プラモが光った。女の子になった。 作:ベースマテリアル
更に増えるオリキャラ枠
――〇月Ω日 天気晴(夜)
くたびれた…というか疲れた、もう動きたくない、何もしたくない、けど綴る。
全身が酷い筋肉痛になったかのような感覚に襲われながら今日は学校に行った。理由?昨日の夜が原因に決まってるわ馬鹿野郎。
昨晩は死ぬかと思った。今までの人生であれだけ【死】という感覚が迫ったのは正真正銘初めての出来事であったと言えるだろう。今こうして命があり、身体が悲鳴を上げるような痛みを発しているのも、今俺がこうして命があり、この世に生きている証拠なんだと実感する。
いや、偶々上手く行っただけだ。
全ては偶然の産物。たまたま俺があの時完現術を発動することができ、その完現術も偶々使うことが出来て、偶々それらが虚に通じる攻撃力を発することが出来て、偶々2体共々その攻撃を命中させることが出来て、偶々その攻撃だけで倒すことが出来た。
もしあの時、俺が完現術を発動出来なかった俺は死んでいた。完現術を発動しても、使うことが出来なかったら何も出来ずに襲われた。完現術の攻撃が低かったら死、そもそも攻撃が命中していなかったら死、その攻撃で仕留めきれずにいたら死……結局、全て偶然、偶々上手く行っただけのことだった。
幸い、俺の攻撃で虚は倒し、攻撃の反動(完現術の負荷?)で脱臼というか故障しけかた俺の腕を総見の爺さん治してくれたお陰で、今こうして昨晩のことを振り返るように日記を綴ることが出来ている。とても幸運なことなのか、それとも悪運が強いのか。霊感(霊力って爺さんは言っていたが)に目覚めたので、この場合は恐らく悪運の方で間違いないだろう、これが幸運であってたまるものか。
けれども、いつまでも昨日のことを運だけ、偶然だと言うことも出来ない。昨晩に聞かされたこと、そして起こった出来事を考えれば、俺は普通の人間ではない。
【
自身はの只の人とは異なる異能を有し、それ故に虚という怪物に襲われる運命にある。呪いとも言うべきその定めから逃れることは出来ず、出来ることはその異能の力を引き出し、制御し、虚と戦い、架せられた運命に抗うしかないと総見の爺さんは言っていた。
覚悟…は、正直まだ決まっていない。昨日の夜、もっと正確に言うのであればプラモデルが光ったあの日まで、俺は単なる一般人。霊力だ虚だ完現術だ等など、空想や妄想、架空のSF作品かよとしか思っていなかった人間だ。それが気づけば渦中の中、というよりも既に渦中の中に入れられる定めであったときたものだ、勘弁してくれと何度実際に、何度心の中で呟いたか数えられたものじゃない。
けど、かといって全てを一切無視して今まで通りの生活を。それは既に許されない領域に入ってしまったことは理解している。俺はこの運命に抗う為に、俺の中にある力…俺の完現術を使いこなせるようにならなければならない。
明日、再び総見道場を訪れる予定だ。そこで漸く俺の完現術について…というか、昨日の出来事の所為で既にある程度は把握してしまったのだが、確認や今現在の俺の状態を知るという意味で改めて訪ねようと思う。
やるからには全力。そして何が何でも習得して見せる…完現術という能力を!
――〇月§日 天気晴(夜)
【悲報】総見の爺さんの弟子、俺の自称霊感持ちの友人だった【最初から掌の上】
意気揚々…とまでは行かないが、それなりに覚悟と意志を抱いて再び総見道場を訪れたかと思えば、そこには何故か以前にも綴った自称霊感持ちの友人である【
そして明かされる衝撃の真実。「僕が誠彦さんの一番弟子です!」とこれまたドヤ顔で高らかに宣言、今だから書くけど驚きよりもそのウザいドヤ顔の方が苛ついたよ九門。明日数学の小テストだけど今回の対策メモ配布は無しにしてやろうと思う。
それはそうと、今日は総見の爺さんに一昨日のあの後の体調と、今現在の俺の状態を確認すると言われ、実際に確認を行ってきた。しかしその方法が九門の能力…ぶっちゃけるがアイツの【完現術】を主に使用しての確認と詳細の解明作業であった。
総見の爺さんの一番弟子、つまりは九門も【完現術者】であり、聞けば中学に入った辺りから爺さんに鍛えられ、ここ数年の間のこの小さな街の虚の間引きはコイツが行っているとのこと。俺よりも小柄なコイツの一体何処にそんな力が?とも思ったが、一昨日のこと、そして完現術者であることを思い出した途端、そんな前提は意味をなさないことのだと悟った。
そんな中で始まった俺の完現術の確認。今日の俺は【轟雷(ノーマル版)】を持って行った。そして3人で道場へ移動するとまずは総見の爺さんが完現術を発動、試合場という名の結界を展開し、万が一の外部からの干渉を遮断してから事を始めていった。
俺が完現術を発動する前に九門は制服のポケットからある物を取り出した。それはぱっと見はよくある普通の【虫眼鏡】で、俺はそれが九門の完現術の媒体であることを悟った。
