またヴァルフレアも政府の要請で私兵部隊のUBCSも出動させるがアンブレラ社本部から幹部達がヴィレーネにやってくきたのだった
この日、政府軍は敵の防衛線を破ったが連合軍は要塞化した山に立てこもり政府軍に対抗する。
山岳なので戦車の機動が奪われてしまい、歩兵を中心とした部隊が進撃するが…
「クソ!!何処から撃ってきているんだ!!」
「ガァ! ゴボォ…」
「しっかりしろ!! 衛生兵!!衛生兵!!!」
国防軍は巧妙にカモフラージュされた連合軍の陣地によって多数の犠牲が出ていた。
敵はタコ壺や洞窟やヤシの木の上から猛攻撃を行い不利になったらすぐに別の場所から攻撃してきたり少数でありながら兵力を圧倒する国防軍を翻弄する。
国防軍もカモフラージュされた陣地や洞窟を破壊したり埋めたりして進撃するがその度に数多くの犠牲が出てしまっていた。
「司令部!! これ以上進めば全滅する!! 撤退の許可を!」
『了解した。撤退を許可する』
「全隊! 撤退するぞ!!負傷者を運べ!!」
多くの部隊が大きな損害を出てしまい国防軍は撤退しヴァルフレアと政府にとって頭が痛い結果となってしまった。
PM9:35 夜
「そうか… かなりの犠牲が出てしまったか…」
「はい…我々UBCSも国防軍程ではありませんが戦死者・負傷者あわせて結構な犠牲が出ています
この戦争に勝つことは出来ますが長い時間と相当な犠牲は覚悟しなければなりません…」
「それは困るな…。下手に長引かせたら今のヴィレーネの経済に悪影響が出る上にアメリカ人共が介入してくるかも知れない…」
ヴァルフレアはリドリオから今日の戦闘の結果を聞いて暗い表情になる。
今はヴィレーネにとって大事な時期であり、内戦で大事な時間を消費させるわけにはいかない…。
明日から大砲と戦闘機で辺り一帯を砲撃・ナパーム弾で爆撃を行い焼き払う事になったそうだがそれで連合軍は壊滅するわけがなく陸軍がトドメを刺さなけばならないだろう。
陣地だって全てを潰すことは不可能だ…。
「くそ…何かいい考えないだろうか…?」
ヴァルフレアは焦る…。
せっかくヴィレーネが復興と成長の目途が立ったというのにこんな戦いで貴重な時間を浪費してしまい歯嚙みする
リドリオも考えるが現状効果的な戦術が思いつかなかった。
ヴァルフレアとリドリオが頭を悩ませてる中、パサリとテントの入り口が開いた。
「あぁヴァルフレア殿。此処に居ましたか」
テントに入ってきたのはアンブレラの幹部だった。
「あの何か在りましたか?」
「
「分かりました」
一体何用だろうか?今は連合軍への対抗策を考えたいというのに…
内心不満を持ちながらヴァルフレアはリドリオを連れて幹部達がいるテントまで移動する。
周囲はUSSが巡回しているのが見えた。因みにUSSは戦場には出ておらず被害はない。
彼らの任務はアンブレラ幹部達の護衛なのだから戦場に出撃するのは可笑しい話なのだが。
(このまま戦争が長引くなら
戦争が長引けば優秀な兵士は必要になる。敵に対抗するためにアンブレラが誇る保安警察であるUSSにもこの戦争に出撃する事になるかもしれないと考えるヴァルフレア。
そう思案してるといつの間にか幹部達がいるテントに着いたようだ。
「どうぞお二人共」
「失礼します」
ヴァルフレアとリドリオはテントに中に入ると中は慌ただしい様子だった。
「忙しい中、済まないなヴァルフレア君にリドリオ司令官」
二人を迎え入れたのは幹部達にリーダー格のマーレッド主任だ。
「呼んだのは他でもない。実は今から三時間後にアンブレラが誇る商品の性能テストを始める。
君達もアンブレラ社の関係者だから参加してもらう」
「え…? 商品の性能テストですか…?」
主任に告げられた言葉にヴァルフレアは混乱する。
商品の性能テスト? 一体なんの商品なのだろうか…何かの薬品だろうか?
