メイドです、仕事辞めたい   作:ブラック企業ナザリック

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生きてます、すいません本当にお待たせしました……
短いですが、生存報告代わりに……


第27話

 

 

 

 

 

 慣れない環境での仕事。

 それは途方も無い労力を要する。

 その事をファースは理解していた。

 アインズ様当番が始まったことで、ナザリックの外で活動される主人に付き従う事も増えてきた。

 もちろんナザリックのメイドとして弱音は吐かない。

 しかし疲れる、疲れるのだ。

 たとえ疲労無効のアイテムを使おうと、疲れるものは疲れる。

 主に精神的に……

 だから、今回の件――ドワーフの国へと赴く主人の為に付き従うメイドの一人に選ばれたのはとても嬉しい。

 だがその反面、何処か億劫に感じる自分が居る。

 

「……はぁ、どうしたものか」

 

 そんな自分に嫌気が差す。

 休日が出来れば変われるかと思ったが、やはり自分は変われないらしい。

 仕事嫌いのメイド。

 私は本当にどうしようもないダメなメイド――

 

「――いやいや、そんな考えホワイトブリム様に対する侮辱……!」

 

 ファースはそこで思考を打ち切った。

 負のスパイラル、どう考えても気落ちする結論に至ってしまう。

 

「…………ふぅ」

 

 気持ちを落ち着かせる為、深く煙を吸い込む。

 

「――よし、行くか」

 

 そうして覚悟を決めて、喫煙所を出た。

 

 

 

 

 

「…………んんぅ」

 

 不思議な気分だ。

 慣れたナザリックではなく、以前支配下に置かれたリザードマンの村近くの岸辺にいるから……という理由ではない。

 いつも着ているのとは違うメイド服(装備)を着ているからだ。

 しかし妙に落ち着く。

 それと体の奥底から湧いてくるような渦のような何か。

 アインズ様当番の際に貸し与えられるマジックアイテムを身に付けた時の感覚と似ている。

 明らかに違うのは、その時とは比にならない高揚感を得ている点。

 

「……なぁ、2人ともそんなに見つめないでくれ。何か照れるから――」

 

 ファースの目の前には、キラキラしたような眼差しでこちらを凝視してくるデクリメントとエトワルが。

 

「ファースさん格好良い……」

 

「ファースさん可愛い……」

 

 ファース、デクリメント、エトワルの3人のメイドが今回主人であるアインズに同行する事になった――後から聞いた話だと、デクリメントの要望だったらしい――のだが、何でも危険な旅になる可能性が高いとのこと。

 本来であれば、非力なメイドたち(自分たち)が同行するのは途轍もなく危険だ。

 そこで心優しい主人は、特別な装備やアイテムをいくつも与えてくださった。

 その中でも特に際立つのが、ファースが現在着用しているメイド服。

 薄い茶色と白色を基調として、細かな装飾や刺繍がデザインされており、コルセットとフィッシュテールスカートが特徴だった。

 前から見ると脚が大きく露出しているように見えるが、そこを膝丈まであるロングブーツが上手く隠してくれる。

 ナザリックで使われている一般メイドのメイド服というよりは、戦闘メイドの方々のようなメイド服というイメージが真っ先に出てきた。

 ちなみにデクリメントとエトワルはいつものメイド服だ。

 何故ファースだけいつもと違うメイド服なのか。

 そう疑問に思っていると――

 

「――似合っているぞ、ファースよ」

 

 先程までコキュートス様とお話しされていたアインズ様が声を掛けてくださった。

 

「ぁ……は、はい! このような素敵な服をお貸して頂き感謝の言葉もありません」

 

 少し声が震えてしまった。

 主人に褒められたのだから、当たり前だ。

 むしろ口元がニヤけるのを我慢しながら台詞を最後まで言えたのを讃えてほしいくらいだ。

 

「気にすることはない、倉庫で眠らせておくには惜しい物だったからな――それは、ホワイトブリムさんが作成した試作品だ」

 

「「「ぇ……」」」

 

 メイド3人の小さな声が重なった。

 

「確か……スチームパンク風――だったか? 試作品故に1着しかないが、それなりの性能は有している」

 

「……ホワイトブリム様が――」

 

 普段着ているメイド服も勿論ホワイトブリム様から頂いた大切な物だ。

 しかしアインズ様は仰った。

 "1着しかない"と……

 つまり、世界にたった一つの、ホワイトブリム様が残された物。

 そう思った途端、ファースの胸がギュッと締め付けられた。

 

「……ふむ、ファースよ」

 

「は、はい……!」

 

「思えばお前には色々と苦労を掛けていたな、これまでの働きに対する褒美を与えねばならないな」

 

 アインズ様が仰る。

 

「ほ、褒美など……既に沢山の褒美を頂いております」

 

 こんな自分をナザリックでメイドとして居させてくれる。

 そして念願の休日。

 それ以上の物を望むのは傲慢だ。

 

「……先ほどコキュートスにも言ったが、信賞必罰は世の常、褒美や罰は然るべき時に与える物だ」

 

「しかし――」

 

「ファースよ、無欲も時には許しがたい行為となる」

 

 これは命令だ。

 主人が褒美を受け取るようにとの命令。

 ならばナザリックのメイドとしてそれに応えるしかない。

 何だろう、今の現状でそれ以上に自分が望むモノ……

 さらなる休日? それとも煙草の上限を増やして頂く――いやあれは自分から望んだ罰だ。

 グルグルと思考が廻る。

 

(……あ、あった。欲しいモノ)

 

 しかしそれは許されるのか?

 分からない、分からないがこのまま黙っている方が不敬だろう。

 だから、口にしてみた。

 

 

 

「……その、でしたら――このメイド服を頂けないでしょうか?」

 

 

 

 




更新を再開したので、番外編は一旦消去しました。
完結後に書き直して投稿出来たらなと。
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