いつも助かっております、ありがとうございます。お礼が遅れて申し訳ありませんでした…
発射されたユキの魔法を避けるべく神綺様も動く。当然だが回避機動ぐらいで黒翼を展開した神綺様の弾幕が薄まるはずもないが、移動方向を制限することで今の俺には狙い撃てる武器がある!!
「ッラァ!!」
「便利な武器だねそれ!もしかして里香ちゃんの作品かな!?」
「そうです、そういえば里香も魔界に出向いたって言ってたっけな!」
今度は射撃を終えたハルバートをポルターガイストで移動妨害弾の排除に回し、里香の魔力拳銃で直接神綺様を狙う!反動を気にせず接近しながら十分な命中精度で連射できるこの魔力拳銃は、神綺様から見ても有用な武器らしい。里香にもあらためて感謝しねえとな。
「でもごめんね、ヒョウくんの接近戦にはちょっと付き合えないかな!
私もだいぶ衰えちゃってるから」
「少なくとも、魔法に関してはそんなことないですよ!」
その言葉と同時にレーザーが4発同時に放たれ、俺の回避に更なる制限が入る…!連射した魔力弾は黒翼でまとめて薙ぎ払われかき消された。やっぱ、俺一人で届く神綺様じゃない。
だからこそ、最後の一発も放つ。あの反乱の日、結果的に全力を出し切れなかった後悔を振り切るために。
「ユキの最後の弾丸です、これで終わりにしましょう!!」
「どんと来なさい!しっかり受け止めて、ヒョウくんに帰って来てもらうから!!」
「邪魔よ、どきなさい」
「お前さんの狙いは神綺だろう?それが困るから邪魔しに来たのさ」
「そう、なら消えなさい。【マスタースパーク】」
ははっ!これは本当に楽しめそうだ。この私に向けて遠慮も躊躇もなくこんな大技を初手で撃って来る奴なんてどれぐらい会うことが無かったか!
「Create!」
「…へえ、私に本気で刃向かうと。
何処の誰だか知らないけれど面白いじゃない、片っ端から壊してあげるわ!!」
「
「―――警戒されるだけはある、袿姫様が造形された兵をこうも簡単に壊せるとは。
とはいえ、造形と修復を繰り返すことによる【数】で問題なく足止めは出来る。命令通り人里の警備を優先…っ!これは!?」
今まで視界に入っていた人里が、
『人里が安全になればすぐに理解できます』と豹さんが言ってましたが、予想していた以上に大掛かりかつ凄まじい方法。これだけの広域を住民ごと消し去る…私では原理を理解するどころか推察することすら出来ない。
そして、消え去った人里に巻き込まれず残った者が6名。そして山の位置する方角から向かって来るのが1名。人里が安全になった以上、私は袿姫様の援護をするべきですが…先にこちらの対応に向かうべき。
二手に分かれ、ここに向かってきている者が3名。山からの1名と合流すべく動いているのが3名。
畜生界の霊長園から地上に出向いている袿姫様と私は、地上の人間からすれば異物…妨害される可能性が十分にある。それならば、袿姫様が楽しんでいらっしゃるところに乱入させるわけにはいきません!私が止めなければ!
そう覚悟を決めて、向かってくる3名を待ち構えていたのですが。
「貴方はどちら様でしょう?」
「袿姫様に仕える杖刀偶磨弓だ。人里に流れ弾が行かぬよう命じられている」
「袿姫様というのが、フラワーマスターと交戦していらっしゃる方でしょうか?」
「そうだ。袿姫様の邪魔をするのであれば容赦しない」
「いえ、人里を守ろうとしてくださったのですね。それでしたら貴方と敵対する必要なんてありません。
ですが、どういった経緯で風見幽香さんと衝突することになったのでしょう?」
「袿姫様のご友人である神綺様から協力要請がありました」
「「神綺様の!?」」
どうやら無駄な戦闘を好まないらしく会話することが出来た。それに、この声は聞き覚えがある。たしか…
「先ほどアリスさんと人形で通話していた、聖白蓮と寅丸星ですか?」
「あっ!お聞きしていたのですか!?