「ふむ…どういう商品なのか実際に見てもらってほうが良いだろう
着いてきたまえ」
ヴァルフレアの疑問を見たかのように主任はヴァルフレアに着いて来るように告げヴァルフレアは訝しげながらもリドリオを連れてマーレッドに着いていく。
外に出るとテントからそれなりに遠くに離れた場所に大きなテントが張られていた。
「ここだ。入りたまえ」
マーレッドに言われるままヴァルフレアとリドリオはテントの中に入っていった。
そこには…
「これは…檻にコンテナか…? 随分と大きいようだが?」
中には大型の動物をいれるのに使う檻と何やら不気味な雰囲気を出しているコンテナ…。一体何なのだろう?
コンテナの近くには白衣を着た科学者達が何やらパソコンを始めとした機材で作業をしていた。
「お待ちしていました主任」
「うむ では早速だが出してもらおうか」
「はい」
主任が告げると研究員は手にしたリモコンでピッピッピと操作する。
するとガゴンとコンテナのドアが開いていく。
「ふふ…よく見ておくと良いヴァルフレア君」
マーレッドは愉快な表情を浮かべている。
コンテナのドアが開き中から何やらユラユラと動いているのが見えた。
(生物か…? 暗くて良く見えないな…)
奥に
そして奥に居る生物らしき影はライトの光に誘われるようにゆっくりと出口に近づいて来る。
ノソリノソリと動きながら遂にその姿を見せる。
「な…! なんだコイツは!」
ヴァルフレアは驚愕する。
一瞬、ゴリラかと思った…。
しかし
口にも鋭い牙が生えていて噛みつかれたその個所はあっという間に噛み切られそうだ。
こんな生物…自然界の生き物だとは思えなかった。
(まさか…別の星の生き物だとか…?)
地球外の生き物だろうかと想像するヴァルフレア…。
そんな彼を面白がるようにニタニタするマーレッド。
「どうだね? 初めて見る
「B.O.W.…?」
聞きなれない言葉にヴァルフレアは戸惑う。
「Bio Organic Weaponの略称でその名の言う通り生物兵器だよ」
「せ…生物兵器…!」
生物兵器という言葉にヴァルフレアは戦慄する。
そして主任から更に驚愕する言葉が出る。
「このB.O.W.こそが我がアンブレラ社の真の主力製品なのだよ」
「なっ! アンブレラ社は製薬会社のはずでは…!」
「表向きはそうだ。まぁそれも主力製品だがね
だが今も言ったがB.O.W.こそがアンブレラ社の真の製品なのだよ」
「…!」
「ヴァルフレア君。本来なら君は
だからこれを機に君に
「…」
マーレッド主任から告げられた驚愕の事実にヴァルフレアは困惑する。
アンブレラ社は世界で活躍する製薬会社だと信じておりヴァルフレア自身も幹部として人々の為にガン治療薬を開発に多大な投資もしている。
そんな中、突如告げられた
「驚いてる最中に悪いが此処に君を連れてきたのは理由があってね
単刀直入に言うが今夜の12時にこのB.O.W.…ハンターを連合軍の陣地に投入する」
「投入ですか!?
