「■■■■!!!」
「何なんだコイツらは!!!」
要塞のあちこちに悲鳴と銃声が轟く。
連合軍の兵士達は突如現れた未知の
「畜生…!!食らいやがれ!!!」
兵士の一人が設置されていたPKM軽機関銃を持って襲い来るハンターに乱射する。
「■■■…!!!」
狭い通路だったおかげか発射された弾丸はハンターの肉体を貫通し夥しい血を流しながら息絶えた。
「やった…!! ざまあみろ!!!」
怪物を倒した兵士は歓喜し大声で勝利の勝鬨をあげるが…
「このバカ野郎が!!!!」
仲間の兵士に顔面を思いきり殴られた。
「!? いきなり何しやがるんだ…!?」
殴られた彼は口から血が流れていた。
そして怒りの表情で睨みつけて怒鳴った。
「お前は…何て事をしたんだ!!このバカ野郎!!」
「何がだ!! バケモンを殺したんだぞ!!」
「…!! まだ分からないのかよ!! 見てみろ!!」
仲間の兵士は機関銃を乱射した仲間の首根っこを掴んで彼が乱射した通路を見せた。
そして彼が自分が何をやらかしたのかようやく気付くのだった。
「あ…」
「ようやくわかったか…! お前は俺達の仲間を…化け物ごと殺っちまったんだぞ」
怒りに震えながら仲間が指を差す方向には自分の部隊にいた怪物と兵士達の亡骸だった。
数えると7人も死んでいた。
「そんなつもりは…!」
未知の怪物に襲われていたとはいえ友軍の確認もせずに機関銃を乱射してしまい7人も殺めてしまった事にショックを隠せなかった。
「■■■!!」
再び怪物の咆哮が響く…。そう遠くない場所からだ。
「…! 話は後だ! 早く来い!」
呆然とする仲間を掴んで急いでその場から離れた。
ヴェレーネ軍 野営陣地・アンブレラ社のテント
「ハンターD2 死亡しました」
「ふむ…流石に機関銃に使われる弾丸には耐えられないか」
「拳銃弾や散弾ならともかく流石に大口径ではハンターの皮膚でも分が悪いので…
死亡したハンターは実験が終わり次第、回収いたします」
マーレットは研究員と映像を見ながら生物兵器であるハンターについて語っている中、ヴァルフレアは映像越しに見られるハンターの凄まじさに戦慄していた。
(これが
あの強固な要塞をいともたやすく蹂躙するとは!)
敵も生物兵器という未知の怪物を相手にするのは初めてという事もあるだろうがそれでもハンター達の強さは目を見張るものだった。
映像ではハンター達は一切の慈悲もなくゲリラ達を殺戮している。
この有様ではもうあの要塞は陥落するのは時間の問題だろう。朝になったら無人となった要塞をこちらが占領すれば連合軍もこちらに手出しする事は難しくなる。
「リドリオ。貴方はB.O.W.についてどう見る」
「凄まじいものです。我々があの要塞を陥落するためには夥しい犠牲が必要になったでしょう。
だが12体のハンター達によってあの要塞は陥落したも同然です。
例え生き残りがいても要塞は機能しません」
リドリオは兵士としてハンター達も強さを分析する。
連合軍が籠るあの要塞は強固な物だった。落とすにもそれこそヴィレーネ軍とUBCSが総力を上げても数年はかかるだろう。
しかし僅か12体の生物兵器によってあっという間に落とされてしまった。
「しかし同時に不安も残ります。
あの生物兵器は本当に完全に制御されてるのか…もしも
想像するだけで震えが止まりません」
リドリオはハンターの兵器としての価値を正確に表現するが同時にアレは完全に制御下に置いておけるのか…何らかの理由で暴走などしたら周囲にどれだけの被害をもたらすのか…。
想像するだけで寒気が走る。
そしてヴァルフレアもリドリオの意見に賛成だった。
確かに強力な兵器になるだろうが生物を完全な制御下に置けるのかと言えば怪しいものだった。
(私としてはこの
とはいえ…このゾラーノが賛成したらどうしようもないな…)
ヴァルフレアとしては正直、このヴィレーネには生物兵器なんて運用したくないと思っている。
この国に大きな災いをもたらしかねないからだ。
だが最高責任者で指導者であるゾラーノが良しとしたらそれを止めることは出来ない…。
(全く…とんでもない一日になってしまったな…)
ハンター達の殺戮を映像越しに見ながらヴァルフレアは周りに聞こえない様に溜息をついた。
