今一度アシュフォード家に栄光を!   作:マルルス

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お待たせしました。


確執 ウィリアムとアレクシア

「・・・確かにGに感染した生物はT-ウィルスで創られたBOWを凌駕する強靭な肉体に変貌してしまい生半可な攻撃では殺す事が出来ない。それどころか肉体をより強靭に進化させてしまい手がつけられない状態になってしまうだろう」

 

ヴァルフレアの質問に少し苛立ちを見せながらもバーキンは淡々と説明する。

 

「失礼ながら・・・それでは生物兵器としては失敗に入ってしまいます・・・。BOWのポイントは低コストで尚且つ命令を忠実に聞く強力な能力を持つことです

G-ウィルスは強力な力を持つ生物を作り出せますが制御が出来なければ意味がありません」

 

バーキンの説明にヴァルフレアはBOWのコンセプトを元にGの危険性を訴えた。

強いが制御が全く効かない生物では()()にはならない。

それならある程度の制御が効きやすいTーウィルスをメインにBOWを創っていた方が却って安全なのではないか?

 

「先程も言ったがTーウィルスでは進化に限界がある!

それに対してGは()()()()()()を秘めてる!

何故それを理解しないのだ!」

 

「お…落ち着いて…!ウィリアム…!」

 

「それとも何だ! 私のGはアレクシアのT-Veronicaに劣るとでも言うのか!!」

 

ヴァルフレアに自身の傑作であるGを否定されたと感じたのかバーキンはアネットの言葉を聞き入れず今までにない程に激昂する。

 

「い…いえ、そんなつもりでは…」

 

どうもバーキンの逆鱗に触れてしまったようだ…。

ヴァルフレアは冷や汗を出しながら誤解を解こうとしどろもどろになりながら落ち着かせようとする。

 

 

「なら私が聞こうかバーキン。

Gウィルスで造られた生物は制御が可能なのか?」

 

再び起きたバーキンの癇癪にマーレッドは青筋を立てながらヴァルフレアと同じ質問を冷たく投げた。

 

「ッ…それは現時点ではまだ…制御は出来ておりません

しかしいずれはそれを可能にしてみせます」

 

マーレッドの表情を見て流石に不味いと感じたのかバーキンはおそるおそるだが質問に答える。

 

「出来れば期間を定めて欲しかったがな

だが制御出来るというのなら必ずやって貰うぞ。いいなバーキン」

 

「は…はい…」

 

「では他にGについて何か質問があるかね?

アシュフォード卿」

 

「ぁ・・・はい・・・。では」

 

こちらに顔を向けるマーレッドにヴァルフレアは質問を続けた。

バーキンは先程と違って癇癪を起こさずに淡々と質問に答えてくれた。

 

 

 

 

 

しばらくして

 

「有り難うございます。

私からは以上です」

 

ヴァルフレアはGーウィルスに関する質問を全て終えたのでここらで切り上げた。

 

「そうか。

ではここらで終わりにしよう。

アネット、アシュフォード卿を出口まで案内してくれ。

私はウィリアムにまだ少し用があるのでね」

 

「分かりました。

アシュフォード卿、こちらへ」

 

マーレッドの指示を受けたアネットはヴァルフレアをヘリポートまでエスコートする。

来た道を戻りエレベーターに乗る。

 

「アネットさん

少し宜しいでしょうか?」

 

「・・・! 何かしら?

もしかしてまだGについて聞きたいことがあったかしら?」

 

「いえ・・・Gーウィルスについてはもう良いです

実はバーキン博士のことで聞きたいことあります」

 

ヴァルフレアはバーキン博士に先程から気になっていた事をアネットに質問をした。

 

「ウィリアムのこと・・・?