しかし…その味方に襲い掛かるとかは大丈夫なのですか?」
「その点については安心したまえ。
このハンター達にはコンピューターで脳に直接指示を下して行動範囲と任務内容をインプットしている
任務時間が終わり次第こちらに戻って来る寸法だ」
「そうですか…しかし…」
「ふむ…何か言いたいそうだね?」
「聞きますがこのハンターとやらはその…どうやって
自然界に存在などしない生き物ですし…何かゴリラなどの猿人類を使ったのですか?」
一息ついて冷静になったヴァルフレアはB.O.W.もといハンターはどうやって作ったのか気になった。
少なくとも真っ当に作った物ではないと分かるが…。
「あぁ…人間の遺伝子を操作して他生物のDNAを組み込んで作ったと聞いている
製造の詳しい事は知らないがね」
「なっ!」
あっけらかんと答えるマーレッドにヴァルフレアは恐怖する。
自分が想像以上に最悪の答えだった。つまりはこのハンターという生物は元は人間だったという事だ。
「お…お言葉ですが!それは余りに非人道的では!」
幾らなんでも人間を使ってこんな恐ろしい生物を作るなど許される所業ではないだろう。
というよりこんな大それた事が外部にバレたらそれこそアンブレラ社は終わりだ。
「非人道的か…。
フフ…ヴァルフレア君もまだまだ甘いな」
「えっ?」
「ヴァルフレア君。この地球上で約60憶人が生きており今も増え続けている
しかし選ばれた存在または役に立つ人間はほんのわずかだ。殆んどは人間は才能ある存在に噛り付き時間を無意味の消費する無価値な存在だ
そのような屑共に存在価値があるのか?
むしろそういう存在が素体になって価値が出るなら人類の為にならないかね?」
「マーレッド主任!! いくら何でもそれは言い過ぎです!!」
マーレッド主任から発せられる言葉は選民思想丸出しの理論だった。現代なら淘汰される思想だ。
「そう言うが君自身も経験があるんじゃないかな?
アシュフォード家に、そして君に噛り付き困ったら今までの恩を忘れてさっさと逃げ出す連中を見てきたハズだ」
「そ・・・それは・・・」
マーレッド主任の言葉にヴァルフレアは思い出す。
父と妹が亡くなって困窮するアシュフォード家に対して嘲笑し恩を仇に返す連中をヴァルフレアは散々見てきた。
だからこそそんな連中を見返す為にヴァルフレアは弟のアルフレッドと共に家の再興の全力を注いできた。
「ヴァルフレア君、君はそのような屑と違い選ばれた存在だ
そんな君が奴らに同情する必要性などない。」
「・・・」
「まぁ君もいずれ分かるだろう。
話はここまでにしよう。先ほども言ったが今夜12時にこのハンターを投入する
君もそれを見ていくと良い」
そう言ってマーレッド主任はヴァルフレアの肩を叩いて外に出ていく。
残ったヴァルフレアはただ静かに立ちすくんでいた。
「代表・・・。大丈夫ですか?」
心配になったリドリオが声を掛ける。
「! 済まない
急にとんでもない事が知らされたものだから困惑してしまったよ」
生物兵器・・・アンブレラの暗部を知ってしまったヴァルフレアは何とも言えない感情に支配されていた。
世界を股に掛ける製薬企業だと思っていたのに裏では非人道的な実験を行っていたとんでもない事実にヴァルフレアは上手く受け入れるのが出来なかった。
「それにしても生物兵器だとは…まさか本当にあったとは…」
ボソリと呟くリドリオ。
「!? リドリオ司令官・・・貴方は知っていたのですか?」
「あくまで噂ですが・・・
アンブレラは裏では恐ろしい実験をやっている事は小さい所から声があったんです。
私としては何らかの新薬の実験をやっているのかと思っていましたが・・・まさか生物兵器とは…」
てっきり危険な新薬の実験だと思っていたリドリオだったが檻に居るハンターを見ながらまさか生物兵器の開発だとは思いもしなかったようである。
「そうか…」
光があれば闇がある
どんな会社でも裏があることは知っているがアンブレラ社のは光すら呑みこむ程のとびっきりの闇があったとは・・・。
今思えばヴァルフレアはアンブレラを利用してアシュフォード家を再興しようとしてるが、こんなとんでもない事が外部に知られたらアシュフォード家は巻き添えを食らうのでは・・・?
