今一度アシュフォード家に栄光を!   作:マルルス

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今さらですが明けましておめでとうございます
新年初の投稿です。


アークレイ研究所②

エレベーターは下に下にへと降りていく。

アークレイ研究所は洋館の地下奥深くに作られており地上からは見えない様に出来ている。

やがてエレベーターは止まりドアが開く。

 

「途中幾つものセキュリティが有るが今回は特例としていくつか解除してるが妙な行動は控えるようにしてくれ

ここはアンブレラ社の秘匿されている施設だという事を忘れないように」

 

マーレッドは参加者を見て警告する。

彼が言ったようにこの施設はアンブレラ社の一般には知らされてない研究所である。知っているのは会社の幹部を初めとした少数だけだ。

もしもこの施設の事を世間に漏らしたり研究データを盗んだりすればそれ()()()()()という罰を受けることになるだろう。

マーレッドの言葉に何人かは息を飲んだ。

 

「まぁ、そのような人間は此処にはいないだろうがね」

 

そう言い参加者達はマーレッドに着いていく。

階段を降りていくと広い通路があり幾つもの自動ドアがある。

そしてひときわ大きな自動ドアがある部屋に案内される。

 

「この部屋はこの研究所で重要な部屋だ。

中にはアンブレラ社に選び抜かれた優秀な科学者達が日夜研究に励んでいる」

 

中には白衣を着た者達が資料をみて何かを話しておりパソコンにデータを打ち込んでいる。

 

「お待ちしていました。マーレッド主任」

 

「忙しい中、済まないな()()()()()

 

部屋の説明をしているマーレッドの前に一人の男性が声を掛けた。

 

「紹介しよう。この研究所の主任研究員で我がアンブレラ社が誇る天才であるウィリアム・バーキン博士だ」

 

 

(彼があのバーキン博士か…)

 

マーレッドの紹介に反応したのはヴァルフレアだ。

 

ウィリアム・バーキン

 

今、マーレッドが言ったように彼はアンブレラどころか世界でもトップレベルの科学者だろう。

何しろ彼は15歳でアンブレラ幹部養成所に入りその一年後にこのアークレイ研究所に入所して古株の研究員を差し置いて僅か16歳の若さで主任研究員を任せられたほどだ。

ジェームス・マーカス博士が亡くなられて座礁しかけたT-ウィルス研究を引き継ぎその才能で見事完成に漕ぎ着けた。

間違いなく亡き妹のアレクシアに匹敵する天才だろう。

 

(確か資料によればT-ウィルスだけではなく全く新しい()()()()を開発してると書いてあったな)

 

バーキン博士の偉業は何もT-ウィルス開発だけではない。

T-ウィルスを使った生物兵器の提案にT-ウィルスとは全く違う新型のウィルスを造り出してる。

それを考えるとアンブレラ社の最大の功労者と言えるだろう。

 

「それではマーレッド主任。

私は研究の方へ戻ります」

 

「ありがとう。忙しい中時間を取らせて済まなかったな」

 

そう言ってバーキン博士は自身の研究室に戻っていく。

 

「では次にわが社が開発した()()を見せよう」

 

次に紹介するのはこの研究所で造られた商品…生物兵器(B.O.W)の紹介だ。

 

「既に何人かは知っているがもう一度説明しよう」

わが社はバーキン博士が開発したT-ウィルスを用いた生物兵器の製作をしており既に多くの顧客が付いてる」

 

スライドから見せられる生物兵器の写真が次から次へと写される。

 

犬や鮫をベースにした生物兵器や遺伝子組み換えで製作された物などあった。

 

「とは言えこれらは制御面に問題があったり適応出来る場所に問題が有ったりなど実用化までには多くの問題点が存在してる」

 

数多くのBOWが開発されたが問題が多数存在していた。

例えばホオジロザメをベースとしたネプチューン(コードFI-03)は水上では無敵に近い能力を持つBOWだがその性質上、陸上では全くの無力でありまた海水でないと活動出来ないなど問題点が多く失敗作の部類に入ってしまっている。