そうです、私が寅丸星です」
「はい、私が聖白蓮です」
「…一応私も名乗っておこうか。封獣ぬえだよ」
どうやら協調できる相手のようですね。それならば私は袿姫様の命に従うだけです。
「見つけたわよ衣玖!!しっかりお礼参りさせてもらう!!」
「しつこい女は嫌われますよ、総領娘様」
衣玖さんの予想通り、お騒がせ者な天人くずれは衣玖さんを狙って来たようです。そして、二人厄介な増援を引き連れてきました。
「天人様、こいつをやればいいの?」
「ふふふ、最上の得物が釣れたじゃないか!管理者の一角が直々に出て来るとはねえ!」
「お尋ね者の天邪鬼ですか。少々面倒な相手ですが…捕縛する絶好の機会ですね。
…椛、作戦変更です。天人ではなく貧乏神を排除してください。彼女が最も厄介なので」
「了解です…!」
気取られないよう小声で茨華仙様から指示がありました。私は完全憑依異変についてはその顛末を仲間伝に聞いただけなのですが、その元凶である厄介な姉妹…貧乏神と疫病神の姉妹に関しては要警戒対象としてそれなりの情報を渡されています。
防ぐことが困難な弱体化能力の持ち主。それは茨華仙様ですら甘く見れないようです…!それなら、私が警戒される前に落としてしまうべき!!
「そうだ紫苑!衣玖をやるぞ!」
「わかった!」
「させません!!」
これだけの強者が揃う戦場においては、私は鉄砲玉にしかなれません…!それなら、せめて一人は道連れにする。だからこそ私を強く意識させるため、刀と盾を構え衣玖さんを庇うように貧乏神に突撃!!
「なに?白狼天狗なんかが邪魔「眠れ」
「え………?」
「―――は!?おいどうした紫苑!?」
決められた!昨夜の永遠亭では向こうから私を狙って来ましたが、今回は私がその手を使いました。私から狙いに向けて声を掛けることで注意を引く…!一度見せてしまえば二度は通用しませんが、私を白狼天狗として軽く見る相手であれば初回は決まる。
「何しやがった!?白狼天狗如きが!?」
「…瞳術を利用した睡眠魔法だろうな。
いいじゃないか!おい白狼天狗、お前も下剋上を狙わないか?」
「お断りします。私がこの力で尽くすべき方はもういますので」
「けっ、つまんねえな。
まあいい。おい天人、私は目的を果たしたら抜けるからな!!」
「勝手にしろ!私の邪魔だけはするなよ!!」
墜落してゆく貧乏神を気にすることもなく、天人くずれと天邪鬼が弾幕を放ちます。それに反応するように衣玖さんと茨華仙様が前に出てくれます…!
後は、足手まといにならぬよう衣玖さんと茨華仙様を援護するだけ!
「墜とします。落下で怪我したくなければちゃんと着地しなさい」
「は?何言ってやが…うわわっ!?」
私が人間だから魔理沙も油断していたのでしょう。あっさり【魔理沙にだけは有効になる】切り札に巻き込まれてくれました。
「…これで決められる程ヤワじゃないですか、やっぱり」
「いてて…何しやがったお前!?」
「豹さんが忘却の呪いを解呪するために調べてくれた中で、魔理沙に対しての切り札になりそうな呪いがありました。己の魔力を封じることで、相対した者の魔力も封じる呪い―――【相互魔力封印の呪い】とでも名付けましょうか」
「は…!?なんだそりゃ!?」
突如飛行魔法が解除されそれなりの高さから落下した魔理沙でしたが、小規模な爆発を起こすアイテムを着地する直前に下方に投げ付けたことで着地の衝撃を和らげていました。こういった戦闘における判断の速さは、戦闘経験で劣る私には出来ないでしょう。
しかし…慌てて私に向け魔法を放とうとする魔理沙ですが、魔力が集中することなく霧散します。豹さんに最低限の原理とアドバイスを貰ってから、私個人で研究し…私に加護を授けてくださった麒麟も力を貸してくれたことで、豹さんや藍様のような格上の相手にも効果があることは実証済みです。豹さんはともかく藍様には「豹ならともかく、麟が有効に扱える機会があるのか?」と問い返されてしまいましたが…
「魔理沙だけですよ、これで足止めが出来るのは。
私も魔理沙はこうなってはか弱い人間の少女でしかない」
「他の連中じゃ逆にボコボコにされるだけってか?