(そもそも私の祖父であるエドワードは
もしかして最初から生物兵器開発の為の
つまり
私の
考えれば考える程、次々と疑惑を浮かび上がっていく。
(やめよう・・・。今は目の前の
出来るだけ早くアルフレッドにこの事を知らせて今後の事を考えよう)
考えてもキリがないのでヴァルフレアは一旦この事は保留にして目の前の問題である連合軍の対策を取る事にした。
「確か主任は今夜の12時にこのハンターとやらを投入すると言っていたな」
「はい。」
「リドリオ司令官・・・貴方はこのB.O.W.が戦争に役に立つと思うか?」
「・・・何とも言えません…。
そもそもコレらがどこまで使えるのか未知数ですから」
「それもそうだな・・・
確か今夜の12時だったな。あと一時間程か…」
右手首に着けている時計を見ると11時になっていた。
考えても仕方ないのでヴァルフレアとリドリオはテントの外に出てアンブレラ幹部達がいるテントに一旦戻る事にした。
「失礼します」
そう言ってヴァルフレアとリドリオはテントの中に入っていく。
中には大きなモニターやパソコンがズラリと並んでおり白衣を着た研究員達は画面を注視していた。
「あぁ来たか。
此処に座りたまえ。共にショーを眺めようじゃないか」
マーレッドはヴァルフレアに手招きして椅子に座らせて自身も隣に座る。
リドリオは二人の後ろに座る。
「マーレッド主任。地上ルートの10体のハンターを設置が完了しました。
空路は後40秒で投入されます」
「そうか。ハンターの調子はどうだ? 目標のインプットは問題は無いか?」
「はい。全ての個体のバイタルに異常はりません」
「よし。この実験はとても貴重なものだ。どんな小さい事でもひとつ残らず記録を取るんだ。
それが次の結果に影響するからな」
「了解しました。」
「空路からケースの投下されました。
ケースと10体のハンターに異常は無し。パラシュートも問題ありません」
「降下完了。ハンター達の意識が覚醒に入ります。
覚醒まで18秒です。」
「報告します。ケースの着地地点に約16人のゲリラが集まってきます」
「ソレは丁度いい。ケースを解放しろ」
「了解しました。ケースを解放します」
マーレッドの指示を受けて研究員がキーボードを叩き解放の入力を行った。
その日の夜。
連合軍は互いに勝利を祝っていた。
「やったな。国防軍とアンブレラの傭兵共に一泡吹かせてやったぜ」
「第一防衛線は破られたけどこっちにはまだこの要塞があるんだ。食料や弾薬・武器だって山ほどある
この辺りの地形だってもう俺達の庭も同然だ。地の利だってあるんだ」
「その通りだ! 国防軍の奴らだってそう簡単にこの要塞を落とす事なんて出来ないんだ! 自慢の戦車だってこの山では動かせない。
俺達が有利なんだ!恐れることは無い!」
「それに時間を掛ければ掛けるほどゾラーノの野郎の立場が悪くなるんだ。
国の景気が悪くなれば人々はゾラーノ打倒に動くはずだ。奴を追放して俺達がこのヴィレーネを改革するんだ!」
「もう独裁はうんざりだ…。ヴィレーネは民主主義国家にして国民の自由と権利を取り戻してアメリカや他の南米諸国との関係を築いて平和の国にしよう」
連合軍のゲリラ達はそれぞれの思いを口にして缶詰やベーコンを食べて水を飲む。
第一防衛線は国防軍に突破されたが自分達には長い時間を掛けて築いたこの要塞と化した山々がある。
食料や武器だってある。
そのおかげか連合軍のゲリラ達は第一防衛線が破られても士気が高かった。
来るなら来い! 返り討ちにしてやる!