そして実際その通りで、コイツが俺に向けてその虫眼鏡を向けると同時にその虫眼鏡に薄緑の光、
「じゃーん!これが俺の完現術!恰好良いでしょう!」
そう言いながら虫眼鏡が変化し、出来上がったのはまさかの【拳銃】、外見は黒鉄色の自動拳銃のそれまんまで、何なら本当に唯の拳銃にしか外見上は見えなかった……妙に広角なドットサイトとスコープが融合したような謎のオプションが装着され、それを握る彼の手から緑色の紫電を発していなければ。
能力名とその詳細はまだ聞いていないが、簡単に聞いたところ、九門の完現術は【この拳銃のドットサイトかスコープの中に捉えた対象の情報を把握する】ことが出来る能力とのことらしい。得られる情報量は視野角内に収めている時間と距離が関係しており、対象と近ければ近いほど、捉えている時間が長ければ長いほどより詳細な情報……具体例を言っていたが、【対象の名前】【対象の霊圧】、【対象の能力】、【対象の弱点】、【対象の急所】、【対象の魂魄の核】などが分かるらしい。因みにスコープ側の倍率は基本2倍率、やろうとすれば16倍率まで引き上げられるとのこと。それ拳銃の意味あるの?と思わずツッコミを入れた。
そんな簡単な説明の中で俺の能力チェックは始まる…というより既に始まっていた。俺に向け銃口を向けながらサイトを覗き込むというなんとも物騒なことをし続ける九門曰く、「紅君の霊圧はそこまで高くないですね。けどまだまだ伸びしろはありそうです!」とのことらしい。「ならば要鍛錬項目だな」と呟いた総見の爺さんが恐ろしくてたまらなかった。
そしてこの確認の一番の問題である、【俺は一昨日のように完現術を使えるのか】という問題だが、これについてはあっさりと解決した。手にした轟雷に意識を向け、「このキットで完現術を発動する」と意識を向けた途端に轟雷から焦げ茶色の光(霊圧?)が噴き出し、それが俺に纏わりついていくような感覚に自然と身を委ねれば、俺の姿はあっという間に【フレームアームズ・ガール 轟雷】へと変化していた。
「出来た…今まで手足とか頭だけとかだったのに…」
思わず言葉が零れた俺の声は正に轟雷(CV:佳穂 成美)であった。今まで何度も試そうとしても中途半端に終わっていたというのに、何故かあっさりと出来てしまっていた。
自転車に乗れるようになる時の感覚に近いだろうか?一度出来てしまえば自然と身体がその感覚を覚え、無理に意識しなくても出来なくなるようになる。例えるならそんな感覚であった。
が、かといって何事無く完現術を発動出来たかと言われればそれははまた話が違う。轟雷となった俺をまず襲ったのは凄まじいまでの身体への違和感、そして身体全体の重さであった。
まずは違和感。
身体の感覚、視点が本来の自分のそれよりも低くなったことや、普段は意識もしないような身体全体の感触、そしてFA:G特有の一部分が機械と融合している――今日の轟雷の場合、背中から伸びたキャノン砲や両脚の履帯という、生身の身体にはある筈のない箇所に感覚が存在するという矛盾した感覚。それらが強烈な違和感と生理的不快感という形で俺に襲い掛かった。
そして身体全体の重さ。フレームアームズの名が示す通り全身をあちこちを覆っている装甲にも前者と同じく感覚があるのを感じ、同時にそれらの重量が一気に俺の身体に襲い掛かった。例えが難しいが、まるで自分の体重が何倍にも重くなった…というより、全身に戦車のような重厚感のある装甲が纏わりつき、その重さが圧し掛かってくるような感覚だった。
結果、その2つの拒絶反応?に耐えきれず、轟雷となった俺はほんの数秒でその場に崩れ落ち、気が付いたら元の身体へと戻っていた。キットの轟雷も元に戻っており、その光景を見ていた九門と総見の爺さんは冷静に俺に診た結果を告げた。
・【完現術】が未完成――というより不十分な覚醒状態で、霊圧状態を見るに燃費が酷く悪い
・俺の霊圧が低く、完現術に魂魄が追い付いていない
・単純な体力及び身体能力不足
上記の上2つは兎も角、1番下にはちょっとショックだのはここだけの話だ。
ということで、暫くは総見の爺さんの監修、そして九門の協力の下、まずは完現術を完全に覚醒させること、それと並行して俺自身の霊圧を高めたり制御する訓練を実施するとのこと。どうにも俺の完現術は
今日は一先ずここまでで、明日から本格的な訓練が始まる。俺の状態を見ながら訓練メニューを意気揚々と練っていた総見の爺さんのことだ、エラく厳しいものがくるのだと思うが、憂鬱になってもしょうがない。今は1つ1つやっていくだけだ。
◎追記
一昨日の夜、あの時だけどうし完現術をほぼ完全に使いこなせたのかが気になり、九門なら何か知ってるかなと聞いてみた所、「人の魂魄は死に直面若しくは死に限りなく近くなった瞬間、爆発的に霊圧を高めることがありますよ。所謂火事場の馬鹿力ってヤツです!」と教えられた。
杞憂であってほしいのだが、訓練メニューが酷く嫌な予感がする。