その他にキメラという人間と(ハエ)の遺伝子を組み込んだBOWが存在するのだが知能が蝿と変わらない為に採用されなかったそうだがヴァルフレアが恐怖したのはその製造方法だ。

簡単に言えば人間の受精卵に蝿の遺伝子を組み込んだ後にソレを()()()()()()()()()()()()()()()()()()という論理感をまるで感じさせないやり方だ…。

あまりにおぞましい方法にヴァルフレアは吐き出しそうになった…。

アルフレッドや他の者も何人かは口元を押さえていたが逆に平然としている者達もいる。

 

辛うじて気分を持ち直しマーレッドの話を聞く。

失敗作が多いが成功またはそれに近い結果を残してるBOWも存在している。

例えば犬種のドーベルマンをベースにしたBOW・ケルベロスだ。

T-ウィルスの影響でゾンビと同じく食欲が暴走していて肉体の外部は腐敗しているが筋肉や運動神経は落ちておらず群れで行動出来たり恐れもないため逃げ出す事もない。

狙った獲物は死ぬまで諦めずトコトン相手を追い詰めていくのだ。

制御面が効きづらい所を除けば完成度が高いBOWと言えるだろう。

そして現在、最も成功しているBOWといえばコードネーム・MA-121、ハンターと呼ばれる存在だ。

 

その姿をヴァルフレアはよく知っている…。

なにせ彼が始めて目にしたBOWでありヴィレーネ内戦で大きく貢献してくれた存在でもあるのだから。

 

「このMA-121はわが社が開発したBOWの中で特に大きな結果を残してくれたBOWだ

高い戦闘能力に簡単な命令なら理解できる知能を併せて持っているだけではなく低コストでクローンで生産もしやすい

今現在で主力製品と言えるだろう」

 

「それは既に実戦に出ているという事でしょうか?」

 

ヨーロッパ支社から来た研究者は疑問の声をあげた。

 

「勿論。MA-121は君の隣にいるアシュフォード卿の協力のお陰で貴重な実戦データを得ることが出来たのだからね」

 

マーレッドの言葉に全員の視線がヴァルフレアに集まる。

 

「それは光栄です。私の問題解決にも繋がりましたから」

 

居心地の悪さを感じながらもヴァルフレアは感謝の言葉を出す。

今思えばマーレッドとの縁はその頃からだったと思い出す。

理由は分からないが自分(ヴァルフレア)がマーレッドの目に止まった。

あのゲリラの連合軍を片付けられたのも彼の協力があったこそだからだ。

 

「ありがとう。

ハンターの実戦映像に関しては後で見せよう

次が本題だ・・・。これを見たまえ」

 

映像がスライドして次のBOWが写される。

それは人間に見えるが詳細は分からずコードネームはT-001・T-002と書かれている。

 

「今この研究所で最も力を入れて開発しているBOW・・・その名はTyrant(タイラント)だ」

 

タイラント

その意味は暴君を意味をする。

 

「タイラントはT-ウィルスの使ったBOWの頂点であり完成形態を目指して開発している

複雑な命令を遂行する知能とその名に相応しい圧倒的な戦闘能力を持つ人間の姿をした兵器・・・それがタイラントだ」

 

その言葉に周囲はざわめく。

ヴァルフレアもまた小さく唸る。

ハンターだけでもあの戦闘能力だったというのにそれを越えるBOWだというのだ。

 

「とは言え大きな問題を抱えている・・・。

まずT-ウィルスに完全適合する素体の問題だ

ウィルスに完全適合する素体が1()0()0()0()()()()()()ということだ

当然ながらそんな存在はそこらに転がってるものではない。」

 