それならごめんなさい・・・。 アシュフォード卿に対してあのような無礼なことしてしまって・・・後で夫にキツく言っておくわ」

 

夫であるウィリアムについての質問でアネットは夫の無礼な態度の事だと思いヴァルフレアに頭を下げて謝罪した。

しかし

 

「いえ・・・それは気にしていませんから大丈夫です

私が気になってるのは博士と妹の・・・アレクシアとの関係です。

それと私の事はヴァルフレアと呼んでくれても構いません」

 

「・・・」

 

「先程、バーキン博士はアレクシアに強い怒りを抱いてるように感じまして・・・もしかしたらアレクシアは博士に非礼を取ったのではないかと思ったのです。

もしそうなら私はアシュフォード家の当主としてだけではなく彼女の兄として博士に謝罪しなければなりません…」

 

アレクシアは正に天才だったがまだ10歳そこらだ。

バーキン博士が見せたアレクシアへの強い怒りで妹のアレクシアは過去に博士に対して失礼なことをしてしまったのではないか心配になったからだ。

もしも今後バーキン博士に会う機会が出来たらアレクシアはもう10年前からこの世に居ないがそれでも当主として身内の無礼は詫びなければならない。

 

「あぁ・・・そうだったの。

その事なんだけど実は_」

 

ウィリアムの態度の事ではなくてアネットは内心ホッと一息をついて言葉を続けようとするが丁度エレベーターが上層について扉を開く。

 

「ここではなんだし控え室に行きましょう」

 

「分かりました」

 

コツコツと靴の音が廊下に響く。

無機質な廊下には誰もおらずヴァルフレアとアネットの二人だけだ。

控え室につくと大勢居た研修生や弟のアルフレッドの姿も見えない。

おそらくこの研究所にはもう居らず各々帰路についてるだろうと考える。

広い空間なのに若干の息苦しさを感じる。

 

「さっきの話なんだけど・・・」

 

ヴァルフレアとアネットは椅子を座りテーブル越しに対話する。

 

「まず・・・アレクシアとウィリアムは一緒に仕事はしてないの。だからアレクシアがウィリアムに失礼な対応をしたわけではないから安心して」

 

「そうだったんですか・・・」

 

どうやらアレクシアはバーキン博士に無礼な対応したわけではないようだ。

その事に安緒する。

 

「もっと言えば、多分だけどアレクシアはウィリアムの事を知らないでしょうね…」

 

アネットの言葉にヴァルフレアは疑問が沸いてくる。

一緒に研究していた訳でもなくアレクシアはバーキン博士の事も知らないと言うのだ。

それなら何故バーキン博士は彼処までアレクシアに怒りを抱いていたのか?

 

「少し長い話になるけど良いかしら?」

 

「大丈夫です」

 

「分かったわ。

じゃあまずウィリアムについて話しましょう

ウィリアムはあのマーカス博士の弟子でこの研究所に配属されたのは彼がまだ16歳の時だった。

彼の才能を高く評価していたスペンサー会長の意向で主任研究に抜擢されてこの研究所の実権を握ったわ」

 

「ウィリアムは正に天才よ。

長い間行き詰まっていた研究を少しデータを見ただけで問題を解決してしまうなんて序の口で

常に新しく独創的な研究を次々と始めて成果を出してきた」

 

彼に敵う研究員なんて居なかった。

アネットはそう告げた。

 

「ウィリアムにとってもそれは自身の自慢であり誇りでもあった

だけど…」

 

言い澱むアネット。

彼女は周囲を見渡して他に誰も居ないのか改めて確認した。

 

「…その誇りと自慢がある少女によって完膚なきに破壊されてしまったわ」

 

「まさか…その少女は…!」

 

「そうアレクシア・アシュフォード…貴方の妹よ…」

 

「…!」

 

ヴァルフレアは息を飲む。

ここでアレクシアの名前が現れたのだ。

 

「もしもアレクシアが大人でキャリアが長い人だったらウィリアムもよくある対抗意識を持つぐらいで済んだでしょうね…」

 

「…? あの…どういう事ですか?

アレクシアが大人とかキャリアが長いとか…」

 

言葉の意味が分からずヴァルフレアは疑問を投げた。

 

「ヴァルフレア君

ウィリアムが研究主任に抜擢されたの幾つのときか覚えてる?」

 

「確か16歳ですね」

 

「その通りよ。

彼は若干16歳という年齢でウィルス研究の最前線に立ち多くの成果を出してきた。

さっきも言ったけど彼にとってもそれは自慢だったのよ」

 

だけど…

アネットは一呼吸して言葉を続ける。

 

「アレクシアは僅か10歳にして少女でありながら主任研究員になってしまった事でウィリアムは16歳で主任研究員になったその偉業を彼女に塗り替えられてしまったわ。

…そしてプライドが高い彼にとってそれは決して受け入れられるものでなかった…」

 

あの頃のバーキン博士は荒れに荒れたそうだ。

 

 

「彼にとっても更に最悪だったのはアレクシアがウィルス研究の最前線に立っただけではなく間もない内に始祖ウィルスをベースにT-Veronicaという新種のウィルスの開発に成功したという知らせが届いてしまってそのプライドはズタズタにされてしまったわ」

 

「博士はTーウィルスを研究していたはずでは…?」

 

「いいえ。その頃は彼の師であるジェームズ・マーカス博士が主導していたの

ウィリアムがTーウィルスの研究を始めたのはマーカス博士が亡くなりその研究を継いだのよ」

 

バーキン博士がTーウィルス研究に乗り出せたのは1988年からだ。

一方アレクシアがTーベロニカを造ったのは1983年だ。

もっと言えばバーキン博士のTーウィルスの研究は彼がいちから始めたものではなくて彼の師であるマーカス博士がある程度進めていた研究でバーキン博士はそれを引き継いだだけだ。

それに対してアレクシアは始祖ウィルスというウィルスをベースにいちから造り上げた。

 

(アレクシアの実力はバーキン博士を凌いでいたのか…。

そしてT-ベロニカ…。

子供の頃に新しいウィルスを開発したと聞いてもいまいち何が凄いのか解らなかったからな…)

 

当時のヴァルフレアはT-ベロニカは妹が造った凄い物としか認識していなかった。

如何にアレクシアの才能がずば抜けているのか再認識する。

 

「それらの事が有ってかあの頃のウィリアムは対抗心と嫉妬で暴走してしまって…見ていられなかったわ…。」

 

アネットはあの当時を思い出したのか疲れた表情になる。

 

「一体、何が有ったんですか…?」

 

「結構ショッキングな話になるけど…いいかしら?」

 

ヴァルフレアは大丈夫ですという意味の頷きをして話を聞く。

 

「アレクシアの対抗心を燃やしたウィリアムは

()()()()()使()()()()()()()を創造する研究計画を打ち立てたわ」

 

「強化生物の創造ですか…。」

 

「ええ…後にB.O.W開発に繋がる研究よ。」

 

アレクシアに対抗するためにバーキン博士はアンブレラ上層部を説得しウィルスを使った強化生物を開発する計画を立ち上げた。

アンブレラも新たな商品を欲しがっていたのでこの計画に賛同してバーキン博士はその研究の責任者に任命された。

この研究が元に後に数多くのB.O.Wが造られたようだ。

 

「とはいえ順調な滑り出しではなかったわ…。

失敗の繰り返しばかりでそのせいでウィリアムは怒鳴りちらしてばかりだった…。」

 

バーキン博士が発案した強化生物の開発は思いの外上手く行かず失敗の連続だった。

ウィルスの影響が強すぎて制御が効かずただ暴れまわるだけだったり

ウィルスに肉体が耐えられずに死亡するなど難航を極めた。

バーキン博士はこれらの結果に苛立ち癇癪を起こしてばかりだったそうだ

 

「当時の彼は無計画に実験しては被験者を死なせてばかりで補充が全く追い付かなかった程だったわ…。

彼の親友だったアルバートはなにかとウィリアムのフォローの駆け回っていたりとにかく大変な毎日だった…。」

 

当時アネットはバーキン博士と交際しており彼の助手として働いていたが博士の常軌を越えた行動に四苦八苦したそうだ。

 

「こんな有り様だから職員達がここにアレクシアがいればと愚痴を溢していてそれがウィリアムをますます暴走させたわ」

 

それらの事があってバーキン博士は暴走を続けるばかりで強化生物の研究は停滞していたそうだ。

しかし…

 

 

「研究が始まって一年後かしら…。

ある一報が入ってきたの

「アレクシアがウィルス研究の事故で亡くなってしまった」

という知らせがね」

 

「!!」

 

アレクシアの死…。

ヴァルフレアにとってそれは耐え難い悲劇だった。

尊敬する父、アレクサンダーが事故で亡くなってから間もない内に妹のアレクシアがウィルスの漏洩で亡くなった。

父親の死を深く悲しんでいたのはアレクシアだろう。なぜなら父親の死因は自分が担当する施設の不注意だったからだ。

 

(もしかしたらアレクシアは自分を責め続けていたかもしれない…。

父の死の原因は自分にあると断じて…。)

 

主任研究員で南極研究所の所長でもアレクシアはまだ10歳そこらだ。

いくら天才でもまだ子供だったアレクシアは父の死で精神的に不安定になりそれが命取りになってしまったのかも知れない…。

 

「大丈夫…?」

 

「ええ…。話の続きをお願いします…。」

 

「アレクシアが亡くなってウィリアムはその…対抗相手が居なくなったせいか冷静を取り戻してくれて無茶な実験を止めてくれたわ。

そして彼に陰口を叩いていた連中もアレクシアが居なくなったからウィリアムを認めるしかなくなった。」

 

ライバル視していたアレクシアが居なくなったお陰でバーキン博士は元の調子を取り戻してくれたようで無計画な実験を止めた。

お陰でチーム全員はバーキン博士の後始末に駆り出されずに済みホッとしたそうだ。

 

ただそれでも彼の前でアレクシアの名前は禁句だそうでアレクシアの名前を出せばバーキン博士は烈火のごとく激怒して仕事にならないレベルらしい。

アレクシアが亡くなりアークレイ研究所は彼女の研究成果と開発したとされるT-ベロニカウィルスを取り寄せようとしたがバーキン博士は猛反対してそれを阻止した。

研究所の所長やチームは博士を説得しようとしたが何がなんでも耳を貸さなかったそうだ。

結局、アレクシアの研究は誰の目にも触れられずそのまま消えていってしまったのだった…。

 

「だからあの時、博士はあそこまで私に激怒したわけですか…。」

 

バーキン博士はライバルだったアレクシアの兄である自分にG-ウィルスを否定されたことでアレクシアに自慢であるG-ウィルスを否定されたのも同然で博士にとって決して許すことが出来ない事だったのだろう…。

ヴァルフレアは知らずに彼の地雷を踏んでしまったようだ。

 

「これがウィリアムとアレクシアの確執よ。

と言ってもウィリアムが一方的に目の敵にしていただけなのだけどね…。」

 

「教えてくれてありがとうございます。

そろそろ迎えの時間なのでこれで失礼します」

 

「こちらこそごめんなさい。

夫にはきつく言っておくわ」

 

ヘリの迎えの時間がきたのでここで会話を終えることにした。

アネットは夫がいる研究室に戻りヴァルフレアはヘリポートに移動する。

 

 

 

「申し訳ない。思ったより時間が掛かってしまったな」

 

途中、マーレッド主任と合流して彼と一緒に迎えのヘリに乗ることになった。

 

「ウィリアムが無礼を働いて済まなかったなヴァルフレア君。」

 

「いえ…アネットさんにも言いましたが気にしてはおりませんので」

 

「そうか。

ところでアネットと何か話でもしていたのかね?」

 

ヴァルフレアはマーレッドにバーキン博士とアレクシアの関係をついて教えてもらった事を話す。

 

「まさか博士が妹の…アレクシアをあそこまで目の敵にしていたのは知りませんでした。」

 

「事前に君に言っておくべきだったよ。

まさか君にまで突っ掛かるとは思わなかった」

 

申し訳なさそうしてヴァルフレアに謝罪するマーレッド。

ヴァルフレアも気にしてないとマーレッドに伝える。

 

「いや…それでは私の気持ちは晴れないし君をアークレイ研究所に呼んだのは私だ。

もし今後何かあったできる限りの協力すると約束しよう」

 

償いにヴァルフレアに最大限の協力を約束したマーレッドにヴァルフレアも無下には出来ず今後に何か問題があったら助けてくれるように頼むことにした。

 

「マーレッド主任。良かったら一つお聞きして宜しいですか?」 

 

「何かね?」

 

「私にGウィルスを見せたのはどうしてです?

貴方は私をここ(アークレイ研究所)に呼んだ本当の目的だと仰っていましたが?」

 

マーレッドはヴァルフレアに極秘扱いであるGを見せた理由とは一体何なのか?

 

「そうだったな。ウィリアムのことでそれを伝えるのが遅れてしまった。

君にGウィルスを見せたのは他でもなく君を信用してるからと何か有ったときに協力してもらいたいからだ」

 

「説明をお願いします」

 

信頼している。

マーレッドはそう言うが果たしてそれは事実なのか…?

彼ほどの大物が自分のようなウィルス研究に縁がない者に何を信用するというのか?

 

「まぁ疑いはあるだろう。

ただ君を信用してるのは本心だ。神に誓ってもいい。」

 

まっすぐとヴァルフレアに目を見て伝えるマーレッド。

 

「話を続けよう。

先程言ったとおりGウィルスは現在、アンブレラ社のトップシークレットに入る研究だ。

君の言うとおりGウィルスは制御が難しいという欠点も抱えている。

だがそれでもGの無限の力はあまりにも魅力的だ。文字通り取り憑かれる程にな」

 

「だからこそ()()()()()()手に入れようと躍起になる輩は必ずいる。

内外からな」

 

「アンブレラ社にもですね…」

 

「その通りだ。

問題が発生するのならそこからの方が大きいだろう

だからこそ一人でも味方が欲しいのだ」 

 

「そうですか…。

(何だかとんでもない事に巻き込まれてないか私…)」

 

アンブレラ社のトップシークレットに関わる羽目になってる事に大きな不安が押し寄せるヴァルフレア。

 

「そういった輩もそうだが特に危険なのはウィリアムだよ」

 

「えっ…バーキン博士がですか…?」

 

驚く事にマーレッドが危険視しているのはなんとウィリアム・バーキンだった。

意外な人物の名前が出たことに目を丸くするヴァルフレア。

 

「フム…ヴァルフレア君。

今日初めてウィリアムに会ったと思うが…君から見てウィリアムはどんな人物だと思った?

正直に答えていい」

 

「そうですね…。

その…博士は実績や頭脳に関しては極めて優秀な人物だと思います。

ただ…」

 

「ただ…何だね?」

 

「性格に関してははっきり言って誉められたものでは有りませんでしたね…。

幼稚と言っても良いかもしれません」

 

Gに否定的な意見に出したら烈火の如く怒る姿やアネットに聞いたアレクシアへの一方的なライバル視による無計画な思い付きで暴走する様は成熟した大人とは思えない。

ヴァルフレアはウィリアム・バーキンとはっきり言えば関わりたくない人間だと感じた。

 

「それに加えて承認欲求と上昇思考が人一倍に強い。研究のためならどれだけの命が消し飛ぼうが気にも止めない。

そして己以上の天才は決して認めない。

それがウィリアム・バーキンという男だ」

 

「…」

 

バーキン博士は世に言うサイコパスもしくはマッドサイエンティストの部類に入るのは間違いないだろう。

しかし逆に言えばだからこそ研究者として大成したのだろう。

特にアンブレラの裏の研究はマトモな人間では正気を保つのは不可能だ。

ヴァルフレアは自分だったら一週間も耐えられないだろうと理解する。

 

「さてヴァルフレア君。

仮にもだがGウィルスの研究を中止するよう命令が下ったらバーキンは止めると思うかね?」

 

「絶対に止めないでしょう。

多分、知ったことではないとそのまま研究を続行するかと思います…。」

 

バーキン博士の性格を考えると例えアンブレラ上層部の命令でも研究を止めないだろう。

なにより博士はGウィルスに執着、否、取り憑かれてると言っても過言ではない。

 

「当然、博士とアンブレラとの仲は険悪になります。何らかのイザコザが起きかねませんね…。」

 

命令を無視するバーキン博士をアンブレラ社は黙っているだろうか?

間違いなく博士を危険視するはずだ。

 

「バーキンは自身の研究を邪魔するならアンブレラの者だろうと容赦しないだろう。

Gを守るためにT-ウィルスをばら蒔く可能性もある。」

 

「な…! T-ウィルスをですか!」

 

「G-ウィルスを守るためならそれぐらいやりかねん」

 

あの危険すぎるウィルスを散布なんてしたら間違いなく未曾有の生物災害(バイオハザード)が起こる。

T-ウィルスの感染力を考えると被害は大都市どころか国家全体にも及びかねない。

 

(最悪地球全土まで及ぶかもしれないぞ…。)

 

 

もしそうなったら…考えるだけで恐ろしい…。

そんな事は絶対に食い止めなければ…。

 

「もしくは何処かに亡命するかだ」

 

「亡命ですか?」

 

「うむ。バーキンにとってGの研究が出来れば何処でも構わないだろう。

もしも何処かの国にGについて話せば喜んで亡命を受け入れる可能性があるな。

例えばアメリカ合衆国の政府とかだな。」

 

「T-ウィルスをばら蒔くよりはマシですがそれもかなり不味いですね…。

合衆国政府にアンブレラの裏の研究がバレてしまいます」

 

合衆国政府がアンブレラの裏の研究を知ってしまったら間違いなくそれを世間に公表するだろう。当然そんなことになったらアシュフォード家もタダでは済まない…。

捕まって一生独房暮らしが待っているかもしれない…。

 

「安心したまえ。

アメリカは我々の研究を公表したりはしない」

 

「えっ…。どうしてです?」

 

頭を抱えていたヴァルフレアにマーレッドはそんな事はないと伝える。

 

「そもそも合衆国はアンブレラの裏の研究を知っているからな」

 

「なっ!」

 

マーレッドの言葉にヴァルフレアは驚愕する。

 

「ヴァルフレア君。

いくら我々アンブレラ社でも流石に合衆国を始めとした先進国に黙ってB.O.Wやウィルス研究が出来るわけないだろう。

彼らだって一枚二枚と噛んでいるのだよ」

 

「先進国まで協力していたと言うのですか…。」

 

だが冷静に考えればあんな大規模な研究を国に黙ってやるのは不可能だろう。

特にアメリカのような世界中に影響力をもつ超大国相手に隠し事なんて尚更不可能である。

 

「流石に研究内容に関しては最高機密だから奴らも知らないがね。だからこそこっち(アンブレラ)が主導権を握っていられるのだ。

しかし…その機密が連中に知られたらそうはいかない」

 

「その機密を手土産に亡命ですか…。」

 

もしもバーキン博士が政府に亡命などされたらアメリカに対しての主導権を失ってしまいアメリカの言いなりになってしまうだろう。

 

「当然、我々も何としてでもバーキンの亡命を阻止せねばならん。

だか追い詰められたバーキンがT-ウィルスをばら蒔く可能性もある」

 

「厄介過ぎませんか…。」

 

「勿論、バーキンが亡命しないようにしっかり監視はしておく。

奴とG-ウィルスにチョッカイかける者もだ

しかし…それでも問題が起きた時はヴァルフレア君にも協力してもらうかも知れん。」

 

「わ…分かりました。

私に出来る事は全力でやらせて頂きます。」

 

「ありがとう」

 

本当にとんでもない事に巻き込まれてしまったヴァルフレア。

 

(バーキン博士…。

お願いですから変な気は起こさないで下さいよ…。)

 

心の中でバーキン博士が暴走しませんようにと祈りを捧げるのだった。

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