その後、数時間にわたるハンター達の狩りが続いた。太陽が昇って朝になるころには生き残った連合軍の兵士達は要塞を維持することが出来ず放棄することとなり、他の部隊と合流するために奥地に撤退した。
その進軍した
一方、要塞が陥落した事に連合軍で激震が走る。
長い年月をかけて築いた要塞がいともたやすく陥落してしまった事に衝撃と失意を隠せず士気も大きく下がってしまった。
何しろあの要塞には数年は余裕で戦えるほどの物資と武器を配置していたというのにそれが全て敵である政府軍に渡ってしまったのだ。
あの難攻不落と思われた要塞がたったの二日で陥落してしまった事に連合軍の上層部はヴィレーネ政府に降伏または和平をするべきだと出張する者達と徹底抗戦を掲げる者達の二つに分かれてしまい味方同士の足並みも揃わなくなっていった。
軍を指揮する将軍達がこのような状態なので当然ながら兵士達の士気は下がっていくばかりであり、進撃する政府軍に成すすべもなく各地で敗走していった。
1991年 11月20日
戦争開始から二か月…。
ヴィレーネ国防軍 武装列車の一室。
室内は重苦しい雰囲気に満たされていた。
長い長方形のテーブルの一方には政府軍であるヴィレーネ国防軍の将軍達とその端に座るヴァルフレア・アシュフォード。
もう一方はヴィレーネ政府と国防軍に敵対していた反政府勢力である連合軍の指揮官達だ。
そして国防軍の司令官でありヴィレーネ国の総統であるゾラーノ・バルザールと将軍達は威圧するように無表情で相手を見つめていた。
そして連合軍の指揮官達は悲痛の表情と耐え難い苦しみの空気を漂っていた。
「ゾラーノ総統…。我々は互いの思想の違いで長い間、血を流し合ってきました。
しかし…これ以上の戦いは…このヴィレーネをただ傷つけるだけです。
そしてこの国の未来を背負う多くの若者が傷つき斃れました」
苦しそうに声を出すのは連合軍の司令官である将軍だ。
一体なにが行われているのか?
「それで? 何が言いたいのだ?」
ゾラーノは暗にさっさと要件を言えと相手に告げる。
「では…単刀直入に申し上げますゾラーノ総統…。
今日はヴィレーネの平和の為に停戦と講和を結びたいのです」
停戦と講和…。
今日連合軍の上層部はゾラーノ率いる政府に対して降伏をしてきたのだ。
要塞の陥落後…連合軍は勢いを失ってしまい脱走兵は後を絶たずまともに戦う事が出来ない程に落ちぶれていった。こんな事になったのは彼らを支援していた最大の支援者もといパトロンであるアメリカ合衆国、その諜報組織であるCIAが突如連合軍の支援を打ち切ったのだ。
いきなり最大の有力者を失ってしまった連合軍の上層部は、最早戦況を覆す事が出来ず自分達は敗北したという現実を受け入れるしかなかった。
これ以上の武力闘争は無意味と悟った彼らは使者を送り停戦と講和を政府に申し入れたのだ
「随分と勝手ですな…。ゾラーノ総統は以前から寛大な心で貴殿らに戦いを辞めようと呼びかけたというのに貴殿らはソレを無視してきた
なのに戦況が危うくなったらいきなり降伏をしてくる…。貴方方は恥という概念を知っておられるのか?」
国防軍の将軍は煽るように連合軍の将軍達に非難の言葉をぶつけそれを聞いた連合軍の将校たちは怒りを見せたが司令官がそれを諫めた。
「その言葉に対して反論しようがありません…。」
怒れる同胞を必死に諫めながら連合軍の司令官は対話を続ける。
(まさか本当に支援を打ち切らせるとは…かのアメリカですらアンブレラに頭が上がらないと言うのか…。)
両者の話を聞きながらヴァルフレアは思案する。
実はこの戦争の幕引きにアンブレラ社が絡んでるのだ。
あの日…連合軍の要塞攻略に生物兵器、ハンターが投入された日だ。
ハンターの実戦データを多く得られて主任のマーレッドを始めアンブレラ幹部達と研究者達は大喜びで上機嫌だった。
マーレッドはヴァルフレアに今までの無礼の謝罪を含めて何か褒美を上げたいと言ってきたのだ。
その時、ヴァルフレアは今までのぞんざいな扱いのちょっとした仕返しのつもりで「資金を貰いたいですが、一番の望みはこの戦争を終わらせて欲しいですね」と言ったのだ。
流石にそこまでは無理だろうと思っていたヴァルフレアだったがマーレッドはニッコリとした表情で「良いだろう。ひと月程の時間を貰うよ」と言った。
その言葉の意味が分からずポカンとした顔になったヴァルフレアだがマーレッドはそれを気にせず「今日は素晴らしい日だ。君も飲みたまえ。フランスから取り寄せた最高級のワインだぞ」とグラスにワインを注ぎそれをヴァルフレアに渡したのだった。
