時間停止してもモテるわけじゃない。   作:白黒パーカー

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オリ主はクズでへんたい。


0話:時間停止しても幼なじみ(女)はマジ天使。

 

 

 

 ——2度目の人生では“美少女ハーレム”を作る。

 

 

 よう実世界に転生して15年。それだけを考えて俺は生きてきた。

 

 

 他人からしたら、しょうもない願いかもしれないけど、俺からしたら必死だ。

 前世で童貞のまま死んでしまったのが原因だろう。

 

 現在進行形で童貞更新中の俺は、今世でも30年超えの魔法使いに昇華し、このまま行くと神話になってしまうかもしれない。

 

 それは困る。とても困る。

 転生してもまだ童貞とか、嫌すぎる!

 早急にかわいい女の子とエッチしたい。

 

 しかしだ。できるなら仲良くなって、お付き合いをした女の子とエッチしたいという童貞ゆえの純心さもある。

 そのせいで、ただでさえ難しいハーレムルートがハードモードになってしまった。

 そもそも学校を退学せずに済むかどうかも心配だし。

 

 高度育成高等学校。

 それが現在バスに揺られ向かっている舞台で、俺が今日から通う学校だ。

 

 そこには主人公である綾小路やA組の天才坂柳を筆頭に、ひと癖もふた癖もある怖いキャラが盛りだくさん。

 おまけに学校のルールも厳しいから、俺の願いを実現するためには、これらの障害を乗り越えなくてはいけない。ぶっちゃけ無理ゲーである。

 

 これがハイスクールD×Dとかの世界だったら許してもらえたかもしれないのに。残念ながらこの世界では、社会的に終わる可能性が高いのだ。

 

 

 転生特典があるとはいえ、中身はただの凡人。ふむ、どうすればいいのか……。

 

 

 

「くん…………正宗(まさむね)くん。聞いてますか?」

 

 目的達成の難しさに歯噛みしていると、横から心地の良いソプラノ声が聞こえた。

 もちろん横に誰がいるのかはわかっているため、いつも通り真面目で誠実な仮面を張り付けて、振り向く。

 

「ごめん、ひより。ぼーっとしてた」

 

 隣の席に座るのはタレ目で銀色の髪を揺らす少女。

 よう実のネームドキャラであり、Cクラスに所属する唯一の癒し枠、椎名ひよりだった。

 

 彼女は俺を心配するように見つめている。

 

「車酔いでもしましたか?」

「いや、考え事をしてただけ」

「そうですか。なら、良かったです」

 

 言葉と表情のそっけなさとは裏腹に、長年の付き合いだからこそわかる微笑みと優しさを感じて嬉しくなる。

 

 この笑顔が見れるだけでさっきまでの悩みが解消したような気持ちになる。

 

「それで何の話だっけ?」

「図書館の話ですよ。あの学校にどれだけ本が置いてあるのか、気になって仕方ないです」

 

 どこの千反田さんですか、あなたは。

 それにしても原作と変わらぬ読書好きさ、直接目の当たりにするとすごいよな。

 堀北ほど協調性がないわけじゃないけど、基本学校でも読書ばかりだし。

 

「どうだろうな? 3年間外部に出れないとなるとそれなりに本の量も多くなると思うけど。俺としては一人暮らしが初めてだから、家事の方が心配だけど」

「正宗くんは料理が得意だから大丈夫だと思いますけど。でも、そうですね。一人暮らしになると家事も自分でしなくてはいけませんし。読書の時間が少なくなりそうです」

「相変わらずだなぁ」

 

 穏やかな空気の中で行われる、何気ない会話。

 

 あぁ。ホントに、本当に苦労したッ……!

 よく、ひよりとここまで友人としての関係を築けた。過去の頑張った自分が誇らしい。

 

 最初は、小学校で椎名ひよりと同じクラスだったとき転生者ゆえのサービスだと思っていた。古来より、二次創作においてネームドキャラと兄妹、幼なじみ、ライバル関係にあった場合、原作開始時期ぐらいには両想いになっていてもおかしくない、という流れがある。

 すなわち、これはヒロインゲットのチャンスであり、転生者だからなんとかひとりと付き合えるんじゃないかと何も考えずに、とにかく彼女にアプローチをした。それはもう積極的に。

 

 

 それのせいだろう。結果は失敗どころか惨敗。

 仲良くなると思ったら、中学2年くらいまでは明確に嫌悪されていたぐらいには失敗してしまった。

 

 それから高校に入学するまで色々とあったが、ようやく彼女が信用できる幼なじみ兼友人としての地位を、手に入れることができたのだ。

 くそぉ。もっと簡単に彼女が作れると思ってたのに。前世と同様、むしろそれ以上に難易度が高かった。

 

 1年もかからずに数多くのヒロインを恋に落としていくラノベ主人公たちが恐ろしい。

 

「本当、ひよりは読書が中心だな。バスの中でも本を読むなんて」

「読書は好きですからね」

 

 手元の本を見て微笑むひより。かわえぇ。

 天使みたいな愛らしさだ。

 なぜ俺は彼女と付き合えてないんだろう。無念だ。

 

