誤字報告により272話の衍字を修正してます。いつも迅速な報告助かってます、ありがとうございます。
「咲夜、援護するよ!」
「あら、これは意外な援軍ね」
摩多羅隠岐奈相手に遅延戦闘を続けていたら、妖夢が割って入ってきたわ。それに…
「…冥界の管理者ともあろう者が、情に絆された紫を支持すると?」
「魔界神と彼を接触させた時点で幻想郷の負けでしょう?
こうなった以上は紫を交渉に当てないと余計に話が拗れるもの」
西行寺幽々子まで摩多羅隠岐奈を止める方針に回ってるよう。流石は豹様、といったところかしら。
「まったく…最後の一手が崩されただけで、こうも一気に逆転されるとはな。
私も衰えていたということか」
「それは紫も同じでしょうねー。昔の紫なら彼がアリスに見つかった時点で切り捨ててたわよ。
管理する側も平和な幻想郷に慣れ過ぎてたってこと。
霊夢っていう、誰からも好かれる人間が博麗の巫女として申し分なく働いたことでね。
その結果、魔界に後れを取ったわけだけど。管理者として後始末はしてよー?」
「言われなくともそれが我々の役目だ。
だが、私が早々に離脱するのも問題なのでな。数が増えたとはいえ粘らせてもらうぞ?」
「なら妖夢、前衛を任せていいかしら?」
「任せて!咲夜は幽々子様を守りながら援護お願い!!」
「かしこまりましたわ」
さ、これで私にも余裕ができる。油断はせずに、豹様の決着を待ちましょう。
「インサート!!」
「模倣《ワイプモイスチャー》!!」
「このっ…鬱陶しい人形ね!」
「余所見する余裕があるのかしら?《白の魔法》!!」
ゴリアテが前衛として斬りかかり、上海がそのスキを埋めるようにフォローする。どちらもあっさり躱す霊夢だけれど、反撃に回る前に私が薙ぎ払い式レーザーで移動妨害!
「ちっ…!実質3対1じゃない!」
「3対1?それで済むとでも!?蓬莱!!」\ホライッ!/
「っ!!冗談じゃないわよ…!」
死角から蓬莱に不意打ちさせたけれど、流石に勘のいい霊夢。あっさり回避して私に牽制を向けるけれど―――
『
「吹き飛ばします!!」
「ひゃっ!?」
巨大化したゴリアテの双剣に上海が風魔法を付与し、ゴリアテが振り下ろし突風で霊夢を吹き飛ばす!その先に控えさせておいた…!
「大江戸!!」
「つぅ……っ!?」
大江戸を爆破してトドメを狙ったけれど、吹き飛ばされてすぐ背後に防護の札を展開していたのは流石の霊夢。致命傷どころかかすり傷にしかなっていない、でも完全に足は止まった!!
「《ダークネスペネトレイター》」
「――!?霊符《博麗幻影》!!」
あら、霊夢がこんな術の使い方をするなんてね。攻撃は最大の防御を地で行く脳筋巫女から少しは成長してるのかしら?
足の止まった霊夢を上級黒魔法でハリネズミにして大人しくさせるつもりだったのだけど、幻影を創り出し自分と位置を入れ替わって回避したわ。確実に当てるため一人に向けるには過剰なほど暗黒杭を連射したのに避けられるとなると、足を止めてもあまり意味はないか。霊夢の勘の上を行く飽和攻撃もしくは不意打ちでないと撃墜は無理と。
「あんたねえ…!スペルカードルール忘れた?」
「何を今さら。この異変、最初から命のやり取りを私は続けてるわよ。
魔界から出向いて来た夢子とユキだけじゃない。カナ・エリー・くるみ・幻月・夢月…スペルカードルールに馴染めない幻想郷の住民はスペルカードルールなんて通用しない戦闘を行っていたわ。
―――逆に聞くけど、串刺しに出来れば霊夢を殺せてたのかしら?」
「そうじゃなきゃこんな使い方しないわよ。あんた、本気で退治されたいわけ?」
「それを霊夢が私に言う?魔界人を一方的に葬り去った霊夢が?」
「っ!?」
「あの日霊夢が魔界でやったのと同じことを意趣返ししてるだけよ?
この先に進んで豹を霊夢が攻撃すれば、私だけでなく自力で幻想郷に移動できる魔界人も同じことをするでしょうね。
そうされる覚悟がないんなら、魔界神と豹に喧嘩を売りに行かずに帰りなさい」
なんだかんだ豹に不覚を取りかけたのが堪えてるようね。普段の霊夢なら一度交戦状態になった相手にこれだけ長々と会話なんてしない、するにしても決着が付いてから。それなのに私の言葉に返してくるなんて、迷いがある証拠。
幻想郷を守る博麗の巫女として、豹を攻撃することはマイナスだということを理解せざるを得ないところまで追い込まれてるということだわ。
「だとしても、放っておくわけには行かないのよ!!
あんたは魔理沙を捨てるつもり!?」
「魔理沙の方が霊夢に執着してるんだと思ってたけど、逆だったのね。
霊夢がここまで魔理沙を重要視してると思わなかったわ。
その答えはさっきと同じ。魔界人を一方的に葬り去った魔理沙を、私が守るとでも?」
「それはっ…!」
「まあ、魔界に引き渡された場合の助命嘆願はしてあげるわよ。それぐらいの情はある。
だけど、豹より魔理沙を優先する理由なんて一つも無いわ」
「ああそう!やっぱり強行突破するしかないのね!!」
会話は終わりとばかりに霊夢が札・符・陰陽玉を一気に周囲に展開、完全に攻撃による強行突破を狙うようね…!
