メイドです、仕事辞めたい   作:ブラック企業ナザリック

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お気に入り数の評価者の数が倍に増えててヒェ…ってなる。
気紛れ更新なのに全然気紛れにできないじゃないか! まともなのは僕だけか!?(めちゃくちゃ嬉しいですありがとうございます


第5話

 

 

 

 

 

 

 

「――チャーハン大盛り、焼き立てのハンバーグも乗せて。あ、チーズもお願い」

 

 清々しい朝――かどうかは時間でしか分からないので本当に清々しいかは不明――に、ナザリックで働く飲食が必要な者は第九階層にある食堂に集う。

 そして利用者の殆どが、メイド達だ。

 特に一般メイドはホムンクルス。

 種族の選択ペナルティにより、食事量の増大がある。

 それはファースというメイドも例外ではなかった。

 ファースは覆面の男性使用人の1人に、食べたい料理の注文をする。

 その注文の内容は、平均的で一般的な女性の食事量に比べれば、とてつもなく多く、重たいメニューだった。

 しかしここナザリックにおいて、そして一般メイド達においてその量は普通だ。

 だからファースの注文に特に疑問を持つ者はいない。

 

「……ん?」

 

 ファースは既にビュッフェ台で物色した数々の料理が置かれた自らの席に、こんもりと盛られた出来立てのチャーハンの大皿を持って戻ると、さっきまで誰も居なかった隣の席に、赤髪のメイド(同僚)がいつの間にか座っている事に気が付いた。

 

「あ……あの、お隣、良いでしょうか!?」

 

 そしてファースが席に戻ってきた事に気が付いた赤髪のメイドは、恥ずかしそうにそう聞いてきた。

 良いも何も、既に隣に座っているし、自身の料理も既に用意しているではないか。

 ……まぁ断る理由もない。

 

「別に構わない、好きな場所で食べれば良いさ」

 

 ファースがぶっきらぼう――決して雑に対応しているわけではない――に答えると、ぱーっと嬉しそうにする赤髪のメイド。

 そんな態度に疑問を感じるも、ファースは気にせず自分の席に座り、"頂きます"と宣言してから食事を食べ始めた。

 ――一般メイドの食事の仕方には、それぞれ個性が出る。

 凄まじまい勢いで食べ尽くす者もいれば、比較的ゆっくりと食べる者。

 ナイフやフォーク捌きが速い者、遅い者――

 とにかく様々だ。

 

 そんな中、ファースの食べ方は豪快な方だ。

 その小さな口を精一杯大きく開き、とにかく口の中に詰め込む。

 そして喉に詰まらない程度まで咀嚼したら、一気に飲み込む。

 対して、隣に座った赤髪のメイドは、勢いは控えめだが、口と手を動かす速度が速い。

 対局的に見える2人は、意外にも殆ど同じタイミングで目の前の料理を平らげた。

 

「……なぁ、一つ聞いても良い?」

 

「は、はい!? 何ですかファースさん!」

 

 本来であれば、2周目(おかわり)をしに行くところだが、ファースは自分の席の隣に滅多に他のメイドが座る事がない為、この際だと思い以前から気になっていた事をこの赤髪のメイドに聞いてみる事にした。

 

「何でさ、みんな私に対して敬語なの? 同僚――だよね私ら?」

 

 あり得ない事だが、もしかして知らないうちに昇進的なものを受け取ってしまっていただろうか。

 そう疑問に思ってしまうほど、ファースは同僚という部分に若干の疑念を込めてしまいながら言葉にした。

 もちろん、他のメイド(同僚)に対して丁寧な敬語で接する性格のメイドも居ることには居る。

 しかし、メイド(同僚)ならどんな相手でも仲の良い友人のような間柄で接する事で有名な、通称フレンドリーメイドと呼ばれるメイド(同僚)にすら敬語で話しかけられた日、ファースは確信した。

 明らかに、自分にだけ接する態度がおかしいと。

 

「そ、それは……その、ファースさんは――」

 

 モジモジとする赤髪のメイド。

 髪と同じくらい顔も赤く染めてしまう様子を、ファースはあえて何も言わずに黙って答えを待つ。

 

「――ご、ごめんなさい!」

 

 ――脱兎の如く逃げられた。

 律儀に空になった皿やトレーはしっかり持っていて。

 

「???」

 

 ファースは頭の上に疑問符を浮かべる事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

「――それは、()()だと思う…………ワン」

 

「憧れ……ですか?」

 

 メイド達の朝食が終わり、ナザリック地下大墳墓のメイド長である『ペストーニャ・S・ワンコ』によって今日の予定と、仕事の簡単な割り振りが発表されると、メイド達は蜘蛛の子散らすようにそれぞれの持ち場に向かった。