ゲリラ達は絶望などしてなかった。
「そろそろ寝るか… 明日も国防軍の奴らがやって来るだろうからな」
「はッ! また返り討ちにしてやるよ!」
「その意気だ。おやすみ・・・」
食べ終えたゲリラ達は明日に備えて就寝にしようとした時だった。
「!? 待て・・・! 何か聞こえないか…!」
耳を澄ませると遠くからヴゥゥゥゥと何か聞こえる。
「まさか…爆撃機か!」
「ヤバい!! 皆、壕に隠れるんだ!!」
「こっちに来てるのか!!」
ゲリラの一人が外に出て夜空を見上げる。
今夜は月が出ているので夜でも辺りが良く見えた。
「クソ・・・! 何処に来ているんだ?」
国防軍から奪った暗視装置付きの双眼鏡で見る。
「アレだ! うん…?あれは爆撃機じゃないぞ…」
彼は爆撃機の形状を知っているので空に飛んでいる飛行機は爆撃機ではないと分かった。
「あれは・・・輸送機だ! 国防軍か?」
双眼鏡を見ているとその輸送機は
しかしそれは国防軍の陣地ではなく自分達の陣地に投下している。
「?? おいおい・・・こっちは俺達のテリトリーだぞ…。
間抜けな奴らだ。」
ゲリラは輸送機のパイロットを小馬鹿にする。
味方のテリトリーを知らないのか?
「ありゃ軍法会議のもんだな・・・お気の毒に」
パイロットに少し同情してゲリラは仲間達に今の事を報告する。
「はい。了解しました。回収に向かいます
聞いてくれ。司令部は投下された物資の回収に行けとの事だ」
連合軍の司令部は投下された物資を回収するように命じた。要塞には物資は大量にあるが手に入れられるなら手に入れておこうという考えだった。
ゲリラ達は投下された場所へと警戒しながら向かっていった。もしかして国防軍も来るかもしれないからだ。
「あった・・・! アレだ」
「デカいな・・・何が入っているんだ?」
「酒とかあったらいいな・・・」
計16人のゲリラ達は軽口を叩きながらコンテナに向かっていく。
「いいか…出来る限り素早く中身を回収するぞ。国防軍も向かって来てるかもしれないからな」
「分かった。よし・・・開けるぞ」
ゲリラの一人がコンテナを開けようとするがここである事に気付く。
「うん? これ…取っ手が付いてないぞ?
どうやって開けるんだ…」
反対方向にあるのか?と思い向こう側に行くが同じく取っ手が付いていない。
「どうした? 早く開けろ・・・!」
「分かっているよ。だけどどうやって開けるんだこれ・・・?」
ゲリラ達はどうやってコンテナを開ければいいのか分からなく途方にくれる。
面倒だが基地に戻って何か道具を持ってこようと考えていた時だった。
ピッ
何か電子音が聞こえたと思ったら突如コンテナのドアが上に上がっていく。
もしかしたらスイッチで開くものだったのかもしれない。
誰か押したかは知らないが開いたならさっさと中身を出して基地に戻ろう・・・。
そう思いコンテナに近づくゲリラ達だったがここで何かおかしいと気づく。
「なぁ…何か動いてないか? あれは・・・生き物か…?」
ゲリラの一人がそう呟いたその時だった。
ブゥン!
