狩人の昔話、前日譚
「先輩はなんでハンターになったんですか?」
面倒を見ている後輩からそう問われる。
「ああ、そうだな」
少し考える
「よし、せっかくだから話すとしよう」
あまり過去を話さない自分が
珍しく人に話そうとしたのは
今度こそ死ぬかも知れない狩りの前で
弱気になっていたからかも知れない
「俺の親はそれぞれ商人とハンターだった
互いに見習いのときに、護衛依頼で出会ったらしい」
昔、姉が語ってくれた事を思い出しながら後輩へと語る
「当時の俺は3つの歳で、姉と一緒によく商隊についていって、村や町で欲しい物を買ってもらってたんだと」
「その時は母と腕利きのハンター二人、そして二人の連れらしい新米のハンターの4人が護衛だった」
「旅は順調だったし、襲撃も小型の鳥竜種ばっかで
目立った被害は無かった」
「ある日、小型のモンスターどころか鳥や魚
虫の気配すらも無く不気味に思いながらも
目的地が近いから旅を続けた」
「その時だった、突然森の方から木が揺れて
折れる音がした、全員がその方向に顔を向けると
濃い緑色の巨体が現れた」
「イビルジョーだ!」
「なぜこんな場所に?!」
「観測所は何をしているっ!」
「ハンターたちは困惑しながらも、素早く動き出した
腕利きのハンターは、新米のハンターになにか指示を出し、母と共にその緑色の悪魔に向かっていった」
「新米ハンターに先導されながら、力仕事の得意な父の部下を殿に、荷物を捨てて商隊は逃げ出した」
「父の背の中から、振り向いたときに見た
悪魔の顔に一太刀入れた姿が、最後に見た母だった」
「当時は小さかったが、その光景だけは覚えてた
その姿がかっこよくて、どうしようもなくただ憧れた」
「その後、腕利きのハンターの一人がボロボロになりながら、町に来て母ともう一人の腕利きが死んだことを伝えた」
「父は崩れ落ち、姉は泣きながらハンターを責めた
俺は厳しくも優しく、何よりもかっこよかった母に
もう会えないんだと知って、ギャンギャン泣いた」
「その後、父は病症に身を蝕まれ
3年後に母の元へ逝った」
「じゃあ先輩は、両親を奪ったイビルジョーに
復讐したくてハンターになったんですか?」
「違う、俺は母に憧れてハンターになったんだ」
とっさ否定してしまったのは、俺とは違い、復讐のためにハンターになった姉を思い出したからだろうか
「続きは俺が生きて帰ってからだ」
俺がそう言うと、後輩は少し怒って
「それじゃあ、先輩が死んじゃったら
このもやもや感はどーなるんですかー!」と言い、
俺は「じゃあ、俺が生きて帰って来るのを
せいぜい祈っといてくれ」と言った。
後輩は文句を言いたそうにしてたが
諦めたように
「無事に帰って続き聞かせてくださいねー
ご武運祈ってまーす」と言って
俺はその言葉を背にシュレイド地方行きの飛行船乗り場に、ゆっくりと向かっていった。
次は祖龍様視点で書きます。