 ――ファースを除いて。

 ファースは先程の赤髪のメイドの態度がどうしても気になり、我慢が出来ずに上司でもあるペストーニャを呼び止め、相談を持ち掛けた。

 

「貴女は……そうね。きっと他のメイドからしたら、憧れの的。戦闘メイドの方々のような存在なんだワン」

 

「私が? まさか……」

 

 ファースはペストーニャの考えに納得はいかなかった。

 ――戦闘メイド。

 名前の通り戦闘を主な仕事とするナザリックのメイドだ。

 掃除や雑務しか出来ない一般メイドからすれば、メイドとしての仕事はもちろん、()()()()を持ち合わせている戦闘メイドは大望の存在だ。

 いわばアイドル的存在。

 命をかけてでも護りたい存在(至高の四十一人)を護ろうとする力があるというのは、何の戦闘能力を持たない一般メイドからすると憧れのモノなのだから。

 一般メイドが仮に、至高の存在と共に戦場に立ったとしよう。

 出来る事といえば、()()()()()()()

 もちろんそれでも十分に本望だが、目の前の至高の存在に楯突く存在を自分の力で蹴散らせたらどれだけ気持ちの良いことだろうか。

 

 ――当然、ファースも一般メイドだ。

 盾になる事しか出来ない方だ。

 だから、自分が戦闘メイドの方々と同じ扱いをされるのがどうしても納得できない。

 そもそも、()()()()()()

 ファースはファース。

 一般メイドとして創造された、みんなと同じ――

 そう、同じな筈――

 

「――同じか、そうだといいんだけどな……」

 

「? 何か言いました……ワン?」

 

「いえ、何でもないですメイド長。お時間取ってもらってありがとうございました。仕事に掛かりますね」

 

 

 

 

 

 

 

「…………ふふ」

 

 ファースは思わずニヤけてしまう。

 最近、喫煙所に来るとアインズ様と過ごしたあの日あの瞬間を思い出してしまい、自然と頬がゆるむ。

 不思議とあれ以来、心が少しだけスッキリしている。

 根本は何も解決していないというのに。

 やはり、"誰かに話すと気が楽になる"というのは本当なのかもしれない。

 よく此処にお喋りに来ていた至高の御方々も、そのような事を口にしていたのだから間違いない。

 

「……うっ、駄目。今これ以上吸ったら歯止め利かなくなるって」

 

 ――ファースは自然とシガレットケースに伸びていた手を引っ込めた。

 アインズ様に罰を与えてほしいと懇願したファース。

 その罰の内容はファースにとって、バツグンに()()()

 まさに相応しい罰である。

 何故なら、こんなにも自分は今辛い想いをすることが出来て――

 

「――出来てるんだから、もう少しくらい……あぁ! ダメって言ってるだろう!」

 

 まるで二重人格。

 ファースの心はスッキリとしているが、同時に荒れ始めた部分が出てきてしまった。

 

「大丈夫、私はできる……アインズ様、御力を――」

 

 ファースは、()()()()()()()()()()()主人に祈る。

 アインズ様は、ナザリックの外へと行かれた。

 ナザリックが原因不明の地に転移してしまった事件から数日。

 ついに、アインズ様はナザリックの大々的な調査を、自ら開始したとのことだった。

 そしてファースは、アインズとの()()()()を思い出す――

 

 

 

 

『それで……協力とは具体的にどうすればよろしいですか?』

 

『――そうだな、ファースよ。他のメイド達に少しでも良いから、休憩をさせることは可能か?』

 

『……難しいかと。いきなり休憩しろと言っても、困惑しかないと思われます。食事の時間になったら、押し寄せるように食堂には行きますが』

 

『そ、そうか。――それは上の者……確かメイド長が居たよな? 上の立場の者が促しても同じか?』

 

『――おそらく、そうかと』

 

『ふむ、では軽い()()()()から始めるべきか。ファースよ、どうにかして他のメイド達に()()()()()を実感させるようにできるか? その為なら、私の名前を出しても構わん』

 

『よ、よろしいのですか……?』

 

『構わん、それより質問に答えてくれ』

 

『――それなら、何とかなるかと……いえ、何とかしてみせます』

 

『……そうか、期待しているぞ。私は近々ナザリックを発つ。暫く戻って来れないかもしれん』

 

『――行ってらっしゃいませ、アインズ・ウール・ゴウン様。御身の帰還を心より願っております』

 

 

 

 

 

「――さて、始めますか」

 

 落ち着きを取り戻したファースは、決意を示すように吸い殻を強く灰皿に押しつけて、立ち上がった――

 

 

 

 

 




ファースの行動とか言動とか描写とか、大体作者の性癖しか入ってないです
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