 

 

 ——カチリっと。

 

 

 

 どこからかストップウォッチのボタンを押したような固い音が聞こえた。

 

 それ以降、人も車も、自分以外の全ての動きが止まる。

 ちらりと横を見れば、ひよりもこちらに愛らしい顔を向けたまま微動だにしない。

 

「ひより聞こえてるか? ……ばーか、天然、むっつり文芸少女」

 

 顔の前で手を振って悪口を言ってみたけど。反応はなし。

 よし、止まってるな。

 

 

 時の止まった世界。ただ1人動けるのは自分だけ。

 その事実に笑みを浮かべてしまう

 

 これこそが俺の転生特典、【()()()()】だ。

 

 バトルものではラスボス枠、エロものでは圧倒的無敵さを誇る異能。それを俺は転生特典に選んだのだ。

 おまけに時間停止の中でも、停止のタイミングが自身の意思で切り替えられる上、停止時間は無制限の最高仕様。

 

  綾小路や坂柳たちは怖い。でも、それだけだ。どれだけ【天才】だろうと【異能】には勝てない。

 

 

 とはいえ、この力にもひとつだけ欠点がある。

 それは、時間停止できても女の子にモテないことだッ!

 

 早計だった。

 綾小路たちとのことを警戒し過ぎて、肝心のヒロイン攻略のための手段を忘れていた。

 あまりにもシングルタスク。

 

 時間を停止したところで誰にも気づかれないんだから、女子たちの好感度が上がるわけないじゃん。

 これなら【強制発情】とか【催眠】みたいな魅了系の能力にすれば良かった。それか、【完全記憶】や【肉体強化】みたいなカッコ良さを見せつけられる能力でも良かった。

 それだったら、今頃ハーレム生活も夢じゃなかったのに。

 できることは時間を止めるだけ。

 

 ……ふぅ。

 考えることが多くて頭が痛くなりそうだ。

 それに、誠実そうな人の演技をするのは疲れる。こうなると櫛田の気持ちもなんとなくわかる。適度にストレスを発散させないとやっていけない。

 

 緊張で強ばった体をほぐし、改めて彼女に向き直る。

 そして、

 

「読書だけじゃなくて、俺に対しても好きって言ってくれよ、朴念仁!」

 

 ()()()()()()()()()()()

 彼女の表情は眉ひとつ動かない。

 

 もみもみ、と傷つけないように丁寧に、優しさを忘れることなく丁度いい大きさの胸を手で包み込んだ。

 時間停止してやることと言えばひとつ、女の子にエッチなイタズラをすることだ。

 

 それだけがこの異能でできる唯一の楽しみ。

 

 継続的に溜まるストレスや不満を、俺は時間を止めて発散させる。

 いけないことなのはわかっている。でも、1回死んで、こんな【異能】手に入れたら倫理観も価値観もぶっ壊れてしまう。

 

 悪いとは思っているけど、みんなが【スタープラチナ】を宿していないのが悪い。

 

 そんな訳で、女の子たちの胸やお尻を触っては楽しんでいるけど、その中でもひよりにはよくお世話になっている。

 彼女の胸は控えめに見えて、着痩せするのか想像よりデカく柔らかい。

 おっとりとした性格と容姿にあった彼女らしい良さがある。

 

 バスの中で同級生にイケナイことをする楽しさに浸りながら。

 しばらく俺は胸を揉むことに専念した。

 

 

 

 

 

「さてと、制服を正して……さっきと同じ向きに」

 

 ひよりの身支度を終えた俺は、時間停止を解除した。

 カチリっという音と共に、止まっていた時間はゆっくりと、でも次第に元の時間を取り戻す。

 

「んぁッ……!」

 

 瞬間、ひよりが()()()

 

 普段のおっとりさからは聞けない色気のある声にバス中の乗客たちの視線を集める。

 さすがの彼女も恥ずかしかったのか頬を赤く染め、口元を抑える。

 

「だ、大丈夫か?」

「あ、いえ。すみません……何でもないです」

 

 わざとらしくならないように尋ねれば、ひよりは困惑したように返事をする。

 それを見ていた俺は、予想通りの反応が見れて満足した。

 

 時間停止能力の副産物。

 停止中の間に触れた分だけ、解除後と同時に快楽や痛覚、触感が襲う衝撃。

 それは、仮面ライダークロノスのポーズとエクゼイドのハイパームテキを掛け合わせたようなエグさだ。自分でやったとはいえ恐ろしい。

 

 それにしても思ったより、声が出たな。

 これでも手加減した方なんだけど。もうちょっと気をつけないといけないな。

 

 以前、手加減なく全力で触り続けた時は、時間を解除したと同時に失禁させ、気絶した子もいた。

 散々、俺に嫌がらせしてたから仕返しにやったけど、あの子は今頃元気にしてるかなぁ?

 

 そんなことを思い出しながら、目的地に着くまで、未だに顔を赤く染めて、それでも気丈に誤魔化すように会話をするひよりを観察していた。

 

 

 

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