「うぉ・・・な・・・なんだ?」
自分の横に一瞬何かが通り過ぎたのだ。
風を切るような重い音も聞こえた。
「・・・? どうしたんだ?」
自身の左側にいる仲間がユラユラと小さく動いていた。
何かあったのだろうか? 返事が無い…。
「おい・・・どうし・・・」
どうしたんだ?だと言おうとした時・・・
ボトン
仲間の頭部が地面に墜ちたのだった…
「えっ・・・?」
余りにも現実離れした光景にゲリラ達は呆気に取られてしまった。
首から夥しい血が流しながら頭部を失った仲間のゲリラの体は地面に吸い込まれるように斃れた。
「■■■・・・」
近くから何か獣のような低い唸り声が響く。
声が聞こえた場所に全員が目をやる。
そこにいたのは月の光に照らされてゴリラのような生き物がいた・・・。
しかし両手には鋭い鉈のような爪が生えており左手の爪には血が滴り落ちていた。
「な…なんだコイツは!!!!!」
「撃て!撃てェェェ!!!!!!」
突然現れた異形の生物にゲリラ達は半狂乱になり銃を乱射するが・・・
「グェ!」
「!? ま…まだいるのか!!!」
「ひぃ!!! そこら中にいるぞ!!!」
周りにはモンスターがゲリラ達を取り囲んでいた。
「■■■■!!!」
相手に向かって唸り声を出して生物兵器であるハンター達はゲリラ達を一方的に虐殺する。
耳をつんざく悲鳴と銃声がなり鳴り響くが少し経つと何も聞こえなくなった・・・。
暫くすると今度は連合軍の陣地に銃声と悲鳴が鳴り響いたのだった。
傭兵の日記
1/6
1990年 2月27日
この国に来てから早一年が経つ。
私はある国の軍人だったが革命で社会主義だった祖国が崩壊し軍の特殊部隊にいた私は謂われもない罪状で死刑判決が下され私は不衛生な牢獄に叩き込まれたのだ。
余りにも理不尽な出来事に嘆きながら銃殺される日を待っていた時だった。
それは唐突に訪れた奇跡だった。
何とあの世界的な大企業であるアンブレラ社が私は拾ってくれたのだ。
私は助かりたい一心でアンブレラ社の部隊であるUBCSに入ることに契約した。
そしてほんの数分で私の死刑は無くなり全面免責となって刑務所から出る事が出来たのだ。
2/6
アンブレラ社と契約した私は南米のヴィレーネという島国に配属され本島から少し離れたビラ島にあるUBCSの基地でカンを取り戻す訓練の日々を送った。
同僚達も色々と訳アリな連中が揃っていたが気さくな連中ばかりだったので特に問題はなく過ごした。
同僚から聞いたのだがアンブレラは企業テロや要人誘拐に対抗するため独自部隊を所有している。危険な任務では我々UBCSが直ぐに送り込まれるそうだ。
そういった事でUBCSの隊員は大半は戦争犯罪者やら死刑囚が占めてるそうだ。
つまり死んでも問題がない人間が集まってるということだ。
3/6
訓練と巡回ばかりの日々を送っていた矢先、我々に出動命令がきた。
任務の内容は本島で暴れまわってる人民解放軍というゲリラ共の掃討するというものだ。
久しぶりの実戦だ。心して掛かるしよう・・・。
4/6
1990年 6月31日
ゲリラ共は数こそ多い物の戦い方が杜撰の一言に尽きる。
我々はUBCSはヴィレーネの正規軍である国防軍と共にゲリラ共を掃討作戦を開始した。
装甲車や強力な戦車と攻撃ヘリを持つ国防軍が付いてるので簡単に人民解放軍を蹴散らすことが出来た。
久しぶりの実戦だったが訓練のおかげで問題なく動けた。
その後、アンブレラから多額の報酬を貰えたので休暇を取ってバカンスに乗り出すとしようか。
5/6
1991年 9月8日
一年ぶりの出動命令がきた。
各地の反政府組織が同盟してファシスト政権に立ち向かってくるそうだ。
UBCSは国防軍と共にヴィレーネ北部のデア・イテナ地方に向かい連合軍と名乗った反乱軍を殲滅を命じられた。
また蹴散らして報酬をたっぷりと貰うとするか。
6/ 6
1991年 9月10日
散々な目にあった…。
予想外の事に反乱軍は去年と違って練度も装備も段違いだ。
奴らの最初の防衛線は突破出来たが奴ら長い時間をかけてこの辺りの山々を巨大な要塞に作り替えたようだ。国防軍は大きな損害を出してしまいUBCSも少なくない犠牲が出てしまった…。
あの守りが固い要塞を突破するのは骨が折れそうだ・・・。
今度ばかりは生きて帰れないのか…?