくれれば、人数は4対4で互角!少し粘れば妹紅さんも来てくれてるから、逆に押し返せるようになるわ!」

「ですのでメディ、力を貸してください!

 豹さんとお話ししたことは、後でちゃんと説明しますので!!」

 

私のために豹さんを見つけ出してくれたメディを、戦闘に巻き込んでしまうのは心苦しいですが…私たちには余裕がありません!私の身勝手なお願いに巻き込んでしまうことになってしまいますが。

 

「わかった、話は後で聞かせて上海。

ルナサって騒霊だったよね?今こっちに向かってる。急いで助けましょ」

「――!メディ、ありがとう!」

 

何の迷いもなく助けてくれました…!本当に、感謝してもしきれません!

ですが、それをあらためて伝えるのは後です。今は急いでルナサさんと合流を…と思ったところで。

 

「カナ!上海!助かったわ!

…メディスンも来てくれたの。ありがとう」

「お礼は後で上海とヒョウさんを会わせるのを手伝ってもらえればいいわ。

後から来てる4人が敵なのね?」

 

ルナサさんが逃げ切ってくださいました!これで数の上ではすでに互角。メディも迷わず戦闘態勢に入ってくれています。これなら、なんとか…!

 

「簡潔に状況を伝えておくわ。メルランは人里に潜伏する方針、ソロライブで何度も出入りしてる自警団の詰め所に匿ってもらうつもりだわ。人里で騒ぎを起こしてまでは強攻してこないはずだから。

だから急いで4人撃退したら、リリカを先に助けに行かせて。射命丸がリリカの追撃に回ったから、援護がいる!」

「わかったわ!誰かわからなかった2人はどんな奴だったの?」

「一人は河童…にとりって射命丸が呼んでいたわね」

「河城にとりさんですか。手強い方が来てしまいましたね…!」

「上海、そいつのこと知ってるの?」

「研究者気質の多い河童の中では社交的な方で、宗教家たちの人気争いや完全憑依異変では積極的に異変に関わっていた方です。つまり、他種族との戦いにも慣れているということです…!」

 

メディは交友関係が私より狭いかもしれませんので、少しでも情報共有の時間が作れたのは幸運ですね。

それにカナさんとルナサさんはメディの毒を完全には遮断出来ないはずです。集団戦になってメディが孤立しないように、なるべく私が側でフォローしてあげないと…!

 

「もう一人は山童で、消去法でたかねと呼ばれていたのがそうなるはず。おそらくは妖怪の山で手の空いていたのを連れ出してきたということだわ」

「余計な事してくれるなあもう!妹紅さんも向かってきてくれてるから、とりあえずは1対1で時間を稼ぎましょ!反撃は妹紅さんを中心で!」

「妹紅さんは味方なのね。

それで残りの二人は誰なのよ?私にも教えなさい」

「守矢神社の東風谷早苗さんと、永遠亭の鈴仙・優曇華院・イナバさんです!」

「えっ!?鈴仙はもう動いてたの!?」

「…その反応、もしかしてメディスンは永遠亭の面々と知り合い?」

 

私が出した名前にメディが大きく反応したことで、ルナサさんがメディに問いかけたのですが…

―――時間切れです!

 

「メディもルナサさんも、お話は後にしましょう!来ます!!」

「ッ!わかってはいたけれど、狙いは私のようね…これだけ全速力で追ってくるなんて!」

「誰が誰を相手するのかって先に決めちゃった方がいいかな!?」

「メディは鈴仙・優曇華院・イナバさんをお願いできますか!?知り合いなのでしたら、ある程度手の内も読めていますよね!?」

「わかったわ!鈴仙は私が止める!」

「狙われているルナサさんは後方からの射撃で牽制をお願いします!

カナさんと私で残りの3人を、前衛としてまとめて押さえてみましょう!そこから相手が3対3に乗って来るならそのまま、1対1に移行しそうでしたら私とカナさんを無視した一人にルナサさんが対応してください!」

「わたしはそれでOKだと思う!ルナサは!?」

「私もそれでいいわ。なんとか妹紅さんが来てくれるまで耐えるわよ…!」

「お願いします、皆様…!」

 

向かってくる《敵》を迎撃するために、皆様と並んで向き直ります!

豹さんのためにも、誰一人欠けてしまうわけにはいきません。豹さん自ら、助けに来てしまう可能性が出てきてしまうのですから…!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。