それからマーレッドは配下のUSSに命じて死亡したハンターの回収をさせた後、撤収の準備を終えて幹部達と研究者達と共にヴィレーネから去っていったのだ。
そして一月後、アメリカは連合軍の支援を打ち切ったのだった…。
その後…アメリカの支援が失った連合軍は軍を立て直す事が出来ず現地の協力者も連合軍を見限りヴィレーネ政府に寝返ってしまった。
そんなゲリラなど国防軍の敵ではなく各地で敗走していきヴァルフレアも戦力の足しになるようにUBCSだけではなく自身の配下のUSSも前線に投入した。
そして限界を超えた連合軍はヴィレーネ政府に降伏したのだった。
「分かりました…貴方方の要求と条件を全て受け入れます…。」
ふと周りを見渡すと話し合いが終わったのか連合軍の司令官がゾラーノに渡された紙に何か書いている。恐らく署名文書だろう。
司令官が書き終えてその紙を内容を見たゾラーノは頷く。
「現時刻を持ってこの戦争が終結した!」
そうゾラーノは高らかに声を上げた。
それを聞いたヴァルフレアは安緒の息を吐いた。
(何とか終わったか…数年はかかると覚悟をしていたけど二か月程度で済んで良かった。
これなら他国がこの国にちょっかいをかけてくることは無いだろう。
ただ…改めてアンブレラ社の力を思い知ったな…)
世界中に展開するアンブレラは表向きは製薬会社なのだが裏では生物兵器を開発している軍産企業であり各国に太いパイプを持っている。
それはアメリカですらアンブレラ社に手出しが出来ずアンブレラ社がアメリカに対して武装組織の支援を辞めろと言ったらアメリカはそれに従ってしまう…。
(そしてこれは
決して裏切るな。裏切っても世界中に逃げ場はない…そう言ってるんだ…。)
実はヴァルフレアはマーレッドにアンブレラ社の裏の顔と生物兵器の存在を知らされた時、頃合いを見てアンブレラ社から離反しようと考えていたのだが今回の件でそれは得策ではないと悟った。
例え証拠を持っていようとアンブレラはその権力を使って簡単に無に帰す事も出来る上にヴァルフレアの言葉など誰も信じないだろう…。
(ようやくアシュフォード家の復興に目途が立ってきているのにここで軽率な事をすれば家が没落…いや滅亡だ…!
絶対にそれは避けなけば…!)
ヴァルフレアはアシュフォード家の再興という大きな目的がある。そのためにはアンブレラ社の存在も必要でもある。
今後の事を考えて弟のアルフレッドに相談しなければならない。
周りは戦後に向けて動き出す中、ヴァルフレアもまた戦後の利権や復興に思案するのだった。
傭兵の日記2
9月12日
あの忌々しい要塞は正に難攻不落だ。
周囲は頑強な岩肌に覆われ坂は険しい…。国防軍の自慢の戦車もあの要塞の前では効果を発揮出来ず三両の戦車が破壊された。
結局、一日攻撃して我々は犠牲を出しただけで終わった。
同僚も四人も失ってしまった…。
次は私の番だろうか…?
9月13日
先程この場所で白衣や洒落たスーツを来た連中を見かけた。
友人のシビーに聞いたらアンブレラ社の幹部連中らしい。
ここは戦場だというのにあんな恰好で来るなんて能天気な奴らだ。
それとあのバカでかいコンテナは何だ…?
気になったから夜にコッソリあのコンテナの近くに行ってきた。
中から何か唸り声が聞こえきたが猛獣でも連れてきたのか?
9月15日
朝早く急に叩き起こされて最悪な目覚めだった…。
だが要塞を攻撃を掛けると聞いて一気に目が覚めた。
とうとう自分の命日を来たか…。
敵の攻撃が全くなく私達は拍子抜けしながら入り口までやってきて仲に入ったら辺り一面血の海だった…!!
あちこちにあるゲリラ共の死体はズタズタに切り裂かれていて原型が留めない肉塊になっていた…。
血に沈んだ薬きょうが至る所に落ちているからここで”何か””と戦っただろうか?
震えが止まらない…! 一体何がここであったんだ!
漸くゲリラ共の死体処理が終わった。
アレだけ絶望を感じさせた要塞は陥落して我々は国防軍と共に戦利品を分け合った。
ゲリラ共は既に逃げ出しており明日から追撃するそうだ。
しかし誰がこの要塞で大殺戮を行ったのだろうか?
考えても仕方ないので外に出てもう寝る事にした。この要塞の中で眠りたくないからな。