1000万人に一人という問題はあまりに大きな問題だった。

兵器というのは数を揃える事がとても重要だ。たった一つや二つでは意味がない。

そんなT-ウィルスに完全適合する希少な存在を必要とするタイラントは大量生産に適していない存在だ。

それならまだ戦闘能力が高く量産がしやすいハンターの方が使えるというものだ。

そのためこのタイラント計画は一時期行き詰まったそうだ。

 

「うん? 待ってください。

()()()()()()()()()と言いましたが今は違うのですか?」

 

マーレッドの言葉に違和感を感じたヴァルフレアは質問した。

 

「そうだ。我々は見つける事が出来たのだよ

1000万人に一人という完全適合体という人間をな」

 

その言葉に周囲は大きくざわめいた。

 

「しかしT-ウィルスに完全適合する者は先程仰った希少な存在です。一人や二人ではタイラント製作は出来ても数を揃えなければ兵器としては価値が低いはずです」

 

「その問題も解決してる。

わが社は先進国が持っていない高度のクローン技術の開発に成功しており適合者は対価として自身のクローン十数体をわが社に提供する条件を出して我々もそれを受け入れた」

 

クローン技術

各国も研究しているが人権や論理感などの問題で研究はあまり進んでいないがアンブレラはそんな事は気にせずに研究をして成功を納めていたようだ。

 

「ということはタイラントの大量生産は既に完了しているという事ですか?」

 

「まだだ。調整すべき点があるために十数体だけだ。とはいえ生産を始めるのはそう遠くないがね。

さて長引いたが一旦休憩としよう」

 

説明会は終わり休憩後はタイラントの試作体を見るとの事だった

 

「兄さん。休んでるところ済まないけど少しいいかな?」

 

配膳されたコーヒーを飲んで一息付いてる中、アルフレッドが話しかけてきた。

 

「どうした?」

 

「さっきマーレッド主任が言っていたウィルスの完全適合体なんだけど一体誰なんだろう?」

 

「私もそれが気になった。

その人物は誰でアンブレラにどのような報酬を望んだだろうか?

気になってマーレッド主任に聞いたが機密事項とかで答えてくれなくてな・・・」

 

二人はT-ウィルスの完全適合者は一体何者でどの様な報酬を望んだだろうか気になった。

アンブレラ社の力なら大抵の望みは叶えてくれるだろう。一生大金持ちにだって出きるだろう。

 

「T-ウィルスのワクチン研究に協力して貰いたいがそれは難しそうだな」

 

現在アルフレッドが主導して対ウィルス研究を密かに進めてるのだが如何せんサンプルが少ないために思うように進めてないのだ。

ゼネルティーモも協力してくれてるが彼はガン治療薬の研究があるのであまり手が離せない状況だ。

 

だからこそT-ウィルスの完全適合者に協力して貰いたいのだがアンブレラにとっても重要な存在なのでそう簡単にはいかないだろう。

 

「どうする兄さん? マーレッドにも事情を話して協力して貰おうか?」

 

「いや・・・まだこの事は伏せておきたい。

まだあの人の事は信用出来ないからな」

 

ヴァルフレアはマーレッドという男の狙いが分からなかった。

何故彼はあそこまで自分を買っているのか? 何故ここまで協力してくれるのか?

そこが分からなかった。

 

「アルフレッド。大変だが引き続き研究を内密に続けてくれ」

 

「分かった。ただ今のままでは進展が無いことは覚えていてほしい」

 

「私も出来る限りは協力する。頼んだぞ」

 

そう言い話が終わったアルフレッドはヴァルフレアから離れていき他の研究者と会話を始めた。

 

(今のままでは進展はないか・・・。

こちらも独自に適合者を探すしかないか?

だが1000万人に1人だ・・・。砂漠のど真ん中でちっぽけな針を探すようなものだ・・・どうすれば良い?)

