最強竜人少女が仕掛けられた罠と策略を暴力でぶち破っていくだけの話   作:こんぺいとー

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気付き

 それを聞き、メルラテールは面白そうに目を細めた。胸を突き破る大剣など、あってない物とばかりに、強引に体を反転させる。

 ガスドは躊躇わず大剣を離し後ろへ飛び上がった。

 

 「おや……止めないのですか?」

 

 それを目にしたメルラテールは意外そうにそう呟く。竜人種の再生能力は高い。片腕を失ったところで、数秒後には先ほどと遜色ないパフォーマンスを発揮できる程だ。

 

 だから、何故己を殺そうとする伯父が治癒する時間を与えるのか。そう疑問を心の中でめぐらせ、そして大剣を無理矢理引き抜こうとしたところで──メルラテールは眉を潜めた。

 

 危機感。抜いてはならない。そうメルラテールの五感が告げる。

 

 大剣に手を掛けたところで止まったメルラテールを、ガスドは難しそうな顔をして見詰める。

 

 「やはり、気が付くか……その大剣には、《リコリア》の毒が染みこませてある。

 我ら竜人種の再生能力を抑える毒……人間種に教えたくは無かったがな。生息地が生息地だ。手に入れるには協力を仰ぐしか無かった」

 

 「いや、いや。そんなに警戒して貰っては困るなガスド殿!」

 

 はっはっは、と笑い、ギーリ王はカツカツと音を立てガスドの隣へと移動する。

 ぐるりと長机を半周するその動作に、だがメルラテールは訝しそうに目を細めるのみ。

 

 「まあ、それは良い。取引はした。貴様の事も多少なりとも信用している」

 

 「──おや……それは、ありがたいが」

 

 驚いたようにギーリ王は表情を変える。

 

 「かれこれ30年の付き合いだろう」

 

 「……ふむ。しかし、君達竜人種に取ってその年月は──」

 

 「──貴様ら人間種にとっては長いだろう? ならば、それで良い」

 

 これまたびっくりしたようにギーリ王は口をつぐむ。予想以上に相手がこちらのことを理解していたからだ。

 表には出さずとも、下等種と見下されている物とばかりに思っていたのだ。

 

 「それはそうだな、うむ。異種族と言え、良い友を持った」

 

 「それはこちらも同じだ──だが、ここからが正念場だ」

 

 そして談笑を終えた二人は目の前で、これまた先ほどのガスドと同じように難しそうな顔をしたメルラテールを正面にする。

 

 「……30年前? と言う事は……──メデリスでの暗殺失敗事件ですね!

 そこで知り合った、と? しかしその頃は……ああ、ギーリ王はまだ『王』ではなく──おや?」

 

 それを耳にし、ギーリ王とガスドは共に臨戦態勢に入った。いや、ギーリ王は下がっただけだが。

 

 そして、メルラテールは何度かうんうんと唸ると、やがて一つの結論に至る。辺りを見渡し、いつの間にか剣を抜いていた兵士達を認める。

 

 「……あぁ、なるほど」

 

 そして、ある意味最もそれ(・・)を求めていたメルラテールは、微笑みながら。己が今殺されそうになっている理由を、確信と共に辺りへ呟いた。

 

 

 「──戦争終結には……私が邪魔なんですね?」

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