俺の嫁がタイトルだった件 作:被害者はトール
俺は前世で10歳の頃に死んで、何でも願いを叶えてくれるという神様に出会った。
10歳の頃と言うとまだ社会の構図にもピンと来ておらず、車のアクセルとブレーキの違いが理解出来てもその横にあるフットブレーキの存在にクエスチョンマークを浮かべるお年頃だ。
何でも叶えてやると言われて、何となく『最強になりたい』なんて言ったのが運の尽きで、当時の俺の脳内で、もっとも最強というイメージにピッタリだった【五条悟】という人物の体を持って生まれ変わった。
最初の頃は前世の両親を想って毎晩枕を濡らしたり、生まれ直した世界が現代と変わらなかったので呪術廻戦の世界だと思ったら全然関係なかったりと、まぁそれなりに騒がしく、10年も経つと前世と合わせて20歳にもなり、だいぶ精神的に落ち着いてきたという訳だ。
「ねぇ小林。ボクんちのメイドにならない?」
いや、全然落ち着いてなんかなかったわ。
むしろ20年分の記憶を持ったクソガキとして、自分で言うのも何だけど手のつけられない問題児って感じだった。
「え、なんで私が悟くんのメイドにならないといけないわけ?それに悟くんの家ってお屋敷って訳でもないじゃん」
「今はそうでも、ボクが自立して大人になったらあっという間に大金持ちさ。なんたってボクは最強だからね」
「うわー」
「こらそこ、普通にドン引きしない」
幸いというか何と言うか、五条悟の力を人に向けるような取り返しのつかない阿呆ではなかったから、まだ普通にヤバいやつ程度で収まっていたけど、将来自分は大成するんだと確信していたし、好みの女には片っ端から声をかけていた。
その点、幼馴染みの小林はボクの好みではなかったけど何となく波長が合うのか一緒にいても気負いせず、実家のような安心感があった。
何となくだが、ずっと一緒に居たいなって思う。
けど、好みじゃないから結婚はしたくない。
小林はメイド好きだ。ならメイドにしてしまおう!
……なんて考える辺り、当時のボクがどれだけ狂っていたか、お分かりいただけただろうか?
「ねぇ、もしお互いに大学卒業まで恋人が出来なかったら結婚を前提に付き合ってみる?」
「するする~」
それから更に時が経ち、20代にもなるとやっとのことの身の振りを覚え始め……それでも女性相手には節操がなかったせいか、残念イケメンとして男女共々敬遠とされる悲しいぼっち大学生活を送っていた最中、小林とそんな約束をした。
言い出したのは、どっちだったか。
酒の席での冗談だったかもしれないし、真面目に孤独な老後人生を恐れて口に出した事だったかもしれない。
「籍はいれる?」
「う~ん、別にいいかな」
「子供は?」
「お互いそんな時期じゃないし」
「じゃあ指輪は?」
「それはちょっと、欲しい……かも」
と、まぁそれから見事に二人とも恋人一人出来なかったもので、大学卒業を期に小林はボクの婚約者になった。
籍はまだ入れてないけど、事実婚みたいな感じで、あとはボクの指輪待ちって感じ。
電話では週に一回やり取りする。
月に一回は外で食事をする。
だけど同棲はしていない。
ボクはこの世界にいる呪霊的な……トイレの花子さんとか、八尺様とか、貞子とか、伽椰子とかをお祓いしてお金を貰う呪術師もどきとして生計を立てていたから全国を飛び回らないと行けなかったし、小林は運も悪くもブラック企業に就職してしまったせいでお互い時間を合わせるのが難しくなったからだ。
多分この生活は結婚したあとも続くんだろうけど、こっちである程度稼いだらスッパリやめて、小林んとこの主夫になろっかなって考えてる。
そうしたら小林の負担も少しは減る筈だから。
小林に今の仕事を辞めさせてボクが養うっていうのも一つの手なんだろうけど、小林って何だかんだ言いつつ今の仕事に遣り甲斐を感じていてそうだから、多分、自分の中で限界だーって感じるまでは続けたいんじゃないかな。
彼女もボクの普通じゃない仕事について薄々勘づいているんだろうに黙認してくれてるし、夫婦としてやっていくならこれが丁度いい線引きになるんじゃないだろうか。
それに小林を逃したら今後一生結婚なんて縁がなさそうだし。
「そういう訳だから、はい浄霊パ~ンチ」
今日は月に一度の食事の日だ。
とあるダムに沈んだ廃村の怨霊を手早く消滅させた僕は、上機嫌にタクシーを呼んで、小林の住んでいるマンションまで今日は何を話そうかなど想像を膨らませる。
「あー、今日はついにこいつを渡しちゃう?」
ちなみに小林との指輪は実は数年前から用意してポケットにいれていたりするが、酒が絡んだ小林となかなかそういう空気に持っていけずに未だに渡せていなかったりする。
ならお酒を飲ますなって話なんだろうけど、なんか今さら照れ臭くて、お酒の力に頼ろうと……自業自得だったわ。
そして今日まで、ズルズルと…本当にズルズルと今までの関係に甘えていたが、いい加減僕も覚悟を決めないとなって。
気合いを入れるように頬を叩いた。
「あー、運転手さん。そこ右で……うんうん。あそこに停まって」
ふぅ。と小林の住んでいるマンションの前で息を吐く。
時刻は午後の5時。この時間なら小林は仕事でいないだろうから、いつものパターンだと合鍵を持っている俺が部屋の掃除とか洗濯とかして、あとは時間までグウたらしてる感じ。
だから今緊張していても仕方ないのだが、いざ指輪を渡そうと思うと、やはり萎縮してしまう。
「はぁ……よし!考えても仕方ないし、先ずは小林がビックリするぐらい部屋をピカピカにしてやりますか!」
なんて顔を上げた瞬間、ボクの六眼(五条悟の魔眼的なやつ。普段は色々と"見えすぎて"しまうから真っ黒に塗り潰したグラサンでおさえているんだけど)、それが今まで見たことないぐらい真っ黒な
「ははっヤバっ頭超痛って!」
嫁の家にドラゴンが居て、そのドラゴンが人を襲おうとしてる。
マジで訳分かんなくて笑えてくるけど、ヤバい状況なのは分かるし、生まれて初めて本気を出すことにした。
五条悟(偽)
五条悟のスペックを持った元10歳児。
当時10歳だった為、原作への理解は十分とは言えず、また力の使い方を教えてくれるような存在に出会えなかった為、力の大半を扱いきれていない。
一応、神様補正が掛かっているのでやろうと思えば大抵のことは再現できるが、反転術式など本人が存在を認知していない物は使えず、呪力を練りすぎると頭痛がひどくなる。
二人組の男
一期一話に出てきた空き巣泥棒。
トール
小林さんのとこにきて1日目ぐらい。空き巣泥棒を追い払おうとしていた。
小林さん
たぶん今日ぐらいにトールのことについて話すつもりだった。