 

何しろアンブレラですら適合者を探すのに相当な苦労をしている中で幸運にも見つける事が出来たがアシュフォード家だけではほぼ不可能に近い・・・。

迂闊に動けばこちらが適合者を探してる事がバレてアンブレラ社が不信感を持ってしまう。

例え見つけてもアンブレラ社に適合者を持っていかれるのが目に見えている。

こちらは拒否できる立場ではないのだ・・・。

 

「諸君。ゆっくり休めたかね?」

 

考え事をしていたらマーレッドは部屋に入ってきた。

時間を見るともう休憩時間は終わっていた。

 

「ではいよいよ諸君にタイラントを見せよう

付いてきたまえ」

 

そう言われ全員が部屋から出ていきマーレッドに着いていく。

 

 

 

 

 

マーレッドに着いていき巨大なエレベータに乗り更に地下深く降りていく。

そして目的地に着いたエレベーターは止まる。

 

「こっちだ」

 

通路から多数の靴音が響く。

そして電子ロック式の扉に暗証番号と指紋と角膜のロックを解除して部屋に入っていく。

 

「ここはB.O.Wを保管する部屋だ。

研究中の物も入ってるがな」

 

巨大な容器には何らかの液体とB.O.Wが詰められている。ゴポゴポと気味が悪い音が部屋中に響く。

 

「よし。開けてくれ」

 

マーレッドの指示に従い部下がコンピューターを操作する。

 

「いよいよだ。刮目したまえ」

 

プシュ-と音が響き渡りケースのシャッターが横にゆっくり開いていく。

 

光に照らされてケースの中身を見えてくる・・・。

まず見えたのは巨大な人影で二メートルは有りそうな巨体だった。

 

左胸に心臓が露出しておりドクンドクンと脈打っていて左腕は巨大で鋭利な爪が指と一体化している。

頭部を見れば指ぐらいの太さの血管が顔を覆っていて唇は無く剥き出しの歯が見える。

 

まさに異形の怪物だった…。

 

「如何かな諸君。これがタイラントだ」

 

マーレッドは回りに声をかけるが全員がタイラントに圧倒されていた。

 

「とはいえまだ実戦段階に入っていないが数値上では今までのBOWを上回る性能を誇っている」

 

「その実戦の試運転はいつ頃です?」

 

「残念ながらまだ未定でね。まだ調整がすんでいない部分もあるからだいぶ先だな」

 

研究員の言葉に答えるマーレッド。

 

タイラントの鑑賞が終わりゾロゾロと部屋から出ていく一行。

 

「さて・・・今回の研修会はこれにて終了する

休憩室に食事を用意してあるので迎えが来るまでゆっくりしたまえ」

 

ようやく長い研修が終了する。

休憩室にはこれまた豪勢な食事をテーブルに乗っておりそれを頂いていく。

 

「お疲れ様兄さん

大丈夫かい?」

 

椅子に座って休んでいたヴァルフレアにアルフレッドが心配そうに声をかけた。

 

「今日は刺激的な一日だったからな…。

正直に言えばかなりまいってしまった」

 

グロテスクな怪物にその製造方法にヴァルフレアにとってはキツすぎる内容だった。

彼は支社の代表として経営だけではなく政治の世界にも関わっているが今回のようなアンブレラの裏の顔を知っていても中身までは見ていないので今日のようにいきなり見せられると精神的に来るものがあった…。

 

「お前は大丈夫なのか…」

 

「僕はロックフォート島の責任者だからね

日頃からああいうのを見てるから…」

 

「そうだったな…」

 

弟のアルフレッドはロックフォート島の研究所の所長としてBOWを日頃から見ているのでそれなりに耐性があったようだ。

弟の逞しさに感心する。

 

「あと少しで帰れるな…。ヴィレーネが恋しくなった」

 

何だかんだであの国に愛着を持ってしまった。

精神的にきつい()()ももう終わりだ。

帰ったらラクーン市長から貰った土産を食べようかと考えてると

 

「ヴァルフレア君、少しいいかな?」

 

マーレッドに呼び掛けられてゲンナリするのだった。




次回 G-ウィルス
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