運命が動き出す…。
1976年 10月
この南極に来てから三年が経ち僕は七歳となった。
ずっと
最近アルフレッドとアレクシアも付いてきて故郷の実家に過ごしたりした。
変わった事と言えばアレクシアが来年、欧州で最難関で名門と呼ばれる有名な大学に行く事になった。
アレクシアの頭脳は成長を続けて今や高名な学者やら専門家とも対等に話が出来たりと周りから「神童」と呼ばれたり「始祖ベロニカの再来」だとか持て囃されてる。
長男として妹が喝采されてるのは素直に嬉しいし同時に嫉妬もしてる。ここ数年で僕がどんなに頑張ってもアレクシアには届かないと分かってしまった…。
だけどアレクシアの事が嫌いにはなっていない、アレクシアは父さんの期待に応えようとずっと頑張ってるんだ。長男として彼女を支えないといけない。
僕も来年から学校に行く事になって実家から車で通う事になっている。それにしても学校か・・・南極でも家庭教師がついてずっと勉強してきたけど知らない子供達と一緒に勉強するのは初めてだな…。
でもアレクシア程ではないけど僕も勉強が得意だと自負してる。何とかなるだろう。
ちなみに僕が通う学校は所謂、上流階級の子供達が通う学校でその多くがアンブレラ社に務めている人達…それも幹部の子供だそうだ
父さんもアンブレラの幹部だから僕もこの学校に行く事になったのかな? 父さんからは「アシュフォード家の男児として恥ずかしくないように」と言われた。
まぁ、とにかく父さんの言う通りアシュフォード家の男児としてしっかりと頑張らないと。
1982年
その後、暫くして弟のアルフレッドもヴァルフレアと同じ学校に入学した。
ヴァルフレアとアルフレッドが学校に入ってからあっという間に六年が経った。
ヴァルフレアは13歳、アルフレッドは11歳となり二人は競い合いながらも仲良く過ごし友人を作りながら充実した学校生活を送っていた。
ある日、ヴァルフレアとアルフレッドの二人は使用人達と囲まれながら朝食を食べていつもの一日を過ごそうとしてた時だった。
ジリリリ!!
「こんな朝早くに何だろう?」
「珍しいね…誰からかな?」
ヴァルフレアとアルフレッドはジーナが用意した朝食を食べてる最中、電話が鳴り響いた。
「私が行ってきます。
はい、こちらアシュフォードです
これはハーマン様、どうされましたか?
えっ? はい、ヴァルフレア様はアルフレッド様と一緒に今朝食を…はい、分かりました。直ぐに代わります」
ジーナは電話を取り内容を聞く。
「ヴァルフレア様、お食事中失礼します。
ハーマン様がヴァルフレアに代わって欲しいと」
「ハーマンが?」
電話の相手はアシュフォード家の使える古株で執事長のハーマンだった。
「もしもし?ヴァルフレアだ」
「あぁ! ヴァルフレア様! 大変です! アレクサンダー様が…お父上様が…!!」
「…! 父さんがどうしたんだ…?」
胸に嫌な予感が沸き上がる… あのハーマンがここまで狼狽えてるなんて只事ではないのだろう。
「ア…アレクサンダー様が
「なっ!? 父さんが!! 一体どうしてだ!何があったんだ!!」
執事長ハーマンから聞かされた余りにも衝撃で残酷な言葉にヴァルフレアは冷静をなくし叫んだ。
ヴァルフレアの叫びにアルフレッドやジーナを始めとした使用人達はざわめき出した。
「兄さん…? どうしたんだ? 急に大声を出して」
心配し声を掛けたアルフレッドだがヴァルフレアは放心し唖然とするしかなかった…。
「兄さん…?」
「父さんが…死んだ…」
「えっ!?」
ヴァルフレアから出た言葉にアルフレッドや使用人達は驚愕する。
「と…父さんが! どうして!」
「詳しい事は分からない… 何か爆発事故に巻き込まれたみたいだ…」
「そ…そんな…」
足から力が抜けて尻もちをつくアルフレッド。
あまりにもショックだったが何とか自分を落ちつかせたヴァルフレアは使用人達に飛行機の準備をするように指示した。
南極研究所に行き詳しい事を知るためだ。
あそこには大学を首席で卒業し若干11歳で
彼女なら詳しい事を知ってるはずだ。
ヴァルフレアの指示に使用人達は大急ぎで各方面に連絡しアシュフォード家が所有する飛行機の準備を急いだ。
ヴァルフレアとアルフレッドは空港から飛行機で南極に向かった。
六年ぶりに見る南極の大地を眺めながら二人は一言も話さずに静かに座っていた。
長いフライトを終えようやく見るアンブレラの南極基地に到着した。
「お久しぶりです…。ヴァルフレア兄さま、アルフレッド兄さま」
飛行機に降りて基地に入ると妹であるアレクシアが二人を出迎えた。
「アレクシア…久しぶりだね…」
「アレクシア…大丈夫かい…」
さっきまで泣いていたのかアレクシアの目が赤かった…。
流石の彼女も父親の死には堪えたのだろう。
ヴァルフレアとアルフレッドが彼女に会ったのは六年ぶりになった。
アレクシアは6歳でヨーロッパの有名大学を入学しその天才的な頭脳を発揮して僅か10歳で首席卒業する快挙を成し遂げただけではなく始祖ウィルスからT-Veronicaという画期的な新型ウィルスの開発にも成功した。
その結果、10歳ながらアンブレラから幹部として入社しこの南極研究所の主任研究員として迎えられる事になった。
「こちらです…」
アレクシアに案内され冷凍室に入ったヴァルフレアとアルフレッドが見た物は…
所々焼け焦げた右手だった…。
「こ…これは…!」
「ま…まさか! これは父さんの…!」
それはかつて父親だった一部だった。
アレクシアによると父アレクサンダーは爆発の至近距離にいたため肉体は爆散してしまい辛うじて残った右手にはめてある指輪とDNA検査の結果、アレクサンダーのものと判明した。
「父さん…! う…うぁぁぁぁっ!!!」
父親の余りにも無残な姿にアルフレッドは号泣しヴァルフレアもアルフレッドに寄り添い大粒の涙を流し続けた…
その後…アルフレッドは使用人の一人に付き添われながら基地にある自分の自室に籠ってしまった。
ヴァルフレアもまだ精神的なショックは大きいが何とか持ち直しアレクシアから事故の詳細を聞いた。
「私も詳しい事は分かりませんが…」
アレクシアは自身の研究の際、必要な機材が無くアンブレラからその機材を送ってくれるように依頼した。
それから何日経った後、その機材が届いたのだが丁度アレクシアは実験で手が離せなくなり代わりにアレクサンダーがその機材を見に行くことになったのだが突如、その機材が入った箱が爆発したのだ。
さらに運が悪い事に近くに可燃性が高い資材が入ったケースが多くあってそのせいで被害が拡大してしまい大惨事になってしまったのだ。
「爆発の原因はなんだ?」
「分かりません…それは今調べている最中です」
「そうか…」
まだ事故の詳細には時間が掛かるらしくヴァルフレアはアレクシアにその間は休んだ方が良いと言われそれに従う事にした。
基地に有る自分の部屋に久しぶりに入るヴァルフレア。
「久しぶりに入ったな… 懐かしい…」
学業の為に六年間、空けていた部屋だが使用人がキチンと清掃しているおかげか埃などは見受けられなかった。
ヴァルフレアはベットに腰掛けると今までの事を思い出す。
「父さん…僕は父さんの言う通りアシュフォード家の男児として恥ずかしくない学校生活を送ってきたよ
勉強だって一番で首席で卒業したんだよ…見て欲しかったな…」
ヴァルフレアが頑張ってきたのは父であるアレクサンダーに恥ずかしい思いをさせたくなかったからだ。
勉強もそうだ…いい結果を出すとアレクサンダーはヴァルフレアの頭を撫でて「流石、私の息子だ」と言ってくれるのが大好きだった。
だけどその父はもう居ない…。ヴァルフレアはこれから何を目指して頑張ればいいのか分からななかった。
「僕はどうすれば良いんだ…」
憂鬱に沈む中、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
「ヴァルフレア様…ハーマンです。宜しいでしょうか?」
「ああ…入って良いよ」
許可を得たハーマンは部屋に入ってきてヴァルフレアの近くまで歩いて来る。
「ヴァルフレア様… お父上様の事は誠に残念であります…」
「…」
「実は…アレクサンダー様からお預かりしてる物があります」
そう言いハーマンは懐から箱を出しヴァルフレアに手渡した。
「これは?」
「先週、アレクサンダー様はこれを貴方に渡そうとしたものです。
何があった時は私が渡す様に仰せつかりました」
「父さんが? ごめん…一人にしてくれるか」
「はい」
ハーマンは部屋から出ていきヴァルフレアは丁寧に包まれた紙を外すと手紙があったがそれを横に置き箱の空けるとそこには大きな黄色に輝くペンダントにされた宝石が入っていた。
美しい輝きを放つ宝石に見惚れるが手紙があった事を思い出し広げて読んでみる
『ヴァルフレアへ
卒業おめでとう。
箱に入ってるのは私が特注に加工を依頼した宝石が入っている。
私とアルフレッドとアレクシアにはそれぞれピアス・指輪・チョーカーに宝石を身に着けているが、お前にはまだ渡してなかったのでこの世にも珍しいイエローダイアモンドという宝石をお前へのプレゼントとして受け取って欲しい。
正直、私はお前に父親としてやるべき事をしてやれなかった…。教育も育児もハーマンを始めとした使用人達に任せっきりだった。プレゼントもあまり送ってやれなかった…卒業式すら出てやれなかった…。
そんな私をお前はいつも慕ってくれた。お前の笑顔はいつだって勇気づけられた。
お前は私の自慢の息子だ。
今度、休暇が取れたら親子四人で旅行に行こう。楽しみにしてくれ
アレクサンダー・アシュフォード』
手紙を読んだヴァルフレアは大粒に涙を流し暫く泣き続けたのだった…。
南極に到着して一週間が経った。
ヴァルフレアの自室にはアルフレッドとアレクシア、ヴァルフレアがいた。
ようやく事故の詳細が分かったのでアレクシアがアルフレッドと一緒に部屋に入ってきたのだ。
「それで…原因は何だったんだ?」
ようやく来た詳細にヴァルフレアはアレクシアに質問する。
アルフレッドもアレクシアを無言で見つめる。
「簡潔に言えば…管理と教育の不徹底です…」
「どういう事だ?」
アレクシアが言うには爆発の原因なのはLC-196という爆発性が高く慎重な取り扱いが要求される液体で本来は特殊な容器に入っていなければならない代物でLC-196用に開発された対爆性に優れたケースに入れておかねばならないのだが…どういう訳かそれがに他の資材のケースに混じっていたらしくソレに気づかない作業員が乱暴に荷下ろしした結果爆発したのだ。
もっと言うとLC-196はつい最近この南極基地で使われる事になった物で作業員全員に通達したが
「な…なんて事だ…そんな下らないミスで父さんが…」
ヴァルフレアとアルフレッドはアレクシアに聞かされた事故の詳細に怒りを通り越して呆れるしかなかった。
「申し訳ございません…! これは責任者である私の責任です!
私がお父様を殺したのも同然です…!!
私がもっとしっかりやっていれば…!」
アレクシアは涙を流し二人に深々と頭を下げた。
「アレクシア…! 君が謝る事じゃない…!」
アルフレッドはアレクシアを宥めた。
確かにアレクシアにも責任はあるのだが…彼女はまだ11歳の子供なのだ。
彼女の一人が悪いと言ったらそれは違うだろう。
「アレクシア…頭を上げてくれ
悪いのはそのLC-196というそんな危ない代物を碌な社員教育しなかったアンブレラ社の方が責任は大きいんだ」
「お兄様…」
真っ赤に腫らした目を見るとアレクシアは今回の出来事でどれだけ自分を責めてるのか分かる…。
「取り敢えず…これからの事を考えよう…」
三人は葬儀を含めてこれからの事を話し合った。
その後…ヨーロッパの自宅でアレクサンダーの葬式が行われた。
親交があった著名人達が訪れ粛々と進み終わった。
葬儀が終わるとヴァルフレアはアシュフォード家の
理由は研究に重視するためとやらなければならないことがあるとの事だった…。
アレクシアの強い意志にヴァルフレアは長男としてアシュフォード家の当主になる事を受け入れ弟のアルフレッドも賛成した。
ヴァルフレアがアシュフォード家の七代目当主になった事を見届けたアレクシアは再び南極に戻りヴァルフレアとアルフレッドは父の遺品をそれぞれ受け取り形見として持つ事にした。
当主となった事で執事長のハーマンからアシュフォード家の伝統の宿品として陶器の壺が贈られた
その後、暫く喪に服した後は二人は父の悲願だったアシュフォード家の再興のために学業に力を入れたのだった。
1983年
ヴァルフレアは14歳となり学業を並行して当主の仕事はアルフレッドやハーマンを始めとした使用人達に助けらながら何とかこなしていった。
しかし当主としての仕事をこなしていく内にヴァルフレアはアシュフォード家を懇意していた者達が次々と去っていく事に心を痛めていた。
アシュフォード家の現状はハッキリ言って酷いものだった…。
かつてはアンブレラ社の創設に関わった名門貴族として周囲から羨望の眼差しを受け取っていたが今は嘲笑を向けらている…
無惨なものだ…エドワード卿は優れた当主だったのに
長女のアレクシアは優れた人物だというのに長兄と次男の方は…
今のアシュフォード家には価値がない。さっさと切り捨てた方が良い
アシュフォード家はもう終わりだな
現在通っている学校で陰ではこのように嘲笑う者、失望する者がいてヴァルフレアも物陰からそのような言葉を何度も聞いてしまったのだ。
(くそ…! 前までは我らアシュフォード家に媚びへつらっていたくせに…! 何度も資金を提供して助けてやったのは誰だ!)
恩知らずな連中から聞いた言葉にヴァルフレアは歯を食いしばり拳をギリっと握りしめる。
だが同時に今の自分は当主として最低限な事しか出来ておらず未だに学生の立場だ…
「見ていろ…! 必ずアシュフォード家を私と弟と妹の三人で再興して見せる…!」
今は耐える時だ… そう自分に言い聞かせ勉学に励んだ。
現在、ヴァルフレアは主に政治学・法律学や経済学など中心に力を入れている。
当初は祖父や父のように科学者として歩もうとしたが自分にはそういった事の才能が無い事に気づき断念したのだ。
それに化学の分野はアレクシアが専門としており学んでも意味がないからだ。
ならば当主として資金の扱いや政治の場として活躍ができるようにしようと思ったからだ。
ちなみにアルフレッドも科学者のとしての才能がなかった為、兄の補佐が出来るように同じ学科を学ぶことにしたようだ。
ただそれとは別に軍事学も学んでいるようだ。
余談だがヴァルフレアもアルフレッドに勧められて軍事学を学ぶ事にした。
今日もヴァルフレアは屋敷の当主の部屋で仕事に勤しんでいた。
ようやく当主の仕事に慣れたがアシュフォード家は零落する一方だった…
この状況に歯嚙みしながらもどうすことも出来ない自分に情けなくなる思ってしまう。
「アレクシアが居るから何とか持ちこたえてるが…彼女ばかりに負担をかけるわけにはいかない…」
アシュフォード家が零落してるが何とかギリギリで抑えているのはアレクシアのおかげだ。
とはいえ何時までもアレクシアばかりに頼るわけにはいかない。
将来に備えて何かプランを考えないといけない…そう考えていた時だった。
「ヴァルフレア様!! 大変です」
突如ジーナが真っ青な顔で部屋に入ってきた。
「どうしたんだジーナ?何かあったのか…?」
途端にヴァルフレアは嫌な予感が頭に響く…まさかとは思うが…
「アレクシア様が…アレクシア様がお亡くなりになったと今、電話が…!」
それを聞いたヴァルフレアは何も言えずただ放心するしかなかった…。
アレクシア…お前まで…逝ってしまうのか…。
少女の日記2
1/5
ここ最近、私はアリ塚を作りその生態と社会を研究してる。
アリの社会は一匹の女王アリを頂点とした社会で他のアリは兵隊として奴隷として女王に服従してる…女王には一切逆らず自分の命を女王アリに捧げている。女王アリの為に生き女王アリの為に死んでいく。
これは正に私が望む世界…!これこそが私が求めるものだ!
脳内で朧げながら描いていた世界がこの時完成したのだ。
後はこれを成し遂げるの道具と力があればいい。
2/5
私は女王アリの遺伝子をスペンサーが見つけてきた始祖ウィルスに組み込んだ。
少し手間がかかったものの理想的なウィルスの試作体が完成した。
とは言えこれはまだどのような作用を生み出すが分からない。
実験が必要だ。
3/5
私は部下の研究員に何か実験体を探してくるようにと命じた。
私が此処に来てから私に崇拝する者がいて手駒が直ぐに手に入ったのが幸いだった。
戻ってきた部下は実験するには都合が良い`モルモット`の資料を見せてくれた。
全員は身寄りが居らず消えても問題がない者達だ。
適当に選んだモルモットを使って明日から実験するとしよう。
4/5
適当に選んだモルモット共で実験してみたがやはり問題が発生した。
それは死亡率が高すぎる事だ。
6人のモルモットに試作ウィルスを注入したがウィルスのよって血液が発火する性質をもったようで5人が数秒程度で焼死してしまった。
残る一人は相性が良かったのか焼死はしなかったが急激な細胞の変化に付いていけず
怪物化してしまった。拘束具は破壊しかねないので直ぐに処理した。
5/5
手間はかかったが試作ウィルスの改良が終えることが出来た。想像以上の力を秘めたこのウィルスをT-Veronicaと名付けた。
これこそが私の研究の集大成であり夢の結晶だ。
世界が私にひれ伏す日は近い。