こうなると私でも正面からぶつかるのは不利、私は人形遣いにして魔法使い―――接近戦では霊夢に敵わない。でも、ここに来ていつもの脳筋思考で突撃して来るなら対処は楽!!
「上海、オルレアン!!」
「模倣《紫の魔法》!!」
「相変わらず鬱陶しい人形ね!」
霊夢の進路を誘導するべく、上海とオルレアンに牽制射撃を撃たせて突撃ルートを制限する!その裏でまだ戦闘可能な人形を誘い込む位置に移動させ、私自身を狙わせておいて…!
「先にルールを破ったのはあんた、死んでも文句言うんじゃないわよ!!」
「私に当てられるとでも思ったのかしら?」
『
「っ!!?」
さっき霊夢が回避に使った手を、今度は私とゴリアテでやり返す。霊夢はそのままありったけの弾幕をゴリアテに向けて放つけれど、上海によって豹の強化魔法で硬化したゴリアテの双剣はそれを耐えきる!刃部分はボロボロにされたけれど、弾幕を耐えきったゴリアテは迷わず双剣を捨てて霊夢を捕らえるべく掴みかかる!
そして、巨大化したゴリアテから逃れる方向はただ一つ!上下左右はゴリアテが塞いでいるのだから、後退せざるを得ない!!
「よくもまた邪魔を――っ!?」
「一斉射撃!!」
「「「はいっ!!」」」
―――本当に豹には驚かされてばかりね!とうとう蓬莱まで間延びした\ハーイ/じゃなく、ハッキリ「はい」と返してきた。そして間を置かずに
「魔光《デヴィリーライトレイ》!!」
「しまっ!!」
完全な死角から放った私の狙撃で被弾した霊夢は、一瞬の硬直を逃さなかったゴリアテにガッチリと掴み上げられたわ。
「これでっ!!」
「…っ!?
ユキちゃんも本当に凄い!!禁呪を固定させるなんて!」
ユキの精製した最後の一発、攻撃系の禁呪が秘められた弾丸!!俺とユキで強敵を仕留める際に、【ユキがトドメに回る】パターンで使っていた威力と乱射数に特化された禁呪!
本音を言えば、神綺様ですら被弾すれば軽傷じゃ済まないこの禁呪を神綺様に向けたくはなかったが。俺の反逆の終局であるこの闘い、漢として求め続けた【全力を出し尽くし、使える策も全て打ち尽くす闘争】にするには撃たないって選択は無い!
カタマサや会季たちに、俺は本気で挑んだという事実を残さなければならない!!
「ハッ!!」
「っとと!」
弾丸を撃ち尽くした会季のハルバートを投擲し、里香の魔力拳銃を手元に戻しひたすら連射!!当たっても大した威力じゃないが、これ以上神綺様に迎撃されては接近戦に持ち込めない。ただ神綺様を回避に徹させるためだけの連射を、流れ弾と組み合わせてハルバートの再利用に使う!!
「ちょっとこれは危ないから、ごめんね!!」
「っ!!」
だが神綺様は迷わず、回避しつつハルバートに単発の暗黒弾を当てて撃ち落としていた。俺の勝ち筋は肉弾戦にしかないとわかりきっているからこそ、移動妨害を兼ねる牽制のハルバートを真っ先に潰したわけだ。本当に、今になっても俺のことを正確に理解している…!
だからといって、このまま終わるわけにはいかないが!!
「フッ!!」
「きゃっ!?」
「これすら初見で避けられるんですか!本当に強い!!」
「でもびっくりした!!それ、吹き矢!?」
麟が作ってくれた吹き矢をカナを参考にしたポルターガイストの魔法で口に持っていき、ハルバートを撃墜するため一瞬視線が逸れた隙に痺れ薬を塗布した仕込み針で狙ったのだが――間一髪で神綺様が躱す。正真正銘麟しか知らない俺の奥の手だったのだが、それを目視で避けられるとはな…!いくら暗器とはいえ命中させるには修練不足、吹き矢用の針なんて小さく細い弾をぶっつけ本番で当てるのは無理があったか!
それなら、最後の切り札…神綺様も警戒してるであろう魔界で過ごした頃からの最終手段を、神綺様が対応できないタイミングで決める。もうそれ以外に俺の勝利は無い…!
「やっぱりヒョウくんはすごい!今でもここまで私に食い下がれるなんて!」
「全盛期より衰えてる自覚はあるんですがね…!ッラァ!!」
魔力拳銃を神綺様の背後に流れ弾が飛ぶように乱射し、ユキと共に戦う際に多用していた接近手段が利用できると意識させる。そして、それを切ると誤認させるために俺の右手から魔力拳銃を放し肉弾戦に持ち込むと理解させて!!
「っ!!」
「そこっ…え!?」
「―――!!」
背後の流れ弾を利用してワームホールを創造!!それを利用して接近すると見せかけて、幻月や夢月が使うような短距離テレポートで神綺様の正面に飛び込む!!
一瞬背後に視線を逸らしたその隙で、俺の本気の拳を喰らわせる!!
ここまで肉薄すれば、黒翼での迎撃は不可の―――
「きゃああぁ!?」
「がはっ!!」
大慌てで反射的に撃たれただろう強力過ぎる魔力弾が直撃し、ただその一発だけで俺の意識は刈り取られた。