くっそ、完全にしてやられたぜ…!」
私と魔理沙には共通点があります。【魔法を奪われたら、人間の少女でしかない】こと…この点は博麗の巫女を務める霊夢と魔理沙で最も大きい差です。霊夢も人間の少女ではありますが、【空を飛ぶ程度の能力】を使いこなす以前は飛行能力を持つ亀…玄爺さんの背に乗って長距離を飛行していました。
そして短距離の移動に関しては、己の足で駆け回っていたのです。その基礎体力を付けるために、靈夢は肉弾戦に関しても上位の実力を誇るのです。それは、私や魔理沙では足元に及ばない程の。
そして、普通の人間では妖怪に敵いません。能力以前に【肉体の強さ】が桁違いなのですから。藍様が疑問に感じた通り、人間の少女である私がこの呪いを妖怪に向けても自分の首を絞めるだけなのです。
―――ですが、魔理沙にだけはこれ以上ない有効打になります。【普通の魔法使い】である魔理沙は、魔法を失えば【普通の人間の少女】でしかないのですから。さっき着地に使ったようなアイテムにさえ対処出来れば、私でも魔理沙の足をすくうことが出来ます!!
そして、魔理沙も理解できているので。
「こんな相手に使い捨てのアイテムを使わなきゃならねえなんてな!
大損だが他に手がねえ、たっぷりくらいやがれ!!」
「豹さんの弟子として、肉弾戦の心得もあります。
積み重なった恨み、私の拳で晴らさせてもらう!!」
何処からか取り出したアイテムを私に向けて投げ付けてきますが、非力な魔理沙の投擲なら!
「この程度に当たるとでも!?」
「キャッチしただと!?ふざけんじゃねえぜ!?」
投げナイフや手裏剣のような刃物でなければ、簡単にキャッチできる!作動に魔法が必要なアイテムも使えなくなっているのですから、割らずに受け止めることで中の魔法薬が作動させなければいいのでです。そしてそのまま!!
「はぁっ!!」
「うわっ!?」
魔理沙に投げ返します!!飛べなくなっても手放さなかった箒ではたき落としましたが、地面に叩きつけられたことで瓶が割れ…ガスが噴き出しました。
「やっべ…!」
「…っ!」
魔理沙が慌てて口元を覆い背を向けてダッシュするという反応から、私も口元を覆い発生したガスを避けて追撃します!完全に背を向けた今なら!!
「……っ!」
「―――うおっ!?危ねっ!」
「勘のいい…!」
袖口に仕込んでいるカード―――薄いのに破れにくく、鋭利な豹さんお手製の投擲武器としてのカードを投げ付けましたが…私を確認するべく振り向かれたことで間一髪避けられました。ですが、回避行動によってスピードが落ちる。今距離を詰める!!
「来るなっての!」
「往生際の悪い!」
それを防ぐかのように再度魔理沙も投擲。今度は布に包まれていた物質だったので、私に届く前に勢いをなくし地面に落ちました。これだけで作動すると厄介と踏んだ私は、今度は回避を優先し最速で走り抜ける!!
「引っかかれよ!!」
「誰が魔理沙の思い通りにさせますか!!」
私が走り抜けた後に背後で爆発音がしました。音からしても威力はそれほどでもない、おそらくは足止め用のスモークボムあたりだったのでしょう。背後の爆発による飛散物で私にダメージが入ることもなく、そのまま魔理沙に追い付くところで…!
「離れやがれっ!!」
「その強度なら私でもっ!!」
振り向きざまに箒で横薙ぎにしてきましたが、魔力を失った普通の箒なら私でもへし折れる!
右の肘鉄で横薙ぎに合わせれば、箒は真っ二つに折れ柄だけ残し私を掠めるだけで飛んで行きました。今がチャンス!!
「ハアッ!!」
一発殴るだけじゃ足りません。私の恨みをここで全部晴らすためにも、簡単に私の拳を痛めるわけにはいかない!
なので初撃は掌底で鳩尾を狙う!!
「ぐっ!!」
流石は魔理沙、咄嗟に折れた箒の柄を捨てて両腕で防御しました。でもこれで距離は詰めた!!
「ここからは殴り合いです!!」
「ふざけんな、付き合ってられねえぜ!?」
この期に及んでまだ逃げようとする魔理沙ですが、ここまで近付けばもう逃がしません!!
後方に全力で跳んで少しでも距離を取ろうとした魔理沙のスカートの裾をギリギリで掴み引き摺り戻し…!
「このぉ!!」
「っ!!?」
私の右フックが、綺麗に入りました!!
来週は検査が二日間入っているため更新が滞ってしまうと思います。
申し訳ありませんがお許しください…