今一度アシュフォード家に栄光を!   作:マルルス

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アシュフォード家を題材としたバイオSSなかったので書きました


妄執・執念そして誕生

アシュフォード家はヨーロッパのとある貴族で初代当主ベロニカは女性でありながら類まれなる知識と美貌で貴族社会に大きく乗り出し貴族としての栄光を歩み始めた。

ベロニカの息子達も優れた才能を見せつけ貴族社会で一目置かれアシュフォード家が名門と称されるのも当然の成り行きだった。

そして五代目当主はエドワード・アシュフォードは今や世界的大企業となった製薬会社アンブレラの創設者の一人だった。あのアンブレラの創設者としてアシュフォード家は更なる栄光へと至ったのだ。

 

 

 

 

しかし…

世の中に栄枯盛衰という言葉がある。永遠の栄光は存在しないようにいつか没落が来るのだ。

そしてそれはアシュフォード家にも無縁ではなかったのだ…。

 

1968年 7月

ヨーロッパ某所、アシュフォードの屋敷

 

ガシャーン

 

手に持ったグラスが落ち木製の床で砕け散った。

執事から聞かされた信じがたい報告に男は、アレクサンダー・アシュフォードは唖然していた。

 

「う…嘘だ…そんなはずはない…」

 

アレクサンダーは息を荒くし焦点も定まらず近くにあった椅子に崩れるように寄りかかった。

 

「ハーマン…今何といった…? もう一度だけ言ってくれ…」

 

「エ…エドワード様が()()()()()()()()()()()()になりました…」

 

タチが悪い夢であってほしい…そんなアレクサンダーの願いも空しく執事のスコット・ハーマンから聞かされる絶望とも言える報告を再び聞いたアレクサンダーは放心するしかなかった。

 

「ハーマン…しばらくの間、一人にしてくれないか…。

葬儀の準備は進めておいてくれ…」

 

かしこまりましたと執事のハーマンは部屋から出ていく。

一人残されたアレクサンダーはただ絶望するしかなった。

 

(な…何てことだ…父が…父さんが死んだだと…?

どうすれば良いんだ…! 私の専門分野は遺伝子工学で父が居なければウィルス研究なんて不可能だ…

直ぐに代わりの者を…! いや!駄目だ!父と匹敵する人物なぞマーカス博士ぐらいだ…!

他の有能な人間はスペンサー卿が握っている!

かと言って()()()()()()()()はまだ途中で試験運転すら出来てない…)

 

アレクサンダーは今人生で大きな崖っぷちに立たされていた。彼自身、自分はウィルス研究に関しては父ほどの才能がないと理解しており父の補佐を含めて遺伝子工学に重視していた。

しかもエドワードが研究していたのは始祖ウィルスという未知のウィルスでエドワードの知識なしではアレクサンダーがウィルス研究を継ぐには荷が重すぎたのだ。

 

「あぁ…!どうすれば良いんだ…。」

 

悲観に暮れるアレクサンダーだが無情にも時間は過ぎていくだけだった。

 

 

 

それから日にちは変わりエドワードの葬式が行われた。

前当主のエドワードが亡くなったので息子のアレクサンダーがアシュフォード家の六代目当主なった。

名門貴族の当主の葬式であって多くの著名人が訪れエドワードの死を惜しみ悲しんだ。

 

「父君の事は残念だった…。彼は志を共にした良き友人でもあった」

 

アレクサンダーは式に参加した人々に挨拶してると喪服を着たオズウェル・スペンサーが話しかけてきた。

 

「スペンサー卿… よくぞ来てくれました」

 

目の前に居る人物こそ父エドワードと同じくアンブレラの創設者で世界でもトップレベルの富豪である。

 

「本当に惜しい男を亡くした…。彼の研究は人類の未来を切り開くものだったというのに…」

アレクサンダー… もし困りごとがあったらいつでも相談にきたまえ

この私に出来る事があったら対処しよう」

 

「ありがとうございます…スペンサー卿

その時がきたらお力を貸してもらいます」

 

「うむ」

 

スペンサー卿はアレクサンダーから離れて他の著名人に挨拶をしていく。

それを見ていたアレクサンダーだがその内心ではスペンサーへの怒りが渦巻いていた。

 

(くそ! 何がいつでも相談に乗るだと…よくもヌケヌケと!!

父が死んで間もないうちに父と私が長い時間と資金をかけて築いた研究所やウィルス研究のデータや資料や資材、研究員(スタッフ)、更にはスポンサーまで根こそぎ持っていきおって!!)

 

エドワード死去の報告を受けてから一日経った事の出来事でエドワードの部下から電話が掛かってきてどういう要件なのか聞いたら

 

先程、エドワード博士の研究所はスペンサー卿の管轄になったというものだった。

 

それを聞いたアレクサンダーは仰天し直ぐにスペンサーの屋敷に乗り込み抗議したのだ。

アレは我々が築いたものだというのにこれは一体どういう事なのか!?と問いただした。

 

『アレクサンダー… 君の怒りは当然だが私とてこのような盗人紛いの事はしたくないのだ…

だがエドワードの研究をこのまま消えていくのは余りにも惨い事だ。』

 

父の研究は私が継ぎます!

 

『そうは言うが君の専門分野は遺伝子工学だろう。

エドワードの知識無しで出来るのかね? 出来ないだろう?

何より私自身、彼の研究に多額の資金も提供してるのだよ。

先程も言ったがエドワードの研究を失う訳にはいかぬ。既に彼に代わる研究員を呼びよせている

分かってくれ』

 

そう言われアレクサンダーは半ば追い出されるように屋敷から出ていったのだ…。

 

(スペンサーめ…! 今に見ていろ!

必ず貴様を総帥の座から引きずり落としてやる!)

 

表情には出さずアレクサンダーは葬式を粛々と進め終わらせていった。

 

 

 

 

 

1968年 7月 ヨーロッパ・アンブレラ研究所

 

アレクサンダーは自身が所有する研究所である計画を推し進めていた。

 

(急がなければ! このままではアシュフォード家の名声は地に墜ちるしかない…

私では不可能だがこのプロジェクトならアシュフォード家の栄光を取り戻す事が出来る…!)

 

アレクサンダーが進めているこのプロジェクト・CODE:Veronicaは元々父エドワードと一緒に進めていた計画でありエドワードの死去で頓挫してしまったのだが一刻の猶予もないアレクサンダーは秘密裏にこの計画を憑りつかれる様に復活させ進めていた。

この計画を簡単に言えば、遺伝子中の知能因子という、その名の通り知能を司る部分に手を加え()()()()()()()()()()()()()というもので、この天才児を使い始祖ウィルスを研究させて新型ウィルスを開発させバイオテクロノジーの最先端を掌握させる。

これによりアシュフォード家は名声を取り戻しアンブレラの実権を握るのだ。

 

「知能因子を見つけた…後はこれに手を加えれば偉大なる始祖が誕生するハズだ」

 

しかしアレクサンダーがやろうしている事は生命への冒涜で許されざる行いだ。

だがアレクサンダーは最早、アシュフォード家の栄光を取り戻す事に執着しておりそんな事は気にも留めてなかった。

 

「しかし、いきなり始めるのは危険だ。

やはり試験運転を行った方が良いだろう。

使う素材は私にしよう。母体の方は…」

 

ある意味、狂気に憑りつかれたアレクサンダーは淡々と計画を進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

1969年 4月 ヨーロッパ・アンブレラ研究所

 

エドワードが死去してから10ヵ月は経った。

アレクサンダーの予想通りアンブレラ社におけるアシュフォード家の地位は低下の一途を辿っていた。

理由としてはウィルス研究が進んでおらず何の成果も上げてないからだ。当主のアレクサンダーは研究所に籠ってウィルスとは関係のない研究しかしておらず、社内から「アシュフォード家の没落は時間の問題だ」などと言われていた。

そんな蔑みの声を無視してアレクサンダーはCODE:Veronica計画の完成に向けてより一層、研究に打ち込んでいた。

 

 

 

 

研究所の奥で赤子が産声を上げた。

 

「よし…! 無事出産は出来た。他に問題は無いか?」

 

スタッフの女性に金を渡して代理出産させた赤子は同じく金で雇われたスタッフ達によってコットと呼ばれるケースに入れられチューブを始め装置を取り付けられた。

カチャカチャとパソコンのキーボードに指を打ち込み画面を凝視するアレクサンダー。

 

「各部位に問題はないな。知能面は…ふむ、常人よりは高い程度か…」

 

知能を司るデータを見るとアレクサンダーは落胆の表情を出す。

 

「落ち着け…これはあくまで試作体(プロトタイプ)だ。

このデータを元に完成体を作ればいいのだ」

 

アレクサンダーは自分を慰めるように言い、視線を生まれた赤ん坊に合わせる。

 

「試作体だが廃棄するには勿体ないな。

あれは()()()()()()()()()でもあるのだからな」

 

コツコツと足音が響かせながらアレクサンダーはコットへと歩み中でスヤスヤと眠る赤子を眺める。

 

「そうだな…名前は…()()()()()()

決めたぞ。お前の名前はヴァルフレア・アシュフォード

偉大なるアシュフォード家の長男だ!」

 

アレクサンダーは赤子にヴァルフレアと名付けた。

体の動作を確認するためかそれともアレクサンダーの言葉に反応したのか赤子はピクリと動いた。

 

「ヴァルフレア…我が分身我が息子よ…。

お前は大きくなり後から生まれて来る始祖の再来を守り抜き偉大なるアシュフォード家に再び訪れる栄光を守り抜く守護者となるのだぞ」

 

己の代で堕ちてしまったアシュフォード家を再興させるために禁断の門を開けたアレクサンダーは眠る我が子に妄執と執念を託したのだった。




主人公が誕生しました。

気ままで書くので投